「なぜ、戦争に反対しなかったの?」と子どもに言わせないために…

1月30日(金)

かつて戦争への道を歩んだ時、私はまだ生まれていません。でもささやかな知識と想像力をもってみると、いまの日本の状況は非常に危険だと思うのです。

まだISILの人質事件は解決に至っていません。日本政府も、閣僚が国会の途中で中座するなど、かなり一生懸命対応しているようではありますが、「緊張感をもって対応する」という言葉しか今は報じられず、もっぱらヨルダン側の対応にお任せするしかない状況のようにも見えます。

ところがそもそもこの人質事件、昨年の秋に人質として取られ、家族には身代金の要求があり、外務省を通じて政府筋も事件については知っていて、水面下では交渉をしていたとの情報が有力です。さらに、こんなとんでもない情報もあります!


常岡浩介氏 「あの時政府と協力していれば湯川さん救えた…」
2015.01.29 07:00

後藤健二さん(47才)と湯川遥菜さん(42才)がイスラム過激派組織「イスラム国」とみられるグループに拘束された事件。世界中を巻き込むこの悲劇を招いた“戦犯”として、政府関係者の間で真っ先に名前が上がる人物が安倍晋三首相(60才)である。

「昨年10月に後藤さんが拘束された直後、彼の奥さんに対し、イスラム国から身代金要求のメールが来ており、外務省は秘密裏にずっと交渉していたんです。それを知っていながら、安倍首相は中東訪問中の1月17日に“イスラム国と対峙する周辺国に2億ドル支援する”と発表したわけです。自らの言動がイスラム国を刺激し、彼らが人質を使って日本へ揺さぶりをかけるということは容易に予想できたはずです。彼は人質よりも2億ドルのパフォーマンスで国際的に評価されることを優先したのです」(外務省関係者)

さらに、安倍政権は、湯川さんを解放する大きなチャンスを、自ら捨てていた。昨年9月、イスラム国の幹部から、湯川さん解放の仲介役を頼まれていた日本人がいた。それが、国際ジャーナリストの常岡浩介氏だった。

常岡ジャーナリスト

「私の知人に、イスラム国の司令官がおりまして、8月末に彼からメッセージがスマホに届いたのです。“湯川さんにはスパイ容疑があり、裁判をやるので通訳が必要だ”ということでした。至急、親交のあるイスラム法学者の中田考さんに連絡を取り、9月頭にイスラム国の首都ラッカに入りました。現地で会った司令官は私にはっきりとこう言ったんです。“湯川に関しては、身代金の要求もしないし、見せしめの処刑もしない”と」(常岡氏)

だが、ちょうどこの日から、シリア軍による過去最大規模の空爆が始まり、イスラム国側に混乱が生じる。裁判は延期となり、常岡氏たちは、一度、帰国することになった。

常岡氏は、10月に再度渡航する予定で、すでに9月の時点で現地司令官と直接交渉できる旨を中田氏の知人を通じて、外務省にも伝えていた。しかし、あろうことか、政府は常岡氏を“危険分子”と見なしたのだった。

「出発前日に警視庁公安部の人間が家宅捜索にやってきて、パソコンや携帯電話、パスポートを押収していったんです。結果、イスラム国行きは不可能になり、裁判の仲介役も断念せざるをえませんでした。あの時、政府と協力して再度渡航していれば、湯川さんを救出できた可能性が高い。そうすれば、後藤さんが湯川さんを助けるためにイスラム国入りすることもなかったんです」(常岡氏)

※女性セブン2015年2月12日号


もしこれが事実だとすれば…

昨年の秋に、北大生がイスラム国への参加を希望していたのが発覚し、関係者も一斉に捜索を受けた中に、この常岡氏も含まれていたようです。
常岡氏と湯川氏との関係、その詳細は分かりませんが、もし常岡氏が昨年10月に渡航でき、湯川氏の解放交渉がなされ、もし成功していたら、後藤氏が助けに現地に行く必要もなかったのです!

これまでさまざまな情報が明らかになってきて、国際的にも複雑な背景もあり、さまざまな意見が出ていますが、現時点で私なりにポイントを整理しつつ見解をつづってみます。これはあくまで私個人としての見解です。


自己責任論

危険な紛争地域へは行かないよう外務省も邦人に呼びかけているにもかかわらず、自ら出かけて行って人質に捕らえられた二人には「自己責任」がある、というご意見もあるようです。

でも、少なくとも湯川氏を助けるために自ら「自己責任です」と動画に収めて出かけて行ったジャーナリストの後藤さんに関してはどうでしょうか?
気象条件を甘く見て軽装で冬山登山に出かけて遭難したような自己責任と同レベルで語ってよいでしょうか?

危険な地域に潜入して貴重な映像レポートをしてくれるジャーナリストがいることで、われわれは遠く離れた地にいながらも現地の様子を知ることができます。また後藤さんは、現地の子どもたちからも愛されているようです。


ISIL(=「イスラム国」と称する過激派組織)とは?

