響きで遊ぶ コード循環 ~7色・12色の色変わり~

1月17日(日)


この「★50代ことはじめ」のカテゴリーでは…

●ある曲(メロディ)に合ったコード(伴奏)を探す(耳コピ含む)。
  ↓
●単純な「ドミソ」「ファラド」「ソシレ」の3つの和音だけでなく、ちょっとお洒落なコードに置き換えてみる(=リハーモナイズ)。
  ↓
●クラシックの名曲、たとえばショパンの有名なピアノ曲をコードの流れとして見る。

そんなことを書いてきました。


ここで、コードの流れ=「循環」そのものにスポットを当てます。

ピアノを一度も習ったことのない人でも、ピアノの鍵盤の配置ぐらいは色んなデザインでよくご存知のはずです。どこが「ド」なのか分かって、白鍵だけをひとつ飛ばしで3つの鍵盤を同時に押さえることができれば、7つのコードが鳴らせます。
その7色の響きを、ある法則で順番に鳴らせば、誰でも簡単に「響きの移り変わり」を味わい楽しむことができるはずです。

まずは、基本の再確認から…


<確認とおさらい>

ハ長調の音階は、すべて白鍵です。「ド~シ」の7つの音でできています。
その7音をベース(=根音)に、ハ長調に出てくる白鍵だけをつかって、ひとつ飛ばしに重ねると7つの「だんご3兄弟」(=ハ長調のダイアトニックコード)ができます。
この図はもう何度もご紹介してきましたね。これを「7色」ととらえます。


7色コード譜


ハ長調の7色の「だんご3兄弟」の中には、明るい1、4、5と、暗い2、3、6がいて、最後の7番目は下も上も短いdim(ディミニッシュ)という、ちょっと変わった響きの和音。この7つで1チームです。
音名だけを赤で示したのが明るい和音、青い文字で右に「」と書いてあるのが暗い和音(=マイナーコード)です。

Q.「同じ白鍵ひとつ飛ばしなのに、なぜそういう違いができるの?」…そんな疑問を持たれた方のために、ちょっとだけ説明しておきましょう。

ピアノの鍵盤で1オクターブ内を見ていただくと、ミ~ファの間、シ~ドの間には黒鍵がありません。この2か所は「半音」、他の2音の間は「全音」です。
なので、ひとつ飛ばしの3度の音程(=音の間隔)にも、この半音の箇所を含まない長い3度(=長3度)のところと、半音の箇所を含む短い3度(=短3度)のところが生じます。この違いと組み合わせで、和音の響きに色々と違った表情が出てくるのです。

上の楽譜で、音と音の間に赤い>マークのところが長い3度(=長3度)、青い>マークのところが短い3度(短3度)。鍵盤の配置と見比べて確認してみてください。

7つの3和音4


赤く示した「ド~ミ」「ファ~ラ」「ソ~シ」の3か所が長い3度。そこを下にもつ「ドミソ」「ファラド」「ソシレ」の3つの和音は明るい響きに聞こえます。
このように、長い3度の上に短い3度が乗っかると明るい響きに、逆に短い3度の上に長い3度が乗っかると暗い響きに聞こえます。不思議ですね。


★ここまでお読みになって「難しい!」と思ってしまわないで、そういうことは後でだんだんわかってくればいいことなので、とにかく白鍵だけをひとつ飛ばしで重ねれば7つのコードができ、その中には明るい響きと暗い響きのものがある、ということで結構です。

★すでにピアノ経験はおありで、「ドミソ」「ファラド」「ソシレ」だけでもたいていの曲の伴奏はできるけど、もうちょっとお洒落な音を出してみたい、7色の音についてもう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。
*中学生でも読めばわかるやさしい楽理シリーズ(?)…
→ 
リハーモナイズ(1)Ⅰ・Ⅳ・Ⅴの3色から7色へ


では、そろそろ今回の本題に…


7色の色変わり

楽譜(五線紙、オタマジャクシ)を使わずに、コード名だけを並べた“色変わりのルートマップ”を作ってみました。楽譜にならって大きくは左から右へという流れです。

ピアノ、ギター、ハープなどで「響き(コード)」を鳴らしてみてください。
とくに決まった曲(メロディライン)はありませんが、響きの移ろいの中でなにかメロディが浮かんだらそれも一緒に奏でれば「色変わりの即興」ができます。

