新たなカテゴリー「駅の安全・案内サインなど」を設けました

3月31日(金)


最近ようやく、首都圏のJR・私鉄でも「困っている方を見かけたら一声かける思いやりを」という呼びかけが目立つようになりました。

目の不自由な方が駅のホームから転落するという痛ましい事故が後を絶たず、そのたびに「ホームドアが設置されていたかどうか?」といった設備(ハード)面ばかりがクローズアップされますが、私は何年も前から、周りの人や駅員のちょっとした「気づき」「思いやり」「大丈夫ですか?」の一声の大切さを訴えてきました。



三鷹への通勤が3年ほどになりますが、朝7時ごろの新宿駅でよく見かける白い杖をついた男性といつしか友達になりました。

新宿~中野 朝の白杖の友人

いつも中央総武線の決まった車両に乗って中野まで行かれるので、電車の乗り降りの際に「大丈夫ですか?」と声をかけたのがきっかけでした。中央総武線がなんらかのトラブルで止まってしまったとき、中央特快速に乗り換えるにはホームを移らなくてはいけません。そんなとき、私は彼とご一緒しました。
彼も最初は「駅員の方ですか?」とお尋ねになりましたが、「いえ、よく朝お見かけする通勤者です」と話すと、すぐに私の声を覚えてくださり、いまでは「おはようございます」の一声から世間話をして中野までご一緒しています。

このblog内、「社会・時事に思う」「ノーマライゼーション」のカテゴリーに書いてきたいくつかの記事をまとめ、「駅の安全・案内サインなど」という新たなカテゴリーを設けました。
この記事を含むカテゴリーURLはこちらです。以降、よろしくお願いいたします。

★駅の安全・案内サインなど

「上野東京ライン」などは愛称

3月30日(木)

「上野東京ライン」が登場したのは、たしか2015年の3月、ちょうど2年になるんですね。

上野東京ラインa

上野ー東京間が新たに結ばれたことによって、上野を玄関口とする高崎・東北・常磐方面からの在来線の列車が、東海道線とも直通運転できるようになりました。

たとえば高崎や土浦・成田方面からやってきた列車が、上野ー東京を経由して、東海道本線で小田原方面まで行けるようになったわけです。


乗り物ニュース

ところが、厳密にどの駅からどの駅までを「上野東京ライン」と呼ぶのかは不明確です。
それもそのはず、鉄道路線の正式名称としてではなく、直通運転する列車の「愛称」だからです。「湘南新宿ライン」とよく似ています。

以前、湘南新宿ラインについて書いた記事がこちら。
→ 「湘南新宿ライン」との上手な付き合い方



直通による便利さの反面…

直通によって、今まで何度か乗り換えの必要だったところへ乗り換えなしで行けて便利になった反面、同じ発着ホームに色々な行先の列車がやってくるので、うっかり乗り間違えたり、うっかり寝過ごして以前は考えられなかったとんでもない方まで連れていかれたり…という経験をされる方も多いようです。

また、沿線上のどこかで起きたトラブルによって、とんでもない遠方まで影響する…といった問題もあり、通勤時間帯のトラブルは深刻です。

直通運転による便利さの方が大きくクローズアップされますが、もともと鉄道好きな私としては、やはり従来の路線名、ルート、地理的な位置関係をよく把握しておくことは大切だと思います。

たとえば…

「湘南新宿ライン」ができたことで、渋谷から乗り換えなしで鎌倉方面に行ける便利さはたしかにあります。
ただ、ネットで前もって直通列車の時間を調べて、その列車に乗れれば、たしかに短時間で乗り換えなしで行けて便利です。

しかし仕事や所用の流れで動けるときに速やかに移動する際、いちいち前もってネットで調べることなく直接渋谷駅まで行って目的地に向かおうとすることも多いですね。

湘南新宿ライン(=埼京線)のホームは山手線とはかなり離れていますし、直通列車がちょうど行ってしまったばかりだと、次の直通列車までは30分も時間が開いてしまう…というケースも。

そんなとき、ともかく山手線で品川まで出て、そこから横須賀線に乗り換えて行くという従来のルートの方が列車の本数も多く、時間も読めます。
あるいは、東横線(東急)で横浜まで行って横須賀線に乗り換える、というルートの方が料金も安いです。

このように、あたらしくできたルートの「愛称」と、「直通で便利になった」ということだけを全面的に信用してしまうのではなく、「新しくもう一つのルートができたんだな、トラブルさえなければ便利だな」ぐらいに考えて、やはり本来の路線名やルートをイメージできることが大切だと思うのです。


◆「宇都宮線」もじつは愛称

湘南新宿ラインに関する記事にもいろいろ書きましたが、かつの国鉄の旧線をつなげたり、かつての貨物線を利用したりして、直通運転の列車が走るようになって「湘南新宿ライン」のような愛称がつくケースは、今後もできてくると思われます。

また、在来線のある区間を愛称で呼ぶこともあります。
「宇都宮線」がそのよい例です。上野から東北本線の黒磯(栃木県)まで(←宇都宮ではなく黒磯まで)の区間を「宇都宮線」という愛称で呼んでいるのです。

線路としてはれっきとした「東北本線」(上野ー青森)の一部なのです。喩えるなら、東海道本線の小田原までを「小田原線」と呼ぶのと等しいのです(←小田原線などという愛称は今のところありません)。
沿線の自治体とJRが協議して「愛称」として呼んでいるだけなのです。

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この画像で「宇都宮線」と併記されている「高崎線」はJRの正式な路線名です。
また、同じ栃木県の日光まで行く「日光線」も正式名称です(=最近では東武線の利用者が増えて、JR日光線は衰退していますが、かつて国鉄時代には上野から直通運転の特急列車「日光」も走っていました)。


たしかに黒磯・宇都宮方面から通勤している人にとっては、「東北本線、黒磯行き」などと言うよりも「宇都宮線」という愛称の方が明確で分かりやすいでしょうし、上野駅にはホームの数も多い中で、黒磯までの短距離の列車(通勤電車)が発着するホームが決まっているのは便利でしょう。

しかし以前、「大雨の影響で、ただいま宇都宮線は全線で運転を見合わせております」と駅のアナウンスで聞いたとき、上野を出発する東北本線の長距離列車(=当時は札幌行きの寝台特急「北斗星」もあった)も運転見合せになっていることを瞬時に理解できない方も多かったようです。

