ドイツから学ぶこと

3月5日(木)


来週の週明け、3月9日(月)・10日(火)、ドイツのメルケル首相が日本を訪問する予定です。

メルケル首相

メルケル首相は2005年の選挙で選ばれたので、就任してちょうど10年ということになります。日本の首相と比べてなんと息の長いことでしょう。
(4年の任期としてみれば今は3期目の半ば。特別なことではありません。)

医学や音楽、さらにワイマール憲法などの法律…ドイツから多くを学んできた日本。いまあらためてドイツから学ぶべきことは多いのではないかと思います。


投機マネーへの規制

メルケル首相と言えば、私には印象に残っている発言があります。それは「投機マネーを規制しよう」というものでした。たしか2007年、日本では第一次安倍内閣(2006年9月~2007年9月)のときです。

規制の内容としては、銀行の支払い能力や流動性危機に対処する際の手続きを厳格化すること、債権処理や損失の透明かつ正確な評価の導入―などを挙げました。
また、国際通貨基金(IMF)や金融安定化フォーラムが、金融危機防止のためのよりよい早期警戒システムの導入で役割を果たすようにも求めました。

この考えは、2008年の年明け早々1月、イギリスのブラウン首相のもと、ドイツのメルケル首相・フランスのサルコジ大統領・イタリアのブローディ首相が会談した際にも、ヘッジファンドなどの投機マネーを規制して、ヨーロッパEUの金融安定化を図る必要があるという提案につながります。

しかし、アメリカのブッシュ大統領はすぐさまこれを「資本主義の否定だ」と反発。日本も当然ながらアメリカに追従しました。
そしてほどなく、原油価格が高騰。それも原油が取れなくなるとか、石油の需要が急速に伸びるといった市場の原理ではなく、投機マネーによって高騰したのです。そして同2008年9月にはリーマンショックが起こります。

→ 「豊かさの敵とは?」 (当ブログ2012年3月の記事。この記事の後半に投機マネーに関する記述あり)


メルケル首相の目に「アベノミクス」はどう映るか?

日本では、安倍首相が病気で引退したあと、福田政権、麻生政権、その後民主党に政権が移り鳩山政権、菅政権、野田政権と3代首相が代わり、2012年12月に再び自民党・安倍政権となりました。

安倍政権の代名詞ともなっている「アベノミクス」は、大雑把にいえばインフレ政策・金融緩和によってお金の流動を活発化させ、デフレから脱却し、見かけの数字による景気を上げようというもの。

インフレになるということは、お金を銀行に預けておいても貨幣価値は下がってしまうので「どんどん積極的に投資しましょう」という方向へ。
そして大企業やお金を持っている富裕層をさらに優遇し、弱い立場の国民は切り捨てる政策によって、格差を広げてきました。
さらに、企業への利益供与と引き換えに企業献金、いわゆる「政治とカネ」の根深い問題も深くかかわってきます。

マネーゲーム的な投機マネーを規制し、金融の安定化を訴え、赤字国債をゼロにしたドイツのメルケル首相の目に、「アベノミクス」や「政治とカネ」はどう映るのでしょうか?


原発とエネルギー政策

東日本大震災、福島原発事故を受けて、メルケル首相率いるドイツではそれまでの原発推進を180度転換して、17基ある原発をすべて停止させ、2022年までに原発をゼロにする法律まで作り、脱原発に向けて動き出しました。

2010年現在のドイツの電源構成では、再生可能エネルギーの比率は16.6%。
ドイツのエネルギー政策には、矛盾や問題点を指摘する声もありますが、脱原発を真っ先に掲げ、再生可能エネルギーを中心に知恵をしぼることによって企業の競争力を高めていこうという取組には世界が注目しています。

→ 「ドイツのエネルギー政策」シュタンツェル駐日大使に聞く


一方の日本では、「すべてはコントロールされています」との安倍総理の有名な発言があります。

チェルノブイリよりも深刻なのは、今なお流出の止まらない放射線の量的な問題もさることながら、国も企業(東電)も国民に事実を隠ぺいする体質ではないでしょうか。
そして首相の言葉や隠ぺい体質が功を奏してか、「福島の原発事故はもう収束したんでしょ」と思っている国民が少なからずいるという驚くべき事実!

「風評被害」という言葉を政府関係者はよく使いますが、事実を明らかにし、危険なものを危険であると国民に正しく告知することは「風評」ではありません。

原発事故からすでに4年にもなるというのに、放射性物質を保管しておく中間貯蔵施設の見通しすらまだ立っていないなど、何一つ解決策は見出されていません。さらに地下水に交じって放射性物質が太平洋に流出しつづけ、次々と明らかになる新事実、それに対するあまりにも無責任で無策な東電・日本政府…
廃炉するにしても収束までには最低30~40年もかかると言われています。

その原発を、火山列島日本で再び稼働させようという動き。いくら科学者が「安全とは言えない」と証言しても、それを捻じ曲げて「安全である」と言い換えて何が何でも再稼働にもっていこうとする、とっても不思議な「原子力規制委員会」。

たしかに、いまは原発が止まっていても電力はまかなえていますが、いつまでも石油を燃やす火力にばかり頼ってはいられません。
太陽光発電などの新しいエネルギー政策に国家予算を投入して一刻も早く切り替えなくてはいけないのに、太陽光発電による余剰電力の引き受け制度(設備投資の一部を電力会社が引き受けることで普及を促進する制度)を、なぜか九州エリアではわざわざ基準を引き上げて、自然エネルギー、再生可能エネルギーの普及を妨害するかのような方向。
なにがなんでも原発を再稼働して電力会社の利益を確保しようとしているとしか思えません。そればかりか、総理みずからがトップセールスを行って原発を海外に輸出しようという動きもあります。

人の命よりも、地球よりも、経済(=企業中心のカネ儲け)はそんなに重いのでしょうか?

ライプチッヒ大学で理論物理学を専攻して博士号を取得しているメルケル首相の目に、日本の原発政策はどう映るでしょうか?


過去の戦争への向き合い方

第二次世界大戦において、ドイツと日本は同じ同盟国でした。
しかし、過去の戦後との向き合い方には大きな違いがあります。

ドイツでは、ヒットラーとナチスドイツの過ちを認め、謝罪し、ヒットラーについていってしまった国民の群集心理の恐ろしさについて教育の場でもしっかり教えてきました。
アウシュビッツへ向かう列車が発車していったプラットホームをそのままの形で残し、街中の石畳の中には、その場所でとらえられたユダヤ人の名前・性別・年齢などを刻んだ真鍮板が埋め込まれています。

日本では、いまだに当時の日本の過ちに関する表記を厳しくチェックし教科書から削除します。そして「加害者としての日本」は封印しようという動きも多々あり、そこを直視して反省することを「自虐的だ」などという声も聞こえます。戦後70年目を迎え、かつての村山談話を引き継ぐのかどうするのか、首相の見解にアジアも世界も注目しています。


ドイツに学ぼう

かつて黒船が日本にやってきたとき、日本は外国の目によって目覚めさせられました。
国内での利害の対立や賛否両論だけでなく、国際的なグローバルな目によって日本は気づかされてきたことが多いように思います。

黒船来航 黒船来航


バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス…
ピアノの教則本のバイエル、チェルニー…、日本の音楽教育の多くはドイツから学んできました。

冒頭にも書いたように、音楽のみならず、医学や法律など、ドイツから多くのものを学んできた日本。
真面目で勤勉なところなど、ドイツ人と日本人には似た部分もあると言われます。しかし、今日の日本政府は、ドイツとはことごとく違う方向を向いているように思えてなりません。ドイツからは今の日本がどう映るのでしょうか?

いまあらためてドイツから学ぶべきことがあるのではないでしょうか?


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プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

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