スティームトラム

5月21日(木)

「箱入り蒸気機関車」が完成しました。
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以前、「機関車トーマスと仲間たち」に登場する「トビー」のような小さな箱入り機関車を作った記事を掲載しました。(→ トビー

箱入りの機関車、スティームトラムといいます。線路の上を走る客車を馬に牽かせた「鉄道馬車」から一歩進化し、小さな客車のような箱の中に蒸気機関車を納めたものです。

「トビー」はイギリス生まれ。完全に木造の箱の中に納まっているので、外観からは蒸気機関車という感じがしませんが、もう少し中のボイラーが見える「箱入り機関車」の仲間たちが世界には色々います。


*キームゼー保存鉄道(ドイツ)
キームゼーバーン(ドイツ)a キームゼーバーン(ドイツ)b
ミュンヘンとザルツブルク(オーストリア)のほぼ中間にある保存鉄道です。
(「はなぶさ」に集まる仲間たち ブログより借用)

★以下、画像はすべてクリックすると大きな画面になります。


*Brnoブルノ(チェコ)
Brno(チェコ)
(フリーのエンサイクロペディア資料より)

*ブロネイ・シャンビイ博物館(スイス)
スイス、ブロネイ・シャンビィ博物館鉄道(1900年製)

*ベルリン市電
ベルリン市電

*インドネシア
インドネシアb(1897年製) インドネシアa 

<おことわり>
キームゼー鉄道とブルノ以外の画像は、出典元とコンタクトできていませんが、営利を目的とせずオリジナルの記事の趣旨を傷つけるものはありませんので、引用させていただきます。もし問題があれば、コメント欄にメッセージにてご連絡いただければ幸いです。


製作こつこつ日記

以下、モデラーにもお伝えできるよう詳細を綴りますので、一般の方は適当に飛ばし読みしてください。画像はすべてクリックすると大きな画面でご覧になれます。

天賞堂のパワートラック(軸間24.5ミリ)に、アルモデルから出ているロッドを取り付けてみました。

1a.jpg ★クリックすると大きな画面になります。以下同じ

小型のディーゼル機関車向けだと思いますが、これを流用して「なんちゃって蒸気」とします。
もともと2つの動輪は中のギアで連動していますから、位相をしっかり合わせます。左側・右側で位相は90度ずれた形にします。
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床面を30×60ミリ(大道具の業界でいう「さぶろく」)に設定。これをベースにデザインを考えてみました。

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<下回り>

まずは下回り。ロッドの動きが見える程度に覆いをかぶせます。

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後方の運転スペースに出入り扉を設けるので、そこには1×3ミリの楕円の穴をあけ、乗降ステップとします。あと、上回りとの組立用のネジを通す穴を上面の四隅に開けておきます。

素材は0.4ミリ厚の真鍮板を基本とし、既存パーツは煙突・ドーム(蒸気溜め)・水タンクの蓋・連結用フック・バッファーぐらい。あとは手作りでなるべく低コストでの製作をめざします。

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<ボイラー>

モーターの飛び出すスペースを避けて、前3分の2ぐらいにボイラーを設けます。
中ほどに2か所、エッヂング製のリベット帯を巻きつけておくことでボイラーらしく見せかけます。

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両サイドの外板の高さは12ミリに設定。それより1~2ミリ低く水タンクが収まるよう、ボイラーの下から9ミリの位置に水タンク上面が水平に取り付けられるよう、あらかじめ1ミリ角の真鍮をハンダづけして位置決めしておきます。ボイラーのカーブはこの高さ9ミリから始まり、直径は14ミリ、単三乾電池ぐらいの太さです。

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前に作った小型の古典蒸気機関車用のパーツから焚口(バックプレート)を型取っておいたので、そこにボイラーを合わせた状態でウレタン樹脂を流し込みます。
前面の煙室扉(=蒸気機関車の「顔」)も、ボイラー径14ミリの機関車(外国型)から型取ったものを流用。安易な方法ですみません!


組 立 ~蒸気の箱入り~

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側面後方(運転スペース)に出入り扉。罫書き針でしっかり筋目をつけ、手すりと取手をあらかじめ真鍮線(0.4ミリ)でハンダづけしておきます。
前面はボイラー径14ミリより少し大きめに丸く切り出しておいて、ボイラーを接合した後にやすります。

運転スペースの床には真鍮の網目板をカットして使用します。

「箱」に組む前に、下回りと接合するネジ穴の位置(前後2か所、四隅)に、ネジ穴を切るためのL字のアングル(5×5ミリ真鍮)をしっかりハンダ付けしておきます。

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〇印の位置=下回りの上面四隅です。上回りを組んだあと、下回りとぴったり合わせてネジ穴を切ります。
組み立てた後で、ネジ穴を切るためのL金具を下面ぴったりにつけるのは苦労しますし、あらかじめコーナーをL金具で決めておくことで「箱」を垂直に組むガイドにもなります。