愛称はあくまで愛称。正式な鉄道の運行状況としては「東北本線は、大雨の影響により上野ー黒磯間で運転を見合わせております」と言うべきだと思いました。



またしても痛ましい事故…「駅の安全」をあらためて

8月17日(水)

またしても痛ましい事故が起きてしまいました。
おととい、東京メトロ銀座線の青山一丁目駅で、盲導犬を連れた人がホームから転落、入ってきた電車にひかれて亡くなられました。

◆当初、報道では「この駅にはホームドアが設置されていませんでした」と必ず最後に付け加えていたので、私はちょっと不愉快でした。設備(=モノ)がなかったせいなのか?と。

もちろん、すべての駅にホームドアがあれば転落事故の危険性は間違いなく減るでしょう。
でも、すべての駅にホームドアを設置するには、予算的にも限界がある(=首都圏の黒字路線ばかりでなく、地方の鉄道にも駅は数多くある)ほか、物理的にホームドアが設置できない駅もあるのです。


◆きょう夕方のテレ朝「スーパーJチャンネル」では…

*黄色い点字ブロックに食い込むような形で柱が立っていたこと。
*黄色い点字ブロックにも2種類あること。
  ①「このラインに沿って歩いてください」=誘導のもの
  ②「ここで止まってください」=停止線のもの
*盲導犬を連れていても障害物をよけなくてはならない状況もあること。

などを伝え、「周りにいる人がひと声かけることの大切さ」をようやく報じてくれました。


◆ちなみこちらは、私が2011年2月(=東日本大震災が起こる1か月前)に書いたブログ記事です。

駅の安全対策(1)

ホームドア設置の限界、点字ブロックの種類、点字ブロックがあっても必ずしも完璧ではないこと、そして「ひと声かけることの大切さ」を書いてます。

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ライン状のものが「これに沿って歩いてください」=誘導、丸い点の突起は「ここで止まってください」=停止線の意味。
ホーム先端(白線の内側)の点字ブロックは、「停止線」が横に長くあると思ってください。本来あれに沿って歩くためのものではないのです。

また、この記事に続いて…

駅の安全対策(2)

駅の構造「音」との関係、危険な場面など、ちょっと知っておきたい安全対策について記しています。

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自分のいるホームに入ってくる列車の音と、反対側のホームに入ってくる列車の音、どちらが大きく聞こえるでしょう?



設備(=モノ)だけに頼った問題解決には限界があること、
人としてのやさしさ・思いやり、「大丈夫ですか?」とひと声かけることの大切さ…

ちょっと考えてみるきっかけになれば幸いです。

駅の案内表示に「やさしさ」を!

東京駅~大手町かいわい

休日の大手町かいわいは、平日とは違った穏やかな表情があります。

半蔵門線の「三越前」駅のいちばん渋谷寄りの階段を上がり、「常盤橋方面出口」を上がると、ニュースでもよく見る「日本銀行」が目の前にあります。手前が古い建物・奥が新しい建物です。

大手町1

日本橋川にかかる「常磐(じょうばん)橋」から左手前方、東京駅方面を望むと、左のチョコレート色の建物が「新日鐵」本社ビル、その奥に「日本ビルヂング」があります。
この2つのビルの間を抜けると、JR東京駅の「八重洲北口」(新幹線口)はすぐです。

大手町2

ところで、この「日本ビルヂング」、どこかで見覚えがありませんか?

大手町3 大手町3b

あの人気TVドラマ「半沢直樹」の中で「東京中央銀行京橋支店」という設定になっていた建物です!

半沢直樹(堺雅人)が、長年の宿敵でもある大和田常務(香川照之)を雨の中で待ち伏せし、かつて銀行からの融資を断られて首を吊って自殺した小さなネジ工場長(笑福亭鶴瓶)こそ自分の父親であることを激白するシーン…あのロケ現場はここです。

さて、前置きはこれぐらいにして…
この界隈、地下にはものすごいスペースがアリの巣のように広がっているのです。


◆魔の「B8a」 出(入)口

「日本ビルヂング」のすぐ脇には、「B8a」という地下コンコースへの入り口があります。
向こう側には日銀も見えています。

大手町5

撮影ポイントのすぐ後ろには「永代通り」が通っていて、そこを渡ると東京駅の八重洲北口です。

大手町4

新幹線を降りて八重洲北口から表に出ると、永代通りをはさんでこの「B8a」入口が見え、「大手町」と表示された地下への入口には丸の内線・半蔵門線・東西線・千代田線のメトロ各線が色で表示されています。

ところが、下の地図を見ていただくとお分かりの通り、この「大手町」と表示のある地下入口「B8a」からわずかの距離のところに、半蔵門線「三越前」駅があるのです!
また、新幹線をはじめとするJRのガードをくぐって丸の内側に抜ければ、すぐに丸ノ内線「東京」駅があるのです!

半蔵門線や丸の内線に乗りたい人にとって、この「B8a」入口に掲げられた「大手町」という表示は「いじめ」でしかありません! もう少し詳しく書きます。


メトロの「大手町駅」は広大なアリの巣!

まず、「大手町」の全体像をご理解いただくために、Google地図に東京メトロの情報の入った画面をプリントアウトしてつなぎ合わせ、それをスキャンして「ペイント」加工して、メトロ各線の「大手町駅」を色分けしたのが下の図です。

メトロ各線文字入りjpg

★表示画面で右が切れていたら、クリックしていただくと全体が見えます。

皇居のお堀(外堀通り)に沿って走るのが「千代田線」、それとほぼ平行してJR東京駅の丸の内口を通る「丸の内線」、その2線とほぼ垂直にクロスするのが、まずは永代通りの真下を通る「東西線」、それと平行して1ブロック神田寄りに「半蔵門線」、合計4つの地下鉄が縦横に走っています。

かなり広範囲に広がっている「大手町駅」の位置関係、参考にしていただけたらと思います。

またこの平面図だけでは分からないのが、立体的な位置関係
丸ノ内線は、東京の地下鉄としては銀座線に次いで古く、地下の浅い所を走っています。
一方、千代田線・東西線・半蔵門線は新しくできた地下鉄で、新しい線ほど地下深くに作られています。

なので、複数の地下鉄がクロスする大手町のような大きな駅では、コンコースも立体的につながっています。ちょっと細かくて見づらいかもしれませんが、東京メトロで作成している「駅構内図」もご参考までに。

大手町駅構内図

「東京メトロ」「大手町」で検索すると「駅構内図」というのが出てきます。
駅の構造を頭に入れておくと、ある線からある線に乗り継ぐのには、ホームのどっち寄りの階段を上がる(下がる)のが良いのかが分かります。


地下のコンコースを歩きながら地上の交差点の位置やJRの走っている方向などが想像できればいいのですが、東京に住んでいる人でも、なかなかそこまで地上の風景との位置関係をイメージできる人はそうそういらっしゃらないのではないでしょうか?

