B6機関車(1) 工作ことはじめ

秋深し…
食欲の秋、紅葉の秋、芸術の秋…そしてもうひとつ、模型の秋です。

細かい部品を見ているだけでも汗がダラダラ流れてくる真夏は、ハンダごてなんてとんでもありません! 手のかじかむ真冬も作業がおっくうになりがちです。そう、春や秋の気候のいいころは模型づくりにもベストな季節。
でも、なにかと土日は予定も入る忙しい時期。健全な時刻に帰宅して食事した後、ひとりの時間のお楽しみ。寝不足にならない程度に、決して焦らず、一晩でひと工程できればラッキー!


◆古典的な蒸気の下まわり

さて取り出したるは、数年前に入手してあったジャンク部品のひとつ。古典的なある蒸気機関車の3軸動輪です。

下1 
クリックすると大きな画像でご覧になれます (以下同じく)


洋白のロッド(連接棒)は3軸を結んでいますが、実は真ん中の動輪のところで分割されているため、関節のように可動式です。
前動輪がわずかに上下に動くようにして、左右の軸受け部分にりん青銅の針金でスプリングを施してやれば、本物のような3点支持ではありませんが、かなり精度の高いスムーズな走りが期待できそうです。

キットではなく、たまたまこの形式のジャンク部品がいくつか手元にあった中から、こちらはシリンダーまわり。蒸気の力でピストンを出し入れして動輪を動かす心臓部です。

下2 下3

上下のスライドバーの間を、ピストンに接続したクロスロッドが前後にスライドする古典タイプ。上下のスライドバーが機関車の動輪面に完全に水平に、上下が完全に平行になっていないと前後運動にひっかかりが出てしまいますから、シリンダーにしっかりハンダ付けした後も歪みを直したり目の細かいヤスリをかけたり、焦らず慎重に調整します。

スムーズな動きが得られたところで、メインロッドを第二動輪に接続し、ピストンの前後運動がちゃんと収まる位置がフレーム内の定位置になっているかをよく確認し、シリンダーブロックをフレームにハンダ付け。ここで上下・前後の水平が狂っていたらスムーズな動きにならないので細心の注意が必要です。

下4

そして線路の上に乗せて転がしてみると…
うん、なかなかいい感じです!


モーター(動力化)

下5

鉄道模型用のモーターにも色々あります。以前は大型モーターでないと機関車としての力が出ないので、運転室内にまでモーターがはみ出しているのは我慢するしかありませんでした。運転室内の窓が風通しよく開けられ、「窯焚き」部分を再現したいために、あえてモーターは入れずに“レプリカ”(非動力)で作った機関車もあったぐらいです。

でも、最近の「缶モーター」と呼ばれる仲間(アルミの筒型)は、小型でもとても強力で回転も安定しています。小型の電子部品の発達とともにモーターもどんどん小型化して進化してますね。

下6 

12Vの鉄道模型にも流用できるこちらのモーターは、胴の径がちょうど10ミリ。この機関車のフレーム間にぴったり収まる寸法です。
仲介のパイプで軸の太さを調整してウォームを差込み、第二動輪のギアに当たるようにします。なるべくシンプルな構造で確実に…今回は∩の字の台座を1mm厚真ちゅう板から切り出してフレーム内にブリッジするプランに即決しました。  

下7 下8

∩字台座にはモーターの取付穴に合わせて穴をあけますが、若干タテ長の小判型の穴にしておきます。ウォームとギアのかみ合わせを微妙に浮かせて微調整できるためです。

台座の穴の一番下にモーターをしっかりネジ止めした状態で、動輪のギアにうまくウォームがしっかり当たるよき位置を決め、台座金具をフレーム内に軽くハンダ付けして「位置決め」します。いったんモーターを外して、台座をしっかりとハンダを流して本止めして再びモーターを固定。電極をつないでやると…

下9

Oh! 快調に回ってくれました! あとは集電のしかけを作ってやれば線路の上を走れる状態になるはずです。

昔はよく、作りたい車両を見るとまずはボディ(上まわり)から作り始め、後で下まわりの寸法は?、動力はどうする?、などと悩んだものです。
最近は、まずは下まわり(動力系)から始め、うまくいきそうな見通しが立ったところで安心して上まわりに思いをめぐらせる方が気分的に楽しくなりました。


さて、「ある機関車」とは?

