純正律と平均律

◆ピタゴラス音律

ピタゴラス先生が発見したもっとも心地よく響く5度の響き。
今日の科学でとらえる音の周波数で言うと、ある音と完全5度の音との比率は2:3。真ん中の「A(ラ)=440Hz」から完全5度上は「E(ミ)=660Hz」です。

真ん中の「ラ」から5度上の音、そこからまた5度上の音…
「ある音の周波数÷2×3」と電卓をたたいて、2:3の関係で5度上の音の周波数を求めながら12音を重ねてみました。

ピタゴラス音律計算表ペイント

5度上・5度上…と書いていくとすぐに五線を飛び出しますし、音もどんどん高くなってやがて高周波になって聞こえなくなってしまうので(笑)、ある程度高くなったところで2オクターブ下げ、そこからまた上に5度…と並べました。
オクターブは1:2の比率ですから、2オクターブ下の同じ音は4分の1の周波数として計算してあります。

すると、12回目に出てくる「高いラ」は…

オクターブならば本来1:2の関係、つまり「真ん中のラ=440」なら「上のラ=880」にならなくてはいけませんが「892.01」、かなり高めの「ラ」になってしまっています。

ピタゴラス音律では、オクターブが1:2にピタ~っとはならないのです!


◆5度時計は 12音誕生の図 だが…

これまで何度となく紹介してきた「5度時計」
もっともシンプルな見方は、ある音から 5度上の音、そのまた5度上の音…と取っていくと「12回目で元の音に戻ってくる」ということでした。つまり12音誕生の図です。


5度時計(改右回り)


転生輪廻のように12回目で元の音に戻ることを示していて、調性として#や♭がついていく関係を説明するのに用いたり、ある音を中心に左(=5度下)がサブドミナント・右(=5度上)がドミナント・真ん中がトニック…という関係が見えたり、対角線にあるのは代理コードだったり…、いろいろな見方ができて面白いのですが、厳密な「音律」まではこの図で表せません。

噓をついてだますつもりはなかったのですが、完全5度の積み重ねで12回目に戻ってくる音は、厳密には「元の音」ではなかったのです。


ここで、現代の平均律の音律表と比較してさっさと終わってもよいのですが…(笑)

オクターブの響きはきっちり取りつつ5度の関係も美しく合わせるにはどうしたらよいのだろうか?…長いジレンマの歴史がはじまるのです。人々はどうやって音を並べてきたのでしょうか?
いにしえの「純正律」の音にちょっと思いをはせたいと思います。


◆純正律とは?

純正律については難しく、音楽学者など専門的な方の書かれた文章はとても難解です。誤解を恐れたら何も書けません。でもそれでは一般の方にはますます分からない世界のままでしょう。
例によって私流に分かりやすく…

純正律とは、理想的な5度だけを基準にするのではなく、3和音を使ってある調(しらべ)の7音を取っていく方法、とごく大雑把にとらえておきましょう。

たとえば、「ドミソ」というとても有名な明るい3和音がありますね。
下のド(=根音)から長3度上に「ミ」、その上に完全5度の「ソ」が重なった和音です。
長3度は4:5の比率、完全5度は2:3の比率、つまり4:5:6の関係で団子3兄弟が重なっているのが明るい長3和音なのです。

1.「ド」を基準に3度上の「ミ」と5度上の「ソ」を決めます(=ドミソ)。
2.次に「ソ」を基準に「シ」「レ」を決めます(=ソシレ)。
3.そして「ド」の5度下の「ファ」、3度上の「ラ」を決めます(=ファラド)。

これでハ長調の7音が決まります。
ここでも「ドミソ」、「ソシレ」、「ファラド」という3つの明るい3和音がいかに重要かが分かりますね。

5度の関係だけで12回やらなくても、3和音を基準にすると少ない回数である調の基本7音は決まるのです。重ねる回数が少ない方が、歪みも出にくいはずです。

5度だけでなく長3度の関係も見ながら、ある調(しらべ)で用いる7音を取っていく調律方法、それを「純正律」と言っておきましょう(←純正律の厳密な定義としてではなく、あくまでとらえ方・イメージとして)。

ただし、「ドミソ」「ファラド」「ソシレ」に関しては美しい響きですが、ハ長調の2番目のコードである「レファラ」、あるいは平行調であるイ短調の「ラドミ」といった短3和音(マイナーコード)はとても汚い響きになってしまいます。「レファラ」の「レ」は「ソシレ」の「レ」ではない、「ファラド」の「ラ」は「ラドミ」の「ラ」ではない…こういうことが起きてくるのです。

要は、ある部分は理想的な3度・5度でも、違う部分では歪みが出てしまう、それが純正律です。「純正=美しく響きあう理想の関係の音程」という一面だけでは語れないのです。



この「音についてアラカルト」というカテゴリーで、ひとつ前に「調性」について書きましたが、中世においては、まだ「調性」よりも「モード」が中心でした。

中世の6つの教会旋法(チャーチモード)の話もこれまでに何度となく触れてますが、7つの音を音階として並べると、半音の関係が途中2か所に入ります。それがどの位置に来るかによって、調(しらべ)全体の雰囲気(=モード)が変わります。

「モード」で音楽を奏でていた中世においては、いま奏でたい7音の調(しらべ)がもっとも美しく聞こえるように音を並べていたはずです。


◆弦楽器に純正律のルーツをみる

今日オーケストラで使われるヴァイオリン、ビオラ、チェロといった弦楽器は、4本の弦を完全5度で調弦します。ヴァイオリンは「ソレラミ」、ビオラは「ドソレラ」、チェロはその1オクターブ下の「ドソレラ」。

コントラバスだけは4度上(=5度下)に向かって「ミラレソ」と調弦します。チェロの1オクターブ下に合わせることもあるようですが、一般的には「ミラレソ」。ヴァイオリンとは逆、だから「コントラ~(=反対の)」なんですね。 
(→ 「コントラ~」重低音はお好き? )

いずれにしても弦楽器は今でもピタゴラス音律を基本に調弦する楽器なんです。

それら弦楽器の黒く伸びた指板(しばん)という部分には、ギターやマンドリンのようなフレットがありません。奏者の感覚だけで指板上の弦を押さえて、振動する弦の長さを決めて音を取ります。

ヴァイオリン指板

指の微妙な位置や押さえ方で音を微妙に高めに取ったり低めに取ったりできる楽器。自ら音を作る楽器=作音楽器です。

4本の解放弦はピタゴラス音律で合わせ、それ以外の音は、いま奏でている調(しらべ)にもっとも美しく鳴る音を作っていく…そういう楽器なんです。

ここに純正律の音楽のルーツを見るような気がします。


◆鍵盤楽器の誕生

シンプルな竪琴や弦楽器の仲間から、やがて鍵盤楽器が誕生します。
竪琴を横に寝かせて、竹などのバチでたたいて演奏する楽器の仲間がその原型です。
地中海周辺のハンマーダルシマ、サントゥール、ハンガリーのツィンバロン(チェンバロ)などです。

ハンマーダルシマ
ハンマーダルシマ

ツィンバロン
ツィンバロン

やがてそこに、弦をはじく爪と鍵盤装置を備えたものが誕生します。フランス語ではハープシコード、イタリア語では「clavicembalo(クラヴィチェンバロ)=鍵盤のついたチェンバロ(=チェンバロに鍵盤をつけたもの)」。

クラヴィーチェンバロ
クラヴィチェンバロ、ハープシコード

そして、弦をはじくのではなく、ハンマーでたたく楽器が誕生したのが、今からおよそ300年前です。「ハンマークラビーア」と呼ばれるもので、これが今日のピアノの原型ですね。「ピアノフォルテ」、鍵盤を打つ強さによって弱い音から強い音まで出せる楽器…これが「ピアノ」の語源ですね。
(→ 鍵盤楽器とは?