仮に東京を熟知していて、方向感覚もばっちりで、地上の風景がイメージできる人であっても、出口や乗り換えには「案内表示」は不可欠です。

ここまでの図解でもうお分かりかと思いますが、「日本ビルヂング」の脇にある「B8a」がなぜ魔の入口なのか、あらためて整理します。

大手町5up

「B8a」出口(入口)から…


◆半蔵門線へ


もしこの表示を信じて半蔵門線の大手町駅を目指すとします。
まずは東西線に沿ったコンコースをひたすら皇居方面に歩き、千代田線のホーム(またはもう1フロア上のコンコース)を経由して、大きく「コの字」に歩かないと半蔵門線の「大手町」にたどり着きません。

また、今は丸ノ内線のコースに沿った中央にも通路がありますが、次に書くようにここはかなりアップダウンもあり、あまりお勧めできません。

大手町・三越前〇囲み

★いっそのこと、この「B8a」入口を入らずに、「日本ビルヂング」と「新日鐵」の間を歩いて右にある「常磐橋」を渡れば、同じ半蔵門線の「三越前」駅までわずか200mほどなのです(=この記事冒頭にご紹介したコースを逆にたどる)!

たしかに「B8a」口は、広いコンコースでつながった「大手町駅」の一部ですから、入口の表示そのものは「間違い」とは言えませんね。

しかし、実際に半蔵門線に乗りたい人にしてみれば、わずか200m先に「三越前駅」があるのに、うっかりこの入口サインを信じて「B8a」から地下に入ってしまったら、「三越前」駅に行く距離のざっと5倍以上(=半蔵門線のほぼひと駅分)を歩かされることになるのです!

これはもはや「不親切」の域を通り越して「いじめ」ではないでしょうか?(笑)
当然ながら、地下のコンコースは「三越前」駅にはつながっていません。「大手町」と「三越前」は別の駅ですから。それに日本橋川があってコンコースを通すのは難しいでしょう。


丸の内線へ

丸の内線の「大手町駅」までは、かつては半蔵門線の大手町駅のさらに先まで、大きく迂回しなくてはなりませんでした。

今は、千代田線・半蔵門線のホームを経由しなくても東西線側から丸の内線に抜けるショートカットの通路もできています。
ただ、問題は高低差です。丸の内線は東京の地下鉄の中でも歴史が古いため地下の浅いところを通っています。

丸の内線へ抜けるショートカットのコンコースは、東西線・半蔵門線の2線をまたぐ形で何度も階段を上ったり下りたりしなくてはなりません。
先ほどの立体の構造図を拡大して、B8a口から地下に入って丸の内線までのルートを赤いラインで示してみると…


大手町駅構内図(部分)

お年寄り、足の不自由な方はもちろん、重いカートやベビーカーを引いて歩く人、小さな子供を連れて歩く人には決して優しくないコースです。


改善提案

新幹線を降りて丸の内線に乗りたいなら、新幹線改札を出てJR在来線へと通じる通路をまっすぐ進み、八重洲口とは反対側の「丸の内」側の改札を出れば、すぐ下が丸の内線の「東京駅」なのです!
(JRの新幹線改札口には、丸の内線への乗り換え案内表示もあります。)

もし八重洲北口から表に出てしまったとしても、目の前の永代通りを左に進んでJRの大ガードをくぐり、東京駅を丸の内側にまわり込めば、丸の内線の「東京駅」入口があります。

この「B8a」の案内表示に関しては、私が「紀尾井ホール」の構想段階からほぼ毎週、新日鐵本社に通っていた頃(=今から20年ほど前)に、入口の案内表示は非常に不親切であることを東京メトロ(当時の営団地下鉄)に申し入れました。

たとえば…

●半蔵門線…この先200m先、常磐橋を渡ると「三越前」駅です

●丸の内線…手前の大通り(永代通り)に沿ってJRのガードをくぐって左
         東京駅の丸の内口に、丸の内線「東京」駅があります

といった補助案内(とりあえず貼り紙でもよい)を入口に貼ったらいかがでしょう?

じつはこの提案をしてから20年以上たった2016年2月現在、表示はなんら改善されていませんでした!



案内・サインには、思いやりとやさしさを!

JAF(日本自動車連盟)の「JAF MATE」という月刊誌で、かつて「意味不明の案内表示」「矛盾した案内表示」「思わず笑ってしまう看板」…などを特集していたことがあります。

笑って済ませられるものばかりなら良いのですが、たとえば分岐点に「◇◇← →〇〇」と表示した案内標識があるけど、交通ルール上は右折禁止だったり…(一方通行を決めるのは警察で、方面の案内標識を立てているのは建設省・国土交通省。見事なタテ割りです)。

こういう矛盾した表示、分かりづらい表示は、車の運転中に一歩間違えば命の危険にもつながります。

鉄道の駅の表示では、そこまで命の危険にまで結びつくことはないでしょうが、私もそろそろ高齢者の域に近づき、膝が痛かったりすると、分かりづらい表示で大回りさせられるのはご勘弁願いたいところ。
まして、私よりもっとご高齢の方や、身体にハンディのある方、大きな荷物や赤ちゃんを連れた方などにも、優しく分かりやすい表示をお願いしたいところです。

とくに新しい路線の駅や新たに相互乗り入れとなってリニューアルされた駅などで、最近の案内表示には分かりづらいもの・矛盾したもの・不親切なものがけっこう見受けられます。

当然ながら、駅のリニューアルに合わせて「案内・サイン計画」を立て、それにもとづいて案内・サイン類を発注して設置しているはずです。

ところが、机上で練られた形式的な計画に基づいて設置され、実際に初めてその駅を訪れる人が見て分かりやすいかどうかを検証することなく、上から言われたこと・計画された通りにただ表示だけして、仮に多少分かりづらくても「間違いではない」から「まあいいか」…というケースがけっこう多いのではないかと思います。

さきほどの大手町駅のB8a入口の表示など、おそらく「大手町には出口が何か所あるか」で、同じ看板をその枚数発注し、すべての入口に同じものを掲げただけ、という感じがします。

「間違いとは言えないからこれでいい」のでしょうか?
本当にそれが親切で分かりやすい表示なのか? 少しでも改善できる余地はないのか? お客の立場・現場で働く職員たちの感覚として、どうなのでしょうか…?

