B6機関車(3) 上まわり
この秋、下まわりの動力化からスタートしたB6機関車。
その後、上まわりの製作もぼちぼち進んでます。キットではないので、古いジャンクパーツを流用したり、ない部分は真鍮板から切り出して自作したり、他機のパーツと組み合わせたり…、あれこれ考えながら焦らずこつこつと。
◆キャブ・水タンク
古典物の蒸気機関車に定評のある珊瑚模型のバラ売りパーツを利用します。
エッヂング板でリベットが表現されています。真鍮板からの自作ではこれだけのリベット表現はできません。まあ根気よくやる人なら0.4ミリ程の穴をひとつひとつ開けて真鍮線を埋め込んでハンダ付けして表現されるでしょうが、左右の水タンク~キャブにかけてこれだけの数を均等に美しく仕上げるのは大変。ここはエッヂングのパーツを使うのが賢明でしょう。
ただしこれは私が作りたい2400型の原型(空制のための装置を後年とりつける前の姿)とは少し違うようなので、図面をもとにキャブ後ろの石炭搭載部分を切り取ります。
切断したいラインに沿ってまず0.5ミリ真鍮線(丸)をハンダ付し、そのラインに沿って糸ノコで切り落としたあと、真鍮線をヤスリで平にしてエッジに仕上げます。
丸い真鍮線を平らに削るとけっこう幅広く見えます。今さらながら0.4ミリか0.3ミリ線を使えば良かったかもしれません。
水タンク・キャブの側面は同一の床面から立ち上がっています(キャブ内の床だけは一段高くなっています→後述)。歪み・隙間ができないように、水平なところにしっかり置いて側面・キャブ妻板・後部面を組みます。はじめは仮組み程度にポイント箇所をハンダ付けし、全体の水平・歪みがないことを確認しつつガッチリと固めていきます。
◆煙室まわり・ボイラー
煙突のある付近を「煙室」といいます。
機関車の丸い筒の“ボディ”は大きく3つに分かれています。運転室のすぐ前が「火室」で、ここに石炭をくべて燃やし、前方に伸びる「ボイラー」部分でお湯を沸かします。中にはパイプがたくさん通っていてそこを熱気が通るときに周りの水を加熱して沸かします。そして機関車の一番前の煙突のあるあたりが「煙室」です。動輪に動力を伝える蒸気シリンダーもこの煙室の下にあるのが一般的です。
B6の煙室はボイラーよりも一回り太くなっているので、リング(パーツ)と図面をもとに真鍮板(0.4ミリ厚)を丸めて作ります。直径×3.14が円周ですね!
寸法通りに切った真鍮板を、乾電池など固い筒状のもので転がしながらゆっくりと曲げていきます。板の中央部分は綺麗なカーブを描いて曲がってくれますが、末端まできれいに丸くするにはコツがあります。人によっていろいろな方法があるようですが、私はこの乾電池ローラー作戦でじっくりとやりました。
そこにリングと前縁板をハンダ付して固めます。
ボイラーを、キャブ・水タンクのブロックに付けますが、床板面からの高さ・水平の確認も兼ねて、先に作った「煙室」部分をリングで仮につなげた状態でハンダ付します。
煙室部分はまだハンダ付けしません。
煙室部分の前面には煙室戸がつき、真上には煙突がつきます。キャブからは主蒸気管(蒸気をシリンダーに送る管)が、また前面からは手すりがボイラーまで達します。
それらの位置関係をボイラーと揃えるために、この段階でポイントとなる箇所にドリル穴をあけておきます。
◆キャブ内
このタイプの古典機はキャブの窓・出入り口が大きく開いていて中がよく見えます。せっかく小型のモーターのお陰でキャブ内の空間が確保できたので、少しでも「らしく」表現したいところです。
内装に入る前に、まず水タンク~出入り口にかけての手すりをつけておきます。取り付けピンは外側から差し込んで内側でハンダ付けするので、内装の邪魔になる部分はヤスリ取って整形しておくためです。
床となる網目板をキャブ内寸に合わせて切り出し、モーター部分をかき取り、そこにバックプレート(=ボイラーの後端で、石炭をくべる投入口のある部分)が来るようにします。
キャブ内の床は、機関車全体の床板面よりも一段高く上がっているようです。はじめは気づかなかったのですが、どの形式の図面にも出入り口の下に横に一本線が書かれていること、資料写真で見る乗務員の立ち位置などからそう気づきました。
バックプレート(石炭をくべる焚き口)はボイラーと同じ高さにくるはずで、妻板の高さとの関係から、模型では全体の床面より6ミリ上となります。
床の高さが決まったところで、運転席後方面を取り付けます。そこには石炭取出口の扉・取手・ガイドレールを前もってつけておきます。B6にも色々あるようですが、原型では石炭の取出口は横にスライドして開き、受皿は前に飛び出していないようですね。
網目の床板にはあらかじめハンドブレーキを進行方向左の機関士側に、逆転装置を右の助手側にそれぞれハンダ付けしておきます。 逆転装置は真鍮帯の中央に切り込みを入れたものを半丸に曲げ、レバーに挟んで「らしく」しただけのシンプルなものです。
