御嶽山噴火 ~人間の限界と問題点~


9月29日(月)

おととい噴火した岐阜県と長野県の県境にある御嶽山。
犠牲となられた方のご冥福を心からお祈りいたします。

御嶽山噴火 
togetter com画像より

土曜日にこのニュースを聞いたとき、「気象庁は今月10日ごろから火山性の地震を観測しており、注意情報を出して呼びかけてきた」と言っていたので、すぐに気象庁のHPを見てみました。
ところが見つかったのは今月16日(=噴火の11日前)のこのデータのみ。

気象庁の火山情報 9月16日 (気象庁のHPより)

ご覧のとおり、火山性の地震が1日に何度も観測されているという数字は出ていますが、警戒レベルは「1」つまり「平常」です。
そしてこの情報の後は27日の噴火当日までありません。これで警戒情報を出して注意を呼びかけてきたと言えるんでしょうか?



世界の活火山の10%が日本列島に集中しています。それゆえわが国ではこれまで莫大な国家予算を投じて、主な活火山には精度の高い地震計を設置して24時間体制で観測しているのです。
(このための予算の削減を「仕訳」で言った人がいるそうですが…) 

自然災害を100%正確に予測することは現代の科学をもってしても限界があることは分かります。一つの火山、一つの活断層が動くのは何万年に一度でしょう。
今回の噴火はマグマの噴火ではなく水蒸気爆発、つまりマグマの熱で地中の水分が温められて気化するときに体積が膨張して…というもの。具体的にいつ爆発するかという詳しい予測はたしかに難しかったかもしれません。

でも、少なくとも10日も前から「異変」は観測されていて、気象庁はそれを把握していたんです。
なのになぜその情報をもっと積極的に出さなかったのでしょうか?

登山をする人たちが、これから行く山が近々噴火しそうかどうか、気象庁の火山情報まで見てから出かけるでしょうか? いつも噴煙を上げている山ならともかく、その山が火山であることすらふだん忘れていることもあるのではないでしょうか?

全国放送で流さないまでも、せめ山小屋や地元の役場・観光協会を通して登山者に注意を呼びかける、あるいは頂上までの登山を規制するといったことは考えられなかったのでしょうか? 

火山噴火予知連
 
9月28日夜の気象庁の記者会見 ニュース画面より


警戒を出して国民の生活(=今回の場合は「登山」)を制限することで経済効果に悪影響が出るから、あるいはパニックを起こすといけないから出さ(せ)ないんでしょうか? 

火山でも地震でも、今日の技術ではまだ正確な「予報」は困難ですが、仮に「危険性」をある程度予見できた場合に、その情報を速やかに出せるかどうか、そこが問題です。

気象庁には、この「火山噴火予知連絡会」とならんで「地震予知連絡会」があります。
どちらも権威あるお歴々が何代にもわたって名前を連ねてきましたが、なにか起きた後で会見に出てきて、地震や噴火のメカニズムを淡々と語り、「今後も余震の続く可能性は高い」などと素人でも言えるようなことを淡々と発表する姿に、いつも無性に腹が立つのです。

「本当にこの人たちに『予知』ができるのか?」と思ってしまいます(本人たちも「予知はできない」と言い切っています)。
いや決して“超人的な予知能力”を求めているのではありません。せっかく国家予算をつぎ込んだ研究成果として出てきたデータをちゃんと公表し、判断し、被害を最小限に食い止めるための情報提供をしようという意識があるのかどうか…?

犠牲となった方たちに対して、正確な予測が出せなかったこと(=現代の科学の限界)について「申し訳ない」という気持ちが少しはあるのかどうか?
分かっていた範囲の情報がちゃんと充分に活かされなかったことへの反省と犠牲者を弔う気持ちがないのでしょうか…?



まあそこが今の気象庁の限界だとしたら、これも私がいつも申し上げている通り、国の発表することやマスコミの報道することだけを受身的に信じるのではなく、自分である程度の情報を集め、常識で判断して自ら危機管理する、ということが大切だということです。

山へ行くなら火山の情報、海へ行くなら「もしここで大地震・津波が来たらどこへ逃げるか」、家を建てるならそこの地盤はどうか、浸水の恐れや山崩れの心配はないか…etc.

そして社会的には、いま話題になっている原発再稼働と絡めて考えてみるとどうでしょうか?
 
まだこの点にまで言及した報道は見聞きしていませんが、起きた出来事だけを単体で受け止めて「御嶽山すごいことになってるね」「怖いですね~」「かわいそう」…だけではいけないと思うのです。

これが日本列島の現実なんだ、気象庁の事前予知の限界なんだということと、こういう国に原発があることの是非をあらためて考える必要があります。

つい先ごろ、原子力規制委員会の安全基準のひとつに、火山の噴火の予測および火砕流への対策はどうなっているのか、という議論があったばかり。

もし原発に近い火山になんらかの異変が観測されたとして、本当に近いうちに起こる危険を予知し、警戒情報を出し、原発を速やかに停止させて火砕流の流入などを防ぐなどの対策が取れているのでしょうか? (原発そのものの地震・火山あるいはテロへの安全対策はどうなんでしょうか?)

