「決める時は決める」…順序がすべて逆(仮題)

7月20日(海の日)

「安全保障法案」の強行採決を受けて安倍政権の支持率が35%へと急落!

自民党の高村正彦副総裁は19日のNHK番組で、安全保障関連法案の衆院平和安全法制特別委員会での強行採決後、毎日新聞の全国世論調査などで内閣支持率が急落したことを受け、「支持率を犠牲にしてでも、国民のために必要なことはやってきたのがわが党の誇るべき歴史だ」と述べ、安保法案の今国会成立を目指す考えを強調しました。

おりしも、安保法案に賛成するある知人は、「前の『特定秘密保護法案』の時も反対はあったが、通って成立してみれば、反対派が言っていたことは筋違いだったことが分かるだろう」と。

はい、ちょうどいいタイミングで「特定秘密保護法」の話題を出してくれました!
安倍政権の物事の決め方、説明の仕方には大いに問題があると思っていたので、まさにあの「特定秘密保護法」の例を挙げて書こうと思っていたところでした。

タイトルにも悩みまだ仮題ですが、「決めるときは決める」…その順序がすべて逆であるということを、一昨年の「特定秘密保護法案」を今一度振り返って検証してみたいと思います。


特定秘密保護法

おととし2013年の9月ごろ、「特定秘密保護法案」という案件が出されたとき、多くの国民はなんのことだかよく判っていなかったと思います。

私の周りでも、「個人情報が守られるのはいいんじゃない?」程度の認識の人もいました。

ところが、女優の藤原紀香さんが個人のブログで「これはとんでもない法案だ」と訴えたあたりから世論も盛り上がりを見せます。

政府がなにを「特定秘密」とするかは一向に明かされないまま、「秘密情報」を国民に知らせないようにする。情報を漏らした者(公務員)には重い刑を課す…メディアの取材の自由、表現の自由を侵害し、言論統制につながるのではないか、集団的自衛権とも併せ考えると、戦前の治安維持法にもつながりかねない危険なものだと。そんな懸念が出るのは当然でしょう。

さらに、この法律ができると、個人もうっかりしたことを言うと逮捕されるんじゃないか、ますます政治批判につながるような社会的な話題を避けるようになる人が増えるんじゃないか、とも。

私はあの時も「ことの本質」を見ようと訴えてきました。個人の言論を取り締まる法律じゃないんだ、と。

→ 特定秘密保護法案「知らない」が74%
→ 特定秘密保護翻案って何?
  (いずれも、おととし2013年9~10月に書いた記事です)


定義=なにをもって特定秘密とするのか?

尖閣の近くで日本の海上保安庁の船に中国の船が体当たりしてくる画像がなんどもニュースで流れましたが、あの動画は海上保安庁内部でしか見られないはずのものだった。それを漏えいさせたことが問題となったわけです。政府として、国民に伏せておくべき情報もある。それを守らなくてはいけない、と。
しかし、あれが「国民が知ってはいけない事実」なんでしょうか?

一方、私の頭にすぐに思い浮かんだ例は、警察の捜査情報でした。
人質をとって立てこもっている犯人を警察が追いかけている場合、犯人もテレビやラジオから情報を得ていることも充分考えられます。
そこで人質の命を第一に考えるなら、警察の手の内を明かすような捜査情報を必ずしも詳らかに公開する必要はないでしょう。
つまりマスコミの「報道の自由」や国民の「知る権利」よりも、特定秘密が優先される場面もあるだろう、と。

だとしたら、他にもどんなもの「特定秘密」とするのかをまず具体的に出し、「報道の自由」や「知る権利」とのパランスも含めて、定める範囲や対象について踏み込んだ議論を交わすことがまず先にあるべきだったはず。


説明責任を果たしていない

仮にも先ほど私が挙げたような例を挙げて、こんな説明はできなかったのでしょうか?

「たとえば警察の捜査情報のように、国民の知る権利よりも優先させなくてはいけない機密事項と言うものはあるだろう。そうした秘密を保護することは、国民の命、それこそ国の存亡にかかわることも、あり得るわけであります。これは決してメディアの取材する権利や表現の自由を侵害するものではない、と考えるわけであります」
…安倍節でも、せめてこれぐらいの説明はできなかったのでしょうか?

その上で、それこそ「特定秘密検討委員会」のような諮問機関を設け、各省庁からどんなものを「特定秘密」とするのかを出してもらい、学識経験者らも交えてそれを協議し、まずは対象となるものを決める、それが先でしょう。

そしてそれらが出そろったところで国会に出して、国民にもちゃんと説明した上で、それらの「特定秘密」を守るために、もし勝手に漏えいした者には罰則を課すことも定めた「特定秘密保護法案」を出してくるのが順序でしょう。

子どもの遊びのルールでも、まずは「こんなことが起きている」あるいは「起こりうる」ことを出して、「じゃ、どういうルールを作る?」というのが順序でしょう。
進路相談や何か大きな買い物をする場合の家族計画でも、まず今の状況はこうで、こんなことを考えたらどうかと思うんだけど、そのためにはこれが必要だ、という提案があるはず。状況は包み隠さずにすべてを出さなけれは話し合いも相談も始まらないでしょう。

何一つ具体的に説明しなければ、国民の知る権利や報道の自由を脅かすとんでもない法案だと反対されても当然ではないでしょうか?