◆水タンクはどこまで?
キャブ内の製作を前に、大いなる疑問がひとつ…
左右水タンクは運転室内まで伸びてきていて、入口のぎりぎり前までせり出しているのでしょうか?
外観からも、窓の下辺は水タンクと一直線に揃っています。斜め後ろから撮影された資料写真を見ると、出入口の前で側面板は内側に折れ曲がるような形状をしています。
実機の内部を詳細に撮影した資料はないので、模型の先人が作例をアップされているサイトから画像を探しました。素晴らしいモデルを作られている方たちがいらっしゃるものですね。なるほど、この作例では出入口ぎりぎりまで水タンクが来ています!
でも、ここまで水タンクに占拠されていたらキャブ内はかなり狭く、機関士たちの居場所は焚き口の前しかありません。またそこからでは丸窓を通して前方もよく見えないはず。いったいどうなってるんでしょう…?
♪
古い資料をめくり何枚もの写真を何度となく眺め、決定的だったのはこの写真。
→拡大
出入口のステップの影に、「通水管」らしきものが見えます。
後方の石炭を積む部分も、側面に斜めにリベット打ちされているラインの下は水タンクです。通水管は前後の水タンクの水位を一定に保つためのものですから、運転室内まで水タンクが来ていることは明らかなようですね。
なのに機関士は窓辺に座って前方を見ているような姿勢です。あとキャブの側面に継ぎを溶接したような痕が見えませんか?
どうやら、水タンクはキャブ内において階段状にかき取られ、そこに運転席・助手席を設けてあるのではないでしょうか?
東京都青梅市にある鉄道公園には、同じB6シリーズの機関車が静態保存されています。実際に青梅まで行けば保存機の運転席内も見られるはずですが、残念ながらあそこまで行って見てくる時間がなかなかないので、ネットで検索してどなたか撮られてアップされた写真がないか探しました。 いまは便利な時代ですね。
全体像は写っていませんが、かろうじて見つけたこの1枚。画面の左手前に見える黒い板は、出入口よりも前方の位置に垂直に立っています。水タンクがこの位置で切り取られているように見えます。
また、日本工業大学には同じB6の2109(2100型)が復元されていますが、その運転台の写真もサイトで見つけました。助手席側の人はちゃんと座って前方を見ています!
これらから、さきほどの資料写真にブルーの点線を引いたような階段状になっていると推測し、0.4ミリ厚の真鍮板でこんな形に作ってみました。
キャブ内の壁面はうすい緑色に仕上げるので、バックプレートとこの階段状の水タンク・運転席は塗装後に接着剤でつける予定ですが、とりあえず仮置きした感じはこんな感じです。
♪
上の写真でみる日本工業大の2109機は、明治期に輸入されて国鉄で使われたのちに、民間(西濃鉄道)へ移籍して、途中で空制式になり、煙突も筒型に変更されたようです。あちこちに改造が加えられ、原型にはなかったものも取り付けられているはずです。
写真では助手席側の水タンク上に、電車のブレーキレバーのようなものが見えますが、これも空制に関連する何かで、動態保存・運転のために増設されたものではないかと判断し、省略することにしました。
明治期に輸入されたB6には仲間がたくさんいて、とくに後期は空制(=圧縮空気でブレーキ等を制御する)が施されたものが多いですが、今回はなるべくシンプルで古典的な雰囲気の「原型」を想定しています。
特定機を再現するのではなく、あくまで「らしく」のレベルで良いのですが、ついつい意味もわからず空制に関するパーツをつけてしまう愚だけは避けたいところですね。
バックプレート周りにはスロットルレバー・圧力メーター・バルブなどをつけるとより「らしく」なるでしょう。ひき続きこつこつやっていきましょう。(つづく)
♪
前の記事→ 「B6機関車(1)工作ことはじめ
「B6機関車(2)下回り」
★頂いたコメントによると、この機関車では右側が機関士だそうです。ありがとうございます!
その後の完成は…
→ B6機関車 ついに完成
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その後、上まわりの製作もぼちぼち進んでます。キットではないので、古いジャンクパーツを流用したり、ない部分は真鍮板から切り出して自作したり、他機のパーツと組み合わせたり…、あれこれ考えながら焦らずこつこつと。
◆キャブ・水タンク
古典物の蒸気機関車に定評のある珊瑚模型のバラ売りパーツを利用します。
エッヂング板でリベットが表現されています。真鍮板からの自作ではこれだけのリベット表現はできません。まあ根気よくやる人なら0.4ミリ程の穴をひとつひとつ開けて真鍮線を埋め込んでハンダ付けして表現されるでしょうが、左右の水タンク~キャブにかけてこれだけの数を均等に美しく仕上げるのは大変。ここはエッヂングのパーツを使うのが賢明でしょう。


