憲法改正は必要…?

2月3日(火)

きょう3日午前の国会審議で、自民党の稲田朋美議員(自民党政務調査会長、安倍政権の右腕、ポスト安倍との噂もある敏腕女性議員)からの「質問」で、「憲法学者の7割以上が今の自衛隊を“違憲”だとしている。このような憲法は時代にそぐわなくなっているのでは?」と、安倍政権に誘い水を向けるような質問をしていました。

昨年の安保法制にもからめて、いまの安倍政権は憲法を変えたい、こと憲法9条を見直して自衛隊の国際的な活動の範囲を広げたい意向があることは明らかですが、現政権のうちに憲法9条の改正までは困難であると踏んでいるようです。

そこで、まずは他のところから「憲法の見直しの必要性」について、国民の理解を得ようという流れになってくるでしょう。それも、夏の総選挙に向けてはひたすら「経済」「景気」「デフレからの脱却」を前面に打ち出しつつ…


改憲に向けた論議

2015年5月のものですが、NHK解説委員室から出ている解説アーカイブスより。
憲法改正のポイント、賛否・問題点を分かりやすく解説していると思います。

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/216011.html

憲法改正


文体や例示など、全体としては安倍政権のめざす改憲について「解説」する立場で書かれていて、反対意見や問題点についてはやや控えめな印象を私は受けました。

ただ、あまりにも政府に対して批判的な記事を引用して書くよりも、これぐらい客観的な見解をベースに、私なりの考えを述べる方が望ましいと思います。


環境権?
 *以下、解説アーカイブス内の解説図を引用

「環境権?」、「緊急事態?」、「財政規律?」…はい、確かにどれも重要なテーマではありますが、はたして憲法にわざわざ書く(=憲法を改正する)べきことなんでしょうか?


18歳以上に選挙権…これも憲法改正への道筋?

たとえば今年の総選挙から「18歳以上」まで選挙権の枠が広がりました。
こうしたことも、時代の変化のひとつととらえ、「日本の法律を根本から見直す必要がある」という流れに導くのでしょうか?

しかし、「20歳で大人とみなす」とか「20歳で選挙権を与える」といった文言は憲法には一切書かれていません。選挙権については「公職選挙法」で決められているのです。そこを変えればよいことです。

ほかにも、「20歳で大人とみなす」というこれまでの常識はあって、お酒やタバコは20歳を過ぎてからと基準はこれまでと変わりません。

刑法の適応で、たとえ未成年者の「犯罪」であっても、少年法を適応させることなく大人と同じ刑法を適応させる必要があるケースも最近出てきています。

また民法の規定では、一般に未成年者の行う契約などの社会的行為は、親の承諾が必要ですが、未成年者であっても結婚していれば契約などの行為は有効(=大人とみなす)というのが民法でも認められています。

このように、時代の変化とともに見直す必要のあることは多々ありますが、それらはみな一般の法律や規則、その運用面、および社会制度面で対応すれば良いことで、憲法そのものを変える必要はありません。



◆「緊急事態」を憲法に盛り込む必要があるのか…?

いま政府が前面に掲げている憲法改正の必要性は、この「緊急事態」です。

阪神淡路大震災のとき、自衛隊のヘリコプターや他県からの消防車が思うように出動できなくて初動体制に滞りが出ました。
それまでの規定では、自衛隊のヘリは国からの要請がないと飛べなかったのを、都道府県や市町村など自治体からの要請でも適宜出動できるように制度面が見直され、その後の災害では改善されつつあると認識しています。

また、消防や警察の所属官庁が自治省であることからも明らかなように、都道府県ごとに組織が編成され、その中でも細かい管轄区域が設定されています。
しかし大規模災害に限らず多府県にまたがる広域犯罪のような「緊急事態」においては、平常時のタテ割りの枠を超えた柔軟な対応、連携・協力体制が求められるのは当然です。

こうしたことに柔軟に対応できるためには、関係法令の中に「緊急事態においては~」という例外規定を加えるほか、一般の法律・規則とは別枠で「緊急時等特別措置法」のような特別法を設ければ良いのではないでしょうか。

それこそ時の総理大臣が「緊急事態」を宣言し、首相官邸内に対策本部を設けたら、関係省庁や各機関がタテ割りの枠を超えて柔軟に対応できるようにすれば良いことです。


緊急事態1 緊急事態2


この解説の中に、衆議院・参議院の解散は憲法を変えなくてはできないことも書かれていますが、それも国会運営に関係する法制度に「緊急事態」という特別条項を付加すれば良い話のようにも思いますが、いかがでしょう?