これらの鍵盤楽器では、1オクターブ内に12音、白鍵と黒鍵(ハープシコードは今日とは色が逆でしたが)の配置ができていました。すべて並列ではなく、下段に並ぶのは7音、その間に5つの音、という形になったのも基本は7音階だったからだと思います。

さて、鍵盤楽器では奏でる調(しらべ)によってヴァイオリンのように理想的な音を取りながら演奏することはできません。あらかじめ12音を並べておかなくてはいけません。
その12音をどう調律しておいたら良いのか…?

ここからはとても複雑な話になりますが、いま奏でたい楽曲にもっとも理想的な形で調律する方法(=不均等調律法)があり、その中にもいくつもの種類があったようです。


◆さまざまな不均等調律法

これは調律師さんの研究資料からコピーをいただいたものですが、いま奏でようとする音楽(調)にとって重要な場所でなるべく純正な5度・3度を保つために、ある部分を優先した(=ほかを犠牲にして歪みを押しやった)調律方法がいくつかあった…私はそんな風に理解しています。

ヴェルクマイスター20170215
キルンベルガーー ゾルゲ

円の外側は5度の音との関係、内側の円は3度の関係を示し、黒く三角形に飛び出している箇所が「歪み」を表しているそうです。「歪み」というより、ピタゴラス音律(=理想的な5度)との差、と言った方が良いかもしれません。

ある場所を理想的な関係で合わせると、どこかに歪みが行く…という風に理解してください。私もそれ以上のことは正直分かりません。

ある調(しらべ)にちょうどよく調律し、そのまま別の調(しらべ)を演奏したら歪みを感じる箇所が生じてくるので、演奏ごとに調律を変えなくてはいけなかったはずです。曲の途中で転調するなどということは、それこそ「想定外」だったのでしょう。

この中に図はありませんが、「ミートーン」という調律方法があります。
それは、3度の関係を重視して、5度はすべてちょっと狭めに合わせる方法。5度を絶対視するのではなく、全体のバランスの中で5度を少しずつ犠牲にして歪みを分配…これが「平均律」の発想の原点ではないかと私は思います。


◆「平均律」の誕生

さて、長い時代を経て「平均律」というものが誕生します。
先ほどの調律師さんからいただいたコピーで「平均律」を見ると…

平均律

すべての5度にちょっとずつ歪みを分散させていることが判りますね。オクターブをきっちり1:2で合わせ、あとはすべての5度を少しずつ狭く取っていく…「歪み」をみんなで仲良く分かち合った、ある意味「妥協」の音律。

さてお待ちかね、その平均律の各音の周波数一覧です。
この記事の冒頭の「ピタゴラス音律」と比較してみてください。

平均律音律表


真中の「ラ」を「440」Hz(←442,443など色々ありますが、ここでは標準のきっちりした数字の440を基準)とすると、下の「ラ」はその半分の「220」、上の「ラ」は倍の「880」です。オクターブは1:2です。

そして、真ん中の「ラ」から5度上の「ミ」を見ると…

理想とする純正の5度では3:2で「660」なんですが、ここでは「659.26」、わずかに低い(狭い)ことが判ります。下の「ラ」から5度上の「ミ」もそうです。「ラ=220」に対して「ミ=330」になるはずですが、ここでは「329.63」、やはりちょっと低めです。
あまりカラーリングするとかえって煩雑になって見づらくなるので1か所だけ青でマーキングしましたが、他の箇所すべての音についてそうなのです。

よかったら「ある音の数値÷2×3」と電卓をたたいて、この表で5度上の音の数値と見比べてみてください。すべてにおいて、電卓の数値よりわずかに小さい値になっているはずです。
5度だけでなく3度の関係においても、どこかに歪みが偏ることなく全体に均等に分かち合われています。これが「平均律」なのです。


平均律はいつごろから?

さきほど、鍵盤楽器で「ハンマークラビーア」という今日のピアノの原型が誕生したのが今からおよそ300年前と書きました。まさにバロック時代、音楽の父・バッハの時代です。

中学生の終り頃だったでしょうか、こんなバッハの曲集を与えられました。

バッハ平均律120170215

「バッハ 平均率曲集」 平均「」ではなく「」となっていますね。

このバッハの時代に平均律も生まれ、バッハはその平均律で音楽を書いていった…と教えられ、私もずっとそう信じてきました。

ところが最近、どうもこの「平均律」というのは誤訳だという説があるようです。
私もこの記事を書いてからある音楽グループの方からご指摘を受けて知ったのですが…

バッハのこのピアノ曲集のタイトルは…
「Das Wohltemperierte Klavier (The Well-tempered Keyboard / 良音律鍵盤楽器) 曲集」

「良音律」という言葉はちょっと耳慣れませんが、平均律のことではなく、ある調(しらべ)を奏でるのに良い音、つまり先ほどの不均等調律だというのです。なにをもって「良音」とするのかによって、解釈は大きく変わってくるように思います。

さらに、バッハの時代はおろか、のちのベートーヴェンの時代でも、不均等調律が主流で、平均律が普及するのはもっと時代が下って19世紀ごろだと…

たしかにそういわれてみれば、ベートーヴェンのピアノ曲や交響曲が、どの調で書かれているかが重要だと言われます。
今日の平均律では、2度上げたり下げたりしてもさほど違和感は感じませんが、不均等調律(=ある調にもっともふさわしい音律)に慣れていた人たちの耳には、調(高さ)に対してより敏感だったのだろうと納得できます。


一方、私の手元にこんな古い文献があります。

バッハ平均律研究20170215

バッハの曲について解説したものですが、前書きからしてバッハが平均律の利点を使って作曲していたことを前提として書かれています。

たとえば、フーガ形式というのは、同じ旋律をさまざまな違う高さで登場させて重ねていく手法ですが、もしある調にとっては都合が良いが、違う高さでは歪みが生じてしまうような音律では、フーガ形式の曲を楽しむのは難しいと思われます。
また、ある主旋律に別の旋律を重ねていく「対位法」も、旋律の音と何度の関係にあるかを緻密に組み立てていく手法です。やはり平均律の方が何かと都合はよいはず。

なので、バッハの時代に平均律ができたことで、一気にバロック音楽が花開き、それが後々の音楽の発展のベースになったという、これまで私も信じてきた通説も捨てがたいのです。

より専門的に研究されている方からは反論もあるでしょうし、諸説あって、正確なところは正直分らないというのが今の私の結論です。



ただ、私はここで時代考証して音楽史を編纂しようなどと大それたことは考えていません(笑)。
ふだん何気なく聞いている「音」「音楽」について、つくづく奥深さを感じるのです。

ここまでの話の流れを整理しておきましょう。

5度の関係で音をとっていくと12回目で同じ音に戻る(=12音の誕生
5度だけを基準とするピタゴラス音律では1オクターブが広くなってしまう
3和音を基準にその音階内で用いる7音を決めていくのが「純正律」
鍵盤楽器の出現、奏でたい部分を中心に合わせる不均等調律法ができた
1オクターブ内をすべて均等に割り振る「平均律」が生まれた

5度の響きを美しいと感じ、12の音を発見した…しかし、そこから長い長い歪との葛藤の時代を経て、今日の音楽ができてきた…ということです。



「純正律」と「平均律」、どちらが優れているか?、という話でもありません。

よく、理想的には「純正律」なんだけど、調律をいちいち変えなくても済むように、歪みをみんなで分かち合った、妥協の音律、無難な音律が「平均律」なんだ、という印象を持たれる方もいるかもしれません。
実際、オーケストラの音こそ本当に美しい響きで、ピアノの音は純粋な音じゃない…などとおっしゃる方もいらっしゃいます。きっと素晴らしい耳をお持ちなのでしょうね。

でも、私はそうは思いません。

平均律ができたおかげで、曲の途中で臨時記号が出てきたり、転調したりするような音楽ができて発展していったことは確かでしょう。
もし平均律が生まれていなかったら、ここまで音楽が普遍的に発展してこられなかったでしょうし、楽器もここまで発展・完成してこなかったでしょう。それだけ楽曲も高度で複雑になり、高い演奏技術を求められるようになったとも言えるかもしれませんが…

平均律の素晴らしさは素直に享受する一方で、まだ平均律もなかった「いにしえの調(しらべ)」を純正律の響きで味わう機会もあったらいいと私は思います。贅沢でしょうか?