ただしこれは私が作りたい2400型の原型(空制のための装置を後年とりつける前の姿)とは少し違うようなので、図面をもとにキャブ後ろの石炭搭載部分を切り取ります。
切断したいラインに沿ってまず0.5ミリ真鍮線(丸)をハンダ付し、そのラインに沿って糸ノコで切り落としたあと、真鍮線をヤスリで平にしてエッジに仕上げます。


丸い真鍮線を平らに削るとけっこう幅広く見えます。今さらながら0.4ミリか0.3ミリ線を使えば良かったかもしれません。
水タンク・キャブの側面は同一の床面から立ち上がっています(キャブ内の床だけは一段高くなっています→後述)。歪み・隙間ができないように、水平なところにしっかり置いて側面・キャブ妻板・後部面を組みます。はじめは仮組み程度にポイント箇所をハンダ付けし、全体の水平・歪みがないことを確認しつつガッチリと固めていきます。



◆煙室まわり・ボイラー
煙突のある付近を「煙室」といいます。
機関車の丸い筒の“ボディ”は大きく3つに分かれています。運転室のすぐ前が「火室」で、ここに石炭をくべて燃やし、前方に伸びる「ボイラー」部分でお湯を沸かします。中にはパイプがたくさん通っていてそこを熱気が通るときに周りの水を加熱して沸かします。そして機関車の一番前の煙突のあるあたりが「煙室」です。動輪に動力を伝える蒸気シリンダーもこの煙室の下にあるのが一般的です。
B6の煙室はボイラーよりも一回り太くなっているので、リング(パーツ)と図面をもとに真鍮板(0.4ミリ厚)を丸めて作ります。直径×3.14が円周ですね!


寸法通りに切った真鍮板を、乾電池など固い筒状のもので転がしながらゆっくりと曲げていきます。板の中央部分は綺麗なカーブを描いて曲がってくれますが、末端まできれいに丸くするにはコツがあります。人によっていろいろな方法があるようですが、私はこの乾電池ローラー作戦でじっくりとやりました。
そこにリングと前縁板をハンダ付して固めます。


ボイラーを、キャブ・水タンクのブロックに付けますが、床板面からの高さ・水平の確認も兼ねて、先に作った「煙室」部分をリングで仮につなげた状態でハンダ付します。
煙室部分はまだハンダ付けしません。


煙室部分の前面には煙室戸がつき、真上には煙突がつきます。キャブからは主蒸気管(蒸気をシリンダーに送る管)が、また前面からは手すりがボイラーまで達します。
それらの位置関係をボイラーと揃えるために、この段階でポイントとなる箇所にドリル穴をあけておきます。

◆キャブ内
このタイプの古典機はキャブの窓・出入り口が大きく開いていて中がよく見えます。せっかく小型のモーターのお陰でキャブ内の空間が確保できたので、少しでも「らしく」表現したいところです。
内装に入る前に、まず水タンク~出入り口にかけての手すりをつけておきます。取り付けピンは外側から差し込んで内側でハンダ付けするので、内装の邪魔になる部分はヤスリ取って整形しておくためです。

床となる網目板をキャブ内寸に合わせて切り出し、モーター部分をかき取り、そこにバックプレート(=ボイラーの後端で、石炭をくべる投入口のある部分)が来るようにします。

キャブ内の床は、機関車全体の床板面よりも一段高く上がっているようです。はじめは気づかなかったのですが、どの形式の図面にも出入り口の下に横に一本線が書かれていること、資料写真で見る乗務員の立ち位置などからそう気づきました。
バックプレート(石炭をくべる焚き口)はボイラーと同じ高さにくるはずで、妻板の高さとの関係から、模型では全体の床面より6ミリ上となります。