乗換案内は、JR・メトロ・私鉄各線、さらにはモノレールやバスなど、同じエリアを共有する複数の会社が協力・連携し合って、トータルに見る目(=利用客の眼)で考える必要があります。タテ割りの「言われたことだけやる仕事」ではなく。



ひとつ下の記事
 ↓
「乗り換え案内 改善された例」




乗り換え案内 改善された例

改善された好例

乗客の声を反映して改善されたケースをひとつご紹介しておきます。
「やればできる!」の好例として!

2013年3月に、東急・東横線の渋谷駅地下ホーム化で直通運転をはじめた東京メトロ「副都心線」。
その「新宿3丁目」駅の「のりかえ」案内です。

副都心線から丸の内線に乗り換えたい場合、副都心線のホームの先端(=和光市寄り)の階段を上がれば、すぐ左に丸の内線のホームと直結しています(図中に「〇…近いルート」として赤いラインで表示)。


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東京メトロ「新宿3丁目駅」構内図に、赤いラインと文字を加工


ところが、ホーム中ほどの階段・エスカレーターを上ってしまうと、いったん改札を出て、さらに上層階へと進んで左折し、丸の内線の最後尾(新宿・荻窪寄り)の改札まで歩かなくてはならなくなります。大変な大回りですね(=「×…遠まわりルート」)。

今から2年前の2014年の春ごろには、問題のホームの中ほどの階段・エスカレーターの上り口に「↑ 丸の内線」「↑ 都営新宿線」と表示が併記されていたのです!

これでは、ホーム中ほどで降りた人が丸ノ内線に乗り換えるのに、表示を信じて階段・エスカレーターを上ってしまいます。私もそうでした。
しかも、同じメトロを乗り継ぐだけなのに、改札をいったん出てふたたび丸ノ内線側の改札を通ると「初乗り料金」がかかってしまいます。
帰りにホーム先端にこんな近い乗換ルートがあることを知り、あまりにも不親切だと思い、駅の職員に伝えました。

しかし、まだ若い職員で何の権限もないのでしょうか、「はぁ、はぁ、、」と無表情に、いかにもやる気なさそうな相槌をうち、「はぁ、いちおう上には伝えます」…だけ?(最近この手の職員が多い!)

これでは、せっかく提案しても、その後何年たっても改善されないだろうと直感!
そのとき私は、たまたま移動の時間にも余裕があったので、責任者(=助役さん)を呼んでもらい、初めからもう一度丁寧にご説明申し上げ、「こういう表示を設けてはどうか?」とご提案したのです。

応対してくれたT助役は、サインの出ている現場にも同行してくださり、「たしかにおっしゃる通りですね。貴重なご意見をありがとうございました。なるべく速やかに改善します」と真摯に応対してくださったので、別れ際にそのT助役と名刺交換もさせていただきました。

その後どうなったのか…ふだんあまり副都心線を利用しないので、じつはごく最近まで知らなかったのですが(申し訳ない)、最近通った時に気を付けて見てみたら、なんと以前私が提案したことを100%活かした案内表示に改善されていたのです!


<改善後>

まずは副都心線のホーム天井

新宿3丁目1 

ホーム中ほどの階段と、和光市寄りの先端の階段の中間に、このような表示があり、乗り換えたい線によってどっちの階段に進んだらよいかが一目でわかります。

同様に、何本かの柱にも目立つように大きく表示されていました。


新宿3丁目2


そして、問題のホーム中ほどの階段の上り口は…

新宿3丁目3 新宿3丁目4

丸の内線への乗換はこの階段ではなく、「ホーム端のりかえ階段経由」という文字も入れて、私が提案した通りの表記が掲げられていました!

ただ、ラッシュ時にあまりにも人が集中するのを緩和しようという駅側の配慮でしょうか、改札をいったん出てコンコースを進む「遠まわりのルート」の利用も呼びかける表示もありましたが、こちらは小さな矢印と文字で。
また、改札にも「のりかえ専用改札」というのが大きく表示され、間違ってふつうの改札にカードをタッチして「初乗り料金」がかからないよう配慮も見られました。

はたして私からの要望だけで変わったのかどうか、他の利用者からも同様のクレームがあったのかどうかは判りませんが、いずれにしても利用客の声に耳を傾け、現場の職員の目から見ても「おかしなことは改善しよう」と本気で思う気持ちさえあれば、改善はできるのです!

当時のT助役さんにひとこ言お礼を申し上げたかったのですが、残念ながらすでに異動されてしまったとのこと。きっといい仕事をなさってのご栄転でしょう。ご健勝をお祈り申し上げます。



皆さんも、駅・路線案内などのおかしな表示、分かりづらい表示にお気づきになったら、どうか鉄道各社に穏やかなクレーム、というか「提案」をしてください。

上から言われたことしかできない(やろうとしない)マニュアル職員は避けて、なるべく上の立場の方に直接伝えた方が不愉快な思いをしなくて済むと思います。
仕事の名刺まで出さなくても、こちらもきちんと名を名乗り、メルアドなどの連絡先を知らせ、相手の名前も聞いておくことで、お互い「言った責任」・「聞いた責任」がはっきりします。
それがないと、とかく聞くだけ聞いてそれっきりになりがちです。

決して「暇なクレーマー」ではないのです。自分が慣れて分かればいいだけでなく、ひとりひとりのちょっとした発想と力で、お年寄りや身体にハンディのある方にも、土地勘のない人にもやさしい街づくり・駅づくりに向けた提案を!
  


「湘南新宿ライン」との上手な付き合い方

「湘南新宿ライン」という名前が親しまれてだいぶたちますが、具体的にどこからどこまでの区間を言うかご存知ですか? JRの窓口でお尋ねになっても、駅員でもきちんと答えられる方がどのぐらいいらっしゃるか…?