ボイラーを中心に、前後左右を囲んで「箱」にします。
単純な構造だけに、水平・垂直方向の直角に気を付け、隙間があいたり歪みが出ないように気を付けます。

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ボイラーと側面の隙間(約7ミリ)は水タンクです。天板と運転スペース前にかけてL字型に整形した7ミリ幅の真鍮をハンダ付します。後ほど上面に給水用の蓋(古典蒸気用)をつけます。

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ボイラーの末端(運転スペース)付近に、ジャンクパーツを適当に組み合わせて蒸気分配器らしきものをつけ、そこから主蒸気管を煙室まで引っ張ります。0.7真鍮線の途中に帯を巻き、つなぎ手に見せかけます。

煙突とドーム(蒸気溜め)は珊瑚模型のパーツを使用。いずれもネジ式なので、位置だけをしっかり決めておき、塗装・屋根の取り付けなど作業の前後関係を考えて後ほど取り付けます。


<運転スペースまわり>

下回りとの接合用のL金具が5ミリ。それをガイドに石炭庫の前板を取り付けます。前板には石炭を取り出す扉と取手も簡単に表現しておきます(写真を撮り忘れたので、塗装後の姿を後ほど)。

焚口のあるバックプレートのセンターにスロットル、蒸気分配弁と圧力メーターらしき丸いもの、両サイドにブレーキハンドルと逆転棒… 真鍮の切れ端やジャンクパーツからの手作りで「らしく」見せかけます。

以下、各部の名称を入れておきましたので、クリックして大きな画像でご覧ください。

7c2各部の名称

逆転棒の取り付け座は、多目的なハンドル(エッヂングパーツ)を流用。真鍮の波板(電気機関車の冷却板などに使用)を1ミリ幅に切ったものをカーブに沿って貼付けて「らしく」しました。


<屋根の支え>

屋根の支えは、両サイドに1ミリの真鍮角を立てるだけでも良いのですが、キームゼー鉄道のようなちょっとレトロでお洒落なカーブのついたデザインに魅かれ、0.4ミリ厚の真鍮版から切り出してみました。後方には妻板がありますから、前と中央の2か所に支えを設けます。

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サイドは幅2ミリ、前面両サイドと上の梁部分は1ミリ強の幅に仕上げますが、少し幅広く切り出しておき、補強のための1ミリ角を裏にハンダづけしてから所定の寸法にやすり仕上げます。

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両サイドの水タンク上面(側板より1ミリ下がっている)をガイドに、1ミリ角材の下端、両サイド・前面にツラが合うように、垂直に気を付けてハンダづけします。後方の妻板、前面の上下両端にすきまができないように、最初は少量のハンダで位置を決めてから、接合部分全体に半田づけして決めていきます。

がっちりと組みあがりひと安心!
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内側の「機関車」と、外側の「箱」の塗り分けをしなくてはならないので、屋根は塗装後に取付けることにします。


<屋根>

0.4ミリ厚の真鍮板を所定の寸法にカットしてカーブをつけます。
煙突上部のラッパ型の部分が屋根の上に飛び出します。塗装後に煙突(ネジ式)を差し込んで取り付けるので、煙突の位置に7ミリ径の穴をあけておきます。

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本体との位置決めに真鍮角をハンダづけし、その内側に「木張り」を表現します。
古典蒸気の運転室も開口部が大きくて中が良く見えるので屋根の「木張り」は効果的です。このような木の表現に私がよく使うのは、名刺用に本物の木(おそらく杉?)を薄くスライスしてプレス加工したシート。これに黒ボールペンで筋目をつけ、オイルステインを塗ってやると、本物の木の質感のものが簡単につくれます。

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屋根の長さは60ミリ、本物のスケールに置きかえると4m80cm。それなりの長さなので、途中に2か所ほどリベット帯をつけておきます。


塗 装

下回りは黒が無難かと思いましたが、上の写真のとおり、娘の意見を尊重してにしました。

連結フックとバッファーは黒染液で仕上げた地肌をそのまま見せたいので、その部分をマスキングして前面・側面に赤(ダルレッド)を吹き付けます。
上面と裏(内側)は黒です。エッジ部分は塗料がはがれやすいので、前もって黒染液で黒く染めからプライマーを塗って黒く塗装します。

上回りは、はじめに中の「機関車」部分に黒(艶消し)を吹き付けます。
真鍮色の蒸気安全弁はすでにハンダ付けされているのでマスキングして塗装、ドーム(蒸気溜め)と鐘は後で取り付けます。

外側はブリティッシュグリーン。開口部が大きいため、細部に丁寧なマスキングが必要です。内側の黒塗装がマスキングテープによって剥がれないよう、完全に乾くまで3日ほど置いてから外側の塗装にかかりました。

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柱部分の内側にグリーンの塗料がはみ出すととても見苦しくなるので、マスキングテープを細く切ったものを柱の内側に丁寧に貼り付けてから全体をマスキングし、ブリティッシュグリーンを吹き付けます。

