年末の日韓外相会談に想う

12月29日(火)


きのう28日夕方、日本の岸田外務大臣が韓国を訪問し、従軍慰安婦をめぐる問題に関して外相会談が行われました。

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日本側としては安倍総理からも「心からのお詫び」の表明がなされました。

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安倍総理大臣は、日韓外相会談を受けて、韓国のパク・クネ大統領と28日夕方、およそ15分間、電話で会談しました。
この中で、安倍総理大臣は「元慰安婦の方々の筆舌に尽くしがたい苦しみを思うと心が痛む。日本国の内閣総理大臣として、改めて、慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒やし難い傷を負われたすべての方々に、心からおわびと反省の気持ちを表明する」と述べました(NHKニュースより)。



これまでも、過去の村山談話や河野談話を引き継ぐのかどうかなど、折に触れて「日本の過去の過ち」に対する見解を求められた場面で、きちんと日本の過ちを明言することを避けてきた安倍政権、いやこれまでの自民党政権としては、政府見解を覆すコペルニクス的展開だとする見方、それをめぐる賛否もさまざまなようです。

また、韓国や中国に圧力をかけたいアメリカの意向が背後にあり、日本はアメリカへの対面もあって、あえてこの冬休みに入って国会も動いてない時期に駆け込みで動いたのでは、といった憶測もあるようです。

しかしそのような国際間の駆け引きはさておき、今回安倍総理の口から戦後70年を経てようやく「心からのお詫び」の意向が直接韓国に対して表明されたことは評価されてよいと私は思います。
まずは自分たち(日本)の過去の過ちを認め、謝意をきちんと伝えることがあらたな関係を築く第一歩だからです。

これを機に、両国の首脳会談が実現し、冷え切った日韓関係の改善へとつながることを期待します。
国民同士は文化交流など仲良くやってるんですから、政府としても戦後の区切りをきちんとつけ、友好関係を快復すべきでしょう。


過ちを認めることは人としての基本

歴史上の事実と向き合い、日本の過ちをきちんと認めることは「人」として大切なことだと私もこれまでブログ等で繰り返し書いてきたことです。

戦後の清算・保障はすでに和平条約や国交正常化で解決済みだ、過去の解決済みの問題をいつまでも蒸し返してくる相手国(韓国や中国)が非常識だ、相手につけ込むすきを与えてはいけない、過ちを認めて謝ることは外交上安易にすべきではない、さらに、日本の過去の過ちを認めることは「自虐的だ」…などといった見解には私はこれまでずっと反対してきました。

従軍慰安婦だけではありません。日韓併合のもと、日本に強制的に連れてこられた人、働かされた人、日本の軍人として闘わされた人…
沖縄では、韓国(朝鮮半島)の兵士たちが1万人以上も犠牲になったと言われています。

今年9月に訪れた沖縄平和公園にて
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やられた側(国)は、お金や条約だけで「済んだこと」「解決済みのこと」として片づけられるものではないでしょう。
また日本はいまだに過去の過ちに関する教科書の記述を検定で削除しています。政府の高官が靖国神社に参拝しています。
日本は本当に過去の過ちを認めて反省しているのか?…といった感情が相手側に残るのは当然です。
その根底の認識を変えない限り、平和国家としての再出発はありえない、と。

「ここまで譲歩して謝ってやったんだから、今後二度とこの話を蒸し返すんじゃないぞ」ではなく、ようやくこれで「人と人」として対等に話せるスタートラインに立てたかな、と私は認識します。ようやくこれで韓国の友人にも顔向けできると。

今回の外相会談に先駆けて「近代史を学び直す」研究会を政府内に設けたというニュースも報道されました。政治家がまずきちんと過去の歴史を知ることは、大切なことだと思います。


中国に対しても

一方、日本はまだ中国に対して行った非人道的な数々の行為についてはきちんとした謝罪をしているとは言えない、という思いがあります。

「南京大虐殺」に関して、殺害された人数や中国側の発表の矛盾を指摘する見解もあることは存じています。
日本軍が南京城を占拠した時点で、やがて市内に日本軍がやってくることを察知した中国の人民軍が撤退するのに足手まといになる民衆を殺した、という証言もあるようですし、公開された写真はまったく違う場所で撮影されたまったく無関係のものである等、中国側のでっち上げだという説も。

しかし、南京に限らず、日本の軍人が無抵抗の老人や子供たちを殺害したことや、捕虜を使って人体実験を行ったことなど、中国各地で繰り広げた人間にあるまじき蛮行の数々があったことは事実です。当時まだ若かった日本の兵士たちの証言集もあります。

そうした証言集を、「俳優座」の若者たちが毎年夏に朗読している会があり、私も何度かお邪魔し、その元となった資料をいくつか購入して読んでいます。

戦争体験・証言


戦争に関するドキュメント番組でも、私が子供の頃は、アメリカ軍によって撮影されたフィルムが初めて公開されるものなど、悲惨な現場をとらえた映像が多かったですが、近年では「証言もの」が多くなってきています。

なぜ戦後何十年もたってから、こうした証言が出てくるのでしょう?