そもそもISIL(=「イスラム国」と称する過激派組織)って何なんでしょうか?
ISIS と ISILがあるようですが、Islamic State in Iraq and the Levantの頭文字をとってISIL。「国」ではないので、ここではこの表記を使わせていただきます。

今からたかだか100年前までは中東一帯で展開していた長い歴史のあるオスマン帝国が、第一次大戦で同盟国側とともに敗れ、イギリス・フランスなど西欧によって分断され、今日のイラク・シリア・ヨルダンなどの国境で線引きされたのです。

ISILは、イスラムとの名を掲げているけど、敬虔なイスラム教徒とはおよそかけ離れた、欧米などの近代国会に対して恨みを増幅させた「モンスター集団」であると。だからうかつに近づくことは危険なのですね。

いまから20年ほど前でしょうか、朝日新聞の論説委員が話していたのを思い出します。
中東一帯での紛争の歴史は長く、そこに宗教(同じイスラム教の中でもシーア派とスンニ派に分かれる)も絡み、われわれ日本人や欧米から見ればとうてい理解できない世界。しかし、長い歴史の中ではもともとは同じ民族同士、いわば兄弟喧嘩のようなものであると。

そこにアメリカなどが「正義」を掲げて軍事介入すれば、怒りの連鎖を呼び泥沼化するだけです。しかしそこには油田を巡る利権なども絡み、欧米とアラブとの関係は複雑です。

アメリカは常に「正義」を掲げて紛争地域に軍事介入をしてきましたが、はたして「解決」をもたらしたでしょうか?


アメリカの軍事介入がもたらしたものは?

世界のあらゆる紛争地域に軍事介入を行うアメリカ。それはアメリカの歴史そのものと言ってもよいでしょう。しかし、軍事介入によってもたらされたものは何でしょうか?

朝鮮戦争で南北に分断された韓国と北朝鮮。あれだけの武力と時間を費やして行ったベトナム戦争の結果はどうだったでしょうか?
イラン・イラクなど中東において、「正義」の名のもとに爆撃を繰り返して平和が訪れたでしょうか?紛争が解決したでしょうか?

誤爆によって罪のない子どもの命が奪われ、憎しみの連鎖を生み出してきました。
そうして蒔かれた恨みの種がテロという巨大な火として燃え上がったのではないでしょうか?

ついにアメリカ本土を標的としたあの9.11テロで罪のない何千人の命が奪われました。
ブッシュ大統領は「これは戦争である」とアメリカ国民に、世界に語りかけ、テロとの戦いを宣言しました。でも、その後のテロとの戦いで得たものはどうでしょうか?

巨額の国家予算をつぎ込んで、武力に対して武力で臨んでも決して平和はもたらされないのです!


日本は「いつか来た道」を急ぐのか?

もちろん凶悪な人質事件を起こしたのは過激派組織です。一番悪いのは彼らであることは疑う余地はありません。

いまは人質解放に向けて、政府をあげて最善を尽くしているときに、政権与党の批判をすべきではない。「人質事件を利用して日本政府を批判することは、テロ組織に利することになる」とをおっしゃる方もいます。一見もっともな理論ですが、本当にそうでしょうか?
もしその論理でいけば、戦争状態に突入した国において、自国の政策を批判することは敵国を利することになると言っているのと同じです。


冒頭に引用した記事がもし真実であるとすれば…

●日本政府としては、もともと二人が人質に取られている事実を知りながら、12月に解散総選挙を行い、勝てる見込みで向こう4年間の新たな任期を確たるものとした。

そして…

●アラブ諸国を歴訪し「イスラム国と戦う国への支援」と明言して2億ドルもの支援金を支払うと決定した。

●いくらそれが「人道的支援である」と繰りかえし強調し、日本人としては「正しいこと」であっても、過激派集団から見れば、自分たちに敵対する相手国に「支援」したことに変わりはない。
(支援したお金が100%難民救済に使われたとしても、その分自国の予算でミサイルを買える)

●しかも、ユダヤの星を描いたイスラエル国旗と日本の日の丸とが掲げられた場で、「イスラム国(ISIL)と闘う国を支援します」と世界に宣言した。昨年5月にはネタニアフ首相と共同声明も発表している。
(イスラエルが攻撃してきたパレスチナと過激派組織とは密接な関係。一方だけを「正義」として「支援」することは過激派側を大いに刺激したことは間違いない。)


日本国内では、消費増税を先延ばしにしたことを理由に福祉・社会保障の財源がないと、公約だったはずの低所得者層への保育無料化を見送るなど、福祉・社会保障を斬り捨てる政策の数々を打ち出してきました。

その一方、法人税減税を打ち出すなど「景気対策」を旗印に企業には有利な政策を推し進めてきました。弱きを切り捨て、強きを助ける、経済(見かけの数字)最優先のアベノミクスです。

そして、歴代の首相の中で群を抜いて外交政策に積極的。これは別に悪いことではなく、国際社会の中で日本の立場を確立するうえで安倍首相のすぐれた手腕もあることは認めましょう。
でも、斬り捨てられる福祉財源の額や、いまだ膨れ上がる国債による日本の抱える借金などと比べて、信じられないほどの高額のお金を海外に行くたびに「支援」と称してどんどんばらまいてきました。

昨年4月には武器輸出を解禁し、今年の1月1日(元旦)の東京新聞一面にはこんな記事も!
2015.1.1武器輸入国へ資金援助 クリックすると大きな画面になります

さらに原発の輸出も含め、民間企業や銀行の関係者を大勢引き連れての海外へのトップセールスを繰り返してきました。今回の人質事件の中東訪問でも多くの民間企業を同行していました。

ざっと見ただけでも、このような国内政策、外交政策、優先順位と舵取りは本当にすべて正しいと言えるのでしょうか…?


