天皇への直々の手紙について

11月2日(土)

もう11月、今年もあっという間にあと2か月ですね。

ところで、国会議員の山本太郎氏の行動は参議院選以来なにかと話題になってきましたが、今回、園遊会で天皇陛下に手紙を手渡したことに関して、「国会議員として許されることではない」「天皇を政治利用するものだ」「議員辞職にあたる」など与野党の議員の間に大きな波紋を広げています。みなさんはどうお思いでしょうか?

私はこういう話題を出すにあたっていつも申し上げていますが、政治家個人を好きか・嫌いかで発言しないこと、賛同する場合も特定の政党や政治家への支持を呼びかけるものではないこと、あくまで社会の一員として法に照らしてどうかという視点に立つこと、です。

私なりに山本議員の優れた面と問題点とを両面から見てみたいと思います。
みなさんもどうかこういう話題を避けて通らないで、一緒にお考えいただけたら嬉しいです。
そして感情論や誹謗中傷ではない「意見」としてのコメント投稿を歓迎いたします。


一筋通った熱い思いの持ち主

タレント(俳優)から立候補し、必ずしも政治のプロではないが国民の視点に立って政治を変えるんだ、という意思は大いに感じられます。

近いところでは、「秘密保護法案」の危険性について、連日街頭にたち国民に問題意識をもつよう呼びかけました。
政治が財界やアメリカとの結びつきばかりを深め、国民の生活や命よりも利権に傾いて行く流れに対して、問題意識をもって熱く行動していることは私もある程度評価します。


未熟さゆえの軽率さ…?

若いゆえに、多少の失敗はしても突き進んでいくエネルギーに溢れている面はあっても仕方ないと思います。
しかし、ある程度の社会常識というものはあって然るべきだと思います。

つい先ごろ、台風26の被害に見舞われた大島を非公式に訪れ、その様子を自身のサイトで画像を公開していたようですね。公式な役割を担っての訪問ではなくあくまで個人的な「視察」だったようですが、もちろんそれ自体は悪いことではないと思います。

しかし、ヘルメットもかぶらず、やや物見遊山的な「お散歩」と受け取られてもしかたない面は感じました。同行したカメラマンとのやり取りの会話も…
瓦礫の中に生活用品が見えると「ちゃんとまともに生活してたんだな~」、必至で身元不明者の捜索を続けている多くの自衛隊委員の姿に「こんなに真面目に仕事している人もいるんだな」といった感想、さらに「戦争するときと同じ服装っていうのはどうなんだろうね」とか、「自衛隊に入った人の中には人を殺したくて入ったひともいるんでしょう」とか…

山本議員本人の言葉ではなく、同行したカメラマンの発言のようですが、それに受け答えする山本議員本人の声も入っています。

この情報発信に対しては多くの人からのバッシングを受けているようですね。
同行したカメラマンが山本議員の助手のような存在なのか、何歳ぐらいでどういう経歴をもつ人物なのかは存じませんが、あまりにもこの現場の状況にはふさわしくない幼稚な感想だと
思います。

たとえ山本氏自身の発言でなく、発信された情報も記者会見のような公式のものではなく、あくまで「個人的な視察」における「内々の会話」であるにせよ、このような感覚・意識による現地の被災者や自衛隊員の気持ちを逆なでするような幼稚な発言を、堂々とサイトにアップして公表しているというところに、やや社会的な未熟さを感じます。品格と常識を疑われてもしかたないと思います。


天皇に個人的に手紙を渡すことに関して

ここは正直難しいところですね。
天皇・皇后両陛下は、国民の平和を願い、国民の声に謙虚に耳を傾けてくださる方。ごく個人的に「国民の声」として直々に届けること自体は悪くないと思います。

私も所属するオーケストラのリハーサルにも皇后陛下がご来訪されたことがありますが、休憩時間には障がいをもって参加している演奏家たち一人一人にお声をかけられ、われわれオーケストラメンバーらの話しにも謙虚に耳を傾けてくださいました。品格と神々しさに満ち溢れ、多くの人を幸せにしてしまう不思議な力を感じました。

天皇・皇后両陛下は東日本大震災のあと、忙しい公務と体調不良もあるにもかかわらず何度も被災地を訪れ、避難所や仮設住宅に暮らす人たちにやさしく声をかけられ、変わり果てた現地の様子を直接ご覧になってこられました。

一方、現地に一度も入ったことのない政治家や閣僚も多いですし、訪問しても現地でとんでもない失言をして被災地の人を傷つけたり国民から顰蹙(ひんしゅく)を買った議員・閣僚はこれまで何人いたことでしょう?

