砂場から出土した アメリカ型蒸気機関車

上の娘がまだ幼いころ、近所の公園の砂場で発掘されたダイキャスト製の一体ボディの機関車です。
壊れていた車輪などプラスチック部品をはずし、黄色い塗料をリムーバー液ではがして磨き、黒染液で黒く染めた状態。

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水タンク・ボイラーなど蒸気機関車の基本的な構造はちゃんと見られ、大げさなリベットの表現もなかなかいい感じ。車体幅30ミリ弱で、HOゲージの線路に乗せることも一応可能なサイズ。

「そのうちなんとかしてあげるね」と素材箱の中で何年が過ぎたことでしょう。


下まわり

HOナロー用かと思われる小さな3軸枠をジャンク部品で発見! 
二子玉川の模型屋さんの委託販売コーナーで500円! 何人かが気にかけて見てはいたそうですが売れずに残っていました。

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あの機関車のことが頭をよぎり、小型のスポーク車輪(10.5ミリ径4軸セット)とあわせて購入。コの字型のチャンネル材を軸幅に合わせてカットし、軸受内に埋め込みます。絶縁側の車輪が軸受けに当たってしまうと線路上に電気を流した時ショートするので、絶縁素材を片側に貼り付けておきます。

スポーク車輪は小さな貨車か客車用なので、軸の両端の尖った部分を糸のこで切断。
そしてロッド(連接棒)を取り付ける作業。ここが一番の難関です。

ロッドを取り付ける台座を各動輪(あ、まだこれは「動輪」じゃないですね。でも一応そう呼ばせてください)の一箇所に真鍮片を取り付けます。小さな台座がポロっと取れないよう、L字に折り曲げた真鍮片をスポークの間に差し込む形にしてエポキシ接着剤でしっかり貼ります。
台座の位置は各車輪とも左右90度ずらしておきます。蒸気機関車のロッドは押し引きの最大出力の作用する時が左右で補完しあうよう90度ずれているのです。

そして完全に固定したら、すべての動輪の一定の位置(中心から等距離)に1ミリの穴をあけてネジを切っておきます。「砂場遊びの延長」とはいえ、せっかくならロッドのついた動輪がスムーズに転がってほしい!それには正確さが要求される「真剣な遊び」です!

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洋白板(0.5ミリ厚)でロッドを作ります。軸間は第一・第二動輪間が15ミリ、第二動輪・第三動輪間が17ミリ。軸間と同じ間隔で穴を一直線上に正確にあけてから、洋白板を2ミリ幅に切断し、ヤスリでロッドらしく整形。

真ん中の第二動輪用の穴は1ミリネジがスルっと入るギリギリの大きさにしておき、前後の動輪用の穴はほんのわずか穴を前後に広げて小判型に。
取り付けては転がし、外してまたやすりをかけ…あまりやりすぎるとガタガタになってしまってどうしようもなくなったり、ネジ山からすっこ抜けてしまったり…
ぎこちなくも一応転がるようになったら、コンパウンドをつけて何度もゴム板の上を前後に転がしているうちに「当たり」が取れてスムーズに転がるようになればしめたもの!


床板~上まわり

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この機関車は煙突の形状から見て、いかにも西部劇に出てきそうなアメリカ型。明治時代にアメリカから輸入された「弁慶号」「義経号」にちょっと似た機関車がディズニーランドにも走っています。あごひげのような形の大きなカウキャッチャーも特徴です。

発掘したボディは一番後ろが一段下がっていましたが、ボイラーの両脇には水タンクがありキャブの側面には乗降扉らしきものも表現されています。
あえてテンダー車(石炭と水を積む小さな車両が機関車の後ろに連結)にする必要はなさそうなので、段差のあるキャブ後方を切り落とし、後ろを真鍮板(窓ふたつ)で塞ぎ、石炭庫を継ぎ足して「タンク式機関車」にします。

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一方さきほどの下回りの台枠は、後方が少し上がった位置にブレーキシリンダーが付けられているので、これを活かせるよう石炭庫の寸法を合わせ、ネジ止め用の底板を床面より4ミリ上に付けました。

あと問題はシリンダー部分。機関車の前頭部(煙室)の両脇は末広がりになっていて、いかにも外側シリンダーであることをうかがわせます。アメリカ型はほとんどが外側シリンダー方式のスティーブンソン式。
でももうこれ以上ロッド類を加工するのは面倒なので、「内側シリンダーなんだ!」と納得させてしまいました(笑)
きわめて曖昧な雰囲気のシリンダーボックス(幅22ミリ、高さ10ミリの船底型)を真鍮板から作り、シリンダー棒はない前提でリベットのついた丸いパーツを2枚、前面のなんとも中途半端な位置にペタっとハンダづけ。 

曖昧なシリンダーボックスと、ボイラー上のドーム等
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今回ボディ周りで新たに調達したパーツは、あごひげのようなカウキャッチャーのみ。それ以外は真鍮板の切れっ端です。



ボイラーの上にはドーム(蒸気溜め)と弁。でもこんな小さな機関車用の既製パーツはありません。鉄道模型用の部品ではない全く別の発想で「なにか」を探していたら…見つけたのは「えんぴつ」でした!

切断して丸ヤスリで凹みをつけ、丸い真鍮板を曲げて台座に。
その後方には、真鍮板で小さな箱形状のものをつくり、そこに安全弁と汽笛を差し込んでハンダ付け。なんとなく機関車らしく見えてきたでしょうか?

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塗装、組立

明治に輸入された古典機関車を作ったばかりだったこともあり、このような小型の蒸気にはあまり厚塗り塗装はしたくありません。金属はなるべく磨いて黒染液で染め(表面を酸化させて黒くする)、その後で黒のエッヂングプライマーで塗装下地をつくり、最後になるべく薄く吹き付け塗装、という手法を用いました。

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いちおうキャブ内は薄緑に塗装。するとやはり中もなんとなく見えてしまう気がして…

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型どりしておいた炊き口に紙粘土で複製。後方からの石炭取出口を厚手のケント紙で簡単に表現したものを黒く塗ってペタ。木目シートにオイルペイントしたものを屋根裏にペタ。

ついでに鉛のウエイト片も水タンク・ボイラーなど機関車のほぼ中心付近に積んでおきました。動力化はしませんが、ある程度の重量があった方がロッドの転がりもスムーズになります。小型の客車か貨車に動力を仕込んで後ろから押してもいいでしょう。

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どんな色の機関車にしてあげようかな?…なんとなく気分は近鉄のマルーン色でした。
ベースがすでに黒いので少し下地が見える程度に吹き付けたら古びたいい感じになりました。屋根と煙室部分はマスキングして、黒染薬で染まったにぶい光沢をなるべく活かし、最後につや消し黒をほんの化粧程度に吹き付けました。

どこの子に捨てられたのか、砂場に埋もれていたのを発掘してさらに何年…?
いちおう線路の上を転がるように生まれ変わりました。

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後ろのD51と比べて、いかに小さいかがお分かりいただけるでしょう。
洗面所の隅っこにちょこんと置いてみました。


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プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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