衆議院選挙結果に思う

12月17日(水)


強い寒気を伴った大きな低気圧で冷え込みましたが、東京の雨は思ったより早く上がってよく晴れました。
もう終わった選挙のことを話題にするのはこれを最後にして、今日の青空のように晴れ晴れしたいので…最後にもう一つだけお付き合いください。

まずはこのデータを見てください。

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「最大与党とはいっても支持はせいぜい25%程度」ということは私も選挙前から書いてきました。
今回の投票率は52%、有権者の約半数です。各小選挙区ごとに立候補者が3~4人いたとして、有効票数の半数も得れば当選確実ですね。

単純に考えて半分の半分、つまり有権者の4分の1が与党に入れた。与党を支持しているのは全体の25%程度だということです。そういう選挙区が全国で過半数に達したということです(比例代表で復活当選した人もいますから、厳密には違ってきますが)。

私も若いころ、最大与党というのは国民の大多数に支持されているんだと単純に思ってましたが、そうではないんです。与党が議席の過半数を占めていても、本当に支持している人はこの程度で成立してしまうということです。

その25%の中には、「地域で昔からお世話になってるから」「親子二代にわたって」などの組織票も含まれます。問題は、とくに支持政党のない人たち、投票の1週間前には「まだどこに入れるか決めていない」と言っていた、いわゆる無党派層がどういう理由でどういう選択をしたかです。

読売世論調査の結果を見てください。今回自民党に投票した人を対象に、一票を投じた理由を見てみると…

自民圧勝の内訳(支持理由)

与党に投票た人の理由を見ると「ほかの政党よりまし」が65%!
これって本当に「支持」って言えるんでしょうか…??

★注)
「私はあなたを支持します」という場合、あなたという人間を、あなたの言っていること(主張)を、なんらかの理由でいいなと思い、賛同して「支」え「持」ちましょう、ということですよね。平たくいえば「応援します」「推薦します」にも近い意味です。
「他にいい人がいないから、(消去法で)ほかよりましだから」というのは、「投票理由」にはなりますが、本当の意味での「支持」、少なくとも積極的な「支持」とは言えないのではないでしょうか?


ほかの理由を見てみると、今回「争点」とも言われた「経済政策を評価」はわずか7%、「実績を評価」の6%と「安倍首相への期待」の9%を合わせても22%。つまり安倍政権の政策への評価を理由にした人は4分の1にも満たないのです。
くりかえしますが、この4分の1というのは有権者の中ででも、投票に行った人の中ででもありません。自民党に投票した人の中でも、政策に賛同しているのはこの程度の割合なんです。

なお、集団的自衛権や秘密保護法、社会保障制度などの政策を支持したのかどうかは、この結果を見る限り数字には表れていません。

このアンケートに用意されていた回答の選択肢の作り方もありますが、あまりにも政策の是非を問う要素が少なすぎます。


政策の中身を問う

もし仮にも集団的自衛権を積極的に「支持する」という動機で与党に投票した人が圧倒的多数だったのなら、私も「それが民意なんだな」と納得もしましょう。
しかしこのような意識調査を見る限り、はたしてどれぐらいの人が現政権の掲げる政策をちゃんと理解してそれを良しとしているのかは見えません。

AKBも「総選挙」というのをやってますが、少なくとも国政選挙は「人気投票」ではないんです。
その政権が国民に対してどういう政策を出してくるか、日本の進むべき方向はこれでいいのか?を問う場です。

私はある政策に反対であったら、少なくともその政策に反対の意を唱えている政党に1票という選択をこれまでもしてきました。たとえば今回の私の場合、原発推進と集団的自衛権は容認できないので、少なくともその2つに反対の意を唱えている党に1票を投じる決意は初めからしていました。

もし、地縁的なつながりでお世話になっている与党の議員さんがいる場合、小選挙区ではその候補者の名前を書いて、比例代表ではほかの政党名を書いてもいいのです。いまの選挙制度にもいろいろ問題はありますが、その中で「民意」を表明する形は人それぞれあるのではないでしょうか?



