自衛隊の海外派遣を「自国の防衛」とごちゃ混ぜにしないで!

5月30日(土)


ここ2~3日の国会(衆議院の特別委員会)での質疑を総合して、私には野党各党から出される質問はどれも国民が感じる不安・危機感・疑問を見事に論理的にぶつけているように見えます。

それに対してまともに答えず、単純に「認識があるかどうか(イエスかノーか)」に対する答えがなく、新3要件に掲げる「想定」から「あり得ない」などと繰り返すのみの政府・自民党。

私の率直な印象として、論争としては野党の方が上位にあるように見えるのですが、いかがでしょうか?



アジア周辺国および日本の領海内(排他的経済水域)において日本の安全・平和が脅かされるような事態については、一定の防衛(自衛)の手段は必要でしょう。
自衛隊法の見直し等、自衛隊の速やかな対応をどこまでできるようにすべきか?

自衛隊に関して違う例ですが、たとえば大震災などの災害時に、国からの命令がなければ自衛隊のヘリが出動できないのではなく、都道府県(自治体)から直接の要請でも自衛隊のヘリが速やかに出動できるように、という見直し・法改正はあっていいのです。

いまは、北朝鮮が発射したミサイルが日本の領空を侵して日本列島を飛び越えて太平洋に落下しても、手出しできません。また、日本の領海内に中国の船がたびたび侵入し、日本の船の航行を妨害したり体当たりしてきても、ただ見ているだけです。
もし万一攻撃を受けた場合、どこまでなら「自衛」のための行動を取ることが認められるのか、その行動の決定は誰がするのか、現場の判断はどこまで認められるのか…etc.

そこはしっかり議論してもいいと思います。ただ、日本の安全と平和を守るためなのであれば、そこに絞って議論すべきです。

一方、「機雷除去」や「日本と密接な関係のある国が攻撃を受け、(なおかつ)日本の存立に関わる事態」「戦闘の行われていない地域」など、いくら文言の説明を繰り返されたところで、判断によっては限りなく適用範囲が広がる自衛隊の海外派遣・武器使用に関することをごちゃ混ぜに議論すべきではありません!

新3要件と言われるものは、一見わが国の防衛を論じているように見えて、じつはとんでもない拡大解釈を含むものです。

言い換えに騙されるな!

(福島みずほさんのFBより、ピースウィング ヤングPWY 資料)


質問に対してまともに答えられないような法案は白紙撤回すべきでしょう。
私はそう思います。


<ポイントのまとめ>

あらためて、集団的自衛権が認められる「新3要件」とは…?

1

①の「他国」とは、安倍総理が重ねて言っている「日本と密接な関係にある国」、つまり同盟国アメリカなどを指します。そうした国が攻撃を受け、(それによって)日本の存立が脅かされるような事態=存立危機事態において、というのが第一項目です。

2

これだけを素直に聴くと、問題なさそうにも思えますね(さすがNHKです)。

日本の基地から飛び立った米軍機が攻撃を受けたりしている状況で、そのまま放置したら日本国内にも攻撃がおよぶような有事を想定すれば、なんらかの「自衛」は必要でしょう。
でも、そんな状況なら、集団的自衛権でなく、いまの普通の自衛権(=個別的自衛権)で充分なはずです(=そもそも根本的な矛盾です。なぜ「集団的自衛権」でなければならないのか?)。

また、「日本の存立危機事態」の中には、ペルシャ湾を航行するタンカーが日本に石油を輸送できなくなるような事態(=経済的な面でも日本の存立を脅かす重大な事態)も含めるようなニュアンスを出してきています。

さまざまな文言を並べて、きわめて限定的にしか用いないとは言いつつも、時の政権の解釈によっては無制限に広がる可能性のあるきわめて抽象的なものです。

この抽象的な表現をめぐって、野党からさまざまな質問が出されている訳ですが…

3

4

自衛隊を海外に派遣することは「原則あり得ない」と安倍総理は繰り返します。戦争をするための法案ではない、と。

でも、もともと武力行使もあり得ることを前提に自衛隊を海外に派遣するのが集団的自衛権ではないのでしょうか…?