おわりに 純正律と平均律との共演

純正律と平均律が共演する場面があります。それは弦楽器とピアノが共演する「ピアノカルテット」、さらにオーケストラとピアノが共演する「ピアノ協奏曲」です。
どんなに高級なスタインウェイのフルコンサートピアノでも「平均律」、一方のオーケストラは「純正律」で音楽を奏でています。

ヴァイオリンなどの弦楽器は「作音楽器」で、その曲の場面ごとにもっとも調和する音を作りながら演奏すると先ほど書きました。純正律で理想的な音を奏でることもできますが、ピアノ伴奏での場面によっては平均律のピアノの音程とももっとも響き合う音を奏でることもできるのです。それが作音楽器の強みともいえるでしょう。
弦楽器以外の楽器でも、ピアノソロの奏でる音程にもちょっと意識を向けながら演奏することは大切だと思います。

私の大好きなラフマニノフのピアノ協奏曲2番の3楽章では、ピアノソロが静かに奏でているバックでティンパニがppでトレモロを続けるシーンが2回ほど出てきます。そこでやはりppでリズムを刻むシンバルも大変ですが、ティンパニが気を遣うのは「音程」です。

オーケストラだけでffで演奏してた時の音と必ずしも同じ音でピアノと調和するとは限りません。チューニングメーターに頼って「この音はここ」と絶対的に決められるものではなく、いま鳴っている音、とくに平均律のピアノソロともっとも響き合う音(=オーケストラだけでffで出していた音よりわずかに低め)で響きが溶け合えたら理想ですね。

(完)

究極の「美しさ」「感動」は「恐怖」と隣り合わせ? 

2月10日(金)

究極の「美しさ」や「感動」を覚えるとき、「怖い」という感覚と隣り合わせなんじゃないか、と思うことがあります。

私はよく喩えに出すんですが…

私は幼少のころ父の転勤で京都に住んでいて、近所の小学校のお屋上から母に背負われて大文字焼を見た記憶があります。その時の私の記憶にあるのは「怖かった」という感覚。
おそらく、現実離れした、神秘的幻想的な美しさだったのでしょう。

大人になった今でも、たった一人で夜空に現れるオーロラを見たら、同じような感覚に襲われるかもしれません。

オーロラ

ありふれた日常のものではない、現実離れした未知なるもの…
大自然が作り上げた巨大な造形、大宇宙の営み… 
人間の力の及ばないものへの驚異、畏れ・恐れを感じるのでしょう。

究極の「美しさ」や「感動」って、「畏れ」に似た感覚と隣り合わせなんじゃないかと

現代のようにまだ科学が発達しておらず、さまざまな自然現象もそれがどうして起こるのかが解明されていなかったころ、人々は「おそれ」とともに「美しさ」を今よりもっと大きく感じていたのかもしれませんね。


現実とはまったく違う世界へといざなう音楽

音楽でも、たとえばホルストの「惑星」のいちばん最後の「海王星」で、バックステージからかすかに聞こえてくる女性コーラスの響きを聴いていると、宇宙のかなたに吸い込まれていくような、幻想的で神秘的な「美しさ」とともに、底知れぬ遠い世界に迷い込むような「こわさ」も入り混じった感覚へといざなわれます。

私が幼少のころから聴いていたオーケストラの楽曲の中にも「おそろしい曲」がいくつかありました。

♪ムソルグスキーの「はげ山の一夜」
赤土がむき出しになったはげ山で、夜中に骸骨が躍り狂う…その解説どおりのおどろおどろしい曲ですね。

♪ファリャの「恋は魔術師」の中の「火祭りの踊り」

♪ハチャトゥリアンの「ガイーヌ」の「剣の舞」 

♪ロッシーニの「ウイリアムテル序曲」の中の「嵐」の一節。
冒頭の弦楽器がPPのトゥリルで奏でる音による嵐が近づいてきて木々が揺れ始める不気味さ、そのあとにオーケストラが大音響でさく裂するあの短調の旋律、トロンボーンの力強く駆け上がるスケール、荒れ狂う嵐。

こういう曲を、風邪で熱を出していて夜中にトイレに行くときに思い出すだけで本当に恐かったです。


生々しい「楽器の音」ではなく…

しかし、この「おそろしい」という感覚こそ、「美しさ」や「感動」を求める上では不可欠な要素じゃないかと思うのです。現実的な「当たり前の楽器の音」ではそれは起こらないのです。

ホルストの「惑星」の最後に舞台裏から聞こえてくるのは、生々しい「女性コーラスの声」ではない、宇宙の彼方へ消えていく神秘的な音色でなくてはいけないのです。


とくに打楽器の音に求められるのは、「これはシンバルの音だ、これはバスドラムの音だ、これはティンパニの音だ…」と分かってしまっておしまいの音ではいけないんですね。

ありきたりの楽器の「音」ではなく、何かを象徴する音、その楽器の出しうる究極の表現としての「特別な音」でなくてはいけないのでしょう。


二段の滝 ドッペルドミナント

2月9日(木)

この「音についてアラカルト」のカテゴリーで「5度の引力」「属七」について書いてきましました。
今回はそのダブル技、「ドッペルドミナント」です。

ドイツ語のDoppel(ドッペル)は、英語のダブル、「二重の」という意味です。

ある調の主音から5番目の音(=属音)を根音とする3和音(=属和音)がドミナント
そこに7thを加えたものが「属七=ドミナント7」、主音への強い引力を持った響きですね。

主音から5度上の音を主音とする調(=属調)の中の属和音。「属」のまた「属」、二重のドミナント=ドッペルドミナントです。

ドッペルドミナントとは

この手法は、クラシックの名曲の中でも随所に使われています。

♪ヨハン・シュトラウスの「ラデツキー行進曲」のイントロ
♪チャイコフスキー「くるみ割り人形」終曲の「花のワルツ」冒頭、テーマが繰り返される場面…etc.

5度下へ降りて、またそこから5度下の主音へ…主役登場の二段構えの滝のようなイメージです。

なんですが…

即興でコード循環をとらえながら「ある音の5度上→そのまた5度上の音」をぱっと探せますか?

