相手の特性(ハンディ)を知ることが第一歩

7月25日(木)

「自閉症」という言葉(症状名)を聞いたことのある人は多いと思います。大きくは発達障がいのひとつです。

私がここ数年、音楽活動を通じて自閉症の人たちとも一緒に音楽をやっているという話を聞いた方から、「一緒にやってて怖くないですか?」と質問されることがあります。

質問される方にはまったく悪気はないのですよ。「なにか突発的に意味もわからず襲われるんじゃないか?」という「怖さ」ではなく、そういうハンディのある方と接するにあたって、色々と分からないこと・やってはいけないこともあるのに、不安・怖さはないですか、という意味のことが多いです。


「さまざまな障がいのある方とも一緒のオーケストラで音楽を」という世界初の試みで2010年3月にNHK厚生文化事業団50周年記念事業『こころコンサート』が行われました。このブログを立ち上げるきっかけともなったコンサートです。

その準備に入った前年の2009年秋から、打楽器パート内にも自閉症のあるメンバーを加えて私がパート練習を見させていただく機会が訪れました。

ちょうどそのころ、重度の脳障がいと視覚障がい(全盲)をもち自閉症でもある天才ピアニストのお母さんが書かれた手記 「レックス」という本(日本語訳)をかみさんが探してきてくれて読みました。
ふだんあまり読書に熱くならない私が、秋の夜長にその本を一気に読み、いよいよ初練習に臨む週末が近づいてきました。

「私は今までまったくそうしたハンディのある方と接したこともないし、音楽指導の資格もない人間。本当に私にできるのか?「一緒に音楽を感じて楽しみましょう」など気楽に接して良いのか…?
非常に不安で怖くなったのをよく覚えています。ですから、私にそう質問される方のお気持ちもよ~く分かるのです。



あれから間もなく4年。今の私なりの答えはこうです。

「ごく普通に接すれば問題ありません。恐れる必要はまったくありません。ただ、相手にちょっとハンディがあるんだということを知り、相手の“特性の一部”として受け入れて接すること。
そして音楽の現場では「一緒に音を感じる」ことに集中すること。そこではまったく対等な仲間なんです」と。

そういう方たちの集中力は素晴らしく、信じられないような才能を秘めていたりもします。

ただ、前もってインプットした予定どおりに事が運ばないと混乱したり、場合によってはパニックを起こしてしまうこともあるので、いったん決めて伝えた予定は極力守ること。どうしても変更しなくてはいけない時には、じっくりよく説明して納得してもらうことが大切です。

また、自分の手足が自分の意思でコントロールできずに勝手に動いてしまったり、意味不明の言葉を発したり、会話がぎこちなかったり…ということもあります。でも本人に悪気はないし、自分が何をしているのかという自覚もちゃんとありますから、「ふつうの人」を基準に「こいつ、おかしいんじゃない?」などと思わずに、じっくり相手の言おうとしていることを分かろうと接することが大切です。そのためにはまず相手にそういうハンディがあるということを知らなければいけませんね。

同じ言葉を何度もくり返したり、不安に思っていたことが解決した時や、緊張を乗り越えていい音が出た時には「グッチョ!」とサインを送るととても安心して笑顔を返してくれます。 彼らの反応はとても純粋で分かりやすく、癒やされますよ。
むしろハンディがない人の中に、ろくに返事もしない、嬉しいのか嬉しくないのか、分かったのか分からないのか分からない、無表情な人って最近多いですよね。そっちの方が「怖い」ですよ。一緒に音楽をやる上でそれはいけません(笑)。



さて、そんな私のはずなのに…
この春から通い始めた音楽学校のあるグループレッスンで、ややハンディのある高校生が2人ほど混じっていることに全く気づきませんでした。

先生が話している時も私のすぐ後ろで鍵盤をパタパタ叩いていたので、「先生が話してるんだから静かにしませんか」とひとこと注意したことがありました。

その人にハンディがあるということを知ったのは少したってからでした。
その授業の先生が主宰する復興支援も兼ねたコンサートにチャレンジドメンバーとして出演されていて、ひとりは自作の曲を、もうひとりは映画音楽を自分のアレンジで演奏されていました。私がまだ学びはじめたばかりのズージャな音(=ジャズのコード)を彼らは見事に使いこなして素晴らしく演奏されるのを聴いて、私は気づかずにあんな注意をしてしまったことが非常に悔やまれたと同時に、彼らの演奏に本当に感激したのです!

そして次のグループレッスンで彼らに会ったとき、「コンサート素晴らしかったよ!」という言葉が私の口から素直に出ました。そして音楽のお話や、彼らが高校生で音楽がとっても好きなんだというお話しを聞くことができました。今では、夕方私が学校に到着してロビーなどで顔を合わせると、とてもいい笑顔で私に挨拶してくれます。

ハンディがあることについて「知らない」「気づかない」ということは最大の罪ですね。
お互いに、触れてはいけない・触れられたくないと封印することが、無理解や誤解を生むのです。とても寂しいことです。

ハンディを持ちながらも明るく前向きに生きていることを恥じる必要はまったくないし、周りもそのことを恐れたり避けて通る必要はありません。自分は医学や福祉の専門的知識はありませんが、相手の「特性」を知ろう、少しでも理解しようという気持ちをもって、ごくふつうに接することができたら、音楽の力はそれ以上に応えてくれて素晴らしいプレゼントをくれるのです。


東田直樹さん「光の中へ」

音楽の世界ではありませんが、きょう(7月25日)の朝日新聞朝刊(生活欄)に、「自閉症の心 あふれる言葉」という記事が出ていました。東田直樹さんという20歳の詩人・作家の方のお話しです。

東田直樹さん詩人
★クリックすると大きな画像でご覧になれます

記事中に紹介されていた、彼のオフィシャルブログ「光の中へ」を調べてみたら、私と同じfc2のブログでした!ここにリンクで貼らせていただきます。

 ★東田直樹さん「光の中へ」


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光とともに

最近みつけて読んだ「光とともに」
http://www.amazon.co.jp/%E6%9C%AC/dp/4253104339
で、だいぶよくわかるようになりました。ご家族が経験されることに胸が痛みますが、こういう記録で、理解する人が増えて欲しいと思います。
作者が途中で亡くなったのが残念です。

これを探していたら、昔ドラマにもなっていたのを知りました。
http://www.ntv.co.jp/hikari/
いつだったのかと見たら、2004 年でした。まだ「連載中」と書いてあるのが、悲しいです。

Re: 光とともに

亡くなられたのは「光とともに」を漫画化された戸部けいこさんですね。ご冥福をお祈りいたします。

コメントを読んで一瞬、まだ20歳の東田直樹さんがもう亡くなられてしまったのかと驚いて新聞記事を読み返してしまいました(笑)。
いろんな方がいろんな書籍・ドラマ・記事を通じて、ハンディのことについてみなさんにも広め、知って考えていただける機会が増えたらいいですね。

スペシャルオリンピックスを支援されているある牧師さんの言葉です。
「どんなに医学や科学が進歩しても、およそ2%の確立で、生まれながら何らかの知的障害をもって生まれてくる人はいる。でも彼らは社会にとって迷惑な存在なんかじゃないんです。私たちに『やさしさ』について考える機会を与えるために生まれてきてくれる、神様からのプレゼントなんです」と。

北西風さまも音楽活動とつなげて、長い目で何かいかがでしょうか…?
いつかどこかでばったりでもご一緒できたら嬉しいですね。
プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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