「音の小部屋」 ブレーンストーミング

7月20日(水)

都内の多くの学校ではきょうが終業式、明日から夏休みでしょう。
私も学生時代を思い出しつつ、自主的な「夏の宿題」を作ってみました。



むかしピアノを習ってた人も、楽譜はまったく読めない人も、「音」を聴いてなにも感じない人はいないでしょう。

人はなぜある音の並びを聴いて「あ、この曲知ってる。どこかで聴いたことがある」と分かるのでしょうか?
懐かしい曲を聴くと、昔の出来事が鮮明によみがえってくるのはなぜでしょうか?
音の組み合わせ(並びや重なり)で、人はなぜ明るく感じたり暗く感じたりするのでしょうか?
そういうことは、和声学や楽理の本には書かれていません。

そんな音の不思議、音の面白さ・奥深さ…を。
私が長年音楽と付き合ってきて不思議に思ってきたこと、当たり前のように使ってるけどあらためて「?」と思うこと、この3年間で学んだこと…それらを私なりにまとめています。



クラシック畑にありがちな「楽譜がないと弾けません」から脱却したい、ドミソ・ファラド・ソシレの3色だけでなくもっとお洒落なコードで伴奏したい、即興ができたら…

大人になってからでもあらためて音楽についてもっと知りたい、それぞれの生活の中で音楽と付き合っていきたい…そんな方にも、なにかお応えできたらと。

これまでにもこのカテゴリーに書いてきたテーマを、簡単な項目だけポストイットに書いて貼りながら、
「音の不思議」→「音階(スケール)と和音(コード)」→「即興などへの応用」…
といった流れを追って整理してみました。


12の音はどうやって生まれたのか?

12音の誕生20160720

クロマニヨン人、ネアンデルタール人…おそらく石器時代の人たちも、石や動物の骨をたたいたり、フレームに弦を張ってはじいたり、竹を切って吹いたり…「音」を「楽しむ」ことはしていたでしょう。

しかし5度の響きに着目して、音の高さは比率であることを発見したのは、紀元前の数学者・ピタゴラスでした。今日の科学で解明されている5度(ド~ソ、ラ~ミなど)の音程は、周波数の比率として2:3(ラ=440Hz、ミ=660Hz、平均律では若干狭い)。

でもピタゴラスの時代にはそんなことは分かっていなかったでしょう。ただ人の耳で聞いて、その比率の2音は素晴らしいハーモニーを感じさせたのでしょう。

その原理で、ド~ソ、ソ~レ、レ~ラ、ラ~ミ…と、完全5度の音程で音を取っていったら12個目で同じ音に戻ってきた。そこで12音が誕生しました。

5音階(ペンタトニック)→ファとシを加えて7音階(7つの白鍵)→5つの黒鍵を加えて12音へ
そう、12の音はすべて倍音率でできていたんです!

音楽史ならぬ「音の歴史」ですね。



音階と和音
  ~人はなぜその音を聴いて「明るい・暗い」と感じるのか?~



音階と和音20160720

5音階から12音階が生まれた当時、まだピアノなどの鍵盤楽器はありませんでした。
だから今日のように「白鍵・黒鍵」とか「半音」といった概念はなかったはずです。

しかし、12音の中から7つの音を選び出して並べたもの(=音階)には、明るいものと暗いものがある。2つの音の間隔には長いところと短いところがあって、どの音から並べるかによって「音階=階段の形」が変わり、明るい・暗いなど色彩が違ってくる、ということには人々は気づいてました。

今日あるのは明るい「長調」と暗い「短調」の2種類ですが、中世には6つの教会旋法がありました。7つの白鍵だけを使って、何の音から始めるかによってどこに半音の位置が来るかが違うので「階段の形」が変わり、明るい・暗いといった表情が変わります。

逆に、12の音のうち何の音からはじめても、その「階段の形(=半音のくる位置)」さえ同じになっていれば、おなじ「調べ」として聞こえます。

「何調はシャープがいくつ」などと「覚える」より、その感覚を分かることが大切です。


♪コードに慣れる近道

和音(コード)も、「覚える」より「原理を分かる」ことが大切です。

A~Gまで♯や♭も含めて12の音があり、それらをベースとする明るい3和音(メジャーコード)と暗い3和音(マイナーコード)、それだけでも24個です。

さらに7thがついたもの、明るい和音の一番上の音を半音上げたオーギュメント(増3和音)、一番下の音を半音上げた(または暗い和音の一番上の音を半音下さげた)ディミニッシュ(減3和音)…

それらをすべて一覧表にして「覚える」のは大変ですし、仮にそうやって全部覚えたとしても実際の場面では使えません(笑)。
ではどんな方法がおすすめか…?

たとえば単純なハ長調の7つの白鍵だけでできている7つの3和音(=7本の「だんご3兄弟」)を、1~7までの度数で、明るい和音、暗い和音、最後のちょっと変わった和音…という組み合わせとしてとらえるのです。

あまり深入りしないと言いつつ、ここだけはちょっと説明しておきましょう。

ハ長調の7色コード

この7つの和音を子どもに聞かせると、ほぼ間違いなく「ドミソ」「ファラド」「ソシレ」の3つを「明るい」と答えます。
すべて白鍵だけのハ長調、どれも同じ手の形でつかめる3和音なのに、どうして明るい響きと暗い響きができるのか…?

