人類誕生、自然科学、文明…そして音楽

2016年3月20日(日)

不覚にもインフルエンザB型にかかってしまい、家族と隔離した部屋で過ごすこと3日目。
昼夜を通して寝たり目覚めたりを繰り返していると、漠然と色んな想いが頭を駆け巡ります。

それは論争するような論理的な頭ではなく、きわめて感覚的なものですが、私の中にある価値観から直接発せられるメッセージとなって…

20万年前、300年前…なんの話かお分かりになりますか?
(初校:2014年6月の記事より) 



生命の誕生から人類の出現

・地球誕生…46億年前
・生命誕生… 1億8000万年前(カンブリア紀)
・人類誕生…  20万年前 (クロマニヨン人、ネアンデルタール人)

クロマニヨン人やネアンデルタール人が地上に現れたのは、今からおよそ20万年前といわれています。地球誕生、生命誕生(カンブリア紀)から見たら最近の出来事ですね。

その頃も今と同じように太陽が輝き、夜空には月や星空が見えていたはずです。
でもまだそれらがどういうものなのか、そもそも人間のいる地球はどういう姿なのか、日食や月食はなぜ起こるのか…といったことは何も解っていなかったはずです。


自然科学への目覚め (4~500年前)

・コロンブス(1451~1506 英国)
・レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452~1519 イタリア)
・コペルニクス(1473~1543 ポーランド)
・マゼラン(1480~1521 ポルトガル)
・ニュートン(1642~1727 英国)

地球は丸い、そして天が回っているのではなく地球が回っている、といったことが分かってきたのは、いまからせいぜい4~500年前のことです。

日本では室町時代の末期、信長の時代に大航海によって日本へたどり着いた宣教師らによってそのことが伝えられました。
そしてニュートンは万有引力を発見し、重力加速度もすでに計算していました。

人類が誕生してから20万年という長い長い歴史の中で見れば、かなり新しい出来事ですね。
 
今は小・中学生のうちに、地球・太陽・月の運動、星の誕生からブラックホールまで、およそどういうものかは学んでしまいます。人類の知恵は素晴らしいものです。

でも逆に、古代ギリシャやエジプトや中国の人たちは、そのような基本的な天文学や地学の知識はまったくなかったにも関わらず、太陽や星の動きを正確に観測して「暦」をつくり、ピラミッドや塔の高さを正確に知る「測量技術」をもち、太陽の道筋(=天の赤道)に沿った12の星座を選び出して「占星術」を生み出していたのです。これもまた素晴らしい人類の知恵だとは思いませんか?



そんなことを思いながら、星空から地上へと目を向けてみると、街の明かりがまたたき、自動車や列車が走り、羽田に発着する飛行機の灯りが見えます。これらの元が誕生したのは産業革命以降です。


産業革命 (200~250年前)  

・初の蒸気機関…ワット(スコットランド)1769年
・初の蒸気船(外輪船)…フルトン(米)1807年
・初の蒸気機関車…トビレシック(英)1802年、スティーブンソン 1816年
・電気製品の祖(電球、蓄音機など)…エジソン(米)1847~1931年
・通信…ベル(スコットランド)が電話を発明 1876年
・内燃機関…オットー(独)がガソリンエンジンを開発 1876年
・自動車…ダイムラーが自動車の特許申請 1885年
・飛行機…ライト兄弟(米)が初飛行に成功1903年


自動車産業や鉄鋼を中心とする産業構造は、せいぜいここ200年ほどの間に登場したものだということです。さらに、いま話題の原発は…?


原発(50~60年)

アメリカによるマンハッタン計画で原爆が完成されたのは70年ちょっと前。
戦後、原子力の平和利用に向けて、1957年にアメリカのアイゼンハワー大統領の提唱によって国連内にIAEA(国際原子力機関)が設置されました。日本でも原発が作られるようになったのは 今から50年ほど前からです。

ひとたび電源が絶たれ冷却できない状況に陥ればメルトダウンが起こり、人間の手には負えないものとなる…ということは明らかであるにもかかわらず、国は電力会社ともども原発を再稼働させようとしています。

さらに、憲法解釈を捻じ曲げて、自国防衛のための最小限の範囲であれば、核兵器の保有も憲法違反とはいえない、などというおかしな法解釈も昨年飛び出しました。

聖書の預言によれば、人類は火によって滅ぼされる、とあります。
原子の火は、人類のみならず、地球上のあらゆる生命をも滅亡させてしまう危険なボタンなのです。

人類はいったいどこに向かおうとしているのでしょうか?
人類誕生の歴史を1日に置き換えるならば、日付の変わる直前のわずかの数分のうちに起きたようなものに翻弄され、国益と称する利害、経済の原理で、地球をも滅ぼしかねない愚かな道へと…?



