よみがえる「コンバット」
11月23日(日)
私が幼稚園のころ見ていた懐かしいテレビ番組に「コンバット」があります。
当時は白黒のブラウン管のテレビで、毎週水曜日の夜8時から楽しみに観ていました。
ノルマンディー上陸後のヨーロッパ戦線が舞台で、サンダース軍曹率いるアメリカの歩兵部隊の戦いぶりを1時間読み切りのドラマにしたもので、米兵の会話は日本語吹き替えで、ドイツ兵の会話はドイツ語で字幕付きでした。
その「コンバット」がDVDでよみがえりました!
朝日新聞出版から創刊号990円、なつかしくて思わず買ってしまいました。

創刊号に収められているのは、もっとも初期ステージの3話。

ヘンリー少尉にリック・ジェイスン、サンダース軍曹にビック・モロー。そのほかゲストには、その後「スター・トレック」で主役になるレナード・ニモイ、「刑事コジャック」のテリー・サバラス、「狼よさらば」ほかで大活躍するチャールズ・ブロンソン、「ローズマリーの赤ちゃん」や「刑事コロンボ」でもおなじみのジョン・カサヴェテスなど、錚々たる往年のスターが登場し、テレビシリーズとしては全152回にも及びます。
Youtubeにも、英語版・吹き替え版いろいろアップされていますので探してみてください。
幼少のころはストーリーや人間ドラマよりも、とにかく戦闘シーンばかりに目がいってましたが、今あらためて見てみると…
新入りの兵隊が苦労したり、ルールを破ってサンダース率いる部隊を危険にさらしたり、ドイツの捕虜が実は人間味に満ちた人物であったり、アメリカの衛生兵(カーター)とドイツの衛生兵の間に信頼関係が芽生えたり…毎回さまざまな人間ドラマが描かれています。
実際の戦場でそのような人間ドラマが生まれるかどうかは分かりませんが。
◆懐かしいメインテーマ

このメインテーマ、最近もテレビCMで流れているので若い世代にもおなじみのはずです(オレンジのライン~)。
そう、大正製薬のゴキブリ用の殺虫剤「コンバット」のCMですね。
私が子供のころ、最初に観た「コンバット」のテレビ放映(昭和39年ごろ)でスポンサーについていたのが「ワシのマークの大正製薬」。リポビタンDのCMに王選手が出ていました。
その大正製薬が開発したゴキブリ退治用の殺虫剤がなぜか「コンバット」です。
◆ドイツの兵隊さん ごめんなさい
「コンバット」の劇中では、物陰で動めく黒づくめのドイツ兵の姿を見かけたら、すぐにやっつけなくてはいけない、という意識が働きます。完全にアメリカ目線ですね(笑)。
ヨーロッパ戦線(フランス?)が舞台なので、アメリカは侵攻していく側で、ドイツは待ち受ける側。アメリカ兵よりもドイツ兵の軍服の方がびしっと決まっていますし、装備も充実しています。建物内あるいは屋外でも土嚢を積んで機関銃を構え、戦車や装甲車も往き来しています。なのに、わずか5~6名のアメリカの歩兵にことごとく「退治」されていきます。
黒光りするヘルメットをかぶったドイツ兵と、大正製薬の殺虫剤が狙うあの昆虫とが妙なマッチングをしてしまうのは私だけでしょうか(笑)?
太平洋戦争では日本がアメリカと闘っていたことも、ドイツと日本は同盟国だったことも、ナチスドイツの過ちも、まだ何も知らないで、ドイツがやっつけられるのを面白がって見ていた幼稚園~小学校低学年の頃の私。
ドイツ人はあんなにはバカじゃない。バッハ、バイエル、ツェルニー、ベートーヴェンなど優れた音楽家を生み出した国。お医者さんもドイツ語でカルテを書く。ドイツの蒸気機関車も素晴らしい。日本はドイツから多くを学んできたことを徐々に知っていくことになります。戦争は「かっこいい」ものじゃないということも。
◆劇中の音楽
DVDを観ていると、劇中音楽も懐かしい!
いまのようなコンピューター入力の音源は当然ながらありません。
クラリネット、フルート、弦楽器群、トランペット、ホルン、スネアドラム、ピアノ…すべて楽器の音による演奏が新鮮です。
その中からいくつか、幼稚園時代には聞き取れなかった音を拾ってみました。
雑木林や人気のない街を警戒しながら進む場面では、不協和音だらけの緊張感に満ちた音。
ほんの一例ながら…

あえて半音隣同士の音を重ねたり、短3度や減5度(増4度)を多用した不協和音がじつに効果的に味を出しています。
今回もっとも聞き取るのに苦労したのがこちら。ゆったりとした低弦からはじまり、途中から高弦が不安定なハーモニーを重ねます。戦闘シーンが終わった場面などでよく流れます。

あとよく使われるのが、5度音程の重なり。メインテーマの前後にもこれに似た音形が入るバージョンがあります。

その他、楽譜には書き起こしていませんが、最後にゆったり流れるメインテーマのホルンのハーモニーや、進軍の時に流れる小太鼓のリズムに乗ったハーモニー。
アメリカのテレビ映画ですが、舞台はヨーロッパ戦線。音楽もどことなくドイツの空気を感じます。
マーラーの交響曲1番の2楽章の途中にふと「コンバット」を思い浮かべてしまうのは幼少体験の影響でしょうか?
★「コンバット」と並んで幼少時代を懐かしく思い出すのが「トムとジェリー」。
J.ガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」を聴いてると、途中どことなく「トムとジェリー」の風刺に満ちた場面を思い起こさせる部分がありませんか?こちらはまた追々…
私が幼稚園のころ見ていた懐かしいテレビ番組に「コンバット」があります。
当時は白黒のブラウン管のテレビで、毎週水曜日の夜8時から楽しみに観ていました。
ノルマンディー上陸後のヨーロッパ戦線が舞台で、サンダース軍曹率いるアメリカの歩兵部隊の戦いぶりを1時間読み切りのドラマにしたもので、米兵の会話は日本語吹き替えで、ドイツ兵の会話はドイツ語で字幕付きでした。
その「コンバット」がDVDでよみがえりました!
朝日新聞出版から創刊号990円、なつかしくて思わず買ってしまいました。