山本議員が、福島の現状についてどういう手紙を託したのか、その内容は分かりませんが、ひとりの国民として、現地のことを少しでも知ってもらいたいと直々に手紙を宅することは、下手な政治家に期待を寄せているよりは実りある行動かもしれません。ただしそれはあくまで「個人」のレベルならば…


1国会議員としていかがなものか?

山本議員が園遊会の場で天皇に直々に手紙を渡した行為に対して、「国会議員として許されることではない」「天皇を政治利用するものだ」「議員辞職にあたる」という声が議員の間でも圧倒的に多数のようですね。

国会議院は国民の代表である(はずだ)、という根本を忘れて利権にまみれて国民に背を向けている政治家・議員センセイが大勢いらっしゃる中で、彼の行動はあまりに純粋です。

ただ、「園遊会」という場に国会議員(政治家)として招かれた以上、そこで政治家として天皇に個人的に文書を手渡すという行為は、やってはいけない行為だったのではないでしょうか?

天皇の役割は、国会(政権与党)の中で選ばれた内閣総理大臣を「任命」する役割をもち、国事行事に参加すること以外、国会(政治)に対して直接は関わりません。

そういう天皇に対して、1政治家として文書を手渡すという行為は、やはり議員としてはやってはいけない行為だったと言わざるを得ないでしょう。

ただ、彼を批判している多くの議員が口にしているような「政治利用だ」という論理はちょっと違うのではないかな、と思います。
もともと政治の現場には関わ(れ)らない(憲法で定められている)天皇に対して、どういう目的で手紙を渡したにせよ、政治的になんの影響力も及ぼしていただくことはもともと不可能なんですから。いわば「不能犯」のようなものです。



先ほどから書いてきたように、ひとりの国民(個人)として、被災者の代表として、あくまで個人的に天皇と接見できるチャンスがあって、そこで何かをお伝えするのならば問題ないのです。

今の政治は、国民の命や生活をどんどん切り捨て、大企業を中心とする財界にばかり有利な政策に舵を切っていきます。東電も国も無責任きわまりない福島原発の事故処理のずさんさ。それでもなお原発を再稼働させよう、さらに海外に原発を売ろうとする政府…

また、これまで被災地を訪れてとんでもない失言をした政治家や閣僚、個人のサイトで「もともとジジババしかいなかったところに復興なんて必要ない」と暴言(本音?)をつぶやいた官僚もいましたね。

こんな情けない今の日本において、国民の健康と平和を心から願う「国民の象徴」である天皇に、福島の現状を直々に訴えたいという思いは、私の個人的な心情としても大いにあります。

そういう意識をもった人にこそ、日本の政治を変えて欲しい! …そんな思いで彼を応援してきた人も大勢いらしたことでしょう。

それだけに、あまりにも自分の立場や政治家としてのルールといった基本的な認識が甘かったために起きてしまった今回の行為、および広がってしまった波紋はとても残念に思います。

みなさんはどうお考えでしょうか…?

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No title

原発推進派の連中に隙を与えてしまう浅はかな行為であったな…というのが僕の感想です。 
腹黒い連中から「天皇を政治利用するものだ」と叩かれ、見事に政治利用されてしまっています。 
しかし、オリンピックの誘致に皇族を利用した自民党の連中はこれを批判する権利はないと思います。 
彼に今一番必要なのは、その浅はかな思考を補ってくれる「右にも左にも偏っていない」ブレーンです。

Re: No title

鍵コメさん、並びに久保さん、コメントありがとうございます。

鍵コメさん、なぜかメッセージには1000文字を超えると送信できなくなりますが、基本設定で変えられたと思います。私もいま定かではありませんが、わかったらお知らせしますね。今後ともよろしくお願いいたします。

久保さん、ごもっともなご意見です。原発推進をはじめ、財界とくっついた旧態然とした政治の世界に新しい風を入れたい、という人たちが彼を応援してきたはずです。それだけに軽率な行動は謹んでいただきたいですね。
本文に書きそびれましたが、彼のやったことは少なくとも「違法」ではありません。でも、会社でも組織でも一定のルールというものがありますね。新入早々の社員が先輩や直属の上司への相談もなく、いきなり社長や役員に手紙を渡したら非常識と批難されて当然でしょう。

今朝の朝日新聞にもこの件を2~3面で大きく取り上げていました。明治の田中正造と比較するようなコラムもありましたが、大学教授らの複数の意見としても、今の天皇は「象徴」であって政治には直接関与しない立場である点、したがって「政治利用だ」とする批判の声には疑問がある、との論評は、深夜にアップした私のこの記事とも同じ論点だったようです。

プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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