スクリュアビン 左手のためのプレリュード

8月16日(日)

べつになんということもないピアノの楽譜だが、これをすべて左手で弾きなさい、というもの!
スクリュアビン(Scriabin Alexander 1872~1915)という作曲家が書いた「プレリュード(前奏曲)」。
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「Andante」と指定されているが、もう少しゆっくり弾いても良いと思う。

左手の親指で、高音のメロディ音をしっかりテヌートで響かせ、合いの手に入る低音と中間の刻みの和音を同時につかむ。
左手の腱がつっぱり、ヒマでやることのない右手に思わず力が入ってしまうが(笑)、じっくり音を捕まえてみるとなかなか美しい響きの曲だと思う。

この「プレリュード(前奏曲)」につづく「ノクターン(夜想曲)」の方が有名で、そのタイトルからも分かるように、ショパンのような詩的な印象を好んだ作曲家のようだ。



左手だけのために書かれたピアノ曲は他にもいろいろある。

戦争で右腕を失ったピアニスト(パウル・リトゲンシュタイン)のために書かれた曲や、リストのピアノ曲集の中にはバッハの「シャコンヌ」(ヴァイオリンの曲)をピアノの左手だけで弾くように指示して書かれたものなど、研究・訓練のために書かれた曲もある。

だが、スクリュアビンのこの2曲はそのような目的で書かれたわけではなさそうだ。

手の大きかったラフマニノフに対して、スクリュアビンは小柄で手も小さく、片手でオクターブをつかむのもやっとだったという。
その小さな手で、モスクワ音楽院時代に同級生の友人とピアノの超絶技巧を競い合っているうちに右手首を痛めてしまい、その時に作られた曲といわれている。


スクリュアビンは、ラフマニノフとほぼ同じ時期(1年後)に生まれているが、43歳でその生涯を閉じたピアニスト・作曲家。オーケストラの曲も書いている。

モスクワ音楽院でピアノ教師を務め、その誠実な人柄から生徒からの評判もよく、ウィーンからも招きの声がかかるなど優れた指導者として、また演奏家として活躍。

病弱だったスクリュアビンは、健康にはかなり気を遣う、今でいう「健康おたく」のようなところがあったらしいが、皮肉なことに唇を虫に刺されれて化膿をおこしたのが悪化して、43歳という若さでこの世を去った。



余談

さて、真面目な話はこれぐらいにして…
「ラフマニノフは手が大きい」というのジョークにしたこんな演奏、前にもご紹介しましたが、あらためて…



「ラフマニノフ 手が大きい。でもワタシ手が小さい。でも小さいのは手だけ…」
携帯からの方はこちらを… http://www.youtube.com/watch?v=CkNBWeWzha4&feature=player_embedded


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No title

バッハのシャコンヌの左手編曲はブラームスによるものと推察されます。

Re: No title

どちら様でしょうか、コメントありがとうございます。
はい、バッハのシャコンヌはブラームスのピアノ曲集の終わりに収められていますね。

この記事とは別に、シャコンヌについて書いた記事がこちらです。
http://resolutely.blog6.fc2.com/blog-entry-174.html
プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

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