消費税、軽減税率に思う

12月16日(水)

消費税の軽減税率をめぐる議論で、「生鮮食料品に限る」としてきた自民党案から、「加工食品も含めるべき」としてきた公明党案が通り、正式に決定しました。

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でも、「ああ、よかった! 公明党さん、よく頑張ってくれましたね」…と素直に喜べない人がここに一人います。

そもそも「軽減税率」というなら、食料品などの生活必需品は5%、あるいは3%、もしくは非課税にするぐらいしても良いのでは?

というのも、1989年、竹下内閣の時に消費税を導入した際に、消費税の逆進性を見直し、ぜいたく品には高く、生活必需品には低く、いわゆる軽減税率を検討する、と自民党は約束していたはずなんです。
それをずっと放置したまま、3%から5%、5%から8%と、これまで税率だけを上げてきたのです。


軽減税率は消費税導入時から課題だったはず!

1989年に消費税が導入された際に、それまでお酒や車などのぜいたく品にかけられていた物品税・入湯税・入場税(=映画、演劇、演芸、音楽、スポーツ、見せ物、競馬、競輪 などの入場料金に課された国税)などを廃止したことで、「ぜいたく(品)にかかる税金」がなくなりました。

すべての商品やサービスに一律にかかる消費税は一見「平等」に見えますが、事業主や富裕層にほど有利で、貧困層ほど負担が重くなる、いわゆる逆進性は当初から指摘されていました。

たとえば、銀座の高級クラブがグランドピアノを購入するのは「ぜいたく品」と見なされ、それまでは「物品税」が課せられていましたが、音大生が勉強のために購入するピアノは「必需品」とみなされ免税価格で買えたんです。それが消費税の導入によって一切「配慮」がなくなり、一律に消費税が課されるようになったのです。
貴重な伝統工芸の見習い職人が材料を買うのにもことごとく消費税がかけられるわけです。弱い立場にほど厳しい税制といえるでしょう。

このような、弱いものにほど重くのしかかる消費税の逆進性を見直す(=軽減税率について検討する)ことは、消費税の導入当初から言われてきたはずです。

なのに、政権はそれを放置したまま、3%から5%、5%から8%と、税率を上げることだけを先行してきたのです。
再来年春の10%の導入にあたり、ごく限られた「食品」だけをいまの8%に据え置く、というだけでは、ちょっと話が違うんじゃないか、というのが私の感想です。

インフレ政策で物価は上がる、生活保護や年金などは減らされる、そこに消費税も…弱い立場の人ほど消費税は大きな負担となって追い打ちをかけます。


個人の消費者よりも事業主、それもより大きな事業主ほど有利

そもそも消費税は「間接税」です。国民ひとりひとり(=消費者)が課税対象者ではなく、あくまで事業主にかかる税金。中曽根内閣の時に「やらない」と言っていた「大型間接税」こそが、いまの消費税なのです。

つまり課税対象者はあくまで事業主。ただし、商品の代金に税金分を上乗せして転嫁してよい、ということで、いかにも消費者ひとりひとりが払うべきもののように聞こえる…それが「消費税」です。

商店などの事業主が本当に消費税を国に納めているのかどうか、われわれ消費者が確かめることはなかなか難しいです。
買い物したらレシートを1年とっておき、その事業主に本当に消費税を納めたのかどうか、納税証明書を見せるよう求める、という方法もなくはありませんが、お店との付き合いは悪くなるでしょうね。

消費税を実際に納めていない零細の事業主であっても、材料費や仕入れに消費税がかかっているという理由で、ほとんどのところが消費税を取っています。あるいは内税という形で実質値上げしてきたところも多いはずです。

事業主は、商品価格に上乗せして徴収した消費税分を1年間プールしておいて毎年2月に納税します。
消費税分はいわば「預かり金」として1年間持っていられるわけです。
もし仮に年間売上10億円の事業主なら、その8%は8千万円にもなります。その8千万円を1年間プールし、運用資金にしたり設備投資に回してもいいわけです。つまり国から無利子・無担保で8千万円の融資を受けているのと同じではないでしょうか!?

個人(消費者)よりも事業主、その事業主の中でも年間売上の大きい事業主ほど有利な制度であることは明らかです。


弱きものへの配慮が違う!

安倍政権はきのう、貧困層の人に対してひとり3万円を支給する、などと言い出しました。
来年の衆参同時選挙、および再来年の消費税10%を前にした一時しのぎの目先の一時金ですか?

それより、これまで見てきた消費税の性格も踏まえた軽減税率そのものをもっと検討する必要があると私は思います。

アベノミクスによるインフレ政策で物価は上がる。年金や生活保護などの社会保障費は削られる。そこに消費税も上がる…庶民や貧困層には重くのしかかります。

「生鮮食料品に限る」としていた自民党案を「加工食品まで」と粘ったと、公明党はいつものように「歯止め」を強調して「手柄」のように言いますが、結局いまの税率のまま据え置くだけの話じゃないですか!?

むしろ、加工食品にまで広げたことで、消費税10%を見込んだ財源が不足すると、代わりに他に税を徴収する、もしくは福祉などの社会保障をを切り捨てる、なんてことまで言い出してます。
自民も公明もしょせんは「国民のための政治」なんか考えていない、同じ穴のムジナです!

冒頭に書いたように、食料品や生活必需品の範囲をもっと広げ、それらには8%ではなくもっと低い税率にすべきではないでしょうか?

そして、財源確保を考えるのであれば、より贅沢なものから高い税金を、儲かっている企業からより高く税を取る、と考えるのが筋ではないでしょうか?


外食費は値段に応じて、とくに領収証を切ったものにはより高い税率を!

たとえば、外食費にかかる消費税では、ひとり1回あたり500円までは非課税、501~1000円までは〇%、1001~2000円までは〇%、2001円~は…と、贅沢な外食費ほど消費税率を上げる。さらに、領収証を切った(=会社の経費で落とす)場合にはさらに高い税率で…という考え方はどうかと私は思ってきました。

一般の庶民からではなく、儲かっている企業からこそ税は高く取るべきです。
また国民からは、とくに困っている人、弱い立場の人が必要とするものにはなるべく税負担を軽くする、というのが私の考えるよき社会政策です。

なにを優先するかは国によっても、他の制度との兼ね合いもあって異なりますが、最後に他国の例を参考までに…

全体では10%よりも高い税率(表の左、国名の下に表記)の中で、食料品、医薬品、新聞などの税率が低い(=軽減税率が大きい)ことが見て取れないでしょうか?

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プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

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