そのヒントを、上図の右下に囲みで書きました。主音のひとつ上の音(=上主音)を根音とするマイナーコードを明るく変えたもの、なんです。 

長調の1~7までのコードの中で見ると…

長調のドッペルドミナント

ある調、たとえばハ長調の2番目の和音はDmというマイナーコードですね。それを明るい和音に変えたものがドッペルドミナントなんです。

ドッペルドミナントという用語の説明として「2のマイナーコードを明るく変えたもの」ではいけません(法廷では通用しません…笑)。
でも、コード循環のとらえ方としては「2→5→1の変形」、「5度進行の一部」と考えた方が即興でも捕らえやすいでしょう。



泣かせる短音階でのドッペルドミナント

属和音・属七は、同じ主音の長調・短調(=同主調)に共通です。

自然的短音階(=平行調の長調と同じ7音でできる短音階。ナチュラルマイナー)の音のままでは、第5番目の和音はマイナーコードです。
そこで和声的短音階(=ハーモニックマイナー)では第7音を半音上げるんでしたね(←おさらい)。

つまり短調であっても属七は長調と同じ明るい響きです。
「ソシレファ」という属七から、明るい「ドミソ」にも暗い「ドミ♭ソ」にも行けます。

その5度上にあるドッペルドミナントも、当然ながら明るい和音です。

短調のドッペルドミナント

短調のコード進行として…
「Cm→Fm→B♭→E♭→A♭→Ddim→G7→Cm」(1→4→7→3→6→2→5→1)というのが一般的な5度進行ですね。
その最後に戻ってきた主和音「Cm」を、いったん明るい「ドミソ」に変えるんです。そこに7thを加えた「C7」という響きは、5度下の「Fm」へと引っ張られます。その3度下にある「D」を明るくしたコード「D7」が、このドッペルドミナントです。そこから「G7」(=属七)へ、そして「Cm」に戻ってくる、という循環です。

短調の中に出てくる明るい響きは、希望の光を感じさせるような、あるいは悲しみをさらにこみあげさせるような効果があります。
演歌(石原裕次郎など)や刑事ドラマのテーマにも多用されますが、クラシックの名曲の中にもじつはたくさん使われています。

ピアノの詩人・ショパン、ワルツ(作品64-2)の冒頭

ショパンワルツ


同じくショパン バラード1番(作品23)

2002年の映画「戦場のピアニスト」で使われて有名になり、2016年にはスケートの羽生結弦選手がフリーの演技で用いた曲ですね。その冒頭部分。

ショパンバラード1

A7がドッペルドミナント7th、D7がドミナント7thに当たります。

なお、属七の響きがなぜ「1」への引力を感じさせるのか? 
音のための音の原理(=楽典)というよりも、「人はなぜそういう響きを聴いてそう感じるのか?」に私は興味を持ってきました。ト長調ではもっとも安定した響きをもつ同じ「ソシレ」という響きなのに、ある場面で聴くと「ドミソ」に早く戻りたくなる…なぜ?

少し前に書いた記事です。→ 「属七の引力、なぜ?」



音楽の表現にはさまざまな要素があります。作曲の経緯や時代背景、曲から浮かぶ風景…想像力を研ぎ澄まし、楽譜と向き合い、演奏技術を磨き…本当に奥深い世界です。

一方、難しいと思われがちなクラシックの名曲にも気軽に親しみ、たとえ一字一句おたまじゃくし通りでなくてもコードでとらえればピアノを奏でて楽しむことができます。
あるいは、きちんと練習する上でも、単にそこに音符が書かれてるからその通り弾いて練習するだけでなく、響きの移り変わりをコードでとらえることができれば…

調性 #・♭のつき方に法則あり!

2017.2月5日(月)


調性としての♯や♭が、どこに・いくつ付くか…これをすべて「覚える」のは大変ですね。

「ト長調にはファに#がひとつ付きます、ヘ長調にはシに♭が1つ付きます」…などと覚えさせられ、「〇調には#または♭がいくつ付きますか?」などと聞かれて点数をつけられるから音楽が嫌いになってしまった人も多いのではないでしょうか?

ところが、小学校の合唱部がよく発声練習をするときに、ピアノの伴奏をする子が、

 ♪ドレミファソファミレド~ → ド♯レ♯ミ♯ファ♯ソ♯ファ♯ミ♯レ♯ド♯~ 
   → レミファ♯ソラソファ♯ミレ~ → ミ♭ファソラ♭シ♭ラ♭ソファミ♭~ 

と、さりげなく半音ずつ上げて音階を間違えずに弾いていますね。
何の音から始めても、長音階に聞こえる階段の形(=モード)があって、それを感覚として把握しているのでしょう。

感覚として弾ける・歌える…それは大変素晴らしいことです。

しかし、試験では「この曲は何調ですか?」「#・♭はいくつ付きますか?」が聞かれます。


  ●シャープ系=主音は「ト→二→イ→ホ→ロ→嬰へ→嬰ハ」
            ♯のつく音は「ファ→ド→ソ→レ→ラ→ミ→シ」の順

  ●フラット系=主音は「へ→変ロ→変ホ→変イ→変二→変ト→変ハ」
            ♭のつく音は「シ→ミ→ラ→レ→ソ→ド→ファ」の順

日本音名で「トニイホロヘハ」「ヘロホイニトハ」、あるいはドイツ音名で「ゲー・デー・アー・エー…」「エフ・ベー・エス・アス…」と呪文のように何度も口に出して、さらに楽譜に何度も書き記していくうちに「覚える」…それが一般的でしょう。

まあ「公式」みたいなものですから、覚えてしまえばそれでよく、指折り数えて#・♭の数が判れば試験で正解できますし、「この曲ではどの音に#(または♭)が付く」と認識すれば楽器も演奏できますから。

しかし…

これまで「音」について色々見てきて、あらためて「なぜ?」と考えると、音階というのは数列のようなもので、5度という運命的な関係でできる「ある法則」に気づくはずです!

「覚え方」の話ではなく、そんな「音」のしくみ、「なぜ?」にご興味のある方は、この先をお読みください。


◆音の名前の確認

日本語には、さまざまな国の言語が混在しているから難しい…それは音楽にも言えそうですね。

イロハニホヘト、ABCDEFG、ドレミファソラシド…

音の名前を日本語の「イロハ…」で呼ぶのは、調性(=何調ですか?)を言う時と、「ト音記号」「へ音記号」「ハ音記号」の名称ぐらいではないでしょうか? 

一般に音名は「ドレミ…」で、コード名は「ABC…」で呼び、調性だけは「イロハ…」で呼ぶ…
調性の理解を難しくしている第一の関門がそこにあるのかもしれません。

まずは鍵盤上で、音の名前をしっかり一致させておきましょう。

ラ~ド文字入り

★日本の音名「イロハ…」は、ドイツ語の「A(アー)」、英語の「A(エー)」と同じく「ラ」の音が出発点です。
だから「ド=ハ=C」、「ファ=へ=F」、「ソ=ト=G」…なのです。ドレミファソラシ…というイタリア音名は、グレゴリー聖歌の頭文字から付けられたものです。→ ドレミの起源

★英語とドイツ語 「B」に要注意!

英語では「B=シ」ですが、ドイツ語では「B(ベー)=シ♭」です。 
ドイツ語では「A=ラ」のすぐ次に「シ♭=B」と名づけた。でも白鍵の「シ」にだけ名前がないのも困るな…と最後に「H」の文字を付け足したように見えますね。

「B」とだけ表記されているとき、ドイツ語の「B(ベー)」=英語の「B♭(ビーフラット)」なのか、英語の「B(ビー)」=シ♮ なのか、そこだけ要注意なんです。

★日本語では、「#=嬰(えい)」「♭=変(へん)」を「イロハ…」音名の前に付けます。
 「変ホ=ミ♭」、「嬰ハ=ド#」を意味します。



◆調性のシャープ系・フラット系とは?


さて、呪文のように覚えた「トニイホロヘハ」、「ヘロホイニトハ」って、そもそも何だったのでしょうか?
「ソレ、ナンデスカ?、ヨクワカリマセ~ン」じゃないでしょうか?
まだ調性について知らない人に、ちゃんと説明してあげられますか?