今回は突然安倍氏に突然振られた解散総選挙だったこともありますが、野党にあまりにも力がないことがこういう結果を招いたことは明らかです。
選挙のための準備期間が短かったから、というだけの理由ではないと思います。やはりふだんからただ与党に反対したり政治的なかけひきに明け暮れるのではなく、「国民のための政治」というしっかりしたポリシーをもって政策論を磨いてこなかった、とってつけたようなマニュフェストだけでは民意に訴えかけられるだけの説得力がなかった、ということではないでしょうか。

ただその中で、日本共産党が8議席から倍以上の21議席にまで伸ばしたことは評価に値します。沖縄知事選の結果もありますし、私は今回の選挙で共産党がどのぐらい議席を伸ばすかが、民主主義に対する民意を知るひとつの目安になるかとも思ってましたが、明けてみればまさかの21議席!
これによって日本共産党にも「議案提案権」が与えられ、国会での質疑の時間も今までより長く与えられます。野党といえどもこういうことの積み重ねで力をつけていくことが、与党一党独裁の暴走を止めて民主主義を取り戻すことにつながると私は思います。

他の野党も同じく、数の上で最大与党に勝った・負けた(政権を取れるかどうか)だけでなく、たとえ少数派であっても民意を反映していくこと。与党に「反対」を唱えるだけでなく、自分たちの政策論もしっかり磨いていっていただけたら、と期待します。

★注)
私はとくべつ共産党(だけ)を支持してきたわけではありません。与党の出してくる政策に関して、ここだけは認められないという政策に対して、反対勢力としての一票を投じるようにこれまでもしてきました。今回の選挙前に書いたこちらの記事の後半をご参照ください。
→ 「日本のすすむべき道」



◆政治の話はタブーじゃない

ネット上でも親しい友達同士でも、こういうちょっと政治向きの話をすると皆さん引いていかれるのはよく存じてます。そろそろ次の投稿からは話題を変えましょうね(笑)。

ただ、私は思うのです。親しい友達、旧友、職場や趣味のサークルの仲間、女性であればママ友…身近なところでも、私たち社会の問題として、政治についてもっと自由に語り合えてもいいはずなのに、と。

「社交の場では政治と宗教と野球の話題は避けた方がいい」なんて言う人もいます。たしかに「おれは阪神、おれは巨人…」「私は仏教、私はクリスチャン…」なんて話を始めたら、お互い信じるものが違うんだし、話が長くなって平行線ですからね(笑)。銀座のクラブのママなんかは、限られた時間にいろんなお客様と接するのにそういう話題は振らないようにしている、というのなら分かります。

でも、ふだん色々な会話を交わす中で、特定の政治家の悪口とか私は何党を支持するという話ではなく、新聞やニュースに出てくるさまざまな社会問題の中に、国会の動き、政権が出してくる政策や法案、その決め方、日本の将来のあり方…それらは私たちに直接関係のある「社会の問題」ですよね?
なぜその話をしちゃいけないんですか? いや「いけない」というより「できない」んでしょうか?



選挙で「私は何党に入れた」なんて口にすべきじゃないという伝統・風習が日本の社会には根強くあるようですね。もちろん話したくなければ強要はしません。

おそらくですが、小学校の学級委員の選出から「無記名投票」に馴染んできました。限られた学級内では、だれがどっちに入れたかが分かってしまうと後々までクラスの人間関係に尾を引きますから、自分は誰に一票を入れたかは「匿名」(秘密)の方がいいでしょう。
地域社会においても、今よりも地縁的な人付き合いを大切にしていたころには、あそこの家は誰を応援してる、などということで近所づきあいに支障が出るといけないし、もともと思想的な話題をあまり好まない国民性もあるでしょう。

でも、政治の話=「どっちが優勢か」「どの党を応援してるか」だけでは、「オレは巨人、オレは阪神」「今シーズンは絶対勝つぞ!」「いやいや、そうはさせるか」…などと言っているのと同じレベルですね。社会の一員として、社会の問題、今の政権のやり方・政策についてどう思うか、政治の話ももっと幅広くとらえて語ることもできるはずだと思うのです。


私たちの「身近な社会の話題」

政治家や政党の話というよりも、社会のテーマの一部に政治の話題もある、というのが私の感覚です。
たとえば、税制や年金問題、集団的自衛権って何なのか?、本当はどんな目的で認めさせようとしているのか?、議事進行やものごとの決め方は?、なぜ弱者を切り捨てるような政策ばかりが次々に出てくるのか?、税金の使われ方は?、原発問題は?、政治とカネの問題は?…etc.

