楽器の分類はどこまで可能…?

4月27日(月)


いまから2年半ほど前、つまり私が勤め帰りに学校通いを始めるよりも前に、楽器の分類についてあれこれ考えて書いた記事があります。

きょうたまたまFBつながりのあるハープ奏者の方が「箏」「琴」の違いについて書かれていたので、久々に過去の記事を引っ張り出してみました。

→ 
「箏と琴」弦楽器の大分類

この時も色々と調べてみたのですが、コマの有無によって分類する考え方など諸説あるようで、これが必ずしも正しい見解かどうかは半信半疑だったのですが…

日本のお箏やハープなど、比較的大型で弦の本数が多く、それぞれの弦の音程を決めたらそのままの状態(=解放弦)で奏でるのが「箏」の仲間。

それに対して、竿のように伸びた指板(しばん)と呼ばれる部分(楽器によってはフレットが付いている)があって、張られた弦の途中を指で押さえることで、弦が振動する長さを変え、1本の弦でいくつもの音を奏でることができる楽器(ヴァイオリン、マンドリン、ギターなど)が「琴」の仲間。

知り合いのハープ奏者がきょう聞かれたお話とも大きな食い違いはなかったようです。

ただし「箏」をやや狭くとらえると、日本のお箏やツィターのように、共鳴板がついていて水平に置いて演奏するものを指し、西洋のハープや古楽器のアルパなどは「箏」でも「琴」でもない分類不能な楽器ということになるらしいです。


考えれば考えるほど複雑な楽器分類

洋の東西には民族の数だけさまざまな楽器がありますが、おおよそ管楽器、弦楽器、打楽器に分類されることは皆さんもよくご存知でしょう。

でも、このあまりにも有名な分類ですっきりいくかと思いきや…

「ピアノは弦楽器ですか、それとも打楽器ですか?」という疑問がわきます。音を発生させているのはスチールで張られた弦ですから弦楽器とも言えそうです。でも、ハンマーでたたいて音を出しているので、発音のメカニズムとしては打楽器とも言えます。困りましたね。

結論として、ピアノは鍵盤楽器という分類になります。

そして鍵盤楽器の中には、ピアノのほかにもオルガン、チェレスタなどがありますね。いずれも奏者が両手の指を使って並んだ板状のものを押すことで、音を出す装置(=鍵盤)を備えている点が共通しています。
しかし、楽器として音を発生させているもの(素材・しくみ)はそれぞれ異なります。


◆「鍵盤楽器」も発音原理はさまざま

オルガンでも、教会にあるような巨大なパイプオルガンは、その名のとおりパイプに空気を送り込んで音を出すので、いわば巨大な管楽器です。

また同じオルガンでもリードオルガンと呼ばれるものは、ハーモニカと同じような金属の弁に空気を通して振動させて音を出します。管楽器の中でも、オーボエなどのようにリードの振動で音を出すリード楽器(←管楽器の一部)と同じ原理ですね。

そして、ピアノは弦をハンマーで叩きます。でもピアノの前に誕生したハープシコードは、ハンマーで弦を叩くのではなく、爪で弦をひっかけて弾いて音を出します。

あとチェレスタという楽器(チャイコフスキーの『くるみ割り人形』組曲の「こんぺいとうの踊り」や、ホルストの『惑星』組曲の「水星~翼のある使者」などで用いられる)は、外見はオルガンのような形をしていますが、中には鉄琴のように長さの違う金属板が並んでいて、それをハンマーで打って音を出しますから、発音原理としては打楽器に近いですね。

このように「鍵盤楽器」という分類は、発音体の素材や発音原理とは違った別の切り口による分類ということです。
発音の原理はさまざまでも、両手の指や足を使って押すことで、音を発生させるメカニズムに伝達する装置(=鍵盤)を備えている楽器をひとくくりに「鍵盤楽器」と呼んでいることになります。

→ 鍵盤楽器」とは?


木琴や鉄琴は鍵盤楽器ではなく「打楽器」

一方、木琴や鉄琴の仲間のことを「鍵盤系の打楽器」などと呼ぶこともありますが、厳密には「鍵盤楽器」ではありません。紛らわしくてすみません。

「鍵盤」とは、ピアノやオルガンのように、音を発生させるメカニズムに連動している装置のことで、鍵盤そのものから音が出ている訳ではありません。

木琴や鉄琴の場合、長さによって音程の異なる木または金属の板がピアノの鍵盤と同じ配置に並んではいますが、あの1本1本は「鍵盤」とは呼ばず「音板(おんばん)」と呼びます。

木琴や鉄琴は、「音板」(発音体)を人が直接たたいて音を出しますから「打楽器」なのです。
音の高低差のある太鼓や木魚を、低音から高音まで何十台もずら~っとピアノの鍵盤と同じ配置で並べても「鍵盤楽器」とは呼べないのと同じですね。



◆管・弦に対して 「打」楽器とは?