それぞれ頭に「ハ」をつけて、馴染みのある「ドレミ…」に置き換えてみましょう。

 #系 …(ド→)ソ→レ→ラ→ミ→シ→ファ(#)→ド(#)

すべて完全5度ずつ上の音へと行ってます。
主音が5度上がるごとに、調性としての「#」の数がひとつずつ増えていきます。

 ♭系 …(ド→)ファ→シ♭→ミ♭→ラ♭→レ♭→ソ♭→ド♭

すべて完全5度ずつ下の音へと行っています。
主音が5度下がるごとに、調性としての「♭」の数がひとつずつ増えていきます。

これを1枚に丸~く収めたのが、以前にもご紹介した「5度時計」です!

日本名の「トニイホロヘハ」が右回り、「ヘロホイニトハ」が左回りに並んでいます。

5度時計(改右回り)


もともと完全5度で音を円形に並べていくと、時計のようにちょうど12回目で元の音に戻ってくる…ということを示した図ですが、それぞれの音を主音(=音階のスタート音)とする調(長調)として見ると、面白い法則が見えます。

右回り=シャープ系…12時から右回りに、主音が5度上がるごとに、調性記号としての#が一つずつ増えていきます。
左回り=フラット系…逆に左回りに、主音が5度下がるごとに、調性記号としての♭が一つずつ増えていきます。

真上の0時では#も♭も「0」、真下は#で表しても♭で表しても「6」つ。じつに面白いと思いませんか?

7時を#系で表すと7音すべてに#、5時を♭系で表すと7音すべてに♭。
真下の6時では、#で表すと「シ」以外の6音に#が、♭で表すと「ファ」以外の6音に♭が付きます。


#や♭の付いていく数は分かりました。
では、音階のどの音にどんな順に調性記号(#・♭)が付いていくのでしょうか…?


キイとなるのは「4」と「7」

シャープ系では、音階の4番目の音に#を付けた音が、5度上の調(=属調)で新たに調性として加わる#の音で、その音は属調では7番目の音になっています。

調性の法則♯系

★図表の右端が見切れていたら、クリックすると全画面が見られます(以下同じ)


フラット系では、音階の7番目の音(=導音)に♭を付けた音が、5度下(=4度上)の下属調で新たに調性として加わる♭の音。その音は下属調では4番目の音になります。

また、新たに♭のついた4番目の音が、次の5度下(=4度上)の下属調では主音となります。

調性の法則♭系

この「4」「7」という因縁の数字、なにかピンときませんか?

音の誕生を思い出してみましょう。


●完全5度

たとえば「ラ=440Hz」だとすると、そこから完全5度上の「ミ=660Hz」、2:3という整数倍率の音程です。人間の耳にもとても心地よく、はるか昔にピタゴラス先生が「音は比率でできている」という大発見をするきっかけとなった音程です。

ある音(=仮に「ド」とする)から完全5度の関係で音を取っていくと…
     
      ド → ソ → レ → ラ → ミ

ヴァイオリン・ビオラ・チェロの4本の弦も、この5度の関係で調弦されています。

この5音を低い順に並べ替えると、「ド・レ・ミ・ソ・ラ」という5音階(=ペンタトニック)になります。
日本の演歌でもよくある「ファ」「シ」が抜けた、いわゆる「4・7(ヨナ)抜き」の音階ですね。



7音の誕生 赤文字入


「ミ」から完全5度上には「シ」が、「ド」から完全5度下には「ファ」がいます。
これを加えて低い順に並べなおすと「ドレミファソラシ」、ピアノの白鍵の音が揃いました。

ところが、両端の「シ」~「ファ」の関係は、他の音同士のように完全5度にはなっていません。この7音では完全な循環にならないのです。
「シーファ」は今日でいう減5度の響きで、16世紀の人たちは「悪魔の音程」と言って避けました。

「ドレミファソラシド」という音階の中では4番目7番目にあたるこの「ファ」「シ」。
ちょっと厄介な音ですが、特性音(=そのモードの中で他にはない特色のある音)でもあります。



おことわり  ~昔の音に思いをはせて~

「ある音=ド」とし、「ド→ソ→レ→ラ→ミ」という5音階に、さらにその両端から5度の関係にある「ファ」「シ」を加えて7音階になった、と書きました。

はじめに「ある音(=仮に「ド」とする)」と書いたように、昔は「ある音」でしかなかったのでしょう。
ただ、それだと音づくりの説明が不可能なので、便宜的に「ドレミファソラシ」で表現したまでです。

「ファ」は「ド」より5度下にある音なので、上に「シ」、下に「ファ」と書きましたが、同じ「ド」を基準に「ド→ソ→レ→ラ→ミ」、そこからさらに上に「→シ→ファ#」と考えてもよいのです。
それでもやはり、両端にある「ド」と「ファ#」は増4度(=減5度)の「悪魔の音程」になり、途中に2か所「シ~ド」と「ファ#~ソ」の半音の箇所が生じます。何の音を基準にしても、5度ごとに音を7つ取れば同じことが起こる、原理は同じなんです。


そもそもまだピアノのような鍵盤楽器もなかった時代、「白鍵・黒鍵」とか「全音・半音」といった概念なんてありません。また「ラ=440、あるいは442」と西洋音楽で統一されたような音もありません。

今でも、伴奏楽器のないキャンプなどで、誰かが「う~」と声を出したら、その音を基準にして皆で音を合わせて歌えますね。あの感覚に近かったのではないでしょうか。

弦を張って「ある音」をつくり、それを基準に5度の美しい響きになるように隣の弦を合わせていったのでしょう。今日の日本の楽器をはじめ、世界各地の民族音楽も「ある音」を基準に音を合わせ、調(しらべ)を奏でています。

竹をある長さで切って吹いて出た音と、その音と5度の関係の音をつくるには、竹の長さを3分の2の長さに切ればよい…という図解が正倉院にも残っているのを写真で見せてみらったことがあります。すでに天平時代に5度の音程の作り方が日本にも伝わっていた! ということです。

その偉大なる5度の関係で、まずは5つの音を作って5音階(=ペンタトニック)に。ここではとくに問題はありませんでしたが、さらに5度の関係の音を2つ加えて7音階にしたら、両端の音の関係が他とは違う音程になってしまった。そして次に説明するように、低い順の音を並べると、途中隣同士の音に狭いところが2か所できた、そのことに当時の人々も気づいていた、ということなんです。

…では、ふたたび今日の音の呼び名「ドレミ…」で説明を続けましょう。


◆12音の誕生へ

「シ」から完全5度の関係にあるのは「ファ♯」です。さらに5度の関係で「ファ#→ド#→ソ#→レ#→ラ#」と今日のピアノの黒鍵で5つ進み、次の「ミ#」=「ファ」、その次は「ド」、元の音に戻ってきます。
こうして今日のピアノの7つの白鍵、そこに5つの黒鍵が加わって「12音の誕生」に!