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運転室後方の妻板内側は、塩ビの透明板(ワイシャツの襟についている廃品)に窓と同じ寸法にマスキングをして、明るいグリーンに塗ったものをぺたんと貼ります。


ディティールへのこだわり

これだけ開口部が大きいと、中が「丸見え」になります。「作らなきゃいけない」と思うか、「作り込める」と思うか…「いつまでにやらなきゃ」と思わずに、「今日はこれだけ」とじっくり楽しみます。

<鐘>

小さいながら、今回のこだわりパーツのひとつです。以前、いきつけの「いさみや」模型店で入手した小さな鐘がストックの中にあったので、ここで活かそうと思い立ちました。

12鐘c
ただ、問題は取付け構造。単純に∩の字に曲げた帯板の上センターに穴をあけて差し込んで固定しても良いのですが、どうやって鐘を揺らして鳴らすのか…?
気になりはじめると気になるものです。あらためて本物の構造を見てみると…

米・マウントレイニア保存鉄道(2005年に現地で撮影。まさかここで役立つとは!)
鐘1 鐘2

下半分は馬蹄形をした「受け」で、上は蝶番で動くように、大きな∪と小さい∩が上下組み合わされています。蝶番の延長にテコがつけられ、そこを紐で引っ張って鐘を前後に揺らして鳴らす構造。

資料を見ても他の機関車の鐘もだいたい似た構造のようです。テコは上向きでも下向きでもよさそうです。
義経号の鐘 「義経号」の鐘

では、さっそく…

12鐘a 12鐘b

下半分の馬蹄形の部分を少し厚手の真鍮帯でつくり、1ミリ幅の真鍮線を∩にしたものをかぶせ、ハンダで接合。接合部分に0.7ミリの穴をあけ、真鍮線を通してテコとともにハンダづけ。可動ではありませんが、見た目はいかにも揺れそうな姿になりました。

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フレームだけをボイラー上にハンダづけ。
真鍮の鐘は磨いて酸化防止にプライマーを塗ったものを塗装後に瞬間接着剤で取り付けます。

11d.jpg 12鐘c

運転スペースにフック状のもの(0.5真鍮線)を取り付け、木肌色の細い絹糸を結び、ネックレス用の小さなリングをぶら下げます。
リングは非常に軽いので(ほとんど無重量)、糸の癖で不自然に跳ね上がらないよう、木工用ボンド(水性)を薄めたもので糸を濡らし、下から少し引っ張るようにして乾燥させました。ほつれ防止にもいいようです。小さいながら今回のこだわり表現!

<カンテラ型ライト>

発電機を持たない機関車なので、ヘッドライトは古典機のカンテラ型。既成のパーツ(1個300円)を使ってもよいのですが、ここまで来たら自作で!

2ミリの真鍮角の1面を少し薄く削ってから3ミリの長さに切断。
上に1ミリ真鍮線をハンダ付してカット、火入れの突起蓋を表現します。持ち手は0.3ミリの細い真鍮線を∩型に曲げたものをハンダ付け。

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前面をドリル(2ミリ)で少しえぐっておき、全体を黒く塗装した後、えぐった部分の塗料をはがしてプラモデル用の透明レンズ(2ミリ径)を瞬間接着剤で貼りこみます。

13c_20150518131850e40.jpg 14a.JPGカンテラアップ

できたカンテラを車体に瞬間接着剤で貼りますが、実際には車体にぶら下げるか、突起した棒に上から差し込むスタイル。差し込み式の場合、下面にストッパーがわずかに突起して見えているはずです。
カンテラの下に1ミリ帯をわずかに前に飛び出すようにハンダ付しておき、そこだけ車体と同じグリーンに塗っておきます。細かいですが、こういうちょっとしたところでリアル感が出るものです。


<石炭庫>

普通の蒸気では、運転室の後ろに石炭庫が飛び出していますが、このように内側にあると雨にも濡れなくていいですね。

サイズに切った厚紙に砂粒を盛り、軽く霧吹きで濡らした状態で、木工用ボンド(水性)を水で薄めたものをスポイトでたらして固着させます。
線路の砂利を敷くのと同じ定番の手法ですが、ここではワンポイント、真鍮片と線でスコップを作ってのせました。

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<汚しメイク>

ボイラー、水タンク、石炭取り出し口、焚口など、場所に応じて煤(すす)の汚れ、鉄が熱せられて錆が浮き出した感じ… それぞれの場所に応じた「汚れ」で「化粧」します。
この「汚しメイク」については、別途記事を書きます。→ 「汚しメイク」


箱入り蒸気 誕生!(完)

こういうモデルはキットにも完成品にもありません。思いつきから形にするまでに少々時間と手間がかかりましたが、私としてはまあまあ満足のいく出来ではないかと自画自賛!

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これに合うサイズの2軸客車を2~3両牽かせてみたくなります。
さらに、こういうのに実際に乗りに、ヨーロッパを旅してみたくなります。

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プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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