「5度時計」を本当の時計にしてみました!
5月20日(金) <改>

以前このカテゴリーで「12と5 音の不思議な関係」という記事を書く際に「5度時計」というのを作図しました。
♪
紀元前の数学者ピタゴラスが鍛冶屋さんの前を通ったとき、二人が打つハンマーの音が美しくハモっていた(←当時はそんな言葉はなかったはずですが…笑)
そこで好奇心あふれるピタゴラス先生は、二人のハンマーを借りて、重さを比べたんですね。そして「音の高さは比率で決まる」ということを発見したんです。
今日の科学では、「重さ」の比率ではなく、振動する物体の振動数(=周波数)で音の高さは決まるのですが、5度(=ド~ソ、レ~ラ、ラ~ミなど完全5度)は「2:3」という比率なんですね(ラ=440Hzなら、ミ=660Hz)。
日本の正倉院にも、古くシルクロードから伝わった楽器の説明書のようなものが残っていて、竹の筒を2:3の長さに切って…といった図解があります。
人間の耳にもっとも美しく聞こえる完全5度というのは、2:3という倍音率だったんですね!
今のような絶対的な「ラ」とか「ド」という音程がもともと決まっていたわけではなく、「ある音」を基準に、その音ともっとも美しく響く5度の倍音率で音をとっていくと、12回目で元の音に戻ってきた!
そうして12音階が誕生したのです。
♪
話を現代に戻して…
「ド」を基準に5度の関係で音を並べていくと、まさしく時計のように12時の位置で元の「ド」に戻ってきます!
以前作図した原紙が残っていたので、カラーコピーで拡大して木のパネルに貼り、時計のムーブメントと針を取り付けて、本当の「時計」にしてみました(時計のムーブメント…1500円、時計の針…380円)!
「音の小部屋」にふさわしいオリジナル時計ができました!

ところが…!!
★逆転の発想!
実際に時計になって針が動くのを見ていると、時計回りにド→ファ→シ♭→ミ♭→ラ♭→レ♭…と5度ずつ下がっていって、その音を主音とする音階(長音階)の調性としての「♭」の数が一つずつ増えていくよりも、ド→ソ→レ→ラ→ミ→シ…と上に5度ずつ上がっていって「♯」の数が一つずつ増えていく方が気持ちがいいんじゃないか?
ちょうどこの文字盤の逆回りですね。5度の関係・法則はどっち回りでも変わりませんが、「時計」として見るには逆回りの方がしっくりくるのではないか…?いきなり2時の位置から「黒鍵の世界」に入るのもなんだし…思いはじめると気になるもの。
逆回りの時計を見ているようで気持ち悪く感じられてきます(笑)
原紙も目の前にあって、コピーの拡大率も覚えていて、製作意欲が失せないうちに…反対回りの文字盤を作り直しました!