「そうか~、ピアノの5つの黒鍵も5度の倍音率でできてたんだ!
5つの黒鍵は5音階(=ペンタトニック)になっている!、だからペダルを踏んだまま黒鍵をどう押しても調和した響きになるんだ…」ということに気づきます。
まさに12音をすべて並べて完成されたのがピアノだったんです。

しかし…

ピアノの白鍵と黒鍵をすべて上から下まで何秒で弾けるか、などとやっても音楽的な感情はわいてきません(笑)。

世界中のさまざま地域・時代ごとにさまざまな音楽が生まれてきましたが、人々が12音を発見してからも、12音をすべて並べて奏でるだけの音楽はあまりないはずです(←グリッサンドのような部分的な表現は別)。
12音の中から5つ・6つ・7つ…いくつかの音を選び出して奏でることで、さまざまな雰囲気を醸し出す「音楽」となります。不思議ですね。

竪琴から進化したハープという楽器を見ても、1オクターブに12音の弦は張られていません。1オクターブ内に7本、基本としてピアノの「ドレミファソラシ」の7音に調律し、#や♭の音は7本のペダルを操作して作ります。
7つのペダルはそれぞれ7つの音に対応していて、たとえば「ファ」に対応するペダルを踏むとすべての「ファ」の音が半音上がります。各ペダル、真中の状態がナチュラル、踏み込むと半音上がり(=#)、上げると半音下がる(=♭)ように作られています。「ファ」と「ド」に対応するペダルを踏んでロックしておけば、そのまま二長調の曲が弾けるのです。臨時記号が出てきたらそのペダルを一時的に踏む…こうして12音すべて出すことができますが、基本は7音でできた楽器と言えるでしょう。

バロック時代からおよそ300年、クラシックといわれる西洋音楽で基本となる長音階・短音階の音階は、7つの音でできています。そもそもこの記事は「調性」についてですから、7音階の話に戻しておきましょう。



7音階で生じた問題が幸いして 「モード」が生まれた

、すなわち「ファ」「シ」が加わったことで、両端のファとシはきれいな5度にならない「悪魔の音程」となりました。

それだけではありません。7つの音を低い方から並べると、その途中に2か所、他よりちょっと短いところが生じました。「ミ~ファ」、「シ~ド」の2か所に半音の関係が生まれました。

繰り返しますが、その昔ピアノもない時代ですから、白鍵・黒鍵とか全音・半音という概念もなかったはずですが、この2か所はどうも他とは違うな、ちょっと短い、隣同士を同時に鳴らすと濁った響き…という感覚はあったはずです。

その感覚があったからこそ、何の音から音階を作るかによって、半音の2箇所が音階のどこに入って来るかが変わり、それによって音階全体の響き(=モード)が異なり、違った味わいになることに気づいたのでしょう。

そこで生まれたのが6つの教会旋法です。


6つの教会旋法20170206

→詳しくは 6つの教会旋法

その6つの教会旋法のうち、イオニア旋法と呼ばれるものが今日の長音階エオリア旋法と呼ばれるものが今日の短音階です。

この「ド」から7音を並べたハ長調と、「ラ」から7音を並べたイ短調、構成している7つの音は同じで、いわば打順を変えることでチーム全体の色彩(=モード)が変わる関係。楽典では「平行調」と呼びます(←おさらい)。

長音階と短音階(=自然的短音階)の階段の形(=半音の来る位置)はこのような形です。

階段の形=モード

5つの黒鍵も含めた12音を使って、何の音から始めても同じ階段の形になるように並べたもの、それが調性です。

5音階(ペンタトニック)から、7音階が誕生するときに加わった「4」「7」番目の音が半音の関係を生じさせた。その半音の箇所がどこに来るかによっていくつかの「モード」ができた。そのモードの中で、今日の「長調」「短調」ができ、何の音から音階を奏でるか、すなわち「調性」ができたのです。

調性の#や♭のつく位置が、「4」「7」と深くかかわっていることも納得できるでしょう。


属七の引力 なぜ? 

1月29日(日)

単なる楽典の書き写しではなく「人はその音・響きを聴いてなぜそう感じるのか?」。
本日は、私のこだわる「5度の引力」のスペシャリスト、「属七」さんにお越しいただきました。


◆属七とは?

ある調の主音から5度上の音(=属音)を根音とする長3和音に、根音から7度上の音を加えたもの。
はい、「属七」という名前の定義・説明としてはよろしいのではないでしょうか。

<図解 おさらい>

属七の説明

簡単なハ長調を例にこの説明を当てはめると、主音「ド」から5度上にある属音「ソ」をベースとする「ソシレ」という明るい長3和音に、ソから7度上の「ファ」を加えたもの、ですね。
とらえ方としては「ソシレ」+「ファ」=「属七」 。用語の説明としては良いでしょう。

でも、その「属七」がなぜ主音「Ⅰ」の響き(=5度下)へ戻りたくなる引力を持つのか…?

多くの楽典の本にはそこの説明がありません。実際に音楽を奏でる中で感じる感覚、コード進行を考える上でもっとも重要な「答え」がないのです。

もはや「楽典」の領域を超えた「和声心理学」とでも呼ぶべき未知の領域かもしれません。そこに足を踏み入れてみましょう。


属七はどんな響きか?

「ソシレ」+「ファ」
と考えるのではなく、「ソ」+「シレファ」と見たらどうでしょう?
コペルニクス的発想の転換です。

「ソ」をベース音に、その上に「シレファ」という和音が乗っかっている…と思って響きをよく聴いて味わってみてください。

「ソ」という音は、ト長調では主役の最も安定した音ですが、ハ長調の中では5番目の音。
「気をつけ→礼→なおれ」「礼」で頭を下げてる音のベース音ですね。ずっと鳴らされていると、頭に血が上ってきて早く「なおれ」になってくれないかな…という音ですね。

その「礼」のベース音の上に乗っかってる「シレファ」という和音はどんな響きでしょう?

7導音

ハ長調の音階の7番目の音「シ」は「導音」といって、半音上の主音を導く音です。
その「シ」を根音とし、ハ長調で用いる音を3度ずつ重ねた「シレファ」という和音は…

下の2音間・上の2音間いずれも短3度の、減3和音(dimディミニッシュ)の響き。
7つのコードの中でも異色の存在で、つま先立ちをして頭を押さえ込まれたような、縮められて苦しくて、早く半音上の「ドミソ」に上がって落ち着きたくなるような不安定な響き…ですよね。

「ソ」+「シレファ」が、いかに「ドミソ」に戻りたくなる響きか、お分かりでしょう?

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もう何年も前に描いた下手な絵を再び…


◆いろいろな7th

ところで、属七は「7th」コードの一種ですが、「7th」コードにも4種類あります。
分かりやすく表記された図をサイト上で見つけたので、これを借用して解説を加えさせていただきます。

4種類の7th

明るいドミソ=C、暗いドミ♭ソ=Cmにそれぞれ、ベースの音「ド」から短7度上の「シ♭」を重ねたもの。左の2つ、C7Cm7ですね。

★補足

このC7属七とするのは、ドより5度下のファを主音とするヘ長調、または同主調のへ短調(属七は同主調の長調・短調に共通)。どちらもシには♭がつく調性です。その調を構成している音を上に乗せたものですね。


同じく明るいドミソ=C、暗いドミ♭ソ=Cmにそれぞれ、ベース音「ド」から長7度上の「シ」を重ねたもの。右の2つ、Cメジャー7Cマイナー・メジャー7ですね。

ハ長調の5番目の「ソシレ」も明るい長3和音(=下の2音間が長3度、上の2音間が短3度)。その上に、「ソ」から短7度上の「ファ」を乗せた「ソシレファ」という和音。上図のいちばん左のタイプで、コード名は「G7」(←先進国首脳会議ではありませんよ)。

★補足

ハ長調
と同主調のハ短調でも、属七「ソシレファ=G7」は共通です。「ソシレファ」から明るい「ドミソ」にも、悲しい「ドミ♭ソ」にも行けます。ただ、ハ短調の調性では♭が3つ付き、シにも♭が付いてますから、そのままでは「ソシ♭レファ=Gm7」になってしまいます。そこで、ハ短調の第7音「シ♭」を半音上げる必要がある…それが「和声的短音階」(ハーモニックマイナー)です。

和声的短音階を音階の形で示されて第7音が半音上がる…と示されても「なんで?」ですが、こういう意味だったのです。
3種類の短音階については、こちら(私のオリジナル)をクリックしてご覧ください。

短音階 3種類20170128

7thは 5度下へのきっかけ

明るい長3和音の上に「7th」をのせた響き、つまりC7、D7、E7、F7、G7、A7、B7(それぞれに♯・♭のついたものも)はすべて、他の調(=5度下の調)の「属七」にあたります。

曲全体を他の調に移す「移調」、曲の途中で調性が変わる「転調」、そのほか曲の中のちょっとした場面で5度下の響きへと色変わりさせるきっかけになる、いわば5度下への強力な引力を持った響きなのです。

このように、3和音に7thを加えることで5度下の響きへ、そこで安定したかと思いきやまた「7th」の音が加わってさらに5度下へ…と連続技で色変わりを繰り返していくのを「ウルトラセブン」と言います!

