デイホーム日誌(2) 脳が喜ぶ歌の会 2017.1.21

1月21日(土)

昨年12月に続いて、デイホーム野沢での「歌会」ボランティアに行ってきました。

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今回は「脳が喜ぶ歌の会」と題して、音楽と脳に関するお話し(前半20分)、お茶・休憩タイムをはさんで「冬」にちなんだ日本の歌曲を数曲、キイボードで伴奏させていただきました。

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「脳トレ」「あなたの脳年齢は?」といったキイワードがよく聞かれるようになって久しいです。若い人の間でも「脳の健康」に関心が高まっていることの表れではないでしょうか?

2020年には、65歳以上の5人にひとり、500万人を超える人が認知症になる危険があるともいわれています。
認知症に限らず若い人でも、同じような行動パターンの毎日を過ごしていると、いつ何があったか、先週の〇曜日に何を食べたか、日常業務でこれを出したのはいつだったか…といった記憶はあいまいになります。脳は必要のない情報は忘れていくという性質をもっているからです。それは決して異常なことではありません。でも、日々の生活の中で忘れていくようなことだけやっているとしたら、せっかくある脳のうち限られたほんの一部しか使っていないことになります。もったいないですね。

では音楽をやると脳はどうなるのか…?


音楽・歌は脳のすべてを使う

音楽を聴くだけでも脳は活性化されます。
「ドラーララーラシ♭ド~」というメロディを聴いて「あ、この曲知ってる!」と思う。なぜでしょう? 
音の高さ・長さの組み合わせで「見上げてごらん夜の星を」だと分かり、歌詞が口をついてできてきます。不思議ですね。

若いころ大好きだった曲を聴くと「懐かしい」と思い、その当時の記憶がよみがえってくる…
その人にとって特別な曲=パーソナルソングというのが、記憶を呼び覚ます鍵となり、施設でまったく口を利かなかった人が突然昔の思い出を語りだす…そんな奇跡が本当に起こるのです。
→ パーソナルソング

さらに、歌うという行為によって、呼吸を整え、発声し、音楽(伴奏)聞いて同じ音程の音を出し、リズムに乗り、歌詞(ことば)の意味を理解し、次の歌詞を引き出し…脳のあらゆる部分を使います。

下の画像を見てください。光トポグラフィという装置によって脳の血流を測定すると、安静時には真っ白だった脳の血流が、黙読や音読といった読書によって、また計算することによって、脳の一部に血流が起こっていることが分かります(青よりも赤い部分がより血流が活発になっている)。

脳の血流測定20170121

右下の「歌う」では、脳全体が真っ赤になっています。つまり脳全体に血流が活発になっていることを示しています。

なにかをしながら音楽を聴くことはできます。よほど集中したい時にあらゆる音が邪魔になることもありますが、勉強しながら、模型を作りながら、FMで音楽を聴くことはできます。勉強にはすべての脳を使っていないんですね(笑)

でも、音楽をやっているとき(=歌ってるとき、なにか楽器を演奏しているとき、ある音楽を集中して聴いているとき)に、まったく違う音楽を脇で聴きながらできますか?
無理でしょう。つまり音楽に取り組んでいる時は、脳のすべてをフルに使っているということです。

そこできょうの一つ目のキイワード
  ★ 音楽・歌は脳のすべてを使う → 脳が喜ぶ


◆手遊び歌

きのうは東京でも雪がちらつきました。
そこで、きょうは「雪やこんこん」の1番を歌いながら、

  *右手はげんこつでテーブルをとんとん
  *左手は手のひらでテーブルをすりすり

左右同時に動かし、曲の途中で(フレーズごとに)何回か、右手と左手を逆に!
職員スタッフさんにもご一緒にやっていただきました。

げんこつを上からたたく動きと、手のひらを前後に擦る動き…曲の1フレーズごとに左右を入れ替えるのですが、左右一緒に上下に動いてしまったり、げんこつですりすりしてしまったり…案外難しいのです。
とくにテーブルに手を触れないで空中でやると、テーブルに触れる感覚がなくなるのでいっそう難しくなります。


手や口の周辺には、感覚神経も運動神経もたくさん集中しています。
これはペンフィールドのマップと呼ばれるもの。脳からの運動神経が全身の部位とどうつながっているかを示したものです。手と口の周りが脳の中で占める割合がとても大きいことが分かります。


ペンフィールドのマップ

脳を操作盤(コントロールパネル)に喩えると、手や口の周りを細やかに動かすためのスイッチ類が多くのスペースを占めているわけです。

もしこのマップ上の身体部位をそのまま人の形に置き換えてみると、手と口まわりが異様に大きなこんな姿に…

ペンフィールドのフィギュア

歌うことで口の周りをよく動かし、さらに手の動きも加えることで、脳の広い範囲を使うことになるのです。


歌詞によって表情をつける

いくら脳が喜ぶといっても、まさかカラオケで歌いながら「左右の手を別々に動かす」なんてやりませんよね、ふつう(笑)
せいぜい歌詞の中で「あなたに」とか「私にとって」といった要所に振りを入れるぐらいでしょうか。

でも、手に限らず脳を喜ばせる方法があります。
歌詞の内容に合った顔の表情、発音をする ために、脳からの細やかな指令が出されるのです。

たとえば、きょうの歌の歌詞にもこんな単語が出てきます。

 *「朝日」「かがやく」など、きらきらと明るいイメージのことば
 *「ともしび」「幸せ」「ほほえみ」など、あたたかみのあることば

これらの「ことば」を、気持ちを込めて皆さん一緒に発声していただきました。
気持ちを込めるだけで「ことば」にも表情が豊かに現れるんですね!

そこできょうの2つ目のキイワード
 ★ 音楽を愛する上で最大の敵、それは「無表情」である!