それもそのはず、横浜よりも西の東海道線・横須賀線(いわゆる湘南)方面から、山手線の西側(渋谷・新宿・池袋)を経由して、赤羽・大宮、さらに北(東北・上越)方面へと直通で運行される列車を総称した“愛称”だからです。鉄道路線として厳密にどこからどこまでという起点・終点はないのです。

「湘南新宿ライン」のルーツを知るにはまず「埼京線」について、さらに埼京線ができるきっかけとなった東北・上越新幹線にさかのぼる必要があります。


東北・上越新幹線の生い立ち

東北新幹線は1982年に、上越新幹線はその翌年の1983年に開業しましたが、その当時は大宮がスタート地点で、新幹線の特急券を持っている乗客には特急券なしで乗れる「リレー号」というのが上野~大宮間を走っていました。

東北・上越新幹線がやがて上野・東京駅まで伸びる計画は当初からありました。
ふつうは下り列車の先頭が1号車ですが、東北・上越新幹線の場合は北へ向かう列車のいちばん後ろが1号車となっています。列車がこの向きのまま東京駅まで進入することを想定して、東海道・山陽新幹線の西寄りが1号車であることに合わせたためです。
走行システムが異なるため、東北・上越新幹線と東海道・山陽新幹線とが直通で乗り入れることはありませんが、東京駅で東北・上越新幹線のホームでは北寄りの先頭が1号車、東海道・山陽新幹線のホームでは南寄り(西行き)の先頭が1号車…では混乱をきたしますから…。


通勤新線「埼京線」の誕生

さて、東北・上越新幹線が大宮から上野・東京へと至るルートは、東北本線(宇都宮線)・高崎線・京浜東北線が並走しているよりも西寄りのルート(南浦和~戸田経由)を通ります。そこに新幹線の高架を新たに建設するのにあわせて、高架に併設する形で通勤電車を走らせるルートを作れば、新たに用地を買収しなくても埼玉~東京へのあたらしいアクセスが作れるという構想が生まれました。
通勤新線 構造

構想段階ではまだ「埼京線」という名称はなく、「通勤新線」という仮の名称で呼ばれていました。
この大宮~赤羽間の新幹線脇に新たにできる区間(下図中の区間A)を中心に、赤羽~池袋間にはそれまでの「赤羽線」(区間B)が、また大宮~川越までは「川越線」(区間C)がありましたから、その線路をそのまま使って直通運転ができるように。こうして、1985年9月30日、川越~池袋間に「埼京線」が開業したのです。

★湘南新宿ライン


南へと伸びる埼京線

構想・計画段階から「通勤新線を新宿へ」とか「渋谷へ」と大きくかかれた横断幕をご覧になった記憶のある方もいらっしゃるでしょう。

山手線と並走する形でかつては貨物列車が往来していました。しかし貨物の需要は少なくなり、たまに臨時列車やお召し列車が通る程度となっていました。この貨物線の線路を使うことで、池袋からさらに南の新宿・渋谷・恵比寿へと埼京線を伸ばすことができると考えられていたのです。

問題はホームの設置工事でした。新宿駅は、かつての貨物駅跡地が再開発されるのに合わせて、南口に大型デパートができるなど駅周辺が大きく生まれ変わろうとしていました。それに合わせて埼京線のホームも新設されました。各発車番線によって異なるミュージックチャイムも新鮮に響きました。

一方、山手線の渋谷駅はゆるやかにカーブしていて片側ホームが2面。そのすぐ内側を貨物線が並走していますが、線路の両側にはデパートが併設されているため、貨物線の敷地を拡幅して新たにホームを作ることはできません。しかたなく恵比寿寄りにやや離れた位置に埼京線のホームが作られました。
そして埼京線はさらに恵比寿・大崎へと伸びていきました。

埼京線ができるまでは、埼玉から東京へ出るには田端・日暮里・上野方面に出て山手線に乗り継ぐか、赤羽から赤羽線で池袋まで出て、そこからさらに山手線に乗り換えて新宿・渋谷方面へ…という手段しかありませんでした。池袋・新宿・渋谷・恵比寿など東京の西方面にある若者の街と埼玉とが直結された便利さは計り知れません。


大崎から湘南方面へ

山手線と並走する貨物線は、大崎を過ぎたところで一方は新橋方面に位置する汐留の貨物ターミナルへ、もう一方は横浜・鶴見の操車場へと大きく分岐します。

南下してきた埼京線をもし東へと誘導すれば、品川・新橋・東京・上野・田端へとぐるっと回してふたたび埼玉方面へ戻るルートができたでしょう。
しかし品川~東京~上野~田端は、山手線と京浜東北線が並走している区間。そこにさらに埼京線まで並走させるメリットはあまりなかったのでしょう。

むしろ大崎から西方面へと向かう旅客ルートはそれまでなかったのです。大崎を出て新幹線の高架をいったんくぐってターンすると、東海道・山陽新幹線の高架に沿って横須賀線が走っています。多摩川を渡る前後からはしばらく東海道新幹線と並走します。

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そして大井・西大井・武蔵小杉・川崎・新鶴見を経て横浜へ、そして東海道線・横須賀線方面へとつながります。


これまでの経緯からもお分かりのとおり、路線として新たに作られたのは大宮~赤羽間だけで、それ以外はそれまであった在来線をつないで誕生した、いわば相互乗入れ区間なのです。

「川越線」「赤羽線」という旧線名は「埼京線」に吸収されて路線名としては消えましたが、西方面への「横須賀線」・「東海道本線」、新宿から出る「中央線」、大宮から先の「東北本線」「高崎線」「上越線」などの正式な路線名は生きています。
そこを相互乗り入れによって各方面への直通列車を走らせ、それらを総称して「湘南新宿ライン」と呼んでいる、ということなのです。


直通運転の便利さと盲点

埼玉以北に住む人にとっては、池袋・新宿・渋谷を経由して、そのまま横浜・湘南方面へも直通で行けるようになりました。
また逆に湘南・横浜・川崎に住む人が東北・高崎・上越方面に出かけるには、それまでは京浜東北線でいったん上野(=東北・高崎・上越方面への玄関口)まで出て長距離列車に乗るしかありませんでした。また新宿から中央線方面へ向かう場合は、品川まで行って山手線で少しもどる形で新宿まで来なくてはなりませんでした。

それが「湘南新宿ライン」の誕生によって、横浜・川崎方面から直通で、宇都宮・小山・黒磯方面へ、あるいは甲府・松本方面へ、高崎・草津・吾妻方面へと行けるようになりました。

このように「乗り換えなしに1本で行ける便利さ」はもちろん大きなメリットです。
新たに営業運転がはじまると、鉄道会社はとかく今までなかったルートが最短でつながった時間短縮を強調します。いつでもその最短時間で行けるかのように。

でも、お目当ての直通列車が1時間にどのぐらいの本数で走っているかが問題です。
延長された乗り入れ区間では、もともとその線を走っている列車のすき間に直通列車を走らせるダイヤを組まなくてはなりません。当然ながらその本数にも限界があります。湘南新宿ラインの場合、行き先にもよりますが、だいたい30分に1本程度ではないでしょうか?
 