さて、あまりにも有名な管楽器・弦楽器・打楽器という大きな3分類ですが、管状のものに空気を送り込んで音を出す管楽器と、張られた弦を振動させる弦楽器、この2つについてはまず異論ないでしょう。

でも打楽器はどうでしょう? 
張られた皮を叩いても、金属を叩いても、木をたたいても、すべて打楽器。音を発生させる素材に関係なく「打って音を出す楽器」、つまり打楽器だけは奏法による分類なのです。

冗談のような極端な話ですが、もし現代曲の作曲家が「古くなったトランペットをバチで叩いて音を出せ」などと楽譜に指示を書いたら、そこで使われる(元)トランペットは、お気の毒に打楽器として使われていることになります。

よく知られたオーケストラの曲の中でも、馬の蹄鉄やムチ、鉄道のレール、サンドペーパー、タイプライター、さらに雷や風の音といったさまざまなものが「打楽器」として用いられます。
→ 特殊な打楽器



ところで、打楽器の仲間にはいったいどれほどの種類があるでしょうか…?

打楽器奏者でも正確な数字で答えられる人はなかなかいらっしゃらないと思いますが、世界にはおよそ2000種類もの打楽器があると言われています。

バロック時代以降「クラシック」と言われる音楽がわずか300年~500年の間に生み出された訳ですが、人類にとって音楽の歴史はもっともっと古く、もしかすると石器時代から、人類は石や木をたたいたり、乾燥した実を振って音を出したりしていたのではないでしょうか?
そんなきわめて原始的な素朴な音を出すものすべてが打楽器と呼ばれていることになります。

単純に「打って音を出す」と言いましたが、叩くばかりではありません。指ではじいたり、振って音を出したり、回したり、こすったり…etc.いろんな奏法で音を出すものがすべて打楽器です。

管でもない、弦でもない、その他すべての楽器をひとくくりに「打楽器」と言われているんじゃないかと思うこともしばしばです。
パーカッションは略して「パーカス」。決してパーとカスの寄せ集めではないんですが、「打楽器」というよりむしろ「駄楽器」と書いた方がいいのかもしれませんね(笑)。



さらに細かい分類も…

管楽器でも、金管楽器・木管楽器という分類があります。現代のフルートは銀や金などの金属ですが、昔のフルートは木製だったことから木管楽器。

金管・木管という分け方は管の素材による分類ですが、オーボエ、クラリネット、ファゴットなどは、リードと呼ばれる竹の弁を口で振動させて発音するので、リード楽器という呼び方もあります。

弦楽器の中でも、弦をはじいて音を出す、弓でこすって音を出す、叩いて音を出す…といった奏法があり、それぞれ色々な呼び方があります。



さて、ここから先はあまり本気で信じないでいただきたいのですが…

もし発音原理で管楽器をさらに分けるなら、オーボエなどのリード楽器に対して、金管はマウスピースにあてた唇を振動させて音を出しますから「口唇楽器(ブルブル系)」とでも呼びましょうか?
フルートみたいな笛はどうかというと、マウスピースもリードもなく、息を管の内と外に吹分けて音を出すわけですから「空流楽器(ヒューヒュー系)」とでも呼びましょうか?

もしこの発想で打楽器を分けようと思ったら、素材、形状、叩き方によってそれこそ色んな呼び方ができそうですね。

一般の太鼓の仲間は「皮系」、その中でも手で直接たたく「手打ち系」、バチで叩く「バチあたり系」。マラカスなどは「フリフリ系」、「シャカシャカ系」、
楽器の形状として、クラベス(拍子木)などは「棒楽器」、シンバルやドラなどは「円盤楽器」
ムチや鉄砲などは「炸裂楽器」、さらに突然巨大な音を発生させて影響力の甚大な「勃発楽器」 etc.

どこまで真面目に受け止めたら良いのか分からなくなって収集がつかなくなりそうなので、この辺で…
とめどもない楽器の分類に関するお話しでした!

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プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

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