B6機関車(2) 下回り

11月27日(火)

3連休を明けて、ふたたびテツなテーマです。
前回、3軸動輪にシリンダー機構とモーターを取り付けるところまでご紹介しました。(→「B6機関車(1) 工作ことはじめ」を参照)

集電装置→自走テスト

さっそくあの後、集電装置(2本の線路から両極をとる)をつけました。進行方向左の絶縁側、第2・第3動輪に弾力のあるリン青銅線を当てるように、小さな銅板をフレームとは絶縁した状態で(紙をはさんで)ネジ止めします。
進行方向右側は絶縁になっていないのでフレームから直接モーターへ結線します。モーターの取外しの便を考えて左右とも小さなスナップボタンを接点にしました。


集電1 集電2
★クリックすると大きな画像でご覧になれます

さっそく線路に乗せて通電してやると、とってもよく回ってくれます!小さくてもシールドモーターの力は結構強く、古典機関車には充分のようです。 「よし、いちおう動くようにできたぞ!」ということで、いよいよB6機関車の下回りを目指します。

とはいっても、これはキットではありません。たまたま上まわりのジャンク部品(ボイラー・キャブ側面など)がいくつか手元にあったところへ、3~4年前に入手したこの3軸動輪がちょうどB6型機関車の寸法にあっていました。そして3~4年たった今になって手がむずむずしたのです(笑)。
これまで何度となく部品を手に取ってはあれこれ考えてきたことを「形」にしていく作業。前後関係を考えたり壁にぶつかったりもまた楽しいプロセス。


従輪

というわけで、まずは動輪の後ろにつく1軸の従輪から。
図面と資料を参考に、ジャンク部品としてキープしていた国鉄の大型蒸気の前輪を流用できないか思案。車輪の径、スポークのデザインはいいとして、アームの寸法も取り付け方もまったく異なるため、まずはアーム部分を根元から切断して軸受けボックスだけを活かします。軸受け部分はロストワックスで、軸が落ちないように裏板をネジ止めする構造だったので、そのネジ穴を生かして、裏蓋をそのまま延長する形の連接棒(ドローバー)を0.5ミリ厚の真鍮板で切り出します。

従輪1 従輪2

でも一枚板のドローバーではいかにもおもちゃ!ここは完成してもよく見えそうな位置にあります。先ほど切断したアームの両サイド部分を切り落としてドローバーの両側にハンダ付け。ネジ隠しも兼ねて精密感が出ていい感じになりました。


フレーム後方を延長

次にフレームの延長。もともと3軸動輪だけの機関車用、前後両端がカーブで切れ上がっているので、そのカーブの始まる部分(画像の赤い縦線)で切断します。

フレーム後方1

ここからフレームを後ろに延長しますが、資料写真や模型の画像などを色々見てみるとどうやら動輪部分よりも少し内側に曲がって狭くなっているようです。

フレーム後方2 フレーム後方3

車両の長さは決まっていますから、従輪の振れに当たらないよう、上の写真のような方眼ケント紙で試作して現物合わせしながら寸法を出し、最終的にその寸法で0.5ミリの真鍮板を切り出し、フレームの内側にハンダ付けします。


ランボード(床板)

動輪・従輪を含めフレームが出来たところでランボード(床板)を作っておきます。
このB6は、ボイラー~運転台~石炭庫までがすべて同一平面の上に乗っかる形になっています(キャブ内の床だけが一段上がっていますが)。
近代機のように前後・中間でランボードがアップダウンしていないので、上回りと下回りはこのランボードですっきり分けられる構造です。

ランボード1

ランボードのベースをまず0.8ミリ厚の真鍮板を切り出し、動輪やモーター部分が飛び出す部分を切り取ります。
その上に0.4ミリ厚の真鍮板を重ねて二重構造にします。ハンダゴテで充分熱して両サイド・切り出し穴の辺からハンダをしっかり浸透させて2枚をガッチリ貼り合わせ。

ランボード2 ランボード3

ランボードの幅は縮尺図によれば30ミリ。ただし上板を30ミリ幅ぴったりに、ベースの厚い板は29ミリ幅にしてあるので、上板が前後・左右に0.5ミリずつはみ出す形に仕上げます。ベース板の切取り部分をガイドに上板も切取り、エッジを仕上げた状態。がっちりした床板の出来上がりです。


連結器の高さ調整

元祖イギリス型では、左右に車両を押すための丸いバッファーがつき、連結器に当たる部分には引っかけフックのついたスタイル。この機関車にもそんな時代のスタイルがよく似合います。でもそれでは私の鉄道村では他の車両と連結できません。