まずは3色~7色の世界から…
★7色循環ルート

1「ドミソ」→4「ファラド」→5「ソシレ」→1「ドミソ」は最短ルートで、名付けて「451エクスプレス」、
一方ジャズなどでよく使われるのが2「レファラ」→5「ソシレ」→1「ドミソ」で、こちらは「251エクスプレス」。

でもこれだけだと、新幹線で最短ルートで旅しているようなもので、まだ3色の世界
「そんなに急いでどこへ行く?」

そこで、各駅停車で音の周遊ルートへ。小さな〇で示した7つのコードの色合いを味わってみてください。


<2と4は似たもの同士>

2番目の「Dm(レファラ)」と4番目の「F(ファラド)」は、じつはとても近い関係にあることが分かります。
Dm7」という和音(=レファラド)は、「D(レ)」の上にF(ファラド)が乗っかっているのですから!

4・5・1で伴奏できる曲をそのまま2・5・1に置き換えても、たいてい違和感なく感じられるはずです。
むしろ、明るい純粋な「ファラド」の下に、ちょっと影のあるDmが重なることで、深みを増したようにも感じられます。

図中に「ルート5」と書いたのは、ベースの音が5度下へ5度下へと移り変わっていく「5度進行」です。
(これも、先ほどの「リハーモナイズ(1)」の後半に解説しています。)


<1→3→ 6→2→5→1>

「1→6→2→5→1」という循環コードは、やさしい曲にちょっとお洒落な味付けをしたい時によく使われます。
この流れは、「C」というハ長調の主役の明るい「ドミソ」からまず3度下の「Am」(ラドミ)へ。「♪上を向いて歩こう」や「♪ムーンリバー」の冒頭でも使われているように、光から影へという自然な流れに感じられる色変わりです。
その後の6→2、2→5、5→1はすべて5度下5度下へ、より安定した方向へと流れていく「5度進行」です。

また「C」から3度下の「Am」に降りずに、逆に3度上がったところにも「Em」というマイナーコードがあり、そこへもスムーズに移行できます。尾崎豊「♪ I love you」、長渕剛「♪ Close Your Eyes」、小林明子「♪恋に落ちて」など、「1→3」というコード進行の曲は多数あります。
1から3つ上がったらその先の「3→6→2→5→1」はすべて「5度進行」です。

また「1(ド)→6(ラ)→4(ファ)→2(レ)」と3度ずつ降りてきて、そこから「2(レ)→5(ソ)→1(ド)」というルートも図の中で確認できるはずです。



ここまでは黒鍵をまったく使わず白鍵のみ、ハ長調の音階に出てくる7つの音の組み合わせだけです。
明るい3色だけの世界から抜け出して、光と影の色彩感は出てきましたが、まだまだ周遊ルートとしては限られています。


12色の色変わり

いよいよ5つの黒鍵も加えて12色の世界へ!
でも、ここぞとばかり黒鍵を使いまくればいい訳ではありません。

ハ長調、および平行するイ短調には、いずれも調性としての♯・♭は1つも付きませんが、あるコードからコードへ移り変わる途中に、ちょっと色合いを変えるために“臨時記号”として黒鍵を使っていきます。

★12色循環ルート

ルート内にたくさんの経路ができて複雑になり、一見「わ~、難しい!」と感じるかもしれませんが、実際に音を出してみれば「Oh!」と納得されるはずです。

あるコードからコードへと移り変わる中で、白鍵だけでは暗かった響きを明るく変えたり、逆に明るい響きをちょっと暗く影らせたり…黒鍵を使うことで表情が豊かになります。


<臨時記号の黒鍵の使い方>

基本的な流れは先ほどと同じ「1→6→2→5→1」でも、白鍵だけの世界ではマイナーだった「Am」や「Dm」の真ん中の音を半音上げて明るい響きに変えたり、逆に明るい「G」の真ん中の音を半音下げて「Gm」にして陰影をつけたり…

また、明るい和音の一番下の音(=根音)を半音上げる、または暗い和音の第5音(=一番上の音)を半音下げることで、短3度の上に短3度が重なったのがdim(ディミニッシュ)というコード。

逆に明るい和音の一番上の音を半音上げて、長3度の上に長3度が重なる形にしたのが、aug(オーギュメント)、音名の右に「aug」または「+5」と表記します。

dim aug 新規

右にちょっと書き足したのは、dimの上にもうひとつ7番目の音が乗っかったもの。
第7音が、第5音の上に短3度で重ったのがdim7、長3度で重ったのが「ハーフディミニッシュ」、下は短いのに上が長いので「ハーフ」。

dim aug は、その響きだけを単体で聞くとちょっと変な響きですが、あるコードからあるコードへ移る場面で使うと、とてもお洒落な味つけができます。これを知らないと、人生半分ぐらい損しているような気がします(笑)。