また直通区間が伸びたということは、どこかで事故や信号トラブルなどがあった場合、運転見合わせ等ダイヤが乱れる区間も非常に長くなるという危険も承知しておく必要があります。
それらを含めて、従来からある別のルートや、待ち時間も含めて目的地までかかる平均的な所要時間を知っておく必要があります。


その時刻の列車に乗れればいいが…

事前にネットで検索したりして「○時○分の湘南新宿ラインに乗ろう」と決めて確実に乗れればたしかに便利でしょう。
でもたとえば「渋谷で何か用事を済ませてから、なるべく早く大船まで行きたい。いちいちネットで検索してる暇はない!とにかく駅に行って、乗れる列車で行こう」という場合、直通の湘南新宿ラインの最短時間だけを当てにするのは危険です。

渋谷駅の改札を入る時に表示されている次の湘南新宿ラインの発車まで時間があるように見えても、ご存知のように埼京線(湘南新宿ライン)のホームは動く歩道を3本も乗り継いで行くほど遠く離れています。うまく間に合えばいいですが、もし逃したら最低30分は待たなくてはなりません。次に来る違う行き先の列車で途中まで行っても、結局そこでまた待たされることになります。

そんな時、もし私だったら山手線で品川まで出て、品川で東海道線か横須賀線のいずれか先に来る列車(←駅の表示板を見る)に乗ります。
東海道・横須賀線は途中少しルートが違いますが、大船までほぼ似たような所要時間で着けます。
あるいは、渋谷駅からだったら東急東横線の急行か特急で横浜に出れば料金も安いですね。 横浜から大船まではJRに乗り継ぎますが、横浜駅では東海道線・横須賀線・湘南新宿ラインのホームは並行していますから、一番先にやってくる列車を案内板で見てその発車ホームに上がれば良いのです。

東海道または横須賀線といった選択肢があり、先に来る列車に乗るならば、待ち時間はせいぜい数分単位。待ち・乗換え時間を含めたいわば「平均所要時間」は読みやすく、先方に「だいたい何時ごろ着くでしょう」と伝えることもできますね。

このように、直通運転がはじまるとアピールされる「最短時間」だけを期待して、「逃したら30分待ち」という危険な賭けに出るよりも、従来からあるルートでの所要時間や何かあった時に振替えも可能な別ルートもあわせて把握しておき、「もし(直通列車に)当たって乗れればラッキー!」ぐらいに考えておくのが、「湘南新宿ライン」のような長距離直通列車との上手な付合い方かもしれませんね。


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駅の安全(1)

駅ホームの安全対策

視覚に障がいをもつ方がホームから転落する事故は後を絶ちません。その対策としてホームに安全柵(ホームドア)を設置しようという議論が首都圏を中心に活発になっています。

新幹線の品川駅、都営大江戸線や東京メトロ副都心線などの新しい地下鉄をはじめ、JR山手線でも目黒駅・恵比寿駅などではホームの端に安全柵が設けられ、列車が停車してドアを開けるのに合わせてホームの安全柵のドアも開くように整備が進んでいます。

ホームドア1

ただ、既にあるJR・私鉄などすべての路線の全ての駅に安全柵・ホームドアを設けることは決して容易ではありません。


莫大な予算がかかる

首都圏だけでも私鉄各線・メトロ・JRの全ての駅に安全柵を設けるには莫大な費用がかかります。でも「例えどんなにお金がかかっても人命には代えられない」という主張はあるでしょう。ただ問題は単にお金の問題だけではないのです(以下)。


様々な車両がやってくる駅ではドアの位置が一定ではない

新しくできる地下鉄、あるいはJRの新幹線や山手線のように、その路線を走る車両の種類が一定であればドアの位置も決まってますから、ホームドアの位置も必然的に決まります。

でも首都圏の私鉄各線は、東京メトロ・他の私鉄・JRなどと相互乗り入れをしている線も多くなり、同じ路線上を各社のさまざまな車両が走ることが多くなりました。

私がふだん利用している東急田園都市線も、渋谷からは東京メトロに乗り入れ、さらにその先では東武線へと直通運転しています。小田急もメトロ(千代田線)・JRと乗り入れています。ですから同じ駅に3つの鉄道会社の車両がやってくるのです。

通勤電車はたいてい1両の長さが22~3メートルで、片側に両開きドアが4箇所あるのが普通です。でもドアの位置やドアの幅は各鉄道会社の車両によって微妙に異なります。

ホームドア2

上の写真は東京メトロ・副都心線の渋谷駅ですが、ここは近い将来東急・東横線と直結することも想定してホームドアの幅がかなり広めにとってあるようです。

さらに鉄道会社によっては、1車両の片側に6か所もドアのある車両も
6ドア車両

両開きドアそれぞれに戸袋スペースが必要ですから、側面のほとんど全てがドアのためにあるようなもの。
ドア付近にどうしても人が固まってしまうため、こんな車両まで作らなくてはいけない世の中…!?

このようにさまざま車両がやってくる路線の駅では、ホームドアの設置はとても難しくなります。


ホームの幅の問題

今ある駅の中にはもともとホームの幅が非常に狭いところもあります。
鉄道用地の問題や線路の敷設の問題も絡むので、ホームの幅だけを短期間に広げられるものではありません。

またホーム全体ではとくに問題ない幅があっても、階段付近ではホームの幅が非常に狭くなっている駅も数多く見受けられます。

ホームの幅

もしそのような駅に安全柵・ホームドアを設けたらさらにホームが狭くなり、ラッシュ時や電車が遅れた時などはさらに人が溢れて身動きが取れなくなり、別の意味でかえって危険が増します。


点字ブロック

全ての駅に安全柵・ホームドアを設置することが難しいとすれば、せめて、黄色い点字ブロックだけでも全ての駅に完備する必要性を感じます。もしブロックの一部がはがれていたり点字(突起)部分が擦り減っているような所は早急に点検・補修することが求められるでしょう。

点字ブロックを目にするようになってからだいぶ年月が経ちます。当初はブツブツの突起のついたものがほとんどでしたが、最近はライン状のものとブツブツの突起のものとの2種類が使い分けられているのをご存じでしょうか?