沖縄の民意はどこへ?

人質事件を巡るニュースの陰でほとんど報じられていませんが、沖縄の米軍基地の移転(新設)に向けて、抵抗する県民との激しい攻防が繰り広げられ、機動隊員や海上保安庁によって強制排除が行われ、多くのけが人が出ています。

参考までに…FRIDAY2月6日号
IMG_20150131_0002.jpg IMG_20150131_0001.jpg 
左右画面それぞれクリックすると大きな画面になります。
両ページとも写真下半分に写っている鉄板に注目。鋭く尖った山が平行していて、この上で座り込みしづらいのはもちろん、こんな鉄板の上に押さえつけられたり転ばされたら、それこそ大けがの危険があります。こんな鉄板、どこで製造してるんでしょうね?
この記事に限らず、サイトで「沖縄・暴力」などで検索すると無数の画像が見つかります。


公正な選挙において民意で選ばれた沖縄県知事。なんど東京を訪れても政府関係筋は面会すらしようとせず、「せめて前の仲井間知事が行った手続きを精査するまで待ってほしい」という極めて民主的な意見も聞き入れられることなく強引に工事を進めようとする政府。

反対する人たちに公然と繰り広げられる暴力。いったい民主主義の根幹はどうなってしまったのでしょうか?

「人質事件を利用して政府批判することは、テロに利することになる」というご意見、ごもっともです。でも逆の見方をすれば、「日本政府こそ、人質事件を利用して日本を危険な方向に導いてはならない」ということだけは申し上げておきましょう。

『テロは言語道断の許しがたい行為である → 日本も今後危険にさらされる可能性がある → 集団的自衛権は必要だ→沖縄に基地は必要だ』 という流れに世論を巻き込んで加速していく恐れは十分あります。

日本が本当の意味で世界平和に向けてやらなくてはならないこと、次世代の子どもたちの時代に日本が戦争できる国になってはならないという観点からすると、今のような流れは非常に危険であると言わざるを得ません。

戦後の日米安保にもとづいて、米軍基地はたしかに必要とされてきました。でも、沖縄の基地は未来永劫必要なのでしょうか?

アメリカ国防省のある人は、今は中国や北朝鮮からのミサイル射程距離内に入ってしまう沖縄に、いままでどおり基地を集結しておくことの危険とメリットを考え、基地をもっとアジア地域に分散させる考えもある、との見解を示しています。

それなのに、いま日本政府がこれほどまで強引に沖縄の基地建設を急ぐのはなぜでしょう?


◆「なぜ、大人たちは戦争に反対しなかったの?」

これは、アンネの日記に出てくる言葉です。

フェイスブックのフィールドでは、私と同じように危機感をもってさまざまな情報を発信されてる方も少なからずいらっしゃいますが、危機感を実感できない方、あるいは気づいていても何も口にしない人たちもまだまだ多いように思います。

戦争は、「さあ、これから日本は戦争を始めようと思いますが、みなさんのご意見はいかがでしょうか?」なんて国民投票で問われることはありません。それまでの流れから当然のこととして、仕方ないこととして、国の一部のトップの判断で突然始められるのです。いざその時になって、自分の身の上に禍が降りかかってから気づいても、反対しても遅いのです!

報道番組のあり方、新聞各社、放送各局によってとらえ方も報じ方も違って当然です。
「政府が右というものを左というわけにはいかない」という名言(?)に代表されるような、公式に発表された事実だけを淡々と、示し合わせたように報じるだけの報道なら、あえて新聞やテレビに頼る必要性はどんどん薄れていくでしょう。

一定の客観性はもちろん重要ですが、各紙・各放送局は独自の価値観と視点で問題提起して頂けばよいのです。
今は、テレビや大手の新聞だけでなくさまざまなメディアから情報は得られるのです。国民ひとりひとりが、マスコミで流されていることだけを鵜呑みにして表面的・単発的にものごとを捉えるのではなく、さまざまな情報の中から「何が真実か」「何が本質か」を見極めていく力が求められていると言えるでしょう。

そして、周りの空気や大きな力を気にし過ぎることなく、素朴な疑問や不条理に対してはしっかりした考えをもって行動する!

「なぜ、大人たちは戦争に反対しなかったの?」と子供たちに言わせるようなことは決してあってはならないのです!



プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
このすぐ下の「カテゴリ」から興味のあるテーマごとにクリックして覗いてみてください。
一部パスワードをご存じのメンバーの方のみ閲覧できるページを含みます。

カテゴリ
カウント開始 2011.1.14~
リンク
最新記事
最新コメント
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

月別アーカイブ
検索フォーム
QRコード
QR