ほかにも7色での和音の一部を♯や♭で変化させる効果は、たとえば…

ハ長調の「2→5→1」で使われる2「Dm」はマイナーコードですが、これを明るい「D7」に変えることで「D7→G7→C」という流れになります。これはショパンなどもよく使う手法で専門用語で「ドッペルドミナント」といいます。

Cから5度上にある「G7」はハ長調の属七(ドミナント7)。そのGからさらに5度上にあるのが「D7」、G(ト長調)の属七(ドミナント7)です。
つまり「D7」は、もとのハ長調から見ると二重のドミナント(=ドッペルドミナント)なのです!
5度下へいったん落ち着いて、ふたたびそこから5度下へ…2段の滝といったところでしょうか。

また図中グリーンで表示した5番目の「G」の世界の中でも、G→E→A→D→Gという循環ができます。「G」を基準に「1」として見ると「1→6→2→5→1」という循環です。
全体から見れば部分、でもその中にも完結した世界がある…まるで大宇宙・小宇宙のようですね。


<平行するフィールドへ>

ハ長調の中だけでも、黒鍵を使うことで明→暗暗→明、ある響きへの誘導…といった色彩感が豊かになりましたが、これらはすべて「ハ長調」という大きな手のひらの上で起こっていること。

もうひとつ、ハ長調と平行するイ短調は、同じ7つの白鍵だけでできた音階ですが、「ド」からスタートすれば明るい長調に、6番目の「ラ」からスタートすれば暗く寂しい感じの短調になります(=並行調)。

★長調・短調だけでなく、7つの音のどこから上に並べるかによってモード(=音階の色彩)が変わります。同じメンバーなのに打順を変えることでチームの「戦法」が変わるように、音の世界では「旋法」が変わります。それは半音のくる位置がどこに来るかが変わるからです(→「6つの教会旋法」参照)。


平行調への移動もいちおう「転調」ですが、同じ調性の明と暗、いわば光と影のような関係で、曲の中で比較的自由に行き来することができます。

ずっと家の前の限られた平場だけで遊んでいた子どもが、違う高さの段々畑のようなステージに行って遊んで帰ってくることができた…そんな行動範囲の広がりを味わうことができます。

そこへの入口と帰路となるコードは…?


イ短調への入口は 「B7→E7→Am」

ハ長調と段々畑のように平行したイ短調の世界への入口は、「B7(シレ♯ファ♯ラ)」という明るい和音(=7番目の「Bdim」の上2つの音をいずれも半音上げた変形)です。

この「B7」から5度下にある「E7(ミソ♯シレ)」という明るい和音へ行き、そこからさらに5度下の「Am」へとつながり、イ短調の世界に入ります。

実際に音を出して、響きに納得すればよいことですが、なぜ「E7」なのか?
「Em」の真ん中の「ソ」は本来はナチュラルですが、イ短調の「ラシドレミファソ」という音階の最後の音(=導音)では♯がついて半音上がります(=和声的短音階)。「E7」はイ短調の中では属七(ドミナント7)です。

明るい「B7(シレ♯ファ♯ラ)」→「E7(ミソ♯シレ)」→「A(ラドミ)」へ、ここも5度下へ5度下へのドッペルドミナント、「2段の滝」ですね。

図の中でうす紫色の楕円のイ短調の世界の中でも、5度下へ5度下へという「ルート5」の循環を環状線のように示しました。その真ん中を上から下へと通るのは、Am△7(メジャーセブン)→Am7→Am6。
「Am(ラドミ)」の上(または下)に加わる音が「ソ♯→ソ→ファ♯」と半音ずつ降りてきて、「F」を経由して「Dm」へ、というルートです。


ハ長調への帰路のサインは 「Dm」

まだイ短調の世界に留まるか、ハ長調の世界に戻るか、 分岐点は「Dm」です。

「Dm」→ひとつ上の「E7」→「Am」(=イ短調での4・5・1)へと循環すれば、まだもう少しイ短調の世界に浸っていられます。
一方、「Dm」→5度下の「G7」へ→さらに5度下の「C」へと向かえば、「ハ長調」の世界に帰ってきます(=ハ長調では2・5・1)。その際、「Dm」を明るい「D7」へ、あるいは「ラ」を半音下げて「Ddim」にしてから「G7」へ移ると、より色彩感が増します。


