5度の深~い関係(補完)

◆「下属音」の「下」とは?

2010年の秋ごろ「音階と和音のお話し(2)」という記事を書きました。
その中で、ドレミファソ…の「ソ」=属音、「ファ」は「属音の下にあるから下属音」と書いていますが、それは誤りであることに最近気づきました。

私がまだ中学生のころ、亡き母の持っていた古い楽典の本を夏休みに読んだ(読まされた)記憶があります。その中に下のような図があって、音階の音にもひとつひとつに呼び名があるんだ、ということを知りました。たとえばハ長調の場合…

<図1>
音の呼び名

「主音」のひとつ上にあるから「上主音」、これはそういう意味でいいですね。でも4番目の音(ハ長調ではファ)は「属音」のひとつ下にあるから「下属音」と呼ぶんだ、と思い込んでしまいました。上のような図だけ見るとそう見えませんか?

むしろ「ラ」をなぜ「下中音」と言うのだろうと不思議に思いました。下にある「ミ」が「中音」で、どうして上にある「ラ」が「下中音」なんだろうと…。でも、そういう名前がついてるんだからしょうがないと(笑)。
ちゃんと理解して納得することなく、ただ覚えるだけの勉強なんてそんなもんでしょうね(笑)。

その疑問がお恥ずかしながら何十年もたって解けたのです!

<図2>
下属音・下中音 

「ファ」は、主音「ド」から見て5度下にあるから「下の属音=下属音」!そして「ラ」は下属音と主音との間にあるから「下中音」。
その音を、音階の中に表すためにオクターブ上で表記したために<図1>のようになったんですね。なるほど~そうだったのか~!

いずれにしても「属音」も「下属音」も、「主音」から見て上下にそれぞれ5度の関係です。
古くはピタゴラス音律から音階がつくられたように、5度の音程(=音の間隔)はとても重要です。ある音から上に5度だけでなく、ある音から下に5度という関係も非常に多くの場面で用いられます。

きのうアップした「ズージャな音(3)」の中でも、コード進行「1→6→2→5→1」の6→2→5→1は、すべて5度下・5度下へと移っていく関係です。

ベートーヴェンの「第九」4楽章でも、中間のマーチのあと、トロンボーンのソロを合唱が追いかけるあたりから、ちょっと宗教的な響きが静かに続いていき、やがて「歓喜の歌」の再現に至るまでの間だけでも、ある音から5度下へ、またその音から5度下へ、という展開がたくさん用いられています。

12音の中で、ある音を基準に5度上・5度下の関係は、あたかも大きな宇宙の曼荼羅の中での3位一体の法則のようにも見えます。→ 「12と5 不思議な音の世界」


◆ロクリアン旋法

「6つの教会旋法」という記事を書いたときに、ある方から「ロクリアン旋法はないんですか?」という問いかけを頂いたので、中世の教会旋法の中にはロクリアンはなかったということを追記に書きました(→ 「6つの教会旋法」)が、図解まで入れなかったのでここにあらためて。

ロクリアン旋法とは、分かりやすく言うと「シから始まる白鍵だけの音階」のことです。

ただ、この言い方は正しくありません。
教会旋法では「主音=音階のはじまりの音、基音」という言い方はせず、曲の一番終わりの音=「終止音」という呼び方をします。
「調性」は何の音からはじまる長調か短調かで表しますが、「旋法」は音の並び全体でどんな印象に聞こえるか、つまり「モード」を意味しますから、何の音からはじまるかよりも、何の音で終わるかが重要なのでそういう呼び方になるのでしょう。

でもここではあえて分かりやすく「シから始まる白鍵だけの音階」と言っておきます。

ド~ラで始まる6つの旋法名は「6つの教会旋法」をご覧いただくとして、問題のロクリアンについて見てみると…


<ロクリアン旋法>
ロクリアン旋法 


上の図の中に赤でカッコをつけたシ~ド、ミ~ファの間は半音ですね。シ~ファの間には2箇所半音が入ってきます。
ド~ソ、レ~ラ、ミ~シ、ファ~ド、ソ~レ、ラ~ミ、はいずれも間に一箇所だけ半音が入る完全5度(=半音階で見ると、上下の音も含めて8個分)ですが、シ~ファの間にだけは半音が2箇所に入るため、ちょっと短い減5度(半音×7個分)になります。

中世の教会旋法ではこの減5度の響きは避けられたのでしょう。対位法でもシーファは鬼門のごとく避けられています。

ジャズの世界では減5度は「dim(ディミニッシュ)」といって、ちょっとお洒落な響きとして、あるコードから別のコードに移行する途中などによく用いられます。
例えば、ド・ミ・ソ→ド♯・ミ・ソ(=ディミニッシュ)→レ・ファ♯・ラ など。これがまたいい響きで、これを知らないと人生半分ぐらい損してるような気分になるんですが…(笑)


★なお、先ほどの「主音」「属音」という言い方は今日の音階の中での呼び名です。今日の音階で「シ」から始まる音階は長調ならばロ長調。シ・ド♯・レ♯・ミ・ファ♯・ソ♯・ラ♯・シという並びで、♯が5つ付く音階になります。そこでは主音「シ」と属音「ファ♯」の間は完全5度の関係になっています。

5度をめぐる関係って、深いですね~


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プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

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