ところで…

音楽の起源は? (紀元前~)

音楽の歴史は、人類誕生からどれぐらいたって始まったのでしょうか?
おそらく石器時代の人たちも、石の板をたたいてリズムを刻んだり歌ったりしていたのではないか、音楽は人類誕生とほぼ同時に存在したのではないかと私は思っています。
 
ただ、いわゆるバロック時代から、今日の「クラシック音楽」と言われるものは、せいぜい300年ぐらいの間に集約して完成したといってよいでしょう。その辺り、囲みで書きますので、興味のある人はざっとご覧ください。

<音楽の歴史、ざっとアラカルト>

地球上にはたくさんの生き物がいる中で、音楽を奏でるのは人間だけでしょうか?
虫たちも羽をこすり合わせたり鳴き袋を振動させたりして音を出します。ハ虫類・両生類・哺乳類の中にも身体のどこかを振動させたり声を発して鳴くものが多くいます。生き物の種類によって鳴き方は決まっていて、音の振動は空気を伝わって仲間たちの聴覚へと伝わり、危険を知らせたり、オスがメスに求愛したり… でもそれらが「音楽」と呼べるものでしょうか?

また、私が子供のころ住んでいた名古屋市内の東山動物園にいた3頭のゴリラが、おもちゃのタイコ・ラッパ・シンバルを「演奏」していました。人間に教わって楽器を見よう見まねで使い、スピーカーから流れる音楽に合わせ鳴らしてはいましたが、自分たちで楽器を作ったわけでも、曲を作ったわけでも、自分たちでテンポやキイを決めたわけでもありません。

おそらく人間が奏でているような「音楽」は、他の生き物たちにはないのではないでしょうか?


音程の発見

数学者として有名なピタゴラス(紀元前582年~ 紀元前496年)がすでに「音の高さは比率で決まる」ということを発見し、5度の音程(ドとソの関係)は2:3の比率で決まることを解明していました!

この完全5度の関係で「ド→ソ→レ→ラ→ミ」という5音階(=ペンタトニック)が生まれました。

弦楽器や管楽器など、今日の楽器のルーツともいえる楽器がどんどん作られ、シルクロードや海を伝わって世界に広まり、それぞれの国・地域・民族ごとに独自の音楽(楽器や音律)を発展させてきました。


神事、祭事としての音楽

音楽は神様が人間にだけ授けてくださった特別のプレゼントとも言えるかもしれません。
古代から人間が音楽を奏でる上でもっとも重要だった場面は、さまざまな儀式、祀り(祭り)、礼拝…といった「神様と接する場面」が圧倒的に多かったはずです。

キリスト教の教会で聖歌が歌われ、グレゴリー聖歌・教会旋法が生み出され、イスラムの世界では独特の節まわしによってコーランが唱えられ、アジアでも神を祀る祭りで楽曲が奏でられ、日本では雅楽が生まれ、仏教の世界でもお経から声明(しょうみょう)が生まれ…

さらに古い記録がどれほど残っているかは不明ですが、おそらく石器時代にもすでに人はものを叩いて音を鳴らす、管状のものを吹いて鳴らす、弦をこすったりはじいたりして音を鳴らす…といったことを日常の中で発見し、道具を作る中で楽器のようなものも作っていたに違いありません。

大陸から日本の各地にかけても、古くは鏡(自分の姿を映す道具であると同時に神聖な神具でもあった)と一緒に銅鐸(どうたく)も出土しています。

そして音楽は、神にささげるためだけではなく、労働するときにただ頑張って力を出すよりも音(おもにリズム)に合わせて皆で力を合わせた方が大きな力を出せる力を持っていたり、人のこころを慰めたり癒す力があったことも知っていったのではないでしょうか。
今日でいう労働歌であったり、音楽療法で再発見されているようなさまざまな「音楽の力」を、われわれの祖先である古代の人たちもすでに知っていたのではないか、と私は考えています。


ルネッサンス~バロックへ (およそ300年前)

ルネッサンス期における教会旋法では、さきほどの5音階に加えて、「ミ」から5度上に「シ」、「ド」より5度下に「ファ」が加わって、今日の白鍵による7音階ができます。
ド~ラまで6つの音をベースとする6つの教会旋法が生まれますが、「ファ」と「シ」の間は完全5度ではないため、「悪魔の音程」として避けられていました。

「シ」から完全5度上の音は、「ファ♯」です。ここで黒鍵が登場します。
そして「ファ♯ → ド♯ → ソ♯ → レ♯ → ラ♯」という5つの黒鍵が加わって12音の世界へ。

12音すべてを5度の関係だけで取っていくと歪みが生じるため、1オクターブを12で均等に割った平均律という音階がバッハの時代に生まれます。

「音楽の父」と言われるバッハの時代に、平均律による12音階が確立し、今日のピアノの原型であるハンマー・クラビーアが作られ、ストラディバリウスによって弦楽器の名器がつくられていったのは、今からちょうど300年ほど前のことです。


花開くクラシック 古典~ロマン派へ

そしてバッハやヘンデルに次いで、ハイドンの時代に交響曲(オーケストラで演奏される曲)がつくられ、モーツァルト、ベートーヴェンといった古典音楽がドイツを中心に展開し、それがブラームスらによってロマン派へと引き継がれ、イタリア、フランス、ロシアなど各地でも同時多発的に、美しい名曲が作られていきます。

