雷・嵐にまつわる楽曲

雷はお好き?


梅雨前線の活動も活発になるこの時期、南からの暖かく湿った空気と、上空の寒気によって大気の状態が不安定となり、あちこちで雷雲が発生し、山沿いなどでは激しい雷雨…。

この季節にはよく聞かれる話である。しかし気象予報士の勉強をここでしようという訳ではない。

私は個人的に、幼いころからちょっと怖いけどなんだかんだ雷って好きなのである。

真夏の猛暑を一気に冷ましてくれる、という実用的な面だけではなく、夜寝ている時に稲妻が空を走るのがカーテンごしに見えたり、遠くで雷鳴が鳴っているのを聞くと、大自然の営みに包まれているようで、幻想的でちょっと贅沢な感じさえしてくるのである。

梅雨の時期の雷は、上空の高い雲の中で起きていることが多く、雷鳴も遠いことが多い。これもまたこれからやってくる夏を予感させるような情緒があっていい。


雷 サイトより
雷 資料画像(サイトより)



♪ ところで、そろそろ「音」に関するお話し…


雷の音は一般的に「ゴロゴロ」? 

でも近い雷は「カリカリ…ドドーン」、もっと近くに落ちる時は「パリーン!」!
…近いほど高音のように思わないだろうか?

電気に関する研究所で、高圧の電気によって人工的な雷を発生させる装置を見たことがあるが、空気中を一瞬に放電する音は、金属音のような激しい「パーン」という凄まじい炸裂音に近かった!

雷のほかに、ジェット旅客機のエンジン音なども、空港など近くで聞いていると「キーン」という金属音(←ダジャレではない!)が大きく聞こえる。
ところがはるか上空を飛ぶジェット機の音を地上で聞くと「ゴーン」という轟音(←これもダジャレではない!)がほとんどになる。

どうやら高音域の音は近くでは大きく聞こえるが、遠くでは低い音の方が聞こえやすい傾向があるらしい。周期の長い低周波の音(=いわゆる低い音)の方が遠くまで届くということだ。

お寺の梵鐘が大きく低い音に作られているのは遠くまで音が届くため、火の見櫓の半鐘は小さな鐘で音は高く、近くの火事を告げるため…そんなことも関係あるのかもしれない。


♪ 楽曲中に登場する「雷」「嵐」

交響曲をはじめとするオーケストラの曲の中でも、「雷」や「嵐」をモチーフにした曲や場面は案外多いように思う。

思いつく限り何曲かをご紹介…


◆グローフェ作曲:組曲「大峡谷(グランドキャニオン)」

1.日の出 2.赤い砂漠 3.山道を行く 4.日没 5.雷雨
 
グランドキャニオンの壮大な風景が展開されるこの曲の終曲に「雷雨」がある。やや特殊な打楽器として、ウィンドマシーンというものも登場する。木製のローラーにやや重い布がかぶせてあり、ハンドルでローラーを回転させると「ヒューン」と風のような音を出す。
遠くから風が吹いてきて、どこかで稲妻が走り、遠くから雷鳴が聞える…


◆ロッシーニ作曲:「ウイリアム・テル序曲」

1.夜明け 2. 3.静寂 4.スイス軍の行進

小学校のレコード鑑賞を思い出すが、もっぱら終曲の「スイス軍の行進」だけが有名になっているような気がする。
1曲目のチェロのモノローグのような「夜明け」と、それに続く「嵐」も私は大好きだ。
弦楽器がざわざわと葉を揺らし始める不穏な風を想像させ、しだいに近づき…どちらかというと「雷」というより「暴風雨」といった感じの曲だ。


◆M・ラヴェル作曲:「ダフニスとクロエ」

もともとは物語のあるバレエの曲の中のシーンを集めて、2部に構成した組曲である。その第2部の前半部分で、大地が裂けてパンの神が現れ、海賊に襲いかかるシーン。やはりウィンドマシンが登場し、まさしく「嵐」である。


◆ベルリオーズ作曲:「幻想交響曲」

5楽章から成る交響曲の第3楽章、コールアングレ(オーボエより一回り大きく落ち着いた響きのする木管楽器)が牧歌的な旋律を歌う楽章の終わりの方で、4台のティンパニによる「雷のコラボレーション」!ステレオ効果で遠くの雷鳴を表現する。
曲全体ではティンパニは1stと2ndの2人で演じるが、この3楽章の終わり部分だけは4人の奏者が並ぶ。
バランスよく4人が息を合わせて、静かなトレモロからクレシェンドしてふたたび消え入るように…これが数回続く。客席も息を飲む見せ場である。
このシーンが終わって弦楽器が静かにエンディングに入ると、どこからともなくふーっと溜息が聞えてくる?…ような気がする。


◆ベートーヴェン作曲:交響曲第6番「田園」

1楽章…田舎に着いて晴れやかな気持
2楽章…小川のほとりを散策して…
3楽章…農民たちの楽しい集い
4楽章…雷雨、嵐
5楽章…牧人たちの感謝と祈り

耳の病に犯されていたベートーヴェンが、大好きな田園風景の中を散策しながら綴った詩集のようにも思えるこの6番目の交響曲。
同時進行で作曲されていた5番「運命」とは違った美しい交響曲である。
ただ、ベートーヴェンの交響曲の中でもかなり異例な点… それは4楽章の「雷」のシーンにしかティンパニが登場しないことだ!
欲求不満でつい思いっきり叩き過ぎてしまうこともあるが、まあ「雷」ですから、それぐらいでちょうどいい…?

ちなみに、「刑事コロンボ」の初期の頃の作品で「黒のエチュード」というのがあった。指揮者がピアニストの愛人を殺害しコンサート会場に戻るが、本番を振っていて胸元の白い花がなくなっていることに気づく…というシーンで演奏されていたのが、まさに「田園」の4楽章だった。


◆ヨハン=シュトラウス作曲:ポルカ「雷鳴と電光(稲妻)」

雷の恐ろしさというよりも、音の描写を愉快なポルカ(2拍子の軽快な曲)に乗せて…
アンコール曲や子ども向けのコンサートでもよく演奏される。
小太鼓とシンバル(あと弦楽器も)が稲妻役、大太鼓が雷鳴役。なぜかティンパニはない。



まだまだ他にも雷や嵐を題材にした音楽はあると思います。
古今東西、多くの音楽家たちもやはり「雷」や「嵐」に何か大自然が奏でる素晴らしいダイナミズムを感じたのではないでしょうか?

つづき→ 
「特殊な打楽器」

雷と天神様に関して→ 
「風神・雷神」


プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
このすぐ下の「カテゴリ」から興味のあるテーマごとにクリックして覗いてみてください。
一部パスワードをご存じのメンバーの方のみ閲覧できるページを含みます。

カテゴリ
カウント開始 2011.1.14~
リンク
最新記事
最新コメント
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

月別アーカイブ
検索フォーム
QRコード
QR