このB6機関車は昭和40年代まで入替用などに生き残った長寿の機関車ですので、今日の連結器のつけられたスタイルで今回の模型も再現することにします。

連結器高さ調整1 連結器高さ調整2

レール上面から10.5センチの高さに連結器の中心が来るように調整します。
例によって治具を使って「前よ~し!」 、「後ろよ~し!」
連結器高さ調整4 連結器高さ調整3


連結器のお話し

機関車トーマスもそうですが、かつてイギリスからやってきた機関車はフックで鎖を引っかけて客車や貨車を索き、押すときは左右のバッファーで押すスタイル。
この写真はイギリスのワイト島で今も保存運転されている機関車の連結部分です。
006_20101030233652.jpg

明治時代にイギリスから日本にやってきたB6機関車も当然ながらこんなスタイルをしていましたが、その後わが国では「連結器の大革命」が起きます!

握りこぶしのような形の連結器がお互いに握り合うような形の「自動連結器」に統一されました。
機関車が貨車や客車にゆっくりと接近して1m手前でいったん停止し、「ポッポッ」と汽笛が短く2回なるとゆっくり慎重に進んで「ガチャコン」と連結する、あれです。とてもよくできた構造なのでなるべく簡単にご紹介しましょう。

自動連結器1 ライブ模型「技工舎」のページより

手のひらを半開きにしたような器の中に、向かって左側に可動式のアーム部分があります。このアームが開いた状態だと器の中央あたりに突起が見えますが、この突起部分はアームと一体です。ここの突起をもう一方の連結器の閉じたアームの背でぶつけると、突起部分が引っ込んでアームが「ガチャン」と閉じます。

でも連結する時の「ガチャコン」の、「コン」にあたる音は?
それは、アームが閉じると器とアームを中で貫通する形で貫木(かんぬき)のような鉄の棒が「コン」と落ちる音です。これでアームが固定されて引っ張っても外れなくなるのです。

そして切り離すときは、この貫木状の鉄の棒を抜かなくてはいけません。それを上に持ち上げて抜くために「開放てこ」がついています。車両わきからてこを持ち上げると、中央部分に鎖でつながった貫木が持ち上がってアームは動く状態になり、連結器は外れます。
開放てこは連結器の下から操作できるスタイルのものもありますが、機関車でとくに貨車の入れ替え作業をするほとんどのタイプは上に持ち上げるタイプです。下の図で手すりのように見えるのが「開放てこ」です。

自動連結器と開放てこ

自動連結器は1868年(日本では大政奉還の翌年)に発明家イーライ・ジャニーによって生み出され、その確実性と作業の利便性から、アメリカでは1893年にハリソン大統領によってこの方式が義務化されました。

日本の鉄道技術はイギリスから入ってきたので、連結器もイギリスと同じフック式でしたが、北海道だけはアメリカから車両を入れていたため一部に自動連結器が採用されていました。

やがて全国的に鉄道輸送の需要が高まるにつれ、確実で操作性にすぐれた自動連結器への移行が求められ、当時の鉄道省の命により1925年(大正14年)の7月、国内のすべての車両の連結器が一斉交換されました。
当時の鉄道関係者にとってこれは一大事業。数年前からこの構想に向けて自動連結器が大量に作られ、機関車・客車・貨車の全車両の床下に「弁当箱」と当時呼ばれた木箱がぶら下げられ、そこに前後2個ずつ自動連結器が格納され、一斉切り替えのXデイにその車両がどこにいても交換できるように備えたといいます。そして同年7月17日に本州で、九州では同20日に、たった1日にしてすべての車両が自動連結器に交換されました。
この自動連結器への統一によって鉄道は大きく発展し、日本の高度成長を支えたといっても過言ではないでしょう。

その後、電車やディーゼルの固定編成の旅客列車では「密着型連結器」が生まれます。電車は通常3両に1両の割合で動力車、ディーゼルカーは各車両に動力があるため、車両同士のガタつきがないように密着していた方が乗り心地がよくなります。

密着型連結器 
密着型連結器(ウィキペディアより)

しかし、機関車が前で牽く客車や貨車の場合、全車両が密着してしまっては動き出すのも大変。むしろ握りこぶしのような形の中に少しずつガタつきのある自動連結器で前の車両から順々に力が加わっていく必要があります。また切り離しや車両の組み換えにも自動連結器は便利、今日でも日本をはじめアメリカ・カナダ・中国などで広く採用されて、連結器といえばこの形と言ってもよいほど普及しています。