床の高さが決まったところで、運転席後方面を取り付けます。そこには石炭取出口の扉・取手・ガイドレールを前もってつけておきます。B6にも色々あるようですが、原型では石炭の取出口は横にスライドして開き、受皿は前に飛び出していないようですね。

網目の床板にはあらかじめハンドブレーキを進行方向左の機関士側に、逆転装置を右の助手側にそれぞれハンダ付けしておきます。 逆転装置は真鍮帯の中央に切り込みを入れたものを半丸に曲げ、レバーに挟んで「らしく」しただけのシンプルなものです。
◆水タンクはどこまで?
キャブ内の製作を前に、大いなる疑問がひとつ…
左右水タンクは運転室内まで伸びてきていて、入口のぎりぎり前までせり出しているのでしょうか?
外観からも、窓の下辺は水タンクと一直線に揃っています。斜め後ろから撮影された資料写真を見ると、出入口の前で側面板は内側に折れ曲がるような形状をしています。
実機の内部を詳細に撮影した資料はないので、模型の先人が作例をアップされているサイトから画像を探しました。素晴らしいモデルを作られている方たちがいらっしゃるものですね。なるほど、この作例では出入口ぎりぎりまで水タンクが来ています!

でも、ここまで水タンクに占拠されていたらキャブ内はかなり狭く、機関士たちの居場所は焚き口の前しかありません。またそこからでは丸窓を通して前方もよく見えないはず。いったいどうなってるんでしょう…?
♪
古い資料をめくり何枚もの写真を何度となく眺め、決定的だったのはこの写真。


出入口のステップの影に、「通水管」らしきものが見えます。
後方の石炭を積む部分も、側面に斜めにリベット打ちされているラインの下は水タンクです。通水管は前後の水タンクの水位を一定に保つためのものですから、運転室内まで水タンクが来ていることは明らかなようですね。
なのに機関士は窓辺に座って前方を見ているような姿勢です。あとキャブの側面に継ぎを溶接したような痕が見えませんか?
どうやら、水タンクはキャブ内において階段状にかき取られ、そこに運転席・助手席を設けてあるのではないでしょうか?

東京都青梅市にある鉄道公園には、同じB6シリーズの機関車が静態保存されています。実際に青梅まで行けば保存機の運転席内も見られるはずですが、残念ながらあそこまで行って見てくる時間がなかなかないので、ネットで検索してどなたか撮られてアップされた写真がないか探しました。 いまは便利な時代ですね。

全体像は写っていませんが、かろうじて見つけたこの1枚。画面の左手前に見える黒い板は、出入口よりも前方の位置に垂直に立っています。水タンクがこの位置で切り取られているように見えます。
また、日本工業大学には同じB6の2109(2100型)が復元されていますが、その運転台の写真もサイトで見つけました。助手席側の人はちゃんと座って前方を見ています!

これらから、さきほどの資料写真にブルーの点線を引いたような階段状になっていると推測し、0.4ミリ厚の真鍮板でこんな形に作ってみました。


キャブ内の壁面はうすい緑色に仕上げるので、バックプレートとこの階段状の水タンク・運転席は塗装後に接着剤でつける予定ですが、とりあえず仮置きした感じはこんな感じです。
♪
上の写真でみる日本工業大の2109機は、明治期に輸入されて国鉄で使われたのちに、民間(西濃鉄道)へ移籍して、途中で空制式になり、煙突も筒型に変更されたようです。あちこちに改造が加えられ、原型にはなかったものも取り付けられているはずです。
写真では助手席側の水タンク上に、電車のブレーキレバーのようなものが見えますが、これも空制に関連する何かで、動態保存・運転のために増設されたものではないかと判断し、省略することにしました。
明治期に輸入されたB6には仲間がたくさんいて、とくに後期は空制(=圧縮空気でブレーキ等を制御する)が施されたものが多いですが、今回はなるべくシンプルで古典的な雰囲気の「原型」を想定しています。
特定機を再現するのではなく、あくまで「らしく」のレベルで良いのですが、ついつい意味もわからず空制に関するパーツをつけてしまう愚だけは避けたいところですね。
バックプレート周りにはスロットルレバー・圧力メーター・バルブなどをつけるとより「らしく」なるでしょう。ひき続きこつこつやっていきましょう。(つづく)
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「B6機関車(2)下回り」
★頂いたコメントによると、この機関車では右側が機関士だそうです。ありがとうございます!
その後の完成は…
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