中学生でも感じる素朴な疑問から、私たち社会全体の問題としてもっと考えて、もっと自然に語り合えていいと思います。
政治は、めったに口に出すべきではない、タブーとされるような神聖で内的な精神世界…じゃないと思うんですよね(笑)。

選挙が近づいたときだけ「お友達」としてどこからともなく現れて、ある政党への応援を呼びかけるのではなく、ふだんの会話の中でも、私たち社会全体のテーマについて語り合えることが大切だと思います。選挙前や何か重大な法案が可決されそうな時だけいきなり熱くかたるんじゃなく、ふだんから意見を交わしたり、自分なりの価値観を構築していくことが大切だなと今回あらためて思いました。

新聞やニュースからの情報は毎日入ってきてるはずですし、一人一人も決して何も考えてないわけではないでしょう。
でもやはり、人は言葉で考える生き物です。素朴な疑問や自分なりの意見を表に出し、人と意見を交わし、新たな情報も入れていくことで、思考も構築されていくでしょう。政治の話=「私たち社会の問題」としてもっと関心も出てくると思うのです。


飲み友達とも、ママ友同士でも

ママ友、近所の知り合い、学生時代の友達、職場の人たち、音楽仲間…etc.
どんな人たちとも政治の話ができなきゃおかしいと思います。 私たち社会の将来に直接関係ある話なんですから。

私がいま通っている音楽の学校でも、若い年代の方と少し話してみて、政治の問題も身近に感じて選挙にも関心を持ってくれた人が何人かいらっしゃいました。できれば選挙の前だけでなく、ふだんからそういう会話もできたらいいなと思います。
どんな職業、どんな趣味の人でも、男同士の飲み友とでも、女性ならママ友とでも、「社会の一員」として政治のこともごく自然に話せる社会になったらいいなと、私は思っています。


<追記>

「支持する」という言葉について本文に書きましたが、個人を信用して「応援」「支援」するのと、選挙においてある政党を「支持」するのとは意味が違う、とのご指摘をいただきました。
自民党に投票した人も、必ずしも今の安倍政権の打ち出す政策すべてに賛同しているわけではないと。

これは逆説的に聞こえるかもしれませんが、私の言いたいこととも矛盾しません。むしろ大いに共通することです。私もこれまでの記事にも書いてきたように、今の自民党をすべてだめだとは言ってません。若手の自民党議員の中には優秀な人もいます。地方では長年地元に貢献して信頼を得ている自民党議員もいらっしゃるでしょう。

本文の趣旨も、ある党を丸ごと信じるでも全面否定するでもなく、政策をよく見てその賛否を判断基準に投票しよう、ということ。

「自民党に投票した人も、必ずしも今の安倍政権の政策すべてに賛同しているわけではない」
逆もまた真なりですね。ある意味救いを覚える言葉をありがとうございました。

ただ、「しかたなく、他よりましだから」で与党に投票した人も必ずしも現政権の政策に賛成しているわけではない…となると、630億もかけて「国民に信を問う」とした総選挙にどれほどの意味があったの?…という振り出しに戻ってきてしまいますね(笑)。

今の選挙制度で有権者が意思表示できることは限られています。現政権の打ち出す政策、その決め方に対して「NO」であるなら、「他にないから、ましだから」で投票すべきではない。それでは現政権を肯定することにしかならない、と私は思いますが。選挙では現政権を肯定しておいて、個々の政策や法案にどうやって反対の意思を示すというのでしょうか?



そもそも日本の今の議会制民主主義では、地元の候補者の中からある人を選んで国会に送り出します。その人が何党かで最大議席が与党となる。そして総理大臣はその与党の中から選ばれる…今の日本の議会制民主主義では、国民には国の最高責任者を直接選ぶ権利がありません。大統領のように国民が直接投票できめられないんですから。

そういう意味では、総選挙でどこまで民意を表現・反映できるのか、その範囲はごく限られていますね。いまの比例代表制や小選挙区制にもいろいろ問題もあります。その中で、われわれ有権者はどういう基準で考え、どういう選択をしたら良いのでしょうか?

