汚しメイク

5月21日(木)


「汚しメイク」…ふだん耳慣れない言葉だろうと思います。
女性はたいてい、より美しく見せるためにメイクをするはずですね。

テレビ美術の世界では、セットや描き割りなどをよりリアルに見せるために、わざと汚くします。
実際には立体で出っ張っているはずのものを、平面に描いて影を付けたりすることを「ウェザリング」と言ったりしますが、「汚し」もそれに類するテクニックと言っていいでしょう。

さて、ここからは模型の話。

模型も、実物を縮小コピーできれば簡単なのですが(笑)、ある部分は忠実に、ある部分は適度に省略し、またある部分はちょっと強調してスケールよりわずかに大きめに…
そのスケールに応じてどうやったらよりリアルに、しかもゴッテリせずにすっきり美しく仕上がるか…?

これは模型をやる上での永遠の課題と言ってもいいかもしれません。



空想科学映画に出てくるような乗り物や映画のセットは、すべての模型が必ずしも同じスケールに統一されているわけではなく、部分だけを大きく(場合によっては原寸大で)作ったり、全体も小さいもの・大きいものを使い分けたりします。

スケールの小さいもの(=模型としての大きさは大きい)ほど、近くで見てもよりリアルに重厚感が出ます。

でも、鉄道模型の場合はレールの幅が決まってますから、同じゲージであればすべて同じスケールに統一されます。
そんな中で、すべてを立体で忠実に再現するばかりでなく、塗装したあとの「汚し」の具合が案外重要だったりするのです。

たとえば、私の模型ギャラリーの過去の記事から…

●貨物駅・貨車の汚れ

貨車汚しa 貨車汚しb
★クリックすると大きな画像でご覧になれます(過去のフィルムカメラによる)

●小型の事業用ディーゼル機関車では…
ミニDL


綺麗すぎる模型ではリアルさが出ません。より本物らしく見せるために「汚し」があった方がよりリアルになります。
でも本物と全く同じようについつい汚し過ぎると、単なる汚いモデルになってしまいます。微妙で難しいところです。


◆汚れの理論

本物の「汚れ」は粒子の付着によるものです。
鉄道の「汚れ」は、大きく分けて…

1.すす(艶消し黒)
2.砂ぼこり(黄土色)
3.鉄さび(赤茶)
4.油汚れ(照りのある黒)


こんなところでしょうか。
でも、それぞれの部分が分離独立して汚れていくわけではなく、微妙に混じり合ったそれぞれ独特の色合いを見せています。さて、それを模型でどう表現したら良いか…?

塗装の段階ではじめから汚く塗ると、単に「汚いモデル」「塗装に失敗したモデル」になってしまいます。
まずはラッカー系の塗料で、なるべく綺麗に吹付け塗装し、あとで「汚し」をかけます。

ラッカー系とは違う塗料(たとえば水性塗料やアクリル塗料など)を後から筆塗りし、半乾きの状態でふき取る…といった方法もあります。

あるいは、下地に黒やごげ茶をしっかり塗装しておき、その上から明るい色の塗装を、うすくふわっと吹き付ける。すると、細かくへこんだ部分には十分な塗料が付かず、下地の黒・こげ茶がうっすらと見えた状態になります。

あとは、部分的にマスキング(必要な箇所だけにスプレー塗装できるようにテープで覆うこと)をして、部分ごとに、茶色や黒などを個別に遠くからかすかに吹き付ける、という方法もあります。

でもいずれの方法でも、古い車両で塗装の下から鉄さびが浮き出したり経年のホコリが溜まったようないい感じの汚れはなかなか表現が難しいものです。
筆塗りではどうしてもムラがでますし、スプレーを遠くから吹くと、こまかい微粒子がつぶつぶに付着する形になってしまいます。いずれにしても「塗装」としての「汚し」の表現には限界を感じてきました。



長年お世話になっている模型屋さんとの雑談をヒントに、私がたどり着いた方法。
それはパステルです。

パステルは、クレヨンやクレパスほど脂分が少なく、細かい粒子を固めたもの。水にも溶けやすい性質を持っています。
紙やすり上でこすり、さまざまな色を筆で混ぜ合わせて「調合」し、それを車体の部分ごとに添付するのです。
今のところこの方法がもっとも手軽で、リアルに仕上がると思います。

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黒く塗装された台車まわりに、鉄さび色が刷り込まれていく感じで汚れていく…

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ディーゼルカーの床下。汚し前(左)と汚しメイク後(右)

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排気穴付近のすすの汚れ

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この方法だと、汚し過ぎて失敗することがありません。汚し過ぎたなと思ったら、ちょっと濡らした綿棒で拭って「掃除」してやれば適当に「汚れ」が落ち、細部には汚れが残るので、リアルにいい感じになります。

鉄道に限らず、ミニチュアの家など模型好きな方、ぜひトライしてみてください。

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プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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