点字ブロック1
点字ブロック2

ライン状のものは「この上に沿って歩いて下さい」と導線を示すもの、ブツブツ突起状のものは「曲がり角ですよ、ここから先は進めませんよ」といった一旦停止を意味しているのです。

ホームのアナウンスもひと昔前は「白線の内側にお下がりください」だったのが、最近はほとんどの駅で「黄色い線の内側に…」となっていますね。
あの「黄色い線」はブツブツの突起状のタイプ。つまり「ここから先はホーム先端ですから危険ですよ」という停止線が横に長く設置されているわけです。決してこの黄色いラインに沿って歩いて下さい、という意味ではありません。
あの“黄色い線”の上を歩いていてもしよろけたら、ホームから転落または列車に接触する危険があります。

本来はあの“黄色い線”とは別に、ホームの内側に誘導のためのラインがなくてはいけませんが、まだそこまでの整備もない駅も多いのです。

点字ブロック3

エレベータを降りてから電車に乗る位置までを親切に誘導している駅もありますが、改札を入ってからホームの内側のすべてに誘導の黄色いラインが完備されていない駅もまだまだ多いのが現状です。


モノによる対策の限界

私がここでぜひ提案したいのは、モノだけに頼った安全対策には限界がある、ということです。

もし白い杖をついた人がホームを歩いていたら、周りにいる人が進路を開けてあげる、ホーム先端に近づきそうになっていたらひと声をかけて誘導してあげる…ということは今すぐにもでもできる身近で有効なことではないでしょうか?

まだ記憶に新しいJR目白駅における転落事故も、池袋寄りの改札からホームに入ってきて、途中で駅事務所を避けながらかなり長い距離を歩いてきて、まっすぐに歩いているつもりが感覚が狂ったのか左に曲がってしまい、そのままホームから転落…だったようです。

そのとき周りには誰もいなかったのでしょうか…??
「そちらは危険ですよ」あるいは「どちら方向の電車に乗るんですか?」などとひと声かけて誘導してくれる人がいてくれたら…?


“ひと声かける”大切さ

視覚障がい者に限らずお年寄りでも車椅子の方でも、声をかけられて「助けてもらう」ことを嫌がる人もいるかもしれません。なんの手助けもなしに“ごく普通に”歩ける環境づくり・安全対策が必要だというご意見もあるでしょう。

でも圧倒的多数の方たちは、皆さんのちょっとした気配り、優しいひと声(決して憐れみや差別ではない!)が嬉しい、ありがたいとおっしゃいます。

むしろ、変な意味での誤解やおせっかいとなることを恐れて何もしない、気づきもしないことの方が問題です。

せっかく先ほどのようにエレベータから乗車口まで黄色い点字ブロックで誘導された駅でも、周りにもスペースはいくらでもあるのに、わざわざその点字ブロックの上やエレベータやエスカレーターを降りたすぐ前で固まっておしゃべりをしていて、白い杖をついた人が近づいて来ていても全く気付こうともしない…そんな光景をよく見かけます。

モノによる整備が進むことで人任せ的にすべて解決したかのように錯覚してしまい、「自分には関係ない」と関心も薄れてしまうようでは全く意味がありません。「シルバーシート(優先席)」が既にそうなってしまっているように…


点字ブロック3
*点字ブロックのすぐ脇に 15センチ近い段差が…!

サインの矛盾
*点字サインの後から建物を改修して入口が移動した…??

駅などの公共施設内だけではなく、世の中のあらゆる段差をすべてなくすことはまだまだ困難でしょうし、点字ブロックだけで全てを表示することも困難でしょう。
でも、周りの人たちのちょっとした目と思いやりさえあれば、どんなにお金をかけた対策にも勝ると私は思っています。

たとえば視覚障がい者には、どう接したらいいでしょうか?

バリアフリーに関するパンフレットも色々ありますから、事前に見て勉強しておくのももちろんいいでしょうが、「ハンディ」も「個性」も人それぞれ。

やはりまずは「大丈夫ですか?」とひと声かけ、相手に直接「どうしたらいいですか?」と尋ねることがいちばんの早道でしょう。

いきなり相手の手や白い杖をギュっと握るのではなく、まずひと声かけてこちらの居場所を声で示し、こちらの腕に捕まってもらうのがいいでしょう。
一般的には、相手が白い杖を持っているのとは反対側について、相手がこちらの腕を捕まりやすいように半歩ぐらい先を歩くのがいいようです。そして「まもなく上り(下り)階段ですよ」とか「10センチぐらいの段差がありますよ」などと声で伝えてあげるのもいいでしょう。

でも人によっては白い杖の感覚に神経を集中している時に余計な情報は厭がる人もいらっしゃいますし、階段の位置をしっかり把握されていたり小さな段差も杖の先でちゃんと認識されていることにむしろ驚くことも多いです。そういうことも理解しながら相手と接することができたら、より安全で快適な社会になっていくのではなでしょうか?


↓ 駅の安全(2)へつづく


駅の安全(2)

駅ホームの形状とそれぞれの安全面


鉄道の駅(ホーム)には、大きく3つの形状があります。

櫛 (くし)型ホーム

a.櫛型ホーム

終着のターミナル駅にあるスタイルです。
入って来る列車・出て行く列車の向きは常に決まっています。入って来る列車は先端が停止線のため最徐行で入ってきますから、比較的安全なように思われます。

ただ、この櫛型ホームでは、到着した列車からの降車側のホームと乗車側のホームがあり、仮に3つの線が入っているとすると自分の乗りたい列車への乗車ホームがどこなのかが視覚障がい者には分かりづらいのです。

発車番線は…? 