カラオケでも、曲のイントロから歌い出しの雰囲気、歌い込む山場、ひとつひとつの歌詞の意味…そこをちょっと意識するだけで「聴かせる歌」になるのです。

きょう3つ目のキイワードは…
 ★ 脳が喜ぶことをしている人は、まわりの人も幸せ(happy)にする


きょうの歌

正月明けてすでに2週間、いまさら「お正月」ではありませんが、お正月にまつわる曲って案外ないんですね。
「♪もういくつ寝ると~」の「お正月」は、お正月を待ち望む12月の歌ですね。
しかも24日までは街じゅうクリスマス一色ですから、スーパーなどであの曲が流れる賞味期限は1週間しかないんです。
「♪年のはじめの ためしとて…」は「1月1日」、もっと賞味期限が短くてせいぜい3が日。
「たこたこ上がれ~」はありますが「コマの歌」はない…そう案外ないんですよ。

そこで、冬・雪にまつわる曲として歌詞本から選んだのは…

♪スキー…山はしろがね 朝日を浴びて 滑るスキーの…
♪冬景色…さ霧きゆる港江の 船に白き朝の霜…
♪雪の降る街を…雪の降る街を 〃  思い出だけが通り過ぎてゆく
♪冬の夜…ともしび近く衣縫う母は…

そして、私の歌会でのラストテーマ
♪「見上げてごらん夜の星を」


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例によって楽譜は書かず、どんなイントロを入れようかメモ程度におたまじゃくしを書く以外は、横書きの歌詞の下にコード名だけを記入。楽譜なしで演奏することにも慣れてきました。

次回は昭和の歌謡曲を考えています。

デイホームにデビューしました!

12月17日(土)

地元・世田谷のデイホーム野沢での午後の「歌会」にお邪魔しました。

民間のデイホームで、近所のボランティアさんたちが多く参加されていて、折り紙・書道・朗読・フラワーアレンジメント…、音楽系ではハーモニカ・マンドリン・ピアノ…、選択プログラムでは臨床美術・身体や手先を使ったゲームなど、ほぼ毎日午後は何かしらプログラムが充実しています。
入所者の方は常時30数名ほど、月~土曜までほぼ毎日通われています。

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(右) 近所の友人がいらして撮って下さった画像です。


すでにピアノ(電子ピアノ)を使った歌会もありますが、音楽療法の要素は入れてないようです。施設でストックしてこられた歌詞本があり、それを皆さん見ながらカラオケではなく生のピアノを使って歌うイメージです。


私も夏ごろから、時間のあいた土曜日に見学にお邪魔し、施設の責任者ともお話しをさせていただいて来ましたが、今回とりあえず「歌会」の伴奏から入らせていただくことに。

デイホームの歌詞本にある曲の中から10曲ほど選び出しました。
皆さんの好きな美空ひばりさんの曲でスタートして、「冬」「旅」に関係する曲、クリスマスも近いので「きよしこの夜」、そして星空にちなんで「上を向いて歩こう」「見上げてごらん夜の星を」で閉めくくり。

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卒業した国立音楽院の教務課の方が見学に来て記録写真を撮って下さいました。学校の冊子にも近々紹介記事が載るそうです。

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楽譜はあえて書かず、歌詞本のコピーにどのキイでやるか、怪しい箇所にコードを書き込む程度でトライ。

「冬・旅」に関する曲は短調の曲がどうしても多くなるので、年代ごとの懐かしい曲、その曲にまつわるエピソードを交えながらコミュニケーションを取りつつ、 「何かに似てない?」というミニコーナーを設けてみました。

(例)
  ♪「北の宿から」 & ショパンのピアノ協奏曲1番冒頭
  ♪「いい日旅立ち」 & カルロス・ロビンの「The Gift」
  ♪ザ・ピーナッツのあの曲この曲…、昭和の歌謡曲が意外な曲に似てる??

やり取りを通じて皆さんが興味を示される曲、懐かしい曲を今後の参考に。
「東京ラプソディ」などかなり懐メロも入れてみました。

また終了後に簡単なアンケートをお願いして、今後歌いたい曲、とくにお聞きしたいのは「特別な思い出のある曲(=パーソナルソング)」。

先ずはみなさんと「音楽を通じた親睦」をはかることからスタートし、段階的に「音楽に合わせた手遊び」や「音楽はあらゆる脳を使う最大の健康法」といった話も…etc.
ゆくゆくは他のプログラム(詩の朗読や身体を使ったテラピーなど)に音楽を交える企画など、模索していけたらと思います。


■昭和の歌

私が生まれた昭和30年代は、テレビ放送が始まり、あっという間に各家庭にテレビが普及した時代です。
当時はほとんどが生放送で、今のようにチャンネル数もなく、スタジオもまだ限られてましたから、1日のうちで放送のない時間もありました。

そんな中、外国の映画が放映され、映像とともに音楽も。「風と共に去りぬ」のタラのテーマや「ティファニーで朝食を」でオードリー・ヘプバーンが歌った「ムーンリバー」、そのほかジャズやグレンミラーなど、それまで日本の音楽にはなかった響きが日本人の耳に届くようになりました。
当時の日本の音楽家たちにとっても刺激的だったに違いありません。外国のメロディーにそっくりそのまま日本語の歌詞をつけた歌や、コード進行のよく似た曲がたくさん生み出されていきました。


私がまだ小学校に上がるころ、土曜日の夜10時から放送されていた「夢で逢いましょう」という番組があり、この番組だけは寝る支度をすべて終えて布団の中で観てよかったので、今もあのテーマ音楽とともに坂本九さんやザ・ピーナッツの歌声は耳に残っています。私にとって「パーソナルソング」かも知れませんね。

今年の七夕の日に、あの番組の構成を手がけ、「上を向いて歩こう」「見上げてごらん夜の星を」などの作詞をされた永六輔さんが天に召されました。
また、あの「夢で逢いましょう」を毎週生放送で支えてきた大道具さんたちは私の大先輩で、デイホームの皆さんはほぼその年代のはずです。

そんな想いも込めて…

次回は1月21日(土)です。






音楽レクリエーション指導士(3級)

12月3日(土)

(社)音楽レ,クリエーション指導協会の講習・検定(3級)を受けて来ました。

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よく澄んだ空気の土曜日、朝9時に新宿文化センター入り。
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音楽を「聴く」だけでも脳は活性化され、懐かしい思い出が蘇り、認知症にも驚きの奇跡が起こることはすでに立証されています。

