中国ひき逃げ事件 決して他人事(ひとごと)ではない!

中国でのあまりにも信じがたい事件を受けて、遅番の出勤前に取り急ぎ記事を書きましたが、これは決して“よその国の驚くべき出来事”ではない、“明日はわが身の憂うべき事態だ”と私は思っています。



もう6年も前になりますが、アメリカ(シアトル中心)を旅した時の様子をこのブログの「★旅」のカテゴリーに載せました。あの10日間ほどの旅からの帰りに機内で最初に目にした日本のニュースは、埼玉県ふじみ野市のプールで小学生の女の子が吸い込まれて亡くなった事故のニュースでした。

2006年7月、埼玉県ふじみ野市の流れるプールで、吸水孔の蓋が外れていて、それを見つけた人が事務所に知らせに行っていたわずか10分ほどの間にその事故は起きたのです。
機内の新聞でその記事を読んだ直後の私の感想は、「まわりの大人たちは いったい何をしてたんだ!?」 でした。

その後、監視員が適切な資格を持っていなかった、吸水孔の蓋はだいぶ前から外れていて針金で止めていた…などさまざまな管理体制の不備が浮かび上がってきて、プールを管理する会社および行政の責任が厳しく問われました。

でも、それはそれとして、事故が起きたのは夏休みの真昼間で、まわりには大人たちが大勢いたはずです。たとえ適切な資格は持っていなかったとしても、一応「監視員」という立場の人間もいたわけですよね。
中学生以上の常識のある人だったら、流れるプールの吸水孔から水を吸い込む力は相当大きく、蓋が外れた状態では非常に危険であることぐらいわかるはずです。

監視員も一般客も、まだ泳いでいる人たちに向かって「危険です!すぐにプールから上がってください!」と繰り返し叫んでプールから上がらせることがどうしてできなかったのか…??


ところが、その後の報道でも、そのような視点で報じられたことは一度もなかったように思います。 もっとも、もしマスコミがその点に触れたら、その時プールに居合わせていた特定の人たちを非難することになってしまうので、それはできなかったでしょう。

まして、亡くなった女の子の母親もその場に居合わせていながら助けることができなかったのですから、そのショック・悲しみは計り知れません。とても「周りは何をしていたんだ」なんて言えませんね。

むしろ安全を守るべき立場にある会社・行政のあまりにずさんな管理体制とその後の対応ぶりに皆の目は向けられました。 
この事故のその後について詳しく書かれたある方の記事を見つけましたのでご参考まで。
  ↓
http://h8me.at.webry.info/200608/article_3.html

しかし、少なくともあっという間の出来事でどうすることもできずに突然流されて吸い込まれてしまったのではなく、危険を知らせに行ってから10分という時間があったのです。
立場や責任とはまったく別の次元で、すぐ近くにいた人たちが危険を感じ、もっと大きな声を出して協力し合っていたら、少なくとも尊い命を守ることはできたのではないか…?

危険な場所は、必ずしもずさんな管理体制のプールだけではありません。
大自然でも災害でも、すべての箇所に資格を有する監視員を置いて全責任を負わせることは不可能です。その場にいる人たちの、きわめて常識的な想像力・判断力、ちょっと声をかけ合い協力する表現力・行動力があれば防げる犠牲も多いと思うのです。


想像力がない
   自分の問題として考えられない
    上から言われたことしかできない(=やろうとしない)

「うっかりしたことを発言すると責任を取らされるから」「相手はどんな人かわからない(非常識な人も多い)から、下手に関わらない方がいい」… そんな風潮から、“無責任・無関心・見て見ぬふり”が当たり前になってはいないでしょうか?