針とムーブメントを外して比較。やはり右(新)の方がしっくりいきます。
◆あらためて「5度時計とは?」
右回りに5度ずつ高くなっていく新バージョンであらためて。

真上の「ド」から時計回りでひとつ進むごとに「ソ→レ→ラ→ミ→シ…」。
ここまではすべて白鍵の音で進んでいきます。
それぞれの音ではじまる音階(=長音階)の調性としての「♯」の数がひとつずつ増えていきます(ト長調=♯1つ、ニ長調=♯2つ、イ長調=♯3つ…)。
「シ」(=5時)の次の音は…?
そう、ファではないんですね。シ~ファの間には半音が2か所に入り、完全5度よりも半音短い減5度。中世までは「悪魔の音程」と言われて避けられていたんですね。
シから完全5度上は「ファ♯(=ソ♭)」。♯で表しても6つ、♭で表しても6つの調性。それがちょうど「6時」の位置なんです!
そしてここから黒鍵の世界に入り、「ソ♭→レ♭→ラ♭→ミ♭→シ♭」と5つの黒鍵を進みます(←5つの黒鍵は5度の倍音率でできていたんです!)。
時計の左半分、♭系で見ると、時計回りに進むごとに「♭」の数が一つずつ減っていきます。
そして「シ♭」(=10時)から完全5度上は「ファ」(=11時)。ここでふたたび白鍵の世界に戻ります。
「ファ」から始まるヘ長調では♭は一つ。そして真上の12時では♯も♭も「0」のハ長調に戻ります。
時間を刻む時計と、音の法則、なんか不思議なほど似てると思いませんか?
◆5度時計から見える音の不思議
ある音から5度上へ5度上へ…と右回りに並べてあるので、当たり前といえば当たり前のことなんですが…
それぞれの音をベースとする3和音で見ると、どこを見ても、ある音を中心に右隣り(=ひとつ先)は5度上のドミナント(=属音をベース)、左隣り(=ひとつ前)は5度下(=4度上)のサブドミナント(=下属音をベース)。そしてドミナントとサブドミナントに挟まれた中心がトニック(=主音をベース)、という関係になっています。
まるで日光菩薩と月光菩薩に挟まれた阿弥陀三尊のような、あるいは父・子・聖霊の三位一体のようですね。そして全体は「音の十二支」とでも言いましょうか、宇宙を描いた曼荼羅のようでもあります。
そしてもうひとつ、この時計の対角線を見ると…
「ド」の対角線は「ソ♭(=ファ♯)」、「レ」の対角線は「ラ♭(=ソ♯)」、「ミ」の対角線は「シ♭(=ラ♯)」…
いずれも、ある音をオクターブで鳴らした時にちょうど真ん中の音(=1オクターブを2等分する音)です。
完全4度と完全5度の中間の「完全4.5度」?…いやいや、そんな呼び方はありません(笑)。増4度、あるいは減5度ですね。
ある音をベースとする3和音を「表のコード」とすると、その対角線にある音をベースとする3和音は「裏コード(代理コード)」と呼ばれる関係ですが、そこはちょっと音に関する専門的な話になるのでまた改めて…

以前このカテゴリーで「12と5 音の不思議な関係」という記事を書く際に「5度時計」というのを作図しました。
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紀元前の数学者ピタゴラスが鍛冶屋さんの前を通ったとき、二人が打つハンマーの音が美しくハモっていた(←当時はそんな言葉はなかったはずですが…笑)
そこで好奇心あふれるピタゴラス先生は、二人のハンマーを借りて、重さを比べたんですね。そして「音の高さは比率で決まる」ということを発見したんです。
今日の科学では、「重さ」の比率ではなく、振動する物体の振動数(=周波数)で音の高さは決まるのですが、5度(=ド~ソ、レ~ラ、ラ~ミなど完全5度)は「2:3」という比率なんですね(ラ=440Hzなら、ミ=660Hz)。
日本の正倉院にも、古くシルクロードから伝わった楽器の説明書のようなものが残っていて、竹の筒を2:3の長さに切って…といった図解があります。
人間の耳にもっとも美しく聞こえる完全5度というのは、2:3という倍音率だったんですね!
今のような絶対的な「ラ」とか「ド」という音程がもともと決まっていたわけではなく、「ある音」を基準に、その音ともっとも美しく響く5度の倍音率で音をとっていくと、12回目で元の音に戻ってきた!
そうして12音階が誕生したのです。
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話を現代に戻して…
「ド」を基準に5度の関係で音を並べていくと、まさしく時計のように12時の位置で元の「ド」に戻ってきます!
以前作図した原紙が残っていたので、カラーコピーで拡大して木のパネルに貼り、時計のムーブメントと針を取り付けて、本当の「時計」にしてみました(時計のムーブメント…1500円、時計の針…380円)!


「音の小部屋」にふさわしいオリジナル時計ができました!