ロマン派以降の音楽は、より複雑なコードの流れによって人間の情感をより豊かに表現し、ときに官能的に、こみ上げる想いや美しいものに陶酔するような境地をも描き出しました。

また、ピアノやヴァイオリンなどの楽器が完成に近い形になるにつれ、それらの超絶技巧を競い合うような曲も多く作られました。

リストやラフマニノフ、チャイコフスキーなどによる、ピアノとオーケストラのゴージャスな編成の音楽は、まるで壮大な映画音楽を聞いているようでもあります。

音楽は、かつての宗教的な場面から、より人間の感情移入を誘うものとして、また舞台芸術や映画といったものと合体し、また各地の民族音楽や舞踊とも合体して、より複合的な芸術へと発展していきます。


◆クラシック以外の音楽~ジャズや民族音楽など~

アフリカから労働者としてアメリカに連れてこられた人たち。もともと楽譜を読む訓練をしたわけでも、幼いころから宮廷音楽に親しんできたわけでもない人たちが、遠く連れてこられた異国の地で、心の叫びを音に託し、黒人霊歌という音楽を創り出し、そこからブルースバラードジャズが生み出されていきました。

ジャズ以外にも、さまざまな国の文化や民族と融合し、舞踊や歌とも相まってさまざまな音楽が地球上にあふれています。

もともと楽譜なんて読めない人たちによってつくられた音楽の中にも、バッハやクラシックにも通じる音の法則がちゃんと存在していることの不思議!人間と音楽との本当に不思議な一面を感じずにはいられません。


◆近・現代の新たな試み

さらに、半音を使わない全音階(メシアンの第一旋法)や、ミヨーのように曲中に複数の調性が同時に存在する音楽、あるいはとくにこれといった調性の存在しない音楽など、これまでのクラシック音楽の流れとは違う音楽(音を数値で捕えるような試み)も創り出されてきています。


長~い音楽史を、とんでもないアラカルトでご紹介してしまいましたが、私なりの結論として…

もともと音楽は人類誕生とともにあったのではないかと思われますが、今日われわれの耳に馴染みのある音楽は、バロック以降の300年間ほどの間に集中して完成されたということです。


よく科学の分野で「100匹目のサル」という喩え話があります。
芋を海水で洗って食べたらおいしかった、それが猿の間に広まり、99匹目までは同じ島のサルに伝達されていきますが、100匹目のサルはまったく違う島でたまたま偶然の発見によって芋を洗って食べた、ということが起こるのです。

人類の長い歴史の中では、科学にしても、技術にしても、音楽にしても…同じような発見が違う場所で違う人によってたまたま同時に起こり、一気に発展を遂げる、ということが実際にあるのですね。

人類が地上に誕生してから20万年も経つのに、自然科学は4~500年、産業革命はせいぜい200年、音楽は300年…と、一時期に集中して発展しているのです。



地球は音楽のあふれる星

ところで、まだ見ぬ地球外生命の中にも音楽を奏でる仲間がいると思いますか?
私は個人的には宇宙人は怖くて嫌ですが、音楽を演奏する宇宙人とだったら会ってみたいと思います。
100年後には「宇宙人類学」や「宇宙音楽概論」といった講座もできているかもしれませんね(笑)。
 
「2001年宇宙の旅」のテーマにもなったR.シュトラウスの「ツァラツストラはかく語りき」やホルストの組曲「惑星」あたりを、地球人と宇宙人と合同で演奏し、巨大なスピーカーを使って銀河系に向けて響かせることができたら…

でも、残念ながらそれはできません。月面や火星でのライブもあり得ません。
なぜなら、空気のない宇宙空間では音は伝わりません から…

少なくとも今分かっている範囲で、音楽を演奏する生命体が存在し、音を鳴らして聴くことのできるのは、空気に満たされたこの美しい地球だけなのです。地球だけが音楽に満たされた美しい惑星なのです。
 


アポロ宇宙飛行士の言葉

1969年、アポロ11号が月面に着陸し、2人の宇宙飛行士が人類初めて月面を歩いたとき、母船イーグルに乗務して月の外周を回っていたコリンズ宇宙飛行士が、月の地平線から昇ってくる美しい地球を見て残した言葉です。

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世界の指導者が  はるか上空から自分たちの星を見たら 
彼らの態度も根本から変わるはずだ

何よりも重視している国境は見えないし
言い争いもぱったり聞こえなくなる

地球は 見える姿の通りにならなければならない

資本主義者も共産主義者もない 青と白の姿に
金持ちも貧乏人もいない 青と白の姿に


→ 「宇宙から地球を見たら…」(2016年2月)

争いごとを起こすのも人間の営み、美しい音楽を通じて、悲しみや優しさを分かち合ったり愛をはぐくむのも人間の営みです。

この地球に生きる人類として、目先の経済(=金儲けの原理)や産業(=企業活動)だけに振り回されることなく、また利害の対立からお互いが傷つけ合い殺し合うような過ちを繰り返すことなく、人間が慈愛に満ちた感情を豊かに取戻し、ともに地球にいられる幸せを感じることができたら…


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プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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