こんな状態で、本当に原発を再稼働させて良いのでしょうか?
今回の御嶽山の噴火にからむ一連の報道から、そこまで思いめぐらせて言及するのは考え過ぎでしょうか? 


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またしても論理のすり替え!

噴火から数日がたち、犠牲者の数が増えるにつれ、各方面からのコメントも出てきました。
「専門家」と称する人たちが、噴火の予知は困難だったという話や、「予報」を出すことはむずかしい。外れた場合に顰蹙を買う、責任問題もある…などと言い訳ともいえるようなコメントを出しています。

外れた場合のメンツや責任を気にして発表できない、なんてことを「専門家」が言うこと自体が間違っています。そういう意識だからせっかくのデータを活かせないんです!
専門家も世論も、科学に対する理解がまったくできていない!

「今分かっている範囲でのデータはこうです。私は専門家として危険性があるということをお知らせします。各方面で判断して最善の策を取ってください」と言うべきなんじゃないでしょうか?

火山や地震ではなく、例えば台風や大雨の「予報」だったらどうでしょう?
今の技術では、地震や火山の噴火に比べたら豊富なデータ解析で当たる確率は高いですが、外れることだってありますよね。

「きょう夕方には関東に上陸し、風雨が強まる(かもしれない)」という予報を出し、報道機関も南の島の高波の映像を流すなどしてず~っとそのニュースばかり報じるじゃないですか。それを見て、各会社や学校は独自の判断で早めに帰宅させるなどの対策を取ります。
で、もし予報が外れて進路が変わって上陸しなかった、騒ぐほどのことはなかったような場合、いちいち気象庁や報道機関に「どうしてくれる」とクレームを言いますか?(言う人もいるかもしれませんが、社会問題にはならないでしょう)

大自然を相手に、人間の英知で「予知」して警戒するというのはそういうことじゃないんでしょうか?
外れて空振りしたら困るから、混乱させたら責任が…などというなら、国家予算をつぎ込んで地震計を設置して24時間体制で監視している意味がないじゃないですか?

今回、2週間も前から観測されていたデータがあったにもかかわらず、地域の町役場や山小屋にその情報を伝えて登山者に注意を呼びかけることを一切していなかった、というところを問題だと申し上げているんです。

どんな問題でもそうですが、専門家の意見も世論も的外れなものが多く、論理のすり替えと責任のなすり合いばかりで情けないです。

御岳山の噴火について

高木様 FBから来ました。中村です。
 御嶽山の噴火の件
先が見えない、予知できない、レベルづけできない。それなら手持ちのデータは誰でもわかるようにしておくべきです。私の山の会では、ちょうど2週間前(13日土曜日)に、5人が御嶽山に登ってます。山頂には11時45分についていますので、もしも27日だったらと思うと、無事に帰れただろうかと思ってしまいました。

 事が起きてから、よく言われるのは、HPには書いておいたとかですが、せっかく予知連絡会があるなら、こういうデータの推移があって少し動きがありますというようなことを周知すべきだと思います。

 原発もそうですが、マイナスの情報はあっても流さなかったり、わかりにくくしていたり、そういうのが多すぎます。私が一番許せないのは、311の後、放射性物質を含む風が、原発から北西(川俣町の方)に向けて流れて行ったのを、データがあるのに周知しなかったことです。

 登山は登らなければいいので、自分で決められますが、原発は動かし始めたら、周辺住民は、事故が起こったら絶対被災するし、最悪被爆します。私たちが決められるのは、原発を動かさないということ。廃炉にするということを決めることです。

Re: 御岳山の噴火について

中村さん

コメントありがとうございます。最近御嶽山に登山されてたんですね!
まさにおっしゃる通り、今回の気象庁も含めて、国民に知らせるべき危険情報を出さないことに本当に憤りを感じます。
私の一番言いたいことをご理解いただきありがとうございます。
今後ともブログ・FBともどもよろしくお願いいたします。

御嶽山

高木様

 書き方が悪くて、すみません。御嶽山に登ったのは、私ではなくて、私が所属する「我孫子山の会」の人達で、たまたま私が遭難対策の係をやっている関係で、彼らの登山計画書など手元にありました。地形図などを眺めて、何時頃に頂上につくのだろうかとか、思ってました。ですから、登山口~頂上のおおよその地形などは 事前に見ておいたというわけです。

 私のFBへの投稿文を読みなおしましたが、確かに私が登っているように読む人は思ってしまいますね。NETだとじっくり読みなおすということをせずにUPしてしまいがちなので、これからは一呼吸おいて、UPしたいと思います。 以後注意しないと、と反省してます。

御岳山

高木様
 誤解を与えてしまった内容だなと反省。御岳山へは私の所属する我孫子山の会で、5人登ったということです。私はたまたま遭難対策係なので、計画書とか地形図を事前にじっくり眺めておりました。ですから今回の御嶽山の噴火による登山者の事故は、人ごととは思えないのです。ですから、私は登らずに、自宅で地図を眺めていただけということです。
プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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