また「歌う」ことで発声・正しい音程やリズムをコントロールし、歌詞(ことば)にするために舌や唇などをフルに使います。そのための神経はすべて脳から発せられます。さらに「手・指・身体を動かす」ことで、脳のほぼすべての領域を刺激してくれます。まさにそれが「音楽の力」

今日の実習で学んだのは、誰でもよく知ってる童謡を題材に、手・指・身体を使っての「遊び」の演出の数々。

音楽を用いたテラピーなどの現場で、明日からすぐに役立つネタの数々。
私も近々デイホームで歌の伴奏をやらせていただきますが、そこでも入れようと思っている「見上げてごらん夜の星を」の手話歌など、とてもありがたい内容がぎっしり詰まった、密度の濃い6時間半でした。

最後の筆記試験、いちおう全問正解だったそうです。

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協会の記録画像より



~音の誕生から、音階・和音へ~

11月1日(火)

またしても音楽寄りのやや専門的な話題ですので、興味のない方はスルーしてください。

楽理(音楽理論=いわゆる「楽典」)をまだきちんと学んだことがないけど、短期間(きわめて限られた時間)で、音程・音階・和音(コード)の基本的な原理について知りたい…

そんな方から相談を受けることも少なくありません。

いきなり理論書を開く前に、中学・高校で音楽の授業でも習ったはずの用語の確認と、よりグローバルに「音」に関する興味をもっていただくためのアウトラインとして、あらためて整理してみました。

音楽を専門とされている方、興味のある方、逆に音楽に関する知識はないけどこんな内容で興味をもてるかどうか…?ご意見をぜひコメント欄にいただけたら幸いです。


地上には音があった

宇宙には…「はじめに光があった」

地球上には「音」があった!(空気や水があって音は伝わる)

 生命が誕生する前から、風は吹き、水は流れ、音があった
 動物も虫も声を発する。人間も、声を発し、ものを使って音を出し…

ドレミ…も、ABC…も、イロハ…も、まだ音に名前もなかった時代から、
誰かが口にしたある高さの声、竹をある長さに切って吹いて出る「ある音」を楽しんでいた。


5度の音程は比率で決まる!…大発見!

紀元前の数学者ピタゴラスが、鍛冶屋の前を通ったとき、2人の打つハンマーの音が美しくハモっていた! そこでハンマーの重さを測った。

音程(=2つの音の間の距離)は「比率」で決まる
ことを発見!

今の科学でいうと、周波数が2:3=5度 ド~ソ、ラ~ミなど「完全5度」

正倉院に残る古代の琵琶、シルクロードを通って日本に伝えられた楽器およびその作り方の文献に、竹を切って、その長さの3分の2の長さの竹を…という図解が出てくる。500~700年代の日本に、すでに「5度の音程」は伝わっていた!

三味線はド・ソ・ド、沖縄の三線もド・ファ・ドまたはド・ソ・ド
3本の弦の上と下を同じ音(オクターブ)に合わせ、真ん中の弦は5度(ソは下のドから5度上、ファは上のドから5度下)で調弦。

イングランドのバグパイプのベース音もドとソ。
5度は人間にとって特別な響きのようです!


◆5度の関係でできた5音階(ペンタトニック)

「ある音」から、2:3の関係(=人間が聴いてきれいに調和して響く)で5度上の音を探し、その音からまたその5度上の音を探し…

まだその当時、音に名前はなかったと思うが、説明の便宜上「ある音=ド」と仮定して…

  ド→ソ→レ→ラ→ミ

今日の弦楽器の調弦と同じ!
 ヴァイオリン…ソ・レ・ラ・ミ、ビオラ・チェロ…ド・ソ・レ・ラ
  コントラバス…ミ・ラ・レ・ソ

★コントラバスはチェロの1オクターブ下に合わせるチューニングもありますが、オーケストラでは一般にミ・ラ・レ・ソ、バイオリンとは逆に5度下(=4度上)に合わせる。「反対の」という意味で「コントラ…」

5音階(=低い順に並べるとド・レ・ミ・ソ・ラ)は、どこを組み合わせて同時に鳴らしても「濁り」がない。
高さをずらせば、5つの黒鍵(=ファ♯・ソ♯・ラ♯・ド♯・レ♯)も5音階(ペンタトニック)。

  →ピアノの右ペダルを踏んで、黒鍵だけを自由に同時に鳴らしてみよう
  →世界にはさまざまな5音階(ペンタトニック)の楽器がある


7音へ

ミ→5度上の「シ」、ドから5度下の「ファ」が加わったことで、今日の「ドレミファソラシド」という白鍵の音が揃った!

しかし、それまでの5音階ではすべての音がどことどこを取っても調和していたが…

★ミ~ファ、シ~ドに「半音」という狭い関係が生じる(不協な響き)
★シ~ファの関係は、完全5度の美しい響きではない(減5度=中世は「悪魔の音程」として避けられ、和声学でも対位法でも禁じ手)


12音へ

シから完全5度上=ファ♯(ファから5度下=シ♭)…ここで黒鍵の世界に入る。
(もちろん当時は鍵盤楽器はまだないので、白鍵と黒鍵、半音と全音という概念もないが)

ファ♯→ド♯→ソ♯→レ♯→ラ♯
(ソ♭→ レ♭→ラ♭→ミ♭→シ♭)…
上と同じ音=「異名同音」

そして、ラ♯(=シ♭)から5度上は「ファ」、その5度上は「ド」
12回目で「元の音」に戻ってきた! …12音の誕生!

   →調性の話、5度時計の話
   →5度だけを基準にすると生じる歪み、純正率と平均律の話


そしていよいよ本題へ…


音階とは?