ところが…!!
★逆転の発想!
実際に時計になって針が動くのを見ていると、時計回りにド→ファ→シ♭→ミ♭→ラ♭→レ♭…と5度ずつ下がっていって、その音を主音とする音階(長音階)の調性としての「♭」の数が一つずつ増えていくよりも、ド→ソ→レ→ラ→ミ→シ…と上に5度ずつ上がっていって「♯」の数が一つずつ増えていく方が気持ちがいいんじゃないか?
ちょうどこの文字盤の逆回りですね。5度の関係・法則はどっち回りでも変わりませんが、「時計」として見るには逆回りの方がしっくりくるのではないか…?いきなり2時の位置から「黒鍵の世界」に入るのもなんだし…思いはじめると気になるもの。
逆回りの時計を見ているようで気持ち悪く感じられてきます(笑)
原紙も目の前にあって、コピーの拡大率も覚えていて、製作意欲が失せないうちに…反対回りの文字盤を作り直しました!


針とムーブメントを外して比較。やはり右(新)の方がしっくりいきます。
◆あらためて「5度時計とは?」
右回りに5度ずつ高くなっていく新バージョンであらためて。

真上の「ド」から時計回りでひとつ進むごとに「ソ→レ→ラ→ミ→シ…」。
ここまではすべて白鍵の音で進んでいきます。
それぞれの音ではじまる音階(=長音階)の調性としての「♯」の数がひとつずつ増えていきます(ト長調=♯1つ、ニ長調=♯2つ、イ長調=♯3つ…)。
「シ」(=5時)の次の音は…?
そう、ファではないんですね。シ~ファの間には半音が2か所に入り、完全5度よりも半音短い減5度。中世までは「悪魔の音程」と言われて避けられていたんですね。
シから完全5度上は「ファ♯(=ソ♭)」。♯で表しても6つ、♭で表しても6つの調性。それがちょうど「6時」の位置なんです!
そしてここから黒鍵の世界に入り、「ソ♭→レ♭→ラ♭→ミ♭→シ♭」と5つの黒鍵を進みます(←5つの黒鍵は5度の倍音率でできていたんです!)。
時計の左半分、♭系で見ると、時計回りに進むごとに「♭」の数が一つずつ減っていきます。
そして「シ♭」(=10時)から完全5度上は「ファ」(=11時)。ここでふたたび白鍵の世界に戻ります。
「ファ」から始まるヘ長調では♭は一つ。そして真上の12時では♯も♭も「0」のハ長調に戻ります。
時間を刻む時計と、音の法則、なんか不思議なほど似てると思いませんか?
◆5度時計から見える音の不思議
ある音から5度上へ5度上へ…と右回りに並べてあるので、当たり前といえば当たり前のことなんですが…
それぞれの音をベースとする3和音で見ると、どこを見ても、ある音を中心に右隣り(=ひとつ先)は5度上のドミナント(=属音をベース)、左隣り(=ひとつ前)は5度下(=4度上)のサブドミナント(=下属音をベース)。そしてドミナントとサブドミナントに挟まれた中心がトニック(=主音をベース)、という関係になっています。
まるで日光菩薩と月光菩薩に挟まれた阿弥陀三尊のような、あるいは父・子・聖霊の三位一体のようですね。そして全体は「音の十二支」とでも言いましょうか、宇宙を描いた曼荼羅のようでもあります。
そしてもうひとつ、この時計の対角線を見ると…
「ド」の対角線は「ソ♭(=ファ♯)」、「レ」の対角線は「ラ♭(=ソ♯)」、「ミ」の対角線は「シ♭(=ラ♯)」…
いずれも、ある音をオクターブで鳴らした時にちょうど真ん中の音(=1オクターブを2等分する音)です。
完全4度と完全5度の中間の「完全4.5度」?…いやいや、そんな呼び方はありません(笑)。増4度、あるいは減5度ですね。
ある音をベースとする3和音を「表のコード」とすると、その対角線にある音をベースとする3和音は「裏コード(代理コード)」と呼ばれる関係ですが、そこはちょっと音に関する専門的な話になるのでまた改めて…