B6資料 

冒頭でなぞかけのように書きましたが、これは「B6」というタイプの機関車です。タイプと書いたのは、正式な形式名ではないからです。

以前このカテゴリでご紹介した蒸気機関車の型式表示を覚えている方なら「あれ? 動輪が3つあったら『C』のはずじゃないの?どうして『B』なの?」と思われるでしょう(そう思っていただけるとこの先が書きやすいんですが…笑)
 蒸気機関車の動輪配置

機関車の型式の一番頭に動輪の数(2軸=B、3軸=C、4軸=D…)をつけるように国鉄が定めたのは、国産の機関車をつくるようになった昭和になってからなんです。

一方こちらは、明治時代に外国から輸入された機関車。2軸の蒸気機関車を「Aタイプ」、3軸のものを「Bタイプ」と呼んでいたんですね。だからこれは「Bタイプ」になります。

B6資料1a B6資料2
 NEKO PUBLISHING  「B6回顧録~国鉄編~」より

写真を見ていただくと、大宮の鉄道博物館にある1号機関車(新橋~横浜間を初めて走った汽車)、愛知県犬山市の明治村に動態保存されている12号機、そしてなにより「トーマスに似てる!」と思いませんか?

それもそのはず。1889(明治22)年に東海道本線の全線開通に備えてイギリス(ダブス社)から輸入された「2120型」という機関車が「B6」のはじまりです。

「2120型」と並んで、似た形式の「2100型」「2400型」「2500型」を「B6トリオ」などと呼ぶこともあるようです。 日露戦争のころには、似た形式の機関車がイギリスのほかドイツ、アメリカからも輸入されました。機関車の輸入の歴史を見ると日本の外交史が分かると言ってもいいでしょう。

1905年までの16年間で輸入された機関車は530輌にのぼり、明治時代の輸入機関車のほぼ4分の1をこの「B6一族」が占めていたことになります。

急勾配やカーブにも強い貨物用として、昭和になってからも操車場での入替え作業や支線で活躍を続けました。また、国鉄から民間・私鉄・鉱山などへと移籍した仲間も多く、私がまだ小学生だった昭和40年代まで生き残っていた仲間もいたほど長寿な機関車です(遠い記憶の中にうっすらと、このタイプの機関車を実際に見たことがあるような…)。


B6は蒸気の歴史を語る

そんな経緯からも推察できるとおり、この「B6」にはさまざまなタイプがあります。
煙突の形、ボイラーの上にのったふたつのコブ(蒸気溜めと砂箱)の前後の位置などもまちまちですが、構造上のもっとも大きな違いは、次の2枚を比較してご覧ください。

どちらも同じ2500型なんですが…

B6資料2500図面

B6資料2500(空制)図面 

★この形式に造詣の深い「珊瑚模型」さんから分けていただいた模型用資料です。
 表示画面からフレームアウトしていたら、画面をクリックするとフル画面でご覧になれます。


上の「原型」はすっきりしていて、「汽笛一声新橋を…」と歌われた一号機関車風ですが、下の方には何やら機械類やタンクが積まれ、パイプの配管類が複雑ですね。
これらは、蒸気の力でコンプレッサを回して圧縮空気を作り、ブレーキなどを空気制御するためのもの。左頭のサイドについている縦型のポンプのようなのがコンプレッサで、機関車の両サイドに細長く曲がりくねったのが冷却管。ここを通って冷やされた圧縮空気をエアタンクに溜めます。運転席の下にはブレーキシリンダーとブレーキてこも見えます。これらは昭和以降の近代型蒸気ともほぼ同じ形をしています。

つまり、これぐらいの大きさの機関車では、ブレーキなどをすべて手動で操作することも可能だったということです。そして蒸気機関車の進化の過程がこの機関車を色々見ていると分かるような気がします。

今回のモデルは、なるべくシンプルな古典的な1台にしようかな、と思っています。
またこつこつと製作が進んだら追加記事に更新していきましょう。

つづき→ B6機関車(2)下回り
 
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プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

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