おそらく、20歳前後で出兵した若き兵士たちは、戦場で見たこと、体験したことは、戦後ずっと心の中に封印し、記憶から消し去るように必死に生きてこられたのではないでしょうか? 

上からの命令でしかたなくやったこと、それが過ちであったことを認め、あの戦争は無意味なものだったとしたら、死んでいった戦友たちの魂は浮かばれない。
いまわしい過去の記憶を封印して消し去らなければ戦後を生き抜くことはできなかったのではないでしょうか?

しかし、そうした人たちも高齢となるにつれ、やはり自分たちが見たこと・行ったことは誤ちであり、それを世の中に伝えずに死ぬわけにはいかない、と。

生きるか死ぬかの極限状況に追い込まれると、人間はこんなにも残酷になれるのか…
戦争とはかくも無残なもので、人間が人間でなくなるものだ、ということを認識すべきです。


◆平和国家としての第一歩

今の中国や韓国にも問題がないわけではありません。でも、まずは日本が過去の過ちをきちんと認めて謝る姿勢を示すことが先だと、私はずっと思ってきました。くりかえしますが「人」として大切なことだからです。

その上で、中国がいま南シナ海で展開していること、大気汚染のこと、チベット問題…といった中国側の問題に対しても、国際社会の一員として日本からもものが言える立場になれると。

また韓国に対しても、日本が過去に行った過ちが消えるわけではないけれど、ベトナム戦争の時に韓国兵たちがベトナムで行った蛮行についても、きちんとベトナムの人たちに謝るべきである、と進言することができるかと。



国際間の政府レベルには、冒頭にも少し触れたような高度な駆け引きは当然あるでしょうが、軍事力バランスとか抑止効果といったことよりも、私は常に「人」としてのモラルに関する部分こそもっとも根底になくてはならない、と思います。

いつまでも過去の負の遺産にしばられることなく、将来に向けた新しい関係を築いていくことはもちろん大切です。

でも、過去の話をなかったことのようにごまかしたり葬り去るのではなく、きちんと向き合うこと。
そして自分に直接責任があるかどうか、謝ることで責任がどうとかに関わらず、責任問題になるから触れないように避けるのではなく、人として「お詫び」の気持ちを持つことは大切なことです。

外相会談を受けてわずか15分安倍総理が電話でパク・クネ大統領に謝意を伝えたからと言って、元従軍慰安婦たちが直ちに許してくれるとか、少女の像を撤去してくれるかどうかは分かりません。

私たち民間レベルでも、決して私自身が戦争体験者でもなく、父や祖父も戦争には無関係だったとはいえ、同じ日本人として過去の悲しい歴史に「本当に申し訳なかった、ごめんなさい」という気持ちがあるかどうか。その気持ちが相手に伝わり、相手が「もういいんですよ、あなたが悪いわけじゃない。あなたのお気持ちは分りましたから、どうか頭を上げてください」となってこそ、お互いが信頼できるスタートラインに立てるのではないでしょうか?

そして、あらためて肝に銘じておきたいのは、国と国との戦争は、それほどまでに後世に爪痕を残すということです。過ちをふたたび繰り返さないためにも。

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120%同意します

高木さんのブログでおっしゃられていることに私としては120%同意します。特に最後の部分・・・「私たち民間レベルでも、決して私自身が戦争体験者でもなく、父や祖父も戦争には無関係だったとはいえ、同じ日本人として過去の悲しい歴史に「本当に申し訳なかった、ごめんなさい」という気持ちがあるかどうか。その気持ちが相手に伝わり、相手が「もういいんですよ、あなたが悪いわけじゃない。あなたのお気持ちは分りましたから、どうか頭を上げてください」となってこそ、お互いが信頼できるスタートラインに立てるのではないでしょうか?」・・・という部分には激しく同感します。ここは内田樹さん、村上春樹さんもおっしゃてるとおり、人間としての心の問題であり一番大切な肝であると思います。自分もそうでありたいとそうあらねばならないと自己反省するところです。翻って安倍首相の今までの言動から想像するに朴槿恵大統領に本当に日本の内閣総理大臣安倍晋三として謝ったのか疑問を禁じ得ません。戦後70年談話のように主語がハッキリしてないのか、是非その内容を文章に起こして公式発表して欲しいものです。

Re: 120%同意します

黒田さん
FB憲法9条の会でも活発な意見交換ありがとうございました。
本文にも書きましたように、この問題は政治的な思惑や、アメリカ等との国際的な駆け引きも見え隠れし、謝ることの自体への是非論、また謝罪の仕方の是非論、謝ったからどうなる、韓国側の今後の出方は…など複雑な絡みがあって意見も多様です。
でも、ご賛同頂いているような「人として」の部分を私は大切にしたいと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。
プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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