「労働法改正案」 ~与野党のすれ違い~

5月24日(日)

けさの政治討論番組では、「労働法」に関連して与野党が協議。
私は途中から観たのですが、いわゆる「残業代ゼロ法案」と言われるものに関して。

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はじめに、背景となる現状と法案の趣旨について。

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日本の労働時間はアメリカに次いで長く1735時間。イギリス・フランス・ドイツは短い(黄緑色の棒グラフ)。
しかし一方、労働時間に対して得られた成果(単位:ドル)はどうでしょうか?
紫色で表示されている棒グラフを見ると、日本はアメリカはおろかフランス・イギリス・ドイツよりも低く最低!

OECDの2013年の統計とありますが、これを見る限り何を意味するでしょうか?

「仕事の効率という点で、ただ長時間労働すればいいわけではないでしょう?
なんとなく帰りづらい、残業代もつくし…というだらだら残業もかなりあるんじゃないですか?
これを是正するために、この法律を作るのですよ」…という説明がこちら。

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書かれている通りなので説明は省略します。


◆「ごもっとも」「ぜひ必要な法案」? しかし懸念される現実

ここまでを見る限り、自民党のいう改正案は、とても理にかなった「ごもっとも」なもので、「今すぐにでもやるべきだ」という思いに導かれるかもしれません。

しかし、すでに言われているように、「残業をなくしなさい」ではなく「残業代をなくしましょう」です。サービス残業が無制限に広がって、いわゆるブラック企業が増える危険性があるのでは、という意見は、この法案が出された当初から野党から出されてきました。

働いた時間数ではなく、その成果に応じて評価され賃金を払う。はい、たしかにそれができればいいですね。単純な作業を、短時間でさっさと終わらせて帰っても、長時間かけてだらだらやっても同じ賃金、というならいいでしょう。でも仕事はそんな単純作業ばかりではありません。誰が「評価」するんでしょうか?

法というのは、当初狙いを定めた通りではなく、その解釈・運用によっていかようにも悪い方向へと導く危険があるもの。
「条件を定めている」とはいえ、「労働時間の上限を設ける」とされているだけで、具体的に年間何時間までというガイドラインは出されていません。

赤字で書かれているように、年収1075万以上を「想定」となっていますが、高度プロフェッショナルに限らず、企画などの職種における裁量労働制が一部の営業職にも適用拡大されることが示されており、実際に立法化されて運用される段階で、基準がどんどん引き下げられる可能性は充分に考えられます。

また、いくら国が想定して「基準」を設けても、各企業が働く個人の権利をちゃんと守り、正しく評価できるかどうかの保証はどこにもありません。



弁護士でもあり法律の専門家である社民党の福島みずほ副党首はこう切り込まれました。

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「たとえば、1日16時間労働で365日働かせても、この法律ができてしまうと『違法』ではなくなってしまう。違法でないものは労働基準監督署も弁護士もどうにも手出しできない」と。

まさにその通り!

趣旨説明だけを聴くと「ごもっとも」で、そういう法案も必要だ、と思われてくる。
しかし、実際にそれが運用される場面を考えると、企業側(=強い立場)には非常に都合がよく、働く個人(=弱い立場)にはとても不利で危険なことが起きてくるのです。


派遣法の改正について

けさの討論番組では、残業代ゼロ法案のほかに、派遣法の改正についても討論がなされました。
これまで3年に上限が定められていた派遣労働者を、人を変えることでずっと継続して派遣のまま働けるようにするというもの。

この法案、昨年4月に国会に提出されたものの文言に不備が見つかって撤回。その後ふたたび提出され、昨年12月の解散総選挙前の駆け込みの採決で否決され、今回が3度目の提出です。

ここでも、派遣労働者を増加させて正式雇用の道を狭める改悪案だとする野党の意見と、むしろ正式雇用の促進につながるとする自民党とが真っ向から対立しています。

これについては、昨年の春に詳しく書いた記事がありますので詳細はそちらで。
→ 「またしても弱者いじめ? 派遣法改革(悪)案!」


◆自民党案にご注意!

きょうの討論番組のテーマとは別ですが、いままさに日本が戦後最大の転換点を迎えているともいえる安保法制(戦争ができる国づくり)。
本日の朝日新聞の中に、与野党の意見の大きなズレが明らかにされています。

戦争法案与野党20150524_ ★クリックすると大きな画面になります

これについて書き始めると長くなるので省略しますが、つい数日前に国会で行われていた党首討論と同じく、野党が心配する問題点について、自民党側からの説明はまったくかみ合っていないことが分かります。

自民党が出してくる法案は、表面的な趣旨説明だけを聴いていると「ごもっとも」で「すぐにでも必要」であるかのように聞こえる人には聞こえるかもしれません。

ただ、それが意味すること、現実起こり得る危険はどうなのか?
賢明な有権者はこのあたりに注意する必要があると思います。



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プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

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