犯罪や事件の多くはやってはいけない行為によって起こるのがほとんどですが、中には“やるべきことを何もやらないことによって起こる事件”も最近多いように思うのです。
贈収賄などの不正や犯人隠匿などは、悪いことであると分かっていて何もしない、見て見ぬふりをする。自分には関係ない、怖くなって逃げる…。最近とくに増えている「ひき逃げ」などもまさにその典型といえるでしょう。 「不作為犯」というものです。



東京のT電鉄会社の玉川田園調布駅で、車いすの方がホームから転落して亡くなられました。でもその駅では、何年か前にもやはり車椅子の転落事故が起きていて、エレベーターを降りたホーム面に傾斜があって危険だということは分かっていたにもかかわらず、当時の駅長が安全柵を設けるなどなんの対策もとらなかったのです。裁判所もその責任を認めた“人災”と言えるでしょう。

死亡事故に至らなくても、ちょっとした案内の不備(不案内、紛らわしい表示など)、危険の可能性のある箇所はあちこちにあります。設備を造り替えるには予算も時間も必要ですが、ちょっとした案内のしかたひとつ、運営の仕方ですぐにでも改善できることはたくさんあります。
紛らわしいサインにはとりあえず紙とセロテープを貼って隠す、逆に安全のために必要なサイン(矢印ひとつで済む場合もある)は、とりあえず厚紙にマジックで書いて貼るぐらいのことは、ものの5分もあればできることです。やる気さえあれば…

私もおせっかいながら、もともと鉄道は好きですし、分かりやすい表示方法には常々関心をもっているので、気づいたことはなるべく駅員に進言することがあります。
でも、対応する駅員さんの多くは、助役クラスのある程度の権限のある人でさえ、こちらの話(簡単にできる提案)を聞く態度からしてすでに“他人事(ひとごと)”のような印象を受けるのです。
無表情に「貴重なご意見があったことは上に伝えます」と。ちっとも真剣に「なるほど!(それはいいアイディアだ)」という顔をしていない。目が死んでいるんです。無表情でいかにもやる気なさそうに、“仕方ないから一応聞きました”という態度。

電鉄会社だけに限りません。上から言われたこと、マニュアルとして決められたことだけは(しかたなく)やるんでしょうが、一番現場に近いところで、何も感じることはないのでしょうか? 自分の仕事に喜びも使命感も持てないんでしょうか? 

まったくの他人事(ひとごと)みたいに、「まあ上には伝えますが、自分たちには権限がないから…」
これって、原発事故の説明会で現地に赴いたものの、あまりに無能でなんの権限もなく、何を言っても“糠に釘”・“のれんに手押し”で、かえって被災地の人たちの逆鱗に触れるような結果だけを残して帰ってくる偉い人たちの姿そのものではないでしょうか?


◆ことばに表れる“生きる姿勢”

前に「★コミュニケーション」というカテゴリの中で、「ヘツライ語を斬る」という記事を書きました。「~~の方」「~~ですね」「~~となっております」…これを3大ヘツライ語と呼ぶと。

単に言葉尻だけをとらえた問題ではなく、そういう言葉が蔓延する背景・深層心理として、

●あいまい表現でぼかす →当たり障りなく丁寧に、ことなきを得よう
●「です、ます」で言い切らずに「~~となっております」と表現することで、「これは私が決めたことじゃないんです、そういうルールに決められているんです、どうか私を責めないでください」という“個”としての責任回避だ ということを書きました。
   ↓
http://resolutely.blog6.fc2.com/blog-entry-271.html


そういう言葉の端々にも、人としての生き様が見え隠れしているように思うのです。
たしかに組織の大小を問わず、ひとりの判断で決断・決定はできません。組織全体の責任問題にもなってしまいますから、うっかり下手なことは言えません。

でも、人としての感情・常識・想像力をもっていたら、いま目の前にいる人たちの訴えていることに真摯に耳を傾けて理解することはできるはず。
「せめてこうしてあげたい」「こうすべきだ」という気持ちを強くいだいて組織内部(上層部)に進言し、少しでも現場を安全にスムーズに、利用者の立場に立ってできる限り応えてあげたい!それが本来の人間の姿ではないでしょうか?

どんなボランティア団体であっても、音楽団体であっても、地域や学校の集まりであっても。
ましてお金をいただいてサービスを提供する立場にある企業や、国民の命と安全を守る立場にある公務員ならなおさらそうあるべきでしょう。

なるべく余計なことで人と関わらないように、責任を負わされないように…
常識的にわかること・感じること・考えることをやめてしまった人たち…
自分に関係あるごく限られたこと以外はまったく関係ないと思って生きていけてしまう人たち…
自分に与えられていることを活かそうとせず、できることをやろうとしない人たち…etc.

そういう人がどんどん増えていったら、世の中いったいどうなってしまうんでしょうか…?


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プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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