分かりやすい説明

赤塚不二夫 

たしかに…

自分がしっかりと理解していること(=理解力)と、聞き手の気持ちが分かること(=想像力)。
この両面が「分かりやすい説明」には必要でしょう。

テレビの世界で、ちょっと専門的なテーマになるとすぐに大学教授をひっぱり出しますが、専門的な知識の量や「権威」よりも何よりも、ちゃんと分かりやすく伝える力があるかどうかが問題です。

真相を明かされたくないと、わざと専門用語を使って「特殊な世界」を演じて煙に巻くような言い方をすることもあるようです。自分の保身にばかり目がいって、真実を知りたいと思っている多くの人の気持ちが分からない、つまり人としての想像力が欠如しているからではないでしょうか?

でも、そうした意図がないにもかかわらず、分かりやすい説明ができないとしたら…?


「難しいことは分かりやすく、分かりやすいことは面白く、面白いことは深く」

これ、前にも書きましたが、井上ひさしさんの言葉の一部をちょっといじってますが、私の信条です。でもこれがなかなか難しいものだと痛感します。 

 

分かりやすい説明を阻害しているのは?

ひとつは、本人がどこまで本当に深く理解できているかです。
ある説明を聞いて、あるいはマニュアルを読んで、「自分は分かった」「自分はできる」というレベルだと、違う角度から見てみる、自分の言葉で説明する、逆から説明する、といったことまでできません。

でも、本人自身が苦労して発見してきたことならば、いろんな角度からの知識や発見が複雑に結びついて1本の大きな樹のようになっていることでしょう。それをどこからどう説明するか?
必ずしも説明・プレゼンテーションのプロではなくても、本当に本人がよく理解していることだったら、知識は立体的につながっているはずです。 幹の部分から枝へ、また別の枝へ、違う枝がどこかで同じ幹につながっている…etc.

単発で言われたことが聞き手の予備知識の不足によって理解できない部分があったとしても、そこを明確に質問できれば、きちんとした説明が返ってくるはずです。


そしてもうひとつ、もし本人が本当に深く理解しているはずなのに、どうしても説明が分かりづらいとしたら、残る原因は説明の表現方法の問題かもしれません。

よくパソコンの操作に非常に慣れた人になにかを尋ねると、いとも簡単にちょこちょこっと対応してくれるんだけど、何が問題だったのか、どこをどういじったのかがさっぱりわからず、「いま何をどうやったの?」と説明を求めてもいまいち分からない…ということがあります。

こちらもちゃんと理解して自分で使えるようになりたいのです。最初は誰でも分からなかったはず。相手はいま何をどう理解できないのか、その状況や気持ちを想像して、うまい喩えなどを使っていかに分かりやすく説明できるか…?



このあたりは、日頃から心がけてちょっと訓練することで向上できると思います。
たとえば、最寄駅から自分の家まで、あるいは行きつけのお店までの道順。本人は位置関係や裏道まで知り尽くしているでしょう。それを、初めて訪ねて来る人にどう伝えるか?

一番分かりやすそうなルートを選んで説明する。それも、駅を降り立ってある出口を出たところに広がっている風景から平面的に説明していく方法もあります。あるいは地図のように上空から見下ろした位置関係で説明する方法もあります。
場合によってはその両方を併用したり、別のルートも併せて説明することで、およその位置関係(全体像)を理解してもらう、ということもあるでしょう。


いまは携帯という便利なものがあります。街中で「今どこ?」と居場所を探り合っている若者の姿をよく見かけます。

携帯などなかった頃は、前日に家庭電話あるいはFAXで待ち合わせ場所をしっかりと伝えなければ、せっかく近くにいたのに会えなかった、ということもありました。今はだれでも携帯という便利な道具を持っていますが、はたして表現力はどうでしょうか…?

頭の悪そうな人は、たいてい同じ言葉で同じ説明をただただ何度も繰り返しています。
その説明では相手が理解できていないんじゃないかな、まったく違う方向に勘違いしているんじゃないかな、と考えてみる必要があります。言葉を変える、説明方法を変える、といった修正ができるかどうか、喩えを出すなど応用が利くかどうかです。

公私ともども、人生のいかなる場面でも「分かってもらえる」ことはとても重要。
そのためにも「分かりやすく伝える」ことは常に考えていきたいですね。

プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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