◆「国民投票」で国民:有権者の意識が問われる!

国民投票
国民投票1

憲法改正などの重要案件には、国民投票が行われることになります。
ここで問われる民意こそ、国の行く末を決定づける大切なもの。

いまの選挙のような、全国的に50%そこそこの投票率では話になりません!
また、ただ行って投票すれば良いわけではありません。噂や表面的な不安材料だけでなんとなく政府案に賛成する(=現状での、「他にいい政党がないから、とりあえず自民」みたいな発想)のではなく、賛否は人それぞれで構いませんが、少なくとも物事の本質を理解した上で、正しく判断する力が必要になるでしょう。

かつて明治憲法(=大日本帝国憲法)が発布される時、多くの国民は憲法の意味すらよく分っておらず、「絹布(けんぷ)の法被(はっぴ)が配られるんだってさ」「へ~、そりゃありがたいね」なんて噂が飛び交った…なんていう小話のような話も(笑)…これでは、民主主義も猫に小判ですね。


◆「現状にそぐわないから憲法を変える」の危険

私は現時点で、憲法改正に絶対反対の立場ではありませんが、少なくとも今の政府が憲法改正に向けて国民の「理解」を得ようとしているような内容に関しては、私は必ずしも憲法を変えなくても、一般の法律や特別法で対応できるレベルのものではないかと思います。

昨年、政府が発行した漫画による「憲法改正ってなぁに?」という冊子では、「70年前と今とでは時代は大きく変わったよね。なのに憲法はずっと昔のままでいいのかな?」といったアピールを前面に打ち出しています。

漫画1 漫画2


たしかにそれは一般の法律や規則、社会制度に対してならもっともな論理です。でもそれを憲法改正にそのまま導こうという、かなり危険な誤解を生む(=誘導する)危惧を感じざるを得ません。

憲法というのは、あらゆる法規の上位にあり、国のあり方を決める規範であり、司法や立法(=国会)そのものの位置づけを定めるものです。いわば時の政権の思い通りに国を操れないようにする重要な歯止めとなる安全装置といっても良いでしょう。



一方、今の国会議員の定数ー選挙制度において、各地の高等裁判所や最高裁でも何度となく「違憲状態」との判断が下されている「一票の格差」の問題などはどうなのでしょうか? 
違憲だといわれてもなお改めない、つまり憲法に違反した状態で当選した人たちが国会議員として高い報酬を受け取っているという現状…

これはひとつの極端な例ですが、今は憲法に違反しているものを合法化するために、どんなことでも「現状にそぐわないから憲法を変える」などといった論理がまかり通ったら、どうなるでしょう?


<参考>

冒頭に書いた、3日(水)午前中の国会審議で、「憲法学者の7割(←実際には63%)が自衛隊は憲法違反だと言っている」→「現状にそぐわない憲法9条(第2項)を変えるべきでは?」と稲田議員が質問し、政権側も憲法9条を見直す意向があることを示したのを受け、東京新聞は大きく取り上げています。

この政権は、昨年夏には憲法学者の98%が違憲だとする集団的自衛権の行使容認を含む安保法案を強引に通しました。

9条改憲に一歩
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時代の流れ、時の政権の都合でころころと憲法を変えられる道を開いてしまったら、日本がかつての大戦で多大な犠牲の上でようやく手にした世界に誇る平和憲法が崩れ去り、民主主義の根幹も、国民の命の保証も風前の灯となってしまう危険を秘めているのです。

そのあたりを国民・有権者はちゃんと理解した上で、夏の選挙で判断を下す必要があります。


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プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

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