創刊号に収められているのは、もっとも初期ステージの3話。

ヘンリー少尉にリック・ジェイスン、サンダース軍曹にビック・モロー。そのほかゲストには、その後「スター・トレック」で主役になるレナード・ニモイ、「刑事コジャック」のテリー・サバラス、「狼よさらば」ほかで大活躍するチャールズ・ブロンソン、「ローズマリーの赤ちゃん」や「刑事コロンボ」でもおなじみのジョン・カサヴェテスなど、錚々たる往年のスターが登場し、テレビシリーズとしては全152回にも及びます。
Youtubeにも、英語版・吹き替え版いろいろアップされていますので探してみてください。
幼少のころはストーリーや人間ドラマよりも、とにかく戦闘シーンばかりに目がいってましたが、今あらためて見てみると…
新入りの兵隊が苦労したり、ルールを破ってサンダース率いる部隊を危険にさらしたり、ドイツの捕虜が実は人間味に満ちた人物であったり、アメリカの衛生兵(カーター)とドイツの衛生兵の間に信頼関係が芽生えたり…毎回さまざまな人間ドラマが描かれています。
実際の戦場でそのような人間ドラマが生まれるかどうかは分かりませんが。
◆懐かしいメインテーマ

このメインテーマ、最近もテレビCMで流れているので若い世代にもおなじみのはずです(オレンジのライン~)。
そう、大正製薬のゴキブリ用の殺虫剤「コンバット」のCMですね。
私が子供のころ、最初に観た「コンバット」のテレビ放映(昭和39年ごろ)でスポンサーについていたのが「ワシのマークの大正製薬」。リポビタンDのCMに王選手が出ていました。
その大正製薬が開発したゴキブリ退治用の殺虫剤がなぜか「コンバット」です。
◆ドイツの兵隊さん ごめんなさい
「コンバット」の劇中では、物陰で動めく黒づくめのドイツ兵の姿を見かけたら、すぐにやっつけなくてはいけない、という意識が働きます。完全にアメリカ目線ですね(笑)。
ヨーロッパ戦線(フランス?)が舞台なので、アメリカは侵攻していく側で、ドイツは待ち受ける側。アメリカ兵よりもドイツ兵の軍服の方がびしっと決まっていますし、装備も充実しています。建物内あるいは屋外でも土嚢を積んで機関銃を構え、戦車や装甲車も往き来しています。なのに、わずか5~6名のアメリカの歩兵にことごとく「退治」されていきます。
黒光りするヘルメットをかぶったドイツ兵と、大正製薬の殺虫剤が狙うあの昆虫とが妙なマッチングをしてしまうのは私だけでしょうか(笑)?
太平洋戦争では日本がアメリカと闘っていたことも、ドイツと日本は同盟国だったことも、ナチスドイツの過ちも、まだ何も知らないで、ドイツがやっつけられるのを面白がって見ていた幼稚園~小学校低学年の頃の私。
ドイツ人はあんなにはバカじゃない。バッハ、バイエル、ツェルニー、ベートーヴェンなど優れた音楽家を生み出した国。お医者さんもドイツ語でカルテを書く。ドイツの蒸気機関車も素晴らしい。日本はドイツから多くを学んできたことを徐々に知っていくことになります。戦争は「かっこいい」ものじゃないということも。
◆劇中の音楽
DVDを観ていると、劇中音楽も懐かしい!
いまのようなコンピューター入力の音源は当然ながらありません。
クラリネット、フルート、弦楽器群、トランペット、ホルン、スネアドラム、ピアノ…すべて楽器の音による演奏が新鮮です。
その中からいくつか、幼稚園時代には聞き取れなかった音を拾ってみました。
雑木林や人気のない街を警戒しながら進む場面では、不協和音だらけの緊張感に満ちた音。
ほんの一例ながら…

あえて半音隣同士の音を重ねたり、短3度や減5度(増4度)を多用した不協和音がじつに効果的に味を出しています。
今回もっとも聞き取るのに苦労したのがこちら。ゆったりとした低弦からはじまり、途中から高弦が不安定なハーモニーを重ねます。戦闘シーンが終わった場面などでよく流れます。

あとよく使われるのが、5度音程の重なり。メインテーマの前後にもこれに似た音形が入るバージョンがあります。

その他、楽譜には書き起こしていませんが、最後にゆったり流れるメインテーマのホルンのハーモニーや、進軍の時に流れる小太鼓のリズムに乗ったハーモニー。
アメリカのテレビ映画ですが、舞台はヨーロッパ戦線。音楽もどことなくドイツの空気を感じます。
マーラーの交響曲1番の2楽章の途中にふと「コンバット」を思い浮かべてしまうのは幼少体験の影響でしょうか?
★「コンバット」と並んで幼少時代を懐かしく思い出すのが「トムとジェリー」。
J.ガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」を聴いてると、途中どことなく「トムとジェリー」の風刺に満ちた場面を思い起こさせる部分がありませんか?こちらはまた追々…