行き先・発車時刻・急行か各駅停車か・乗り場ホームは何番線か…といった情報は電光掲示板には随時表示されますが、それらをリアルタイムで点字ブロックに表示して誘導することは今のところできません。

もし白い杖をついた人が改札を入って迷っていそうだったら、ひと声かけたいところですね。


島式ホーム

b.島式ホーム

1面のホームの両側に、上・下線の列車がそれぞれ違う方向からやって来るスタイルです。

改札からホームまでたどり着ければ、ホームは1面です。自分の乗る電車はどちら側に入って来るかが前もって分かっていれば、どちら側に電車が来たかは音で判別もつきやすいでしょう。

ただ、同じホームの両側に電車が入って来るので、ホームを歩いているうちにもし方向感覚がずれると、どちら側にも転落または電車との接触の危険があります。

この島式ホームのなかには幅がとても狭い駅もあります。もともと限られた鉄道用地の中で上下線を少し膨らませて通し、その中間に島式ホームをなんとか設置した駅も。
JRの目白駅も、先端に行くほどホーム幅は狭く、途中の駅事務所を避けて歩行するうちに真っ直ぐ歩いているつもりが…ということで事故が起こりました。
また線路がカーブしているところに設けられた駅では、ホーム全体がバナナ形にカーブしていますから、真っ直ぐに歩いたら転落する危険もあります。またカーブのある駅では、ところどころ電車とホームの間が広く開いてしまうのも要注意です。

白い杖をついた人がちゃんと安全に歩いているかちょっと見て、もし危険がありそうだったらひと声かけるのが望ましいでしょう。


片側ホーム

c.片側ホーム

上下線それぞれの外側にホームがあり、反対方向のホームへは陸橋か地下道を通って移動するスタイルです。

自分のいるホームには同じ方向からの列車しか入って来ないので、割と安全なように思います。
しかし、つい数年前にもこの片側ホームの駅で連続して転落事故が発生しました。それも、ホームのどちらか先端寄りではなく、むしろホームのほぼ中間あたりで事故は多く発生しています。どうしてなのか…?

ちょっとテツな目で、私なりに検証してみました。


列車の音の聴こえ方

視覚障がいのある方がもっとも頼りにするのは、入って来る列車の“音”です。
反対方向のホームに電車が入ってきたのに「乗りたい電車が来た」と勘違いしてベンチから立ち上がってホーム先端へと歩いていき、ホームから転落。そこへこちら側の電車が入ってきて…というケースが多いのです。

片側ホームでは列車の音がどのように聴こえるのかが問題です。



列車の音というのは、ほとんどが床下から出ているといってよいでしょう。
レールのつなぎ目を刻む車輪の音も、電車のモーターも、それをコントロールする制御機・インバーター・抵抗器なども、ディーゼル車であればエンジンも、ブレーキの音も…“音源”はすべて床下にあります。

では、自分の乗るべきホームに入って来る列車の音と、反対方向に入って来る列車の音はどちらが大きく聴こえるでしょうか?

われわれも、連絡橋からホームに階段を上がる(または下る)時に、列車の音に反応してつい足が速まることがあります。でもホームに出てみると「なんだ、反対方向の列車か~」…という経験はありませんか?

そうなんです。自分のいるホームに入って来る列車の床下から発生する音は、ホームの断面によってブロックされるため案外静かなんです。

入線する列車

対向ホームに入線する列車 

むしろ、反対側のホームに入って来る列車は床下の機器類も台車もすべて見えていますね。つまり音もすべて“丸聞こえ”なんです。
皆さんもよかったら目をつぶって確かめてみてください。


右から左? 左から右? 
 案外分かりづらい列車の移動音


自動車やバイク、あるいは飛行機などは音源がはっきりしていて、どちらからどちらに移動していくかがステレオ効果ではっきり分かります。

それに対して列車の音はどうでしょう?
もっとも代表的な「タタン、タタン タタン…」とレールのつなぎ目を通過する車輪の音は、常に同じ場所(=レールの継ぎ目のある位置)から聴こえていますから、音源は左右に移動しません。

まわりが静かな場所ならば、遠くからやってくる列車の音、警笛、遠くのレールの継ぎ目を刻みながら近づいてくる音、さらにレールのきしみ音、レールに伝わってくるヒューンという金属音…etc, 
必ずしもテツっちゃんでなくても、どっちの方向から列車が近づいて来てるかは分かるでしょう。

でもラッシュで混み合う駅の雑踏の中では、遠くからやって来る列車の音はほとんど聴こえません。
突然駅に入ってきた列車の「タタン、タタンタタン…」という音だけでは、その列車がどっちからどっちに移動しているのかは案外分かりづらいのです。

列車の床下からブーンと唸る機械音がするのはモーター車で、3両に1両ぐらいの割合でしかありません。ほかに“移動する音源”としては、パンタグラフが架線をこするシャーっという音がありますが、最近は抵抗の少ない静かなパンタグラフも多いのです。
 
新しいパンタグラフ

まして人の雑踏の多いホーム中間あたりでは、それらの“移動する音源”は案外聴き取りづらいことがお分かりいただけるでしょう。

入線してくる列車の音は、ホームのどの辺りにいるかによっても変わります。

d.片側H拡大

日本はイギリス式に左側通行ですから、入線してくるホーム先端(=①の位置)では列車のスピードはまだ速く(時速60キロぐらい)、方向性もはっきりわかります。
逆にホームの反対側の先端(=②の位置)では、ほとんど止まりかけの先頭車両が最後にかけるブレーキ音ぐらいしか聴こえないはずです。

さて、問題のホームのほぼ中間付近(=③)ではどうでしょうか…?

私も試しに片側ホームの中ほどにあるベンチに座って、しばし目をつぶって上下線に入ってくる列車の音を聴いてみたことがあります。皆さんも電車を待っている間にぜひやってみてください。

ホームのほぼ中間付近では、自分のホームに入って来る列車も反対方向に入って来る列車も、減速途中にあってほぼ同じスピード、音としても非常によく似た音です。

しかも先ほど書いたように、「タタン、タタンタタン…」とレールの継ぎ目を車輪が通過する音やブレーキ音などは、自分のホームに入って来る列車の音以上に反対方向に入って来る列車の音の方が大きく聴こえるのです。

視覚障がい者が「あ、自分が乗りたい列車が来た!」と勘違いして思わずベンチから立ち上がって歩きだしてしまうのは、おそらくこのような状況の時だろうと思われます。

もしこのようなタイミングでホームの縁に向かって歩き出そうとしている方を見かけたら「どちら行きの電車に乗られますか?」「まだこちらには電車は来てませんよ」などとひと声かけてあげて下さい。


万一のために覚えておこう!

最後に、もし万一誰かがホームから転落してしまったら、慌てて線路に飛び降りて助けようなどと思わないで、まずは緊急停止スイッチを押してください。

通勤・通学でふだん使っている駅なら、どこに非常停止ボタンがあるかを確かめておくと良いでしょう。

そしