「レックス」

昨年10月に出逢った 私の1冊


昨年(09年)の10月、主婦の友から出版された「レックス」という本と出逢いました。

この本が書かれた時点で11歳の、生まれながら脳に重い障害があり、全盲で、おまけに自閉症の天才ピアニスト。
米CBS、英BBCでも大きな反響を呼んだという、レックスの母親による凄まじいまでの手記です。

ご存じでしょうか?

レックス

ちょうど今年3月の「こころコンサート」に向けて、障がいのあるメンバーも交えて音づくりを始めたばかりの時期でした。

あまりふだん本をしっかり読もうという習慣のない私が、翌日が月曜であることも忘れて深夜3時まで夢中になって読み進み、2晩たっても興奮が冷めやらず、思わず指揮者の小林研一郎先生の奥様・桜子(ようこ)様にメールをしてしまったのです。

そのメールは、およそ次のような内容です(一部リライトしてあります)。 


高木です。

凄まじい本に出逢ってしまいました!

「レックス」(主婦の友社)

この本が書かれた時点で11歳の、生まれながら脳に重い障害があり、全盲で、おまけに自閉症の天才ピアニスト。
米CBS、英BBCでも大きな反響を呼んだという、レックスの母親による凄まじいまでの手記です。
ご存知でしょうか?


専門医たちも、ブラインド・ケアセンター(盲目の子供を支援する施設)の様々なスタッフも、皆さん親身ではあるけど、それぞれ専門の立場から、「脳のどういう部分が小さい」「こういう異常がある」「~~が認識できない」…と冷酷な宣告をし「○○障害」と命名されるばかり。

「この子の可能性は?」「この子の将来は?」…という母親の必死な毎日への光は与えられない。

3歳になっても単語を発しない、歩かない、手足への刺激を避ける、何事にも興味を示さない。
ドアの閉まる音、雨が車の屋根を叩く音…当たり前の日常の音にも過敏に反応して叫ぶ。

…母親の並々ならぬ苦悩・絶望・祈り・そして神への呪いの日々が続きます。



…そんな中、モーツァルトの音楽にピタリと静かになる!

誕生日にプレゼントされた電子ピアノに吸い寄せられる。

左右の脳が分離していないため、手足をおへそを超えて交差できないはずなのに、ピアノを弾く時だけできている!

ベートーヴェンの「第九」に反応してメロディーを弾く!

歩く!言葉を発する!

…次々に「奇跡」が起きていく!

現在は、自閉症特有の“繰り返し”“パターン化”などはあるものの会話はできる。
もちろんピアノは、聴いた曲をモーツァルト風にバッハ風に…と自在に弾いてしまう。

まるで、親も先生も置き去りにして、天国のモーツァルトやベートーベンと楽しく会話したり散歩したりしながら「ぼく、この音楽わかるよ。好きだよ」と遊んでいるような…
彼がピアノの前に座っていると、神様(宇宙の大きな力)が彼の身体を通してわれわれに素晴らしい音楽をプレゼントしてくれているような…

レックスにはたまたま音楽に対する天性の才能があったから「音楽」が突破口になれたのか?
いや、やはり音楽には何か科学では説明できない不思議な力があるのか…?



…翌日が月曜だというのに深夜3時まで読み進み、2晩たってもまだ興奮が冷めません!

今週の土曜日、「コバケンと仲間たち」にスペシャルメンバーで打楽器に参加される自閉症の女の子2人と和太鼓の男の子1人と、ふだん指導されている先生のお宅に集まってパート練習することになっています。

実際に障害のある子を持ったことも接したこともない、全く素人の無力な自分。
軽率に「一緒にやってみよう」なんていえるのか…?

でも、今まで2回の合奏で、彼らが音楽が大好きであること、彼らにできることは見てきました。

“音楽の力”を信じていこうと思います!

章Akira T




小林先生ご夫妻は、録音と演奏会のため地球の裏側のオランダにいらしたのですが、桜子様からすぐにメール返信をいただきました。

「○○日には帰国しますので、その本を10冊、着払いでお送りくださるように手配していただけませんでしょうか」と。

こういう時の打ち返しの速さは、さすがに“生の音楽”“感動”を大切にされてきた方だな、と感激!

さっそく主婦の友社に連絡し、マエストロのご自宅宛てに10冊送ってもらう手配をしました。


11月はじめのリハーサルのとき、小林桜子様はその10冊をリハ会場にご持参されて受付に並べ、ノートを用意して、オケメンバーに告知して貸し出しをして下さったのです。

何人かのオケメンバーがさっそくノートに記入してお持ちになり、読まれた何人かから感動のメッセージが寄せられました。



母親の手記は最後に 感謝のことば で結ばれます。

それまでキャリアウーマンとしてバリバリと仕事をこなしてきた方で、子育てが“ふつう”に一段落したら、ふたたび仕事に復帰しようとしていたらしいのですが、レックスと向き合わざるをえない日々の中で世界観は180度変わります。時に神様に対して呪いの言葉を発しながら…

でも後になって思うと、決してレックスが音楽の才能を発揮して有名になったから、ではなく、
レックスと向き合う日々がなかったら出逢うこともなかった人たち、同じ病気に苦しむ他の母親たちとのネットワーク、自分にできることで役立とうとする思い・活動…もなかったことに気づきます。
それは、単に前の仕事に復帰することよりもはるかに意義深いことだったと。

レックスがたとえどんな状態の子であったとしても、かけがえのない“わが子”を授かったおかげで自分自身が今まで知らなかったこと・考えもしなかったことに出逢えたことに感謝するように、自分自身がいつしか変化していたことが「あとがき」に綴られています。



ちょっと凄まじいまでの重い内容ですが、ご興味のある方、何らかの形で音楽に関わってらっしゃる方、あるいは身内に何らかのハンディを持った方がいらっしゃる方…etc.

私以上にもっとなにか共感を覚えられるのではないでしょうか?

もう書店にはないかもしれませんが、主婦の友社にお問い合わせになれば、まだ残部はあるのではないかと思います。


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レックス

「レックス」…早速買って読んでみます

私は幼稚園で楽器を教えています
幼稚園には毎年1クラスに1~数人
障害のある子がいます
高機能自閉症、AD/HDだけでなく
幼稚園ですから、超未熟児で誕生した影響を
まだ大きく持っている子もいます

大太鼓の音に反応してしまう子が
エナジーチャイムに落ち着いてきたり
子供によって反応はさまざまですが
一人一人に寄り添う指導を
模索し続けていきたいと思っています

ところで、篳篥のことをコメントでいただいて思い出しました
私、篳篥吹いたことがあります
1日吹いたら
脳みその酸素が無くなるかと思うくらい
唇と肺が疲れましたv-15

Re: レックス

ト音記号さん

コメントありがとうございます。

「レックス」は昨年の10月に発売ですからもうだいぶ時間がたちますが、つい最近オリジナルの英文の版も出ているとの話も聞きましたので、けっこうそれなりに反響があったのではないかと思います。



残念ながら篳篥は吹いたことがありませんが、そんなにパワーの必要な楽器なんですね。小型ながら。ダブルリードの楽器って、吹き込んだ空気がすべて抜けきらないでつまるような力がかかるとか…?

私はなぜか尺八を1本持っています。遊び程度にはフルートも吹きますが、尺八の方が管が太いだけに肺活量が必要ですね。でもダイナミック・表情は(ちゃんと上手い人が吹けば)フルート以上に豊なのではないかと思います。

武満徹さんの「ノヴェンバー・ステップ」あたりから、海外でも洋楽のオーケストラと“和”とのコラボが一気に加速したような気がしますね。

われわれもあらためて日本のものを見つめ直してみたいですね。

コメントありがとうございます

T.Sさんへ

コメントありがとうございます。

3月のコンサートまで数回でしたが、ご一緒できてとてもいい経験をさせていただきましたよ。

「楽譜よりも言葉よりも、とにかく一緒に音を感じる。私はほんのそのお手伝いをさせていただいただけです。音楽の力の素晴らしさをあらためて実感させていただきました」

3月の「こころコンサート」のプログラムにも書かせていただいたんですよ。



>とても素敵なものを読ませていただきました☆
>打楽器の、女の子と男の子のパート練習はいかがでしたか??
>きっと高木さんのことですから、温かく楽しく一緒に練習したのでし>ょうね

2010-08-06 16:20  T.S  URL 編集
プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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