2年目の学び ~音楽療法への道~

5月18日(日)

ちょうど昨年の5月の連休明けに「音楽療法って何?」という記事をこのカテゴリーに書き、年の終わりに学校で発行している雑誌にも掲載していただきました。
早いものであれから1年、新年度の授業も本格的にスタートしています。

今年度、勤め帰りに履修する予定の科目は…

月…臨床MT即興/音楽療法~理論と演習~
火…個人レッスン(主にジャズコードと即興を中心)
水…MTオーケストラ(再履修)/音楽療法~臨床実践~
木…ピアノ指導教材研究/和声学(中級)
金…天平の音楽 (雅楽をはじめ日本の音を中心に)

昨年度は、理論系として音楽心理・神経学、小児医学、対位法を学びましたが、今年度は和声学を除いて音楽療法の実践に近い科目を中心に狙ってみました。

木曜日の「ピアノ指導教材研究」は音楽療法とは直接関係がないようにも思いますが、昨年度リラクゼーション音楽を担当されていた講師に惹かれたのです。はじめてピアノと接する子どもに楽譜の読み方や鍵盤・指使いをどう伝えるか…?
いまちょうど下の娘にもピアノの手ほどき程度は教えているので参考になることもあるでしょうが、人間は楽譜をどう認識し、頭から指にどういう命令が伝わって楽器を演奏するのか、音をどうとらえているのか…といった音楽心理とも深い関係があるのではないかという興味から。
予想はしてましたが、ピアノの先生をされている方の受講生が多く、男性の受講生は私ひとりでした! 生徒の実験台でもなんでもやろうと思ってます(笑)。


今年度の目標 (主に実技)

ピアノに関して言えば、昨年に続いてコードによる即興演奏に慣れること。ジャズピアニストのようにはできなくても、簡単なメロディやよく知られた曲にはすぐに即興で伴奏がつけられ、高さもある程度変えて弾けるように。

1・4・5の和音による3色で描かれる音楽から、7つの白鍵それぞれをベースとする1~7の和音による7色で描かれる音楽、さらに黒鍵も加えた12色で描かれる音楽…それらを自由に使いこなせるようになること(リハーモナイズ)。
楽譜を見て弾く場合も、コードの響きや進み方を意識するようになってきましたので、もう少しアレンジを加えたり、できればちょっとズージャな音(=ジャズっぽい洒落た音)も使えるようになれたらいいなと。

あと、やや理論系なところで「和声学(中級)」。初級を取らずにいきなり中級からですが、あらためて和声とは何かを基本から。
簡単に言ってしまえば「和声=和音(音の響き)のつながり」なのですが、昨年度の「対位法」と同じく、さまざまな規則があるのでそこをしっかり学ばないと。オーケストレーションや編曲を知る上でも大切な理論になります。
復習はもちろん「課題」をこなさないとなかなか先に進めません。五線紙に書いた課題を写メにとって先生にメールで送ると添削してくださるという、とっても素晴らしい最新技術による授業です。木曜日の2限め、出られない日も予想されますが、果たしてちゃんとついていけるかな…?

そして、金曜日はガラッと変わって天平時代の音楽。日本人でありながらこれまで経験したことのない和楽器とも親しみ、「あしらい…アドリブ」「音取り(ねとり)…チューニング」「うら間…あと打ち」…といった邦楽の世界の呼び方も知り、音のとらえ方、描写など。
シルクロードを経由して日本に伝えられた音楽と、日本の音楽の流れ、西洋音楽との融合…雑学的にも非常に興味をそそられるところですが、和楽器によるセッションにもチャレンジしてみたい!


あらためて音楽療法とは?(雑感)

昨年1年間学んでみてあらためて実感したことは、「音楽の力はやはり素晴らしい!」ということ。 そしてつくづく「脳の働きや身体の動きなど、人間って不思議だな~」ということです。でも、ただそれを実感して賛美しているだけでは何の役にも立ちませんね(笑)。

「臨床実践」の講義でも出た話題ですが「治療」と「療法」、「リラクゼーション」ははっきりと違うということです。
病気を治すための「治療」は医学のカテゴリーですが、音楽を用いての「療法」は、直接病気を治せるわけではありません。いま各種の施設などで音楽療法を用いているところはひと昔前に比べて増え、音楽療法という言葉そのものの認知度は上がっているように思いますが、はっきりと完全にオーソライズされているとはまだまだ言えない部分も多いと思います。

お年寄りに関して言えば、パーキンソン病などによって動かない(はずの)身体の機能が音楽(リズム)に合わせて動かすことによって動くようになった、という実例は数多くあります。身体機能の向上もそうですが、脳が活性化したことによる影響も大きいようで、生き生きと明るく元気になった、昔の音楽を聞いて青春時代が回想された、という実例も多いです。