12のすべての音をただ並べても、音楽としての感情(明るい、暗いなど)は湧かない。

★12の音の中から7つの音を選手として選び出して並べたもの=音階

たとえば、7つの白鍵だけでできる音階
今日では明るい「ハ長調」と暗い「イ短調」=(並行調…後述)

おなじ7音のチームでも、打順が変わるとチーム全体の空気(モード)が変わる
=何の音から始めるかによって、半音(隣同士が他より狭い)のくる位置が変わる

階段の形=その「調べ」の雰囲気(=モード)

中世の6つの教会旋法(チャーチモード)

 ドからはじまるイオニア旋法(=今日の長調)
 レ  〃    ドリア旋法
 ミ  〃    フリギア旋法
 ファ 〃    リディア旋法
 ソ  〃    ミクソリディア旋法
 ラ  〃    エオリア旋法(=今日の短調)   

半音の来る位置(階段の段差が低い場所)が何番目と何番目の音の間に来るか?
「3-4,7-8」=3478、「2-3,5-6」=2356など4桁の数字で表すと…

数値が大きいほど明るく、数値が小さいほど暗く感じる(不思議)!
つまり、全音が続いて後寄りに半音が来ると明るく、早くに半音が来ると暗く感じる。


教会旋法の詳細はともかく…

同じ7音でも、どこから並べるかによって、半音の位置が変わり、階段の形が変わる。
階段の形が変わることで、明るい・暗い、といったモードが変わる 

ということをなんとなく理解していただいたところで…


長調と短調

♪長調=「3~4、7~8」の位置に半音が来ると、明るい長調に
♪短調=「2~3、5~6」の位置に半音が来ると、暗い短調に

何の音からはじめても、この階段の形になっていたら「長調」「短調」になる。
その形にするために、♯・♭(黒鍵)を用いて合わせる

調性=♯・♭の数

★「並行調」…長調の3度下には短調あり!

 同じ調整(♯・♭のつく数が同じ=7つの音の選手は同じメンバー)でできる長調と短調


◆和音(コード)

すべての音ごとに、メジャーコード、マイナーコード、7th、増3和音(オーギュメント)、減3和音(ディミニッシュ)…など、一覧表のようにして覚えようとするよりも…

ある調の7音の組み合わせでできる、7つの和音(だんご3兄弟×7本)を中心に覚えよう!


<ハ長調の場合>
  
7色コード譜



3つの明るい和音(1,4,5)と、3つの暗い和音(2,3,6)、
そしてちょっと変わった7番目のディミニッシュ

和音もこの7人のチームとしてとらえる

★真ん中の音が上に寄ってれば明るい長3和音に、
  真ん中の音を半音さげれば暗い短3和音(マイナーコード)になる
  
★明るい和音の一番上の音を半音上げると、増3和音(オーギュメント)になる

★明るい和音の下の音を半音上げる、または暗い和音の一番上の音を半音下げると減3和音(ディミニッシュ)になる

…といったバリエーションで、ほかの音にも応用して使って行くと実践的に早く覚えられる!

今年の夏のはじめに「音の小部屋 ブレーンストーミング」という記事に書いた内容の骨格を追ったものです。


ああ、対位法

10月24日(月)

ちょっと(かなり)音楽の専門的な話題なので、「難しい!」と思う方はどうかスルーしてください。


◆「対位法」とは?

対位法とは、旋律と旋律の組み合わせによる作曲技法のことです。
語源のラテン語では punctus contra puunctum、コントラバスの「コントラ=反対の」という単語が間に見えます。
英語ではcounterpoint、「点と点」「互いに向かい合う点」といった意味だそうです。

え、何のことか分からない?
ですよね…(笑)

9世紀から10世紀ごろの歌唱の中で生まれた法則で、ある音とある音をどう結び付けて、主旋律(メロディ)とは別のもう一つの旋律(ハーモニー)を重ねられるか、その法則を記したものです。
それがバロック以降、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンなどにも引き継がれていき、音楽を複雑に重ね合わせる技法となっています。

「和声学」は、同時に鳴っている複数の音(和音=響き・コード)を中心に、それが違う響きに移り変わる法則、つまり和音と和音との関係について定めたもの。

それに対して「対位法」は、ひとつひとつの音と音(点と点)の結びつきを見るもので、主旋律とは別のもうひとつの旋律を作り出す技法、とでも言ったらよいかもしれません。


◆禁止事項の地雷

私は2013年度から3年間、勤め帰りに音楽の学校に通い「音楽療法」を学びました。
その過程でこの「対位法」の授業も取りましたが、正直あまり楽しいとは思えませんでした。

*シ~ファの減5度は常に禁止
*連続5度、8度、1度と、平達の5度は禁止
*強拍における5度・8度の連続は避ける
*強拍における3度・6度の4回以上の連続は避ける

…などなど、あれはだめ、これはだめ、の禁止事項ばかり。



ちょうど月曜日の夕方6時から「コード・即興」の授業を履修して、クラシックから抜け出してちょっとズージャな(=ジャズっぽい)お洒落な不協和音の使い方に「Oh~!」と感激し、その直後にこの「対位法」の授業だったんです(笑)

課題として出される単純な旋律(メロディ)に、「これならいいかな」と思って音符を書くと、あちこちで地雷を踏むんですね。

メロディラインを見て、それに綺麗にハモりそうなハーモニーラインを書くと、まず間違いなく地雷を踏みます。1つ1つの音と音とのつながりをよく見て、禁止事項の地雷を避けながら…

「いいじゃないか、こういう曲だってあるよ」、「やってらんないよ!」…というのが本音でしたね(笑)。


しかし、どんなことでも1年もやっていると不思議なもので、「なぜそういう規則があるのか」漠然とながら感じるようになります。

バロック以前の教会音楽~バッハのカノンやフーガの作品を聴かされると、その中にはちゃんと「美しさの法則」みたいなものがあるんだな、と。

1年の締めくくりに、ごく簡単な「キリエ」(教会音楽の1形態)を書いてみるという課題があり、地雷を何度も踏みながらもなんとかそれらしい対旋律を書くことができましたが、対位法に関してはその後まったく進展なく止まったままです。


これなら読める

そんな私でも、これなら面白いと思える本に巡り会いました。
もう1年以上前に買ってはあったんですが、この秋の夜長にちらちらと読み始めています。


対位法20161024


バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンなどの名曲のある一節を取り出して、そこに対位法がどう用いられているかを見てみる、という書き方なんです。


対位法120161024 対位法220161024
★クリックすると大きな画面でご覧になれます



やはり「美しい」と思うものには何らかの「法則」があるんだな、ということです。
これ以上具体的に書くとボロが出るので…

ご興味のある方は、音楽の友社から出ている「名曲で学ぶ対位法」という本がおすすめです。




歌いやすいキイでたどる 昭和の歌

8月5日(金)

カラオケでよく出る昭和の歌謡曲を、原曲のキイにとらわれることなく、誰でも歌いやすいキイで伴奏できたら…! 私の夏の宿題第二弾です。



楽器の曲では、作曲されたオリジナルキイの響き(その高さ)が重要ですね。
たとえばベートーヴェンの「運命」をAm(イ短調)に下げて演奏されたり、「田園」をC(ハ長調)で演奏されたら気持ち悪いですし、ショパンのノクターンを「高いから半音下げて」なんて言われても困ります(笑)!