すべて順序が逆

政府は、特定秘密保護法案を採決し、昨年12月に法が施行されてから、各省庁に「どんなことを特定秘密と定めるか」を具体的に挙げさせています。あまりにも順序が逆でしょう!

一昨年、まだ国民が「特定秘密保護法」がどんなものなのかも知らず、個人の言論やメディアの報道の自由を侵害するものではないか、といった懸念から野党からも質問が出ていた段階で、まず政府が「こういうものを特定秘密としようと思っています」と説明すべきなのに、そういう説明は全くありませんでした。

何を「秘密」とするのかも秘密のうちに、ただ法案だけを先に強引に通したのです。そして後になってから「何を秘密にしましょうか」と内々に聞いて、「特定秘密」の中味を決めましょう。…話の進め方がすべて逆です!

説明不足、説明責任を果たしていない、あまりにも説明の仕方が下手、もともと説明しようという意思がない…いずれにしても、民主主義国家の政権としてあまりにも不誠実です!

今の安保法案にも全く同じことが言えますが、並べられた文言だけを見れば、解釈によってはとんでもない拡大解釈にもなりうるという懸念が出てくるのは当然でしょう。
反対意見は筋違いだなどと、上から目線で言わないで、何が本当の狙いで、どんなことを想定しているのか、何をどうしようとしているのかを包み隠さずに議論のテーブルに出すべきです。

本当の狙いを隠し、ごまかし、逃げ…それで「決める時は決める」、あまりにも無責任で傲慢でしょう!

一方、新国立競技場の計画白紙撤回も、問題が顕在化してからだいぶ時間もたっています。安保法案を衆議院で強引に採決した直後に白紙撤回の記者会見。
「国民が主役であり、国民の声に耳を傾けて…」を連発。いかにも神妙な面持ちで、少し微笑みも浮かべながら、いかにも良いこともするでしょ、と言わんばかりに…


安保法案の本質 ~はじめに思惑ありき~

つい先日、衆議院を強引に通過させた安保法案も、「日本人を守るため」「世界の平和に貢献するため」を前面に出されていますが、その方法論や具体的な想定、本当の狙いは何なのかが、国会の場でも私たち国民に対しても「詳らか」に示されているとは到底思えません。まだこの先どういう展開を見せるのかも分かりません。

しかし、もし祖父(岸総理)の代からの夢である「憲法改正」によって、日本が真の独立国家であることを目指すのであれば、いまの安保法案はアメリカへの追従を一層深めるものであり、むしろ逆行しているようにも思うのです。

戦後70年の節目に、アメリカとの関係(日米安保条約や日米地位協定)を見直し、世界情勢も観ながらこれからの日本はどうあるべきなのかを考え、「防衛」のあるべき姿、自衛隊の活動できる範囲を見直し、そのために憲法改正の必要があるのかどうか、そこを国民投票で問う。

それが本来の筋道ではないんでしょうか?

そこを飛び越えて、明らかにアメリカへのご機嫌取りのように、自衛隊を海外に派遣し、他国の軍事行動に「協力」「支援」できる範囲を広げるような法案は、今の憲法下では「違憲」なのです。

そして、武器輸出をはじめ軍事産業への膨大な利益誘導にもつながります。まさに経済最優先の思惑が背後に大きくあることは間違いないでしょう。

それを、国民や国会に対しては「国民の命を安全を守るため」を前面に出し、「国際的平和貢献」と言い、強引にまず形を成立させようとする。

「総理である私にすべての権限がある」といったことをしばしば国会でも言い、国会で審議すらしてないことをアメリカで勝手に「夏までに決めます」などと言う。
それは日本の民主主義への冒涜であり、日本への背任行為ともいえるのではないでしょうか?


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No title

高木さんのお考えは私と全く同じです。一部の権力者の考えで国会で議論もせずに、物事を決めていくやり方は民主主義とは言えません。既成事実を作っておいて国民が諦めるのを待っている、とても姑息な手法です。今回の憲法改正に関しては、そもそも憲法順守しなければならない議員や内閣が、国民の負託もなしに草案を提出すること自体が憲法違反で、審議するに値しないと思っています。アメリカで彼が約束したことは、国会の承認を得たわけではないので、日本側には否は有りません。有るのは安倍さん個人です。
私は今回もアメリカの最高裁判所が日本の最高裁判所に来て、いろいろな案件について意見交換をするような動きが有りますが、司法の判断に外圧が掛かるのは良くないと思っています。この際どちらかの申し出でこの条約は破棄できるのですから、日本は安保条約を破棄すべきではないでしょうか・・?平和憲法を大事にしながら新しい国の在り方を国民みんなで考えていく時だと思っています。

Re: No title

古田二三子さま

コメントありがとうございます。
司法・行政・立法の三権分立そのものが危うくなっているように思います。

しかし、最高裁判事たちも、安保法案は違憲であるとの見解を出してきたようです。
今後を見守っていきましょう。ひきつづきよろしくおねがいいたします。
プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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