もちろん嘘ですが(笑)、私はよくそう呼んでいる「5度進行」ですね。
安定したかと思うと、それが「5番目の響き」に色変わりして、5度下へ…この「不安定→安定」の引力を人はどうして感じるのでしょうか?


◆「ソシレ」はいつ聴いても「ソシレ」なんだけど…

最後にもういちど「和声心理学」のお話し。

明るい和音「ソシレ」という響きは、いつどこで聴いても同じ「ソシレ」です。
周波数も「ラ=440Hz」を基準に合わせれば世界共通の、人類の共有財産、普遍的で永遠の「ソシレ」です。その響きを聴いた人の耳が脳に伝達する神経のメカニズムそのものは変わらないはずです。

なのに…

「ソシレ」はト長調の音楽の中ではもっともベースの安定した和音(=トニック)ですが、ハ長調では5番目の音(=ドミナント)で、早く「ドミソ」に戻りたく感じるのです。不思議ですね!


音や和音(響き)には、音楽の中での立場や役割がある、ということです。

喩えるなら、一家の中では「お父さん」で世帯主。でも実家に帰れば「5男坊」で決定権はなく「あんたじゃなくて世帯主に会わせろ」と言われてしまう立場…そんなところでしょうか(笑)。

モーターの回転音や、風が鳴らす鈴の音、列車の警笛など…「音」はいたるところにありますが、「音楽」として用いられる「音」や「和音(響き)」は、決して単独では存在しません。

他の音や和音との関係で、結びついたり、溶け込んだり、引っ張り合ったり、途中の寄り道の音だったり、どこかへ向かう音だったり、帰結する音だったり…なんらかの「力」が働いているのです。

そうした目に見えない「力」に沿って、ある響きから他の響きへと色変わりさせていく法則…
それが「コード循環」ではないかと私は考えています。

「5度の引力」をコード循環に

2017年 1月28日(土)

楽典の基礎からコード循環へ…

音楽用語の意味、和音の種類・音階・調性…これらは楽典の基礎としてある程度「覚える」しかない世界。
でも、そこで大切なことは、音に対する感覚をもつことだと私は思います。

どんな世界でもそうですが、ただ丸暗記して覚えればいい、テストで正解が書ければよい…ということではなく、「なぜ?」について考えることが大切です。音楽はまさに感性の大切な世界です。


人は音を聴いてなぜそう感じるのか?

たとえば、音程でも和音でも、5度という関係はとても重要です。
ドとソ、主音と属音の関係。ここには強い引力が働いていると感じるのです。

「ソ」という音は、いつどこで聴いても「ソ」であり、「ソシレ」という和音は世界共通の「ソシレ」なわけですが、ハ長調の音楽の中では「ド」に戻りたくさせる引力をもっている…不思議ですね。

単なるモーターのうなり音や電車の警笛のような「音」ではなく、音楽の中で聴いている音は、単独で存在しているのではなく、ある役割をもってほかの音や和音(響き)と結びついている、ということでしょうか。
→ 「属七の引力 なぜ?」

5度の引力が使われる場面には、およそ次のようなパターンがあると思います。

5度のマジックパターン

◆和音→コードへ

すべての音をベースとする全コード名を一覧にして覚えるのは大変です。
「C(ド)」をベースに、明るい「C」、マイナーコードの「Cm」、さらに「Cdim」「Caug」、7thにも4種類…ひとつのベース音だけでもこれだけ種類があります。それを12音すべてについて…

★もちろん、長3和音・短3和音はどういうものか、下の2音の音程と上の2音の音程がそれぞれ長3度か短3度か、dim(ディミニッシュ)・aug(オーギュメント)とはどういうものか、7thにはどんな種類があるか…といった基本的な知識は必要ですが、ここではコード循環を理解して使えるようになるには、ということです。


仮にすべての音をベースにすべてのコード名を一覧にして「覚え」ても、すぐに使えるようにはなりません(泣・笑)

そこで、私がお薦めするのは、ひとつの調の7音をベースとする7つの和音(コード)から覚えること。


調ごとに 7つのコードでとらえよう

まず、もっとも単純なハ長調とイ短調の7つの基本コードの組み合わせを1~7までの数字(度数)で覚えるのです。

基本、まず覚えるのはこの7つの和音(コード)です。
長調では1・4・5は明るい和音、2・3・6はマイナーコード。最後の7だけがdim(ディミニッシュ)。この順序は他の長調でも変わりません。

長調・短調7つのコード
下段の短調のコードでは、5番目と7番目の和音に臨時記号の#がついてますね。ここでちょっと楽典のおさらいです。


<和声的短音階について>


平行調の長調(イ短調にとってはハ長調)と同じ7音でできている短音階が「自然的短音階(ナチュラルマイナー)」。

その5番目の和音(=ドミナント)は、同主調の長調(イ長調)にも短調(イ短調)にも共通の明るい和音でなくてはいけません。
そのために自然的短音階の第7音を半音上げたのが「和声的短音階(ハーモニックマイナー)」。

楽典の本には、音階の形で第7音を半音上げたものを「和声的短音階」と示しているものがほとんどですが、それだとなぜ第7音を半音上げる必要があるのか理由が分かりません。それに和声的短音階を音階として奏でる必要はないのです。

なぜ和声的短音階では第7音が半音上がるのか?
それは属七・Ⅴの和音(=ドミナント)の響きは長調も短調も共通だから…
明るい「ミソ#シ(レ)」の響きから、明るい「ラド#ミ」にも、暗い「ラドミ」にも行けるためです。

楽典は単に「覚える」ものというより、こういう理由を理解するために用いたいですね。



このように、まずは単純な(原則♯も♭もつかない)ハ長調やイ短調を例に、曲の中のコード進行を「度数」で捕まえられるように。

あとは、他の高さ(調)でも、その調の音階を構成している7つの音の組み合わせでできる和音は7つ。
全コードを一覧で覚えるよりも、はるかに実用的ではないでしょうか?



5度の引力を有効に使ったコード進行(=5度進行)

では、これら7つのコードをどう循環させたらよいのか?
曲の中ではどう使われているか?

「5度の引力」を使ったコード進行があります。

5度進行
この5度進行をフルに使って8回目で元の音に戻ってくるコード循環は、短調の曲でとくに多く使われます。

♪「枯葉」、「白い恋人たち」、竹内まりあ「駅」、来生たかお「グッバイデイ」…etc.