でも、歌謡歌に関しては私はとっても寛容なんです。
というか、歌に合わせてキイを変えられないと伴奏としては役に立ちませんよね。


歌手によっても声域が高かったり低かったりしますから、自分の好きな曲を歌いたくても、原曲キイでは無理があることも。

たとえば私の場合、谷村新司さんの歌なんか大好きなんですが、谷村さんの声って聴いてると低く感じるんですが、いざ歌おうとするとじつはとってもキイが高いんですね。たいていカラオケでは3♭ぐらい下げないと歌えません。

逆に女性の歌は一般に高いと思われがちですが、男性が歌う場合はちょど1オクターブ下で歌うので案外ちょうど良いのです。むしろ、女性でも低めの音域の方の歌は2つか3つ上げてちょうど良かったり…



このように、自分に合ったキイをうまく見つけられると、たいてい誰でも気持ちよく歌えます!

原曲がどのキイか、どのキイが弾きやすいかではなく、男性でも女性でもほとんどの方が無理なく出せる音域として、「その曲に出てくる最高音=高いドまで」 をひとつの目安にしてキイを探してみました。


<電子ピアノに貼られたレッドゾーン!>

高いド

(京王線に「高井戸」という駅がありましたね…)



ちなみに和声学では、男性のバス、テノール、女性のアルト、ソプラノの音域は決められていて、4声それぞれの音域を超えてはいけないとされています。

ソプラノ~バス音域20160805


しかし、専門的にトレーニングを積まれているオペラ歌手ならこれ以上の音域も出せるでしょうし、一般人には上の「ラ」まで出すなんて冗談じゃない、という世界(笑)。

それより、実際にカラオケでみなさんが歌われているのを聴いてきて、女性でも男性でもだいたい上の「ド」までだったらたいていの人が無理なく歌えるということに気づいたんです。よし、ここを一つの目安にしよう!、と。

以下、昭和の懐かしい歌謡曲を思いつくままに、その曲のオリジナルのキイとは関係なく、その曲の中に出てくる最高音=高い「ド」まで(場合によっては一瞬のD♭かDまで頑張って頂く)に収まるキイを探してみました。

原曲キイで覚えたものを「高いから下げて」と言われてずらすより、もともと誰でも無理なく歌えるキイで覚えておいたほうが便利でしょうから…


●石川さゆり
  津軽海峡冬景色  Am(最高音D) →Gm(最高音C
  天城超え  Am(最高音C
  
●石原裕次郎 
  ブランデーグラス Dm
  恋の街札幌    Dm
  時間(とき)よお前は Dm
  夜霧よ今夜もありがとう  C
  涙は俺が拭く     Cm

●ザ・ピーナッツ
  ウナセラディ東京 Gm
  恋のバカンス      Gm
  恋のフーガ       B♭m

●坂本九
  上を向いて歩こう          C
  見上げてごらん夜の星を  F(最高音D

〇中村八大&永六輔
  おさななじみ(歌:デュークエイセス)B♭(最高音E♭)さらに転調↑
  こんにちは赤ちゃん(歌:梓みちよ)  E
  遠くへ行きたい(歌:ジェリー藤尾)    Cm(最高音D

●布施明
  愛の園       Cm
  霧の摩周湖 Dm
  シクラメンのかほり Dm
  積み木の部屋     Am

●高橋真梨子
  五番街のマリー  E♭ 

*原曲D♭(最低音A♭やや低い!)

●中島みゆき
  時代     D

●谷村新司
  いい日旅立ち   *谷村新司原曲 Dm(最高音E)  
             
→ B♭m(山口百恵バージョン)
  三都物語  Am(最高音=C)  *谷村新司原曲=Dm(最高音F
  群青    Am(最高音=C)   *原曲Dm(最高音F
  陽はまた昇る  Cm(最高音D♭)  *原曲Em(最高音F
  昴(すばる)   C
  

●山口百恵
  秋桜(コスモス) Em(最高音C) 

*オリジナルはFm(最高音D♭)
  いい日旅立ち B♭m(→半音下げてAmでも可)

●岩崎宏美
  聖母(マドンナ)たちのララバイ B♭m(→半音下げて Amでも可)


●都はるみ
  あんこ椿は恋の花 B♭(最高音D
  北の宿から    Em

●いしだあゆみ

  ブルーライト・ヨコハマ Dm

●森山良子

    禁じられた恋     Am

  この広い野原いっぱい G

 

●テレサテン
  愛人    Gm
  空港    Em
  つぐない  Dm
  時の流れに身を任せ F(最高音D

●森進一

  襟裳岬     G または A(最高音D)
  おふくろさん  Em
  港町ブルース  G
  冬のリビエラ  G


●松崎しげる
  愛のメモリー Cm(最高音C

●美空ひばり
  (全体に低めなので、3度あげてちょうど良いかも…)
  愛燦燦  C → E
  悲しい酒 Am → Cm
  川の流れのように C → E
  真っ赤な太陽 Am → Cm
 

●水前寺清子
365
歩のマーチ   C

 

●内山田洋とクールファイブ
長崎は今日も雨だった  G *原曲D♭(最高音A♭)

   東京砂漠       Gm *原曲Bm(最高音F♯)      

 

●トワ・エ・モア

  誰もいない海   A♭(最高音D♭)