矛盾点の数々(ほんの一部ですが)

●他国の領土・領空・領海もしくは公海上での武力行使もあり得る

例の子ども騙しの紙芝居で、「紛争地域から、日本人を乗せたアメリカの艦船が攻撃を受けた場合」(←実際にはまずあり得ないような場面)を想定しても、必ずしも日本の領海内とは限りませんよね。日本の領海以外(=他国の領海内、または公海上)で自衛隊が武力行使することも当然あり得ると考えているはずです。

さらに自衛隊の活動範囲を、これまでの「非戦闘地域」から「現時点で戦闘の行われていない場所」に変えました。言葉だけを見るとまったく同じことを分かりやすく言い換えただけのように思えますが、これが大きな落とし穴。意味は大きく異なるのです。

これまで「非戦闘地域」(=停戦協定のある、戦争の当事者ではない国や地域)に限られていたのが、「現時点では戦闘の行われていない場所」(=戦争の当事国であっても、今現在は攻撃を受けたり戦闘状態にない場所、つまり、いつ攻撃を受けたり戦闘状態になるか分からない、非常に危険な場所)にまで活動範囲を拡大し、「後方支援」(=武器・弾薬の補給など)を行う、としているのです。

なのに、「自衛隊を武力行使の目的で海外に派遣することはあり得ない」と答弁するのです。
「はじめから戦闘を目的に行かせるわけではない」と言いたいんでしょうかね…?屁理屈です!

はじめから空爆や地上戦に参加する目的でなくても、たとえ武力行使そのものが「目的」でなくても、危険な場所で後方支援につくのであれば攻撃対象になりますから、自国および日本と密接な関係にある国を守るために武力を行使する可能性も当然高まるわけでしょう?
今現在は戦闘が行われていない場所でも、そこが安全だと誰がどう見極めるんでしょうか?

もし万一、攻撃を受けたり戦闘状態になったら「すみやかに活動を中断して撤退」と繰り返し言っています。
実際の戦闘場面を私は知りませんが、過去の記録や戦争映画を見る限り、砲弾が落ちてくるような状態で「分かりました、活動やめます、逃げます」なんてことが可能なんでしょうか…?


●自衛隊のリスクは 間違いなくこれまで以上に高まる!

「自衛隊のリスクがこれまで以上に高まるのではないのか?」と問い正されると、「これまでも自衛隊にリスクがなかったわけではない」などと、答えにならない答弁をする。
これまで以上にリスクが格段に高くなるのは自明の理です!

それとも、丸腰で行くのに比べて武器を使って応戦できるから、危険が増すわけではない、とでも言いたいのでしょうか? 
(実際の戦場を何も分かっていない者の言うことです。おそらく先の大戦でも、現場には出ない上層部はこういうことを言って兵隊たちを行かせたんでしょうね。)


●「武器の使用」は「武力の行使」ではない…???
 
「(自衛のためなら)武器を使用することもあり得る」と言っておきながら、「『武器の使用』は『武力行使』には当たらない」と言うのです。分かりますか…?

「武力行使」に当たらない「武器の使用」って、いったいどういう使い方なんでしょう…??
(例.西部劇で、コルト拳銃のグリップでコーヒーの豆を叩いて砕いて、野宿でコーヒーを飲むシーンがありましたが…笑)

言葉の解釈をこねくりまわして、質問を交わし、核心部分にはまともに答えない。こういう審議の様子をよ~く見て、心ある国民ならばもうお分かりでしょう。



まだまだほんの一例ですが、いかがでしょう?
こうした質疑を重ねれば重ねるほどボロが出る、本当は何を狙いとしているのか、化けの皮がはがれてくる…そんな気がしてなりません。

ときに質問への答えにならない答弁にいらいらし、テレビを蹴飛ばしたくなったり、総理みずからが質問者に向かってヤジを飛ばすなど見ていて情けなくなったり、あまりにも馬鹿馬鹿しくて笑ってしまったり…etc.
かなり苦痛を伴いますが、考えようによっては、今こそどんどんボロを出して頂くいい機会かもしれません。
これまで「まあ、防衛は必要だし、国際貢献は大切だし、うん、いいんじゃない」…程度の意識しかなかった人にも、安倍政権の根強い信者の方たちにも、この法案の矛盾や危険性に気付いていただくきっかけになるならば…


<現時点での私なりの結論>

前段で書いたような、日本近海(アジア)において、日本が不当な侵略・攻撃を受けた場合を想定して、自衛隊の速やかな対応を可能にするための法案整備(自衛隊法の見直し・改正など)はすべき。なのにそこの議論は具体的には全くなされていないのです!

国民には近隣諸国への危機感を煽っておいて、「抑止力」「国際的な平和への貢献」というもっともらしい言葉をかかげ、自衛隊の海外での活動範囲を無制限に広げるような法案をごちゃ混ぜに議論し(「議論」になっていない「形」だけ)、どさくさに紛れて通すことは許されません!


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プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

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