音楽にはそうした不思議な力があることは明らかなのですが、今後より音楽療法の世界を明確なものにしていくために重要なことは、はじめに何らかのエヴィデンスがあり、音楽の力によって何がどう変化したかというアセスメント(指標)が必要になるということです。 STAP細胞ではありませんが、客観的かつ科学的なデータが必要なわけです。

簡単な例でいうと、アメリカのMMSEと呼ばれる知能テストや長谷川式知能テストなどに集約されているような、「お歳は?」「きょうは何年・何月・何日・何曜日ですか?」といった基本的な質問にはじまり、「これから言う4つのものの名前を覚えてください」、「これから言う4つの数字を逆から言ってみてください」、「先ほど覚えてもらった4つのものを言ってください」…といった質問をして、どれぐらい正解できるか、身体を動かしてもらってどの程度動けるか(何ができないか)を最初の段階でしっかり把握しておく必要があるというのです。そうした「現状」のデータがないと、音楽によってどう変化したか(=療法の効果があったか)が明らかにできないからです。

ただ、生身の人が相手ですから個人差もあれば、その時その時の気分の違いもあって、一概に測定することはなかなか難しいと思います。

病院に「入院」する患者たちは、いずれは回復して退院できる方が多いですが、施設に「入所」される方はどうでしょう?本人の日常生活の限界や家族の事情もあって、いつ施設から出られるか先の見えない方が多いです。
そうすると人間だれしも変化のない毎日の中で生きがいを失い、毎日が同じことの連続だけで過ぎていくようになります。「治療」としてできることにも限りがあり、次第に衰えていく部分も多いでしょう。そこにもし音楽があったら…

これは決して施設のお年寄りだけに限った話ではないと思います。まだ働き盛りでも職場のさまざまなストレスの中にあって精神を病んでしまう方、子育てや介護などで気持ちに余裕のない方、さらに若い方でも自分が何のために生きるのか、悩みの中にいる人も大勢いらっしゃいます。 そういう方たちにもっともっと音楽と触れる機会を提供できたら…
先ほどのお年寄りだけを基準にした、記憶力や身体機能といった目に見えることだけを指標にすれば良いものでは決してないと思うのです。


音楽を通じて生まれる人とのつながり

介護士や看護師など、ふだんクライアントと一緒に過ごしている施設の方も、単にお年寄りに「与えてあげる」だけの音楽療法ではなく、一緒に音楽療法の場に参加して「一緒に音楽を楽しむ」ということがとても大切だと思います。

昨年の夏、MT(ミュージックセラピー)オーケストラで鎌倉の清川病院「しるばーほーむ」に訪問演奏に行ってきました。
私もアマチュアで長年活動してきましたから、会場に到着したら会館の方に「おはようございます。間もなく楽器を積んだ車が着きますのでよろしくお願いします」とご挨拶する場面は多々あるのですが、そこの施設のスタッフさんたちは、朝の予定時間よりも30分以上早くこちらが着いてしまったにもかかわらず、「オーケストラの方ですか?どうぞどうぞ、そこのスペースで車止められますか?外は暑いですからどうぞ中でお休みください」などとても親切だったんですね。

聞けば職員のひとりが国立音楽院の卒業生で、病院長ご夫妻も音楽に造詣の深い方。単に演奏依頼だけして「あとはよろしく」ではなく、施設の職員さんたちがみなさん笑顔で一緒に行事づくりを進めていらっしゃる印象で、これこそ現場に大切なことなんだなと思いました。
「鎌倉シルバーホーム訪問演奏」 2013.7.27 

子どもにピアノを習わせるにも、先生のもとに送り届けて「あとはよろしく」ではなく、お母さんも子どもと一緒に音楽と親しみ楽しむ気持ちが大切なのと同じで、音楽はただ「与える」ものではなく、一緒に参加して楽しむものだということです。

音楽に向き合っている時にはふだん見せないような表情を見せてくれたり、音楽の好みや「こんなことできたよ」といった喜びの会話が人と人とをつないでくれます。数値だけでは測定できないけれど明らかに「音楽の力」の効果が見える場面は多いと思うのです。

これらをいかに引き出せるか…?
非常に大きな難しいテーマですが、私なりに追い求めてみたいと思っています。

★学校側や先生方には、ひきつづき私がこのブログに色々と綴ることに関してご了解をいただいております。
関係者の方はもちろん、音楽にちょっと関心のある一般の方からのコメント等お待ち申し上げております。

★日付が変わった深夜にアップし、携帯で修正していたら文字設定がおかしくなっていました。
きょうはこれから両親も眠る富士霊園に墓前礼拝に行ってきます。

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プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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