企業&政治のデュエットが またしても明るみに

原発の安全神話を見直すべく、今ある原子炉の耐用年数を検証して40基を廃炉へ…というニュースが流れたのがきのう1月7日(土)。
その翌8日(けさ)の朝日新聞の一面トップ記事は…

東電マネー・政治献金 ★クリックすると大きな画面でご覧になれます

過去に東電が“政治献金”していたことが明らかになった政治家10人の名前が公表されました。
自民党や民主党議員をはじめ、かつての通産大臣経験者など経済産業省と強いつながりのある面々が上がっています。

政治資金規正法で、1回あたり記載義務のある20万円を超えない範囲で、講演会や勉強会という名の参加費を払ったりパーティ券を購入。
政治家の秘書から東電に対して購入依頼に訪れたり、中には「払って当然でしょ」という態度で要求した秘書もいたとか…

企業の存亡をかけて政治家に「よろしくお願いします」、政治家の側もそれを分かっておねだり…政治家センセイと企業との癒着の構造がまたしても明らかになりました。
政治資金規正法を知り尽くして、法の目を潜り抜ける姑息な手段をちゃんと心得て…

しかし、昨年暮れの「東電が電気代を20%値上げ」の時にはフェイスブック上でも何人かが「ふざけるな」といった記事を書くなど反響がありましたが、今回のこのニュースには私の知る限り誰も触れていません。
正直申し上げて「やっぱりね!」「今さら驚かないでしょ!」「わざわざ書く気にもならん」といった冷ややかな見方が大方なのではないでしょうか?


◆企業と国とのデュエット構造

震災直後に、私はこのカテゴリで、これまで日本が原発を推進してきた歴史に軽く触れました。
原発事故に思う(1) 

唯一の被爆国である日本が、戦後アメリカに寄り添うように原子力の平和利用を旗印に原発を開発してきました。「鉄腕アトム」に象徴されるように「心正しい科学の子」として。

「核」も「原子力」も同じ意味ですが、「核」は大量破壊兵器を、「原子力」は平和利用の安全で豊かなエネルギーを生み出すもの…というような言葉の見事な住み分けも日本ではなんの疑問もなく受け入れられてきました。

太陽光発電など自然を利用した安全な電力を各家庭や地域でまかなうための技術開発もあったはずなのに、“安くて安全な”原子力発電を進めるための研究開発に莫大な国費を投じ、電力会社が電力供給を独占する道を日本は選択してきたのです。

政治と企業とのデュエットがその背景にあったことは言うまでもありません。
ここに来て東電が政治献金をしていたことが明るみに出ても「何をいまさら?」「当然やってたことでしょうね」…となるわけです。


◆もし本気で“科学技術の進歩”を目指すなら…

昨年3月の震災直後に私が書いたブログ記事の後半は、「原発反対論 & 原発推進論があり得るのでは?」という話で結びました。

どんな科学技術でも、開発段階で失敗はあり得ます。失敗によって「それみたことか」と反対に回るのは簡単です。

江戸の大火のあと、平賀源内は「燃えない火があればいいのに」という夢のようなことを言いましたが、のちに電球が発明されました。かつての飛行船は水素ガスで浮かんでいたため爆発事故を起こしましたが、その後は安全なヘリウムガスで浮かぶ飛行船ができました。
新しい技術は失敗・犠牲を伴うこともありますが、それを乗り越えてより安全な技術を生み出していく努力をやめてしまったら、技術の発展はありえないのです。時代を逆戻りすることはできないのです、と。



私も本音を明かせば、原発に頼らない自然エネルギーを生かした電力供給の道を模索し、国民もこれまでなんでも電気に頼ってきた生活を見直し、原発は最小限に抑えるべきだと思っています。
ただ、東電という企業の中にも、これまで自分の人生をかけて原子力開発に取り組んできた真面目な社員も大勢いるだろう、という前提で申し上げるなら…

今回の政治献金の相手が、なぜ経済産業省に太いパイプのある議員なのか?…というところに失望を覚えます。

「原子力」に関する技術は本来「科学技術庁」の所管で、「どうねん」も確かそうだったはずです。それがいつのまにか「経済産業省」の所管に移ったんですね。原子力は安全だという前提で、“企業活動”として原発がとらえられて久しいということでしょうか?

事故のあと毎日のように会見に登場した「原子力安全保安院」の人たちも経済産業省がらみの“お役人”なんでしょう。彼らはもともと原子力の専門家ではありませんから、安全基準となる放射線の単位であるシーベルトとマイクロシーベルトを間違えたり、とんでもない間違い発言をして翌日訂正する、福島の避難生活者の前に出ても何も説明できない…といった失態を繰り返したんです。

もし本当に国民の命と安全を守りたいなら、どうしてもっと原子力や危機管理の専門家を前面に出さないのか!?…と。

もし今からでも、より安全な原子力発電について真剣に見直し、「原子の火」を消すことなく電力会社としても起死回生を図ろうと本気で思うのであれば、科学技術の専門家の英知を集めるべきでしょう。原子力の専門家だけでなく、地震や津波のエネルギーについて研究している優秀な科学者だっているはずです。

企業からの姑息な政治献金は許せませんが、仮にそこを百歩譲って、もし科学技術庁に太いパイプのある議員に「よろしくお願いします」の意味で献金がなされていたとしたら、私はむしろ企業としての将来ビジョン・姿勢だけは認めてもいいと思いました。

でも少なくとも、今日の記事に出ていた10人の政治家の面々にも、献金した東電側にも、本当に将来への科学技術を考える姿勢も国民の命と安全を守ろうという姿勢も見出せません! そこに怒りを感じるのです。

皆さんはこのあたり、どう思われますか?

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No title

そうね~、マジメに原子力を研究して危機管理能力を備えた専門家を締め出して、利権にまみれた議員なんかのご機嫌伺いをするよーな委員会は意味がないわね~。
そもそも・・・議員数が多すぎるって。
あんだけ議員がいたら、トーゼンお金もかかるから献金もいるだろうし、記載義務のない少額献金を繰り返すような姑息な企業が出てくるのよねぇ。
まっ、脅して献金させちゃう素人(悪徳?)議員を選出している有権者も自覚しないとねー。大企業は色々な意味で責任を負っているわけで・・・。
なんだか、難しいお話は分かりませんけれど、カンタンにシンプルに考えれば今の政治がおかしいってこと、気が付くわよねぇ。
被災者のみならず、全国民が怒っている(あきらめている?)のがわからない政治家なんて、いらないわ~。
早く総選挙すればいいのに。ってか、投票する政党がないんだけれど。
消費税うんぬん言う前に、やることやれっつーのっ!
国家公務員の給料より、議員のアンタたちだろっ!!

Re: No title

姫様、ここはちょっと難しい問題なのですが、たしかに私も政治家(議員)の定数がアメリカと比べても日本は多すぎる、ということはずっと思っていることで、それは記事にも書いてきました。
ただ、今回の私の怒りは、政治家(議員)すべてを憎むことが必ずしも趣旨ではありません。

姑息な手段で政治資金規正法にひっかからない範囲で献金した東電といい、東電の弱みに付け込んで献金を要求した政治家側といい、きわめて狭い視野で自分の目先の利害ばかりを追いかけている、ということについてなんです。
科学技術としての原子力に人生をつぎ込んできた技術者も東電にはいるのなら、なぜもっと将来へのビジョンを描けないか、と。
国民の命と安全を守る姿勢も、企業としての将来ビジョンもモラルもない…そういう人ばかりがカネの原理で姑息に動いている、ということが腹立たしいのです。
プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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