 

●五輪真弓
恋人よ      Em(原曲キイ通り)

 

●歐陽菲菲

  Love is over    D *原曲B♭(最低音F~最高音G) 

  雨の御堂筋     Cm

◆外国の歌

 
   愛の讃歌(越路吹雪)  
F
  枯葉(イヴ・モンタン)  Dm
  マイウェイ(Fシナトラ)  B
  Moon River   C
  ムーンライトセレナーデ  C
  This Masquerade (マスカレード カーペンターズ) Fm(オリジナル)
  Close to you(遥かなる影 カーペンターズ) C(オリジナル)
  I need to in love(カーペンターズ) A(オリジナル)
  Yesterday Once More(カーペンターズ) E(オリジナル)
  Yesterday (ビートルズ) D
  べサメムーチョ(トリオ・ロス・パンチョス)  Cm
  キエンセラ(  〃  )     Cm

◆日本の歌曲

  夏の思い出 D または C
  浜辺の歌  F
  あかとんぼ C
  ふるさと    F
  さとの秋    F
  小さい秋みつけた Em または Dm
  もみじ      F
  花は咲く   F (オリジナル)




カラオケで自分がよく歌う曲を「この曲は2つ下げて…」などと覚えている方はいらっしゃると思いますが、このような「曲ごとの歌いやすいキイの一覧」はどこにもありません。

これは生伴奏のための私のオリジナルの「虎の巻」!
よく知っている「昭和の歌謡曲」はたいていコードで伴奏できると思いますが、「この曲はこのキイでやると歌いやすい」という一覧があると、歌詞カードをお持ちのデイホームで伴奏するのにも便利でしょう。

曲目は順次加えていこうと思います。

「音の小部屋」 ブレーンストーミング

7月20日(水)

都内の多くの学校ではきょうが終業式、明日から夏休みでしょう。
私も学生時代を思い出しつつ、自主的な「夏の宿題」を作ってみました。



むかしピアノを習ってた人も、楽譜はまったく読めない人も、「音」を聴いてなにも感じない人はいないでしょう。

人はなぜある音の並びを聴いて「あ、この曲知ってる。どこかで聴いたことがある」と分かるのでしょうか?
懐かしい曲を聴くと、昔の出来事が鮮明によみがえってくるのはなぜでしょうか?
音の組み合わせ(並びや重なり)で、人はなぜ明るく感じたり暗く感じたりするのでしょうか?
そういうことは、和声学や楽理の本には書かれていません。

そんな音の不思議、音の面白さ・奥深さ…を。
私が長年音楽と付き合ってきて不思議に思ってきたこと、当たり前のように使ってるけどあらためて「?」と思うこと、この3年間で学んだこと…それらを私なりにまとめています。



クラシック畑にありがちな「楽譜がないと弾けません」から脱却したい、ドミソ・ファラド・ソシレの3色だけでなくもっとお洒落なコードで伴奏したい、即興ができたら…

大人になってからでもあらためて音楽についてもっと知りたい、それぞれの生活の中で音楽と付き合っていきたい…そんな方にも、なにかお応えできたらと。

これまでにもこのカテゴリーに書いてきたテーマを、簡単な項目だけポストイットに書いて貼りながら、
「音の不思議」→「音階(スケール)と和音(コード)」→「即興などへの応用」…
といった流れを追って整理してみました。


12の音はどうやって生まれたのか?

12音の誕生20160720

クロマニヨン人、ネアンデルタール人…おそらく石器時代の人たちも、石や動物の骨をたたいたり、フレームに弦を張ってはじいたり、竹を切って吹いたり…「音」を「楽しむ」ことはしていたでしょう。

しかし5度の響きに着目して、音の高さは比率であることを発見したのは、紀元前の数学者・ピタゴラスでした。今日の科学で解明されている5度(ド~ソ、ラ~ミなど)の音程は、周波数の比率として2:3(ラ=440Hz、ミ=660Hz、平均律では若干狭い)。

でもピタゴラスの時代にはそんなことは分かっていなかったでしょう。ただ人の耳で聞いて、その比率の2音は素晴らしいハーモニーを感じさせたのでしょう。

その原理で、ド~ソ、ソ~レ、レ~ラ、ラ~ミ…と、完全5度の音程で音を取っていったら12個目で同じ音に戻ってきた。そこで12音が誕生しました。

5音階(ペンタトニック)→ファとシを加えて7音階(7つの白鍵)→5つの黒鍵を加えて12音へ
そう、12の音はすべて倍音率でできていたんです!

音楽史ならぬ「音の歴史」ですね。



音階と和音
  ~人はなぜその音を聴いて「明るい・暗い」と感じるのか?~



音階と和音20160720

5音階から12音階が生まれた当時、まだピアノなどの鍵盤楽器はありませんでした。
だから今日のように「白鍵・黒鍵」とか「半音」といった概念はなかったはずです。

しかし、12音の中から7つの音を選び出して並べたもの(=音階)には、明るいものと暗いものがある。2つの音の間隔には長いところと短いところがあって、どの音から並べるかによって「音階=階段の形」が変わり、明るい・暗いなど色彩が違ってくる、ということには人々は気づいてました。

今日あるのは明るい「長調」と暗い「短調」の2種類ですが、中世には6つの教会旋法がありました。7つの白鍵だけを使って、何の音から始めるかによってどこに半音の位置が来るかが違うので「階段の形」が変わり、明るい・暗いといった表情が変わります。

逆に、12の音のうち何の音からはじめても、その「階段の形(=半音のくる位置)」さえ同じになっていれば、おなじ「調べ」として聞こえます。

「何調はシャープがいくつ」などと「覚える」より、その感覚を分かることが大切です。


♪コードに慣れる近道

和音(コード)も、「覚える」より「原理を分かる」ことが大切です。

A~Gまで♯や♭も含めて12の音があり、それらをベースとする明るい3和音(メジャーコード)と暗い3和音(マイナーコード)、それだけでも24個です。

さらに7thがついたもの、明るい和音の一番上の音を半音上げたオーギュメント(増3和音)、一番下の音を半音上げた(または暗い和音の一番上の音を半音下さげた)ディミニッシュ(減3和音)…

それらをすべて一覧表にして「覚える」のは大変ですし、仮にそうやって全部覚えたとしても実際の場面では使えません(笑)。
ではどんな方法がおすすめか…?