厳密に完全5度で進行させたら12回かかってしまいますが、途中1か所、F→Bのところで減5度の「ごまかし」が入ってます。
その「ごまかし」の減5度が、短調では終わり近くに出てきますが、長調だと「4→7」は割としょっぱなに出てきてしまいますね。長調ではここを避けて1→(3→)6→2→5→1というコード進行がよく使われます。


1→(3→)6→2→5→1

C(=1)から3度下のAm(=6)に降りる。平行調だからすんなり動けます。
♪「上を向いて歩こう」「ムーンリバー」の出だしのように、光と影を行き来するような響きの移ろいです。そしてあとは5度進行で「6→2→5→1」。

あるいは、Cから3度上がってEm(=3)へ。そこから5度進行で「3→6→2→5→1」
♪尾崎豊「I love you」、長渕剛「Close your eyes」、あとテレサテン「時の流れに身を任せ」の骨格部分などがその典型ですね。

★5度進行では、とくに7thの音を加えることで、属七のように5度下への引力をより一層強めるものが多く、7th進行などと呼ばれることもあるようですが、私のブログ内では「5度進行」に統一しています。


5度進行の変形

どこかに臨時記号の♯をつけて、マイナーコードを明るくしたり、逆に明るいコードをマイナーに変えたり、dimやaugを作ったり…と応用。
たとえば、 4を「F♯dim」に変え、7を明るい「B」に変え、3へ…そう、メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」に出てくる「結婚行進曲」「4→7→3」の変形だったんだ…!

最後に、この5度進行の最後、「2→5→1」の部分に注目。
2-5-1とドッペルドミナント


2のマイナーコードを明るい和音に変えたもの、それがドッペルドミナント(二重の属音)です。

★ドッペルドミナントについては、後日あらためて記事を書きますが…

♪ラデツキー行進曲、花のワルツ(チャイコフスキー「くるみ割り人形」終曲)、ショパンのバラード1番やワルツなど、クラシックの名曲でも多く用いられています。
とくに冒頭、「これが主役かな?」と思わせておいて、実はその5度下、さらにその5度下から主役が登場…といった演出に用いられます。

→ 二段の滝 ドッペルドミナント




こんな風に、クラシックの名曲を、あるいは流行の歌謡曲や映画音楽をコードの流れでとらえる試み。

「そこにおたまじゃくしがあるからその通り弾く」のではなく、響きの移り変わりを分かって弾けるようになります。「楽譜がないと弾けません」からの脱却への近道です。

「むかしピアノを習ってました」と過去形でおっしゃる方も、楽譜を見て、毎日ピアノに向かって練習して、覚えていれば弾けたんですよね。あらためてこうしてコードで音をとらえることができたら、いかがでしょうか?

また、楽譜は読めないけど、コードで音を捕まえてピアノを弾けたら…はい、ギターなどと同じくコードを覚えればそれも決して夢ではないのです!

ギターは、比較的大人になってから始められる方も多いですね。私が高校生のころ、それまで楽器などやったこともない友人が、ギターをはじめてわずか数か月で、フォークソングなど(年代が知れますね…笑)をさらっと弾いているのを見て驚いたものです。コードで覚えると弾けるようになるのも早いのでしょう。

ただギターの場合、6本の弦をおさえる「手の形」でコードを、耳で聞こえる「響き」と一致させて覚えることが多いのではないでしょうか?
だからコード名だけで演奏できるようになっても、個々の音の上下や広がり(音程=音と音の間隔)が見えづらいのではないでしょうか?

その点、ピアノなどの鍵盤楽器は、音が並んでいて見えてますから、短3度、長3度、5度の広がり、そこに7thや9thを上に重ねる感覚、ある音を半音下げるとマイナーな響きに変化する…といったことが、すべて目に見えるのです。

どの楽器もそれぞれ魅力がありますが、いちど鍵盤で音の関係を見てみるのも悪くないと思います。



♪「音の小部屋」通信

音楽に親しみ、音の不思議・面白さ・奥深さにあらためて気づくプロジェクトです。
長年のアマチュア経験、音楽療法で学んだことなどを、「タテ割り」ではなく広く分かりやすく!


●音楽をもっと身近に楽しもう


「昔ピアノを習ってました」と過去形でおっしゃる方、
クラシック~映画音楽・ジャズ・歌謡曲など、音楽が好きな方…etc.

音楽にもっと親しめる日々をご一緒に!

少しは楽譜が読めるようになりたい、音の原理や音楽の発祥に興味ある方…etc.
音大で学ぶような音楽理論(=楽典)、和声学などには書かれていない「音」そのものへの興味。

「人はなぜこういう音(響き)を聴いて明るく感じたり暗く哀しく感じたりするんだろう?」という、「音の心理」についても考える。


●憧れの「即興」の世界へ!


クラシック畑にありがちな「楽譜がないと弾けません」から脱却したい、
楽譜通りに毎日練習できなくてもさらっとピアノが弾けるようになりたい、
「ドミソ・ファラド・ソシレ」の3色だけでなくもっとお洒落な響きで伴奏(リハーモナイズ)したい…etc.

→クラシックの名曲や有名な映画音楽を「コード」でとらえる


●響きの色変わりを中心に


メロディに合ったコードを探す(=コード付け)のではなく、コードの循環(=響きの色変わり)そのものを体験しよう!

あるコード(=響きの色)から次にどんな色変わりができるか、このコードからこのコードに行く間にどんなコードを入れるとお洒落か…?

基本和音の変形を知り、ある音(響き)からある音(響き)への「引力」を感じ、そのパターンを知ろう!

★12色循環ルート

(楽典や和声学の基本的知識は必要に応じて確認程度)

★コード循環だけの「即興」で、詩の朗読のBGM、身体を使った自由なテラピーにその場で音をつける…etc.


●さまざまなジャンルを越えて


昭和歌謡の中にはクラシック音楽や洋楽からのパクりがけっこうある(笑)
映画や刑事ドラマの音楽など、人の感情を動かす音楽には、何か共通する「味付けの秘技」がある。

人と音楽…楽器や音楽のルーツ、音階の生いたち、日本の音…etc.
民族音楽・民族楽器・民族舞踊の世界にも広く親しむ機会を求めて!


〈イメージ:琵琶とベリーダンスのコラボ〉

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巨匠バレンボイム氏の「Talks About Music」

10月24日(火)

「1音だけでクレッシェンド…そんな魔術は物理的に不可能に思えますが」という質問に対して、

「種明かししたら魔術じゃないよ」と笑いを取りつつ、かつてピアノの巨匠ホロビッツに言われた「意志をもつ」ということについて語られた言葉が素晴らしいのでご紹介します!

Maestro Daniel Barenboim 「Talks About Music」

★facebookよりURLをコピー。動画がうまくみられると良いのですが…
 動画で2分経過したあたりから…



♪「意志」をもつ

クレシェンドがあると知るだけでは不十分だ
どうにかしようと欲すること
何かを表現しようとする意志

すべての知識と感性を結集して表現すること
自然の法則や 音の法則について

深い知識と高い意識があれば 魔術ができる

説明するのは簡単だ
クレシェンドはこうあるべき、リズムはこう…
いくらでも説明はできる

だが 教えられないことがある
音楽を愛する心は教えられない

すべての日常の邪念を忘れて クレッシェンドに集中する

(中略)

音の不思議は 物理を超えているからです





まるで詩のように、彼の口から出てくる言葉のひとつひとつに説得力があると思いませんか。

ピアノで、ある和音を弾いて、その響きをクレッシェンドすることはできません。
そして次の和音を弾く…、その「間」に音はありません。

でも、そこに「クレッシェンドするのだ」という強い意志を働かせて弾くと…




プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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