<循環とエンディング>

左の「C」から右の「G」までの間に、いろんな周遊ルートがあることがお分かり頂けたと思います。その間を、楽譜の繰り返し記号のように示しました。この間をずっと繰り返し、時にゆったり語りかけるように、時にリズミカルに、途中イ短調の世界に行ってふたたびハ長調の世界へ…

コードの移ろいの中で浮かんだメロディがあれば右手で転がして加えてもいいでしょう。まさに「色変わりの即興」。
詩や語りの朗読に合わせて、あるいは身体を使ったパフォーマンスやテラピーに合わせて、「音の色変わりの即興」で何分間か音を奏で続けることは可能でしょう。

さて、エンディングをどうするか?

「G」の上にもう一音加えた「G7(ソシレファ)」は、「ソ」の上に7番目の「シレファ」というdimコードが一緒に鳴っているので、1の「C」に帰結しますが、それだけてはちょっと物足りない感じがします。もっと良い手はないでしょうか…?

★「G♯△7」→「C♯△7」という、ちょっと奇抜な響きを使うことで、お洒落なエンディングになります。

Gより半音上がった「G♯」がベースですが、メジャーセブンですからナチュラルの「G」も上で鳴っています。そして5度下の「C♯」へ。これもメジャーセブンですからナチュラルの「C」も鳴っています。そして「C」に落ち着いて「おやすみなさい」というイメージにまとまります。



<雑 感>

「音」はある周波数の振動であり、「和音」はそれが複数重なったものです。

しかし、人間が音楽の中で感じる「音」や「響き」は、ただ単体としては存在しません。ある和音だけを聴いて宇宙と交信できる人にお目にかかったことはあまりありません。
少なくとも音楽の中で聴く音や響きは、他の音や響きと手を結び、お互い引っ張ったり引っ張られたりしながら「流れ」を創っているんだな、とあらためて思います。

「ソシレ」という音は、いつどこで聴いても世界共通の絶対的な「ソシレ」で、コード名は「G」です。
でもそれが、ト長調の曲の中では主(=トニック)であり、ハ長調・ハ短調では5番目の属(=ドミナント)、ニ長調では4番目のサブドミナント…といった具合に、居場所によって役割が異なり、聴く人の心には違った色彩として映り、次にどんな響きへと行きたくなるかを引き出します。不思議ですね。

こういう音の面白さをすべての人に伝えたいと思うようになりました。

長年アマチュアのオーケストラで活動してきて、音楽(楽器)経験は人それぞれで、演奏会にいらっしゃる方たちの音楽との付き合い方もまちまちですが、同じ空間で音楽の楽しさを共有できます。障がいのある方とも音楽を一緒に楽しむことができる…
音楽は必ずしも子供のころから楽器経験を積んで、専門的に音楽の勉強をしてきた人だけのもの、ではないのです!



ここ最近、私は曲を耳コピするにも、このようなコード循環を考えるにも、絶対音として「Cm」とか「G7」ととらえるのもいいですが、ある調の中での1~7までの度数でとらえることを試みています。

私も年齢とともに、楽器や状況によって、ときどき実音より半音高く感じてしまうことがあり、子供の頃からいつの間にか身についていてずっと信頼してきた絶対音感が揺らぎはじめたかな、という不安もあります。でも、それを絶望的に思わずにすんでいるのは、ちょうど最近このコードの流れの中でとらえることを知ったからです。

たとえば、「G7」=「5セブン」、「C△7」=「1メジャーセブン」、「Dm」=「2m」(←2メートルじゃないですよ…笑)などと、ある調の中での度数(=何番目の音か)で根音を特定し、そこにマイナーか、セブンか、dimか…といった和音のタイプとあわせてとらえるのです。そうすれば、仮にどのキイ(調・高さ)に移しても、循環で次に来るコードがつかめて即興には強いのではないかと(まだ完全に実用化はできてませんが…笑)

でも、コードで音楽をとらえることができたら、もっと多くの人たち(楽器経験がなく、今さらピアノが弾けたらなんて到底思えない、と仰る方など)にも、「音」で「楽」しむことはできるはずだ、と。

私もまだまだ即興の世界は学びはじめて3年ですが、「楽譜がないと弾けません」からの脱却、音・響きをつかった遊び、即興の楽しさは少し分かりかけたように思います。

まだまだ先の道は長いですが…

★次は短調(マイナーコード)の循環へ…(つづく)

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プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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