それは、白鍵の隣同士でも、ミ~ファ、シ~ドの間には黒鍵がなく「半音」、他よりちょっと短いんです。

長3度(全音・半音)

3度の音の重なりにも、この半音の箇所を含むかどうかで長いところと短いところができて、その組み合わせで和音の響きが変わるのです。

音符の上に赤で [ マークを付けたところ、ド~ミ、ファ~ラ、ソ~シ、の3か所は、間に半音の箇所を含まない長い3度(=長3度)。それ以外の3度はいずれも半音の箇所を含む短い3度(=短3度)です。


♪和音としての明るい・暗い

ドミソ、レファラ、ミソシ…などの3和音(=3つの音の重なり)が、響きとして明るく聞こえるか暗く聞こえるかは、このことと関係します。

長い3度(赤)の上に短い3度(青)が乗っかると明るい響きになります。ドミソ、ファラド、ソシレの3つは、下の2音(ド~ミ、ファ~ラ、ソ~シ)が長い3度で、その上に短い3度が乗っかっているから明るく聞こえるのです。
逆に短い3度(青)の上に長い3度(赤)が乗っかると暗い響きになります。レファラ、ミソシ、ラドミは、下の2音が短3度で、上の2音が長3度。だから暗い響き(マイナーコード)に聞こえるのです。

つまり決め手は真ん中の音。真ん中の音が半音下がると暗い響き(マイナーコード)になるのです。
合奏や合唱をやる方なら、真ん中の音が下がると響きが暗くなることは感覚としてお分かりのはずです。それを和音でも感覚としてつかむのです。

明るい3和音(=長3和音)の真ん中の音を半音下げてやればマイナーコードになり、逆に暗い3和音(=短3和音)の真ん中の音を半音上げてやれば明るいコード(長3和音)になります。


ほかの何の音を基準にしても、音階の7つの階段の形は同じで、その7音でできる7つの和音の明暗の配置は同じです。
たとえばト長調ではファに♯がつき、ヘ長調ではシに♭が付くことで、ハ長調と同じ「階段の形」になりますから、7つの音で構成される7つの和音の明暗も同じ配置になります。

そのようにしてコードを覚えていく方が実践的で、どの音(=ベース音)でも原理は同じですから、「覚える」要素は少なくて済み、いきなり「使える」ようになります。

たとえ楽譜が読めなくても、コードを使ってピアノを弾ける道も近いのです。


コードの循環 ~響きの色変わり~

ここは実際に音を出しながら理解していくところなので、言葉で表せるのはポストイットに書いて貼ったあたりが限界でしょう。


コード循環~響きの色変わり~20160720


とかくメロディがまずありきで、それに合った伴奏としてのコードを探しがちではないでしょうか?
即興や伴奏を難しいと感じるのは、「このメロディになぜこのコードが合うんだろう?」がなかなか分からないのが原因です。

逆に、右手では「シドレド~」と同じことを弾き続けて、左手でさまざまなコードを合わせてみると、どれもそれぞれいい響きで調和します。

有名なショパンやラフマニノフ、あるいは映画音楽など「あの美しい名曲はどんなコードの流れでできてるんだろう?」と見てみると、じつは同じようなコード循環でできている曲がけっこうあったりします。

これらのことから気づくのは、メロディにコードが付いてるんじゃなく、コード(響き)の移り変わりがベースにあり、そこにメロディが乗っかって音楽はできているんだ、ということ。

おなじ単純なメロディにも、違うコードの響きを合わせることで違った味を出すことができます(=リハーモナイズ)。

コードの循環はまさしく「響きの色変わり」なのです。

そこにはある流れの法則があります。この響きは次にどこに行きたくなるか、5度の引力、この響きから次のこの響きに移る中間にこんな響きを経由する…etc.


音楽で用いられている「音」は、単体で存在しているのではなく、お互いが結びついたり引き合ったりしているのです。
発電機やモーターの音が「ある音程」で鳴り続けていても、それは「音楽」ではありません。
ところが「音楽」としての音は、ひとつの音だけで単独で存在していることはなく、他の音と響き合ったり、結びついて音楽の流れを作り出しています。そこには「重力」・「引力」のような力が働いているような気がします。

コード循環(=響きの色変わり)とは、まさにそういうことなんじゃないか…?

そのコード循環を自由に使えたら、決まった曲(メロディ)の伴奏だけでなく、響きの色変わりだけを味わって遊べますし、詩の朗読・テラピーなどの伴奏を即興でつける といったことにも応用できるでしょう。



以上、ここまで手書きのポストイットを貼り付けたシートが3枚。
大きな画像でご覧になりたい方は、下をクリックしてください。


12音の誕生20160720 音階と和音20160720 コード循環~響きの色変わり~20160720



これは今月から「音の小部屋」を訪ねてくださる40代男性を対象に考えたひとつのモデルです。
その方のニーズに合った内容で、5回~10回のプログラムを個別に考えさせていただきます。

なお、ここに挙げた個々の内容について、これまでこの「★50代ことはじめ~音楽療法の世界へ~」というカテゴリーの中で「音」に関して書いた記事をまとめたページがあります。
実際に音を出してみれば簡単なことでも、文章だけで理解するのは大変でしょうが…

→ 音の不思議をあらためて

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プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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