また総選挙だけで、必ずしも民意を反映しきれてないとなると、他にどんなことが考えられるでしょうか?
自治体の都市計画を見直したり中止を求める住民投票、あるいは憲法改訂などきわめて重要な事案については国民投票という道もあります。

しかし、住民投票の場合、有権者の過半数が参加しなければ無効です。昨年東京の小平市で歴史と自然の景観を守ってきた桜上水が、何十年も前に策定されてストップしていた都市計画で失われてしまうことに多くの人たちが計画中止を求め、住民投票になりましたが、結局投票に参加した人は有権者の過半数に達せず、開票されることもなく終わりました。民意が低ければいくら制度があっても意味がないのです。

憲法改正など国にとって重要な案件についてもし国民投票となったら、皆さんがちゃんと参加されますか?ただ、その国民投票に関する法律も、いま安倍政権のもとで見直されてようとしています。

あと何より、今回の総選挙でも弱さが浮き彫りになった野党に、もっと頑張っていただくこと。
与党に反対するだけでなくきちんと政策論議をする。政治のかけきひや足の引っ張り合いだけでなく、国民の声を国会に反映させること!
重要案件のたびに国民投票もできないですから、さまざまなアンケートや地元有権者との対話を充実させて国民の声にしっかり耳を傾け、「国民の代表」として国会に送り込まれている原点に返ってしっかり仕事をしていただく。

そしてわれわれ有権者は、民意をどう政治に反映させていけるのか?…私も引き続き考えていきたいと思います。

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政治の話をすることは.....。

 私もほぼ同じ意見です。私見では原発があと1つ2つ爆発しても、自民独裁は変わらないと思っています。野党が力を持つこと、これはもの凄く重要です。ただし野党とはどこの党を指すか、をはっきりさせたいところです。何でこの連中が自民党議員ではないのか、と思わせる党はダメです。自民党とその亜種としておきましょう。それ以外を野党と規定します。それから健全なジャーナリズム。健全でないジャーナリズムは政府広報機関に指定。ジャーナリズムは、政府から「意見」を受けたら敢てその意向とは逆の番組や記事を書く。少し前ならそんなことは普通にやっていたはずなのに。そして市民です。スキャンダル報道はバカバカしいと無視する。スキャンダル報道を喜ぶから本質と離れた記事が跋扈します。総じて日本では個人の自立度が低いのだと感じます。それを啓蒙するのが本来の評論家・批評家という「独立した存在」のはずです。

 政治の話を避ける、というのは賢い生き方です。商売において顧客とは逆の指向を述べてやけどをする、という可能性は減りますが、そうした条件海外で政治の話をしないのは、むしろ「できない」人なのだと思います。中学高校生の時から政治談義をしている子供は、実は欧米には普遍的に存在します。それができない大人の日本人は、この子達以上に未熟なんだと私は考えます。

Re: 政治の話をすることは.....。

そらまめどっとこむ様

コメントありがとうございます。
羊のようにおとなしい国民性を感じます。その理由は色々あるでしょうが、大きく2つではないかと私は思っています。
ひとつは
●自分の意見を出すことでどう思われるか不安で、出さないことが習慣になっている
もうひとつは、
●世の中のことに「自分に関する問題」という意識が薄い

いまの日本も、競争社会・資本主義・格差拡大…と突き進んできて、その歪みがいろいろと出てきてはいますが、お隣の韓国とはちょっと質が違うといいましょうか、まだ程度がそこに至っていないというか、あまり国民の怒りに火が付くまでに至っていないように思います。
べつに国民が皆起こって暴動が起きればいいとは思いません。でも、何が起きても無関心でおとなしすぎるのも問題だと思います。

社会や政治に関して、知識や考える能力の問題ではありません。「自分に関する問題」ととらえる意識が希薄なのはなぜでしょう?自分のことでいっぱいいっぱい、人のことまで考えてる余裕がない、想像力が乏しい、社会性が乏しい…etc.

そこは何とかしないといけないと私は思っています。煩がられても煙たがられても、私はこういうテーマについても発信し続けていこうと思っていますので、今後ともどうかよろしくお願いします!


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Re: はじめまして

鍵コメT.Kさん

私の記事へのご賛同、ならびにご丁寧なコメントありがとうございます。

私も大学時代に刑事政策を専攻していました。法律よりも社会学や心理学に興味をもち、大学を出て数年ほど民間の研究所に勤めて「まちづくり」に関わっていました。
大学で学んだこととか専門ということではなく、若いころに出会ったテーマ、社会に対する思いは今の私のベースにあると思っています。
よろしかったら私のこのブログ内の「★豊かさとは…?」というカテゴリをご覧いただけると、「地方の時代」について書いてある記事があります。そのあたりが私の原点かもしれません。

T.Kさんのページ、Googleで検索してみました。フェイスブックもされているようですね。後ほど友達リクエストをお送りさせていただきますね。今後ともよろしくお願いいたします。

プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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