以上、連結器の歴史のお話しでした。



エンドビーム (開放てこ・ステップなど)

連結器が中央に顔を出す、機関車のエプロンのような部分がエンドビームです。
自動連結器にするとなると、当然ながら「開放てこ」もつけなくてはなりませんね。
細かい工作になるのでいっそ省略したくなりますが、やはりないと寂しいのが「開放てこ」なんです。

ハンダの熱伝導を考え、まずはエンドビームをランボードに直角につけます。
それからリベットのついた台座を連結器をはさんで左右に2箇所ずつ、前後合計8箇所にまずは平面でハンダづけします。このあとの作業中にぽろっと取れると泣くに泣けないので、たっぷりとハンダを流してつけ、余分なハンダは銅のメッシュで吸い取ります。

そして台座とランボードを万力にしっかりはさんだ状態で、台座を90度ひねり、4つの穴に0・4真鍮線を通し、中央の連結器の上の部分を引っ張り出すように曲げ出して形を整えます。
あらかじめこの形に曲げた真鍮線を通しながら、台座を一つずつハンダ付するのは至難の技。色々やった結果いちばん確実なのがこの方法のようです。

エンドビームまわり

あと前方にのみステップをつけます。資料写真を見てもステップがついているのにポール(つかみ棒)がなかったり、ステップ自体もあったりなかったり…。とくに後方にはステップのないタイプが多いようです。おそらくキャブから少し身を乗り出せば後方は見やすかったでしょうし、連結部分もすぐ近くにあるので、後方のエンドビームにステップで立ち乗りして旗を振る必要はあまりなかったのでしょう。

このB6型は明治・大正・昭和と長く活躍し、国鉄から民間に移籍した仲間も含めてさまざまなバリエーションに富んだ機関車。どの車番のいつの時期の…と具体的に特定して厳密に再現するのではなく「あくまで雰囲気で」、気楽な決断で工作をすすめていくことにします。



以上、下回りのフレームとランボードを合体させた状態を裏側から。
裏側1 裏側2
裏側3

動輪にはブレーキをビス止めし、左右3個のブレーキシューは0.4洋白線でつないで「引き棒」らしく見せます。空制ではなく手動の時代設定のためブレーキシリンダーは付けません。

これで大体ランボード以下の下回りはほぼできあがりました。あと第一動輪の上につくカバー、運転室へ上がるステップ、前後の水タンクの水位を一定に保つための通水管などは、上まわりとの関係を見ながら順次つけていく予定です。

下完成1 下完成2

下回り、ランボード(床板)、上回り(ボイラー・水タンク・キャブ等)は最終的にはビス止めします。
前方はシリンダーの真下からボイラー前(煙室)へ1本。後方は石炭庫の内部に左右2本を考えます。
後方に延長したフレームは、連結器の台座を両サイドから挟む形で8ミリ幅にしてあるので、そこから両サイドに羽を広げたような形でアングルを5ミリずつ出し、そこにネジ穴を切っておきます。

今はランボードに2ミリのタップを切って2ミリネジで固定してあるのでややゴツく見えますが、上回りができたらランボードの穴はスルーとし、1.7ミリネジで上回りを固定することになります。 

下回り完成1 
下回り完成2 下回り完成3

B6という機関車について、および工作の事始めについては、冒頭にもご紹介した前の記事「B6機関車(1)工作ことはじめ」をご参照ください。
 
そして、この先の工程は…
→ B6機関車(3)上まわり

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まとめ【B6機関車(2) 下回】

11月27日(火) 3連休を明けて、ふたたびテツなテーマです。 前回、3軸動輪にシリンダー機構とモー

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はじめまして

はじめまして、模型を作るのに様々な考証をしているのに関心しました。幾つか気になったことがあるのでコメントいたします。まず、B6は作業局時代の正式な形式名です。鉄道院時代に2100・2120・2400・2500と分かれてしまったのでB6タイプなどと呼ばれるように成ったのでしょう。また、空気ブレーキに改装される前は真空ブレーキでしたので大きなブレーキシリンダーが付いていました。

Re: はじめまして

ひもブレーキ様

上回りの記事へもコメントいただき、貴重な情報提供ありがとうございました。

そうか~、たしかに真空ブレーキのシリンダーはあってもいいわけですね!
私の手元にある、珊瑚模型でいただいた各形式の模型用縮尺図面によると、空制タイプにはキャブ後方下にブレーキシリンダーが描いてあるのですが、原型にはなかったもので…(もしかするとフレームの間の外から見えないところに上から下に向く感じで何かついているのかも…) 
プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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