たとえば単純なハ長調の7つの白鍵だけでできている7つの3和音(=7本の「だんご3兄弟」)を、1~7までの度数で、明るい和音、暗い和音、最後のちょっと変わった和音…という組み合わせとしてとらえるのです。

あまり深入りしないと言いつつ、ここだけはちょっと説明しておきましょう。

ハ長調の7色コード

この7つの和音を子どもに聞かせると、ほぼ間違いなく「ドミソ」「ファラド」「ソシレ」の3つを「明るい」と答えます。
すべて白鍵だけのハ長調、どれも同じ手の形でつかめる3和音なのに、どうして明るい響きと暗い響きができるのか…?

それは、白鍵の隣同士でも、ミ~ファ、シ~ドの間には黒鍵がなく「半音」、他よりちょっと短いんです。

長3度(全音・半音)

3度の音の重なりにも、この半音の箇所を含むかどうかで長いところと短いところができて、その組み合わせで和音の響きが変わるのです。

音符の上に赤で [ マークを付けたところ、ド~ミ、ファ~ラ、ソ~シ、の3か所は、間に半音の箇所を含まない長い3度(=長3度)。それ以外の3度はいずれも半音の箇所を含む短い3度(=短3度)です。


♪和音としての明るい・暗い

ドミソ、レファラ、ミソシ…などの3和音(=3つの音の重なり)が、響きとして明るく聞こえるか暗く聞こえるかは、このことと関係します。

長い3度(赤)の上に短い3度(青)が乗っかると明るい響きになります。ドミソ、ファラド、ソシレの3つは、下の2音(ド~ミ、ファ~ラ、ソ~シ)が長い3度で、その上に短い3度が乗っかっているから明るく聞こえるのです。
逆に短い3度(青)の上に長い3度(赤)が乗っかると暗い響きになります。レファラ、ミソシ、ラドミは、下の2音が短3度で、上の2音が長3度。だから暗い響き(マイナーコード)に聞こえるのです。

つまり決め手は真ん中の音。真ん中の音が半音下がると暗い響き(マイナーコード)になるのです。
合奏や合唱をやる方なら、真ん中の音が下がると響きが暗くなることは感覚としてお分かりのはずです。それを和音でも感覚としてつかむのです。

明るい3和音(=長3和音)の真ん中の音を半音下げてやればマイナーコードになり、逆に暗い3和音(=短3和音)の真ん中の音を半音上げてやれば明るいコード(長3和音)になります。


ほかの何の音を基準にしても、音階の7つの階段の形は同じで、その7音でできる7つの和音の明暗の配置は同じです。
たとえばト長調ではファに♯がつき、ヘ長調ではシに♭が付くことで、ハ長調と同じ「階段の形」になりますから、7つの音で構成される7つの和音の明暗も同じ配置になります。

そのようにしてコードを覚えていく方が実践的で、どの音(=ベース音)でも原理は同じですから、「覚える」要素は少なくて済み、いきなり「使える」ようになります。

たとえ楽譜が読めなくても、コードを使ってピアノを弾ける道も近いのです。


コードの循環 ~響きの色変わり~

ここは実際に音を出しながら理解していくところなので、言葉で表せるのはポストイットに書いて貼ったあたりが限界でしょう。


コード循環~響きの色変わり~20160720


とかくメロディがまずありきで、それに合った伴奏としてのコードを探しがちではないでしょうか?
即興や伴奏を難しいと感じるのは、「このメロディになぜこのコードが合うんだろう?」がなかなか分からないのが原因です。

逆に、右手では「シドレド~」と同じことを弾き続けて、左手でさまざまなコードを合わせてみると、どれもそれぞれいい響きで調和します。

有名なショパンやラフマニノフ、あるいは映画音楽など「あの美しい名曲はどんなコードの流れでできてるんだろう?」と見てみると、じつは同じようなコード循環でできている曲がけっこうあったりします。

これらのことから気づくのは、メロディにコードが付いてるんじゃなく、コード(響き)の移り変わりがベースにあり、そこにメロディが乗っかって音楽はできているんだ、ということ。

おなじ単純なメロディにも、違うコードの響きを合わせることで違った味を出すことができます(=リハーモナイズ)。

コードの循環はまさしく「響きの色変わり」なのです。

そこにはある流れの法則があります。この響きは次にどこに行きたくなるか、5度の引力、この響きから次のこの響きに移る中間にこんな響きを経由する…etc.


音楽で用いられている「音」は、単体で存在しているのではなく、お互いが結びついたり引き合ったりしているのです。
発電機やモーターの音が「ある音程」で鳴り続けていても、それは「音楽」ではありません。
ところが「音楽」としての音は、ひとつの音だけで単独で存在していることはなく、他の音と響き合ったり、結びついて音楽の流れを作り出しています。そこには「重力」・「引力」のような力が働いているような気がします。

コード循環(=響きの色変わり)とは、まさにそういうことなんじゃないか…?

そのコード循環を自由に使えたら、決まった曲(メロディ)の伴奏だけでなく、響きの色変わりだけを味わって遊べますし、詩の朗読・テラピーなどの伴奏を即興でつける といったことにも応用できるでしょう。



以上、ここまで手書きのポストイットを貼り付けたシートが3枚。
大きな画像でご覧になりたい方は、下をクリックしてください。


12音の誕生20160720 音階と和音20160720 コード循環~響きの色変わり~20160720



これは今月から「音の小部屋」を訪ねてくださる40代男性を対象に考えたひとつのモデルです。
その方のニーズに合った内容で、5回~10回のプログラムを個別に考えさせていただきます。

なお、ここに挙げた個々の内容について、これまでこの「★50代ことはじめ~音楽療法の世界へ~」というカテゴリーの中で「音」に関して書いた記事をまとめたページがあります。
実際に音を出してみれば簡単なことでも、文章だけで理解するのは大変でしょうが…

→ 音の不思議をあらためて

「5度時計」を本当の時計にしてみました!

5月20日(金) <改>

P5180172.jpg

以前このカテゴリーで「12と5 音の不思議な関係」という記事を書く際に「5度時計」というのを作図しました。



紀元前の数学者ピタゴラスが鍛冶屋さんの前を通ったとき、二人が打つハンマーの音が美しくハモっていた(←当時はそんな言葉はなかったはずですが…笑)

そこで好奇心あふれるピタゴラス先生は、二人のハンマーを借りて、重さを比べたんですね。そして「音の高さは比率で決まる」ということを発見したんです。

今日の科学では、「重さ」の比率ではなく、振動する物体の振動数(=周波数)で音の高さは決まるのですが、5度(=ド~ソ、レ~ラ、ラ~ミなど完全5度)は「2:3」という比率なんですね(ラ=440Hzなら、ミ=660Hz)。

日本の正倉院にも、古くシルクロードから伝わった楽器の説明書のようなものが残っていて、竹の筒を2:3の長さに切って…といった図解があります。

人間の耳にもっとも美しく聞こえる完全5度というのは、2:3という倍音率だったんですね!

今のような絶対的な「ラ」とか「ド」という音程がもともと決まっていたわけではなく、「ある音」を基準に、その音ともっとも美しく響く5度の倍音率で音をとっていくと、12回目で元の音に戻ってきた!
そうして12音階が誕生したのです。



話を現代に戻して…

「ド」を基準に5度の関係で音を並べていくと、まさしく時計のように12時の位置で元の「ド」に戻ってきます!

以前作図した原紙が残っていたので、カラーコピーで拡大して木のパネルに貼り、時計のムーブメントと針を取り付けて、本当の「時計」にしてみました(時計のムーブメント…1500円、時計の針…380円)!

P5180170.jpg 
P5180171.jpg 

「音の小部屋」にふさわしいオリジナル時計ができました!

P5180175.jpg

ところが…!!


逆転の発想!

実際に時計になって針が動くのを見ていると、時計回りにド→ファ→シ♭→ミ♭→ラ♭→レ♭…と5度ずつ下がっていってその音を主音とする音階(長音階)の調性としての「♭」の数が一つずつ増えていくよりも、ド→ソ→レ→ラ→ミ→シ…と上に5度ずつ上がっていって「♯」の数が一つずつ増えていく方が気持ちがいいんじゃないか?

ちょうどこの文字盤の逆回りですね。5度の関係・法則はどっち回りでも変わりませんが、「時計」として見るには逆回りの方がしっくりくるのではないか…?いきなり2時の位置から「黒鍵の世界」に入るのもなんだし…思いはじめると気になるもの。
逆回りの時計を見ているようで気持ち悪く感じられてきます(笑)

原紙も目の前にあって、コピーの拡大率も覚えていて、製作意欲が失せないうちに…反対回りの文字盤を作り直しました!


逆回りに改定a


逆回りに改定b

針とムーブメントを外して比較。やはり右(新)の方がしっくりいきます。


◆あらためて「5度時計とは?」


右回りに5度ずつ高くなっていく新バージョンであらためて。

5度時計(改右回り)

真上の「ド」から時計回りでひとつ進むごとに「ソ→レ→ラ→ミ→シ…」
ここまではすべて白鍵の音で進んでいきます。

それぞれの音ではじまる音階(=長音階)の調性としての「♯」の数がひとつずつ増えていきます(ト長調=♯1つ、ニ長調=♯2つ、イ長調=♯3つ…)。

「シ」(=5時)の次の音は…?
そう、ファではないんですね。シ~ファの間には半音が2か所に入り、完全5度よりも半音短い減5度。中世までは「悪魔の音程」と言われて避けられていたんですね。

シから完全5度上は「ファ♯(=ソ♭)」。♯で表しても6つ、♭で表しても6つの調性。それがちょうど「6時」の位置なんです!

そしてここから黒鍵の世界に入り、「ソ♭→レ♭→ラ♭→ミ♭→シ♭」と5つの黒鍵を進みます(←5つの黒鍵は5度の倍音率でできていたんです!)。
時計の左半分、♭系で見ると、時計回りに進むごとに「♭」の数が一つずつ減っていきます。
そして「シ♭」(=10時)から完全5度上は「ファ」(=11時)。ここでふたたび白鍵の世界に戻ります。
「ファ」から始まるヘ長調では♭は一つ。そして真上の12時では♯も♭も「0」のハ長調に戻ります。

時間を刻む時計と、音の法則、なんか不思議なほど似てると思いませんか?



5度時計から見える音の不思議

ある音から5度上へ5度上へ…と右回りに並べてあるので、当たり前といえば当たり前のことなんですが…

それぞれの音をベースとする3和音で見ると、どこを見ても、ある音を中心に右隣り(=ひとつ先)は5度上のドミナント(=属音をベース)、左隣り(=ひとつ前)は5度下(=4度上)のサブドミナント(=下属音をベース)。そしてドミナントとサブドミナントに挟まれた中心がトニック(=主音をベース)、という関係になっています。

まるで日光菩薩と月光菩薩に挟まれた阿弥陀三尊のような、あるいは父・子・聖霊の三位一体のようですね。そして全体は「音の十二支」とでも言いましょうか、宇宙を描いた曼荼羅のようでもあります。

そしてもうひとつ、この時計の対角線を見ると…

「ド」の対角線は「ソ♭(=ファ♯)」、「レ」の対角線は「ラ♭(=ソ♯)」、「ミ」の対角線は「シ♭(=ラ♯)」…
いずれも、ある音をオクターブで鳴らした時にちょうど真ん中の音(=1オクターブを2等分する音)です。
完全4度と完全5度の中間の「完全4.5度」?…いやいや、そんな呼び方はありません(笑)。増4度、あるいは減5度ですね。

ある音をベースとする3和音を「表のコード」とすると、その対角線にある音をベースとする3和音は「裏コード(代理コード)」と呼ばれる関係ですが、そこはちょっと音に関する専門的な話になるのでまた改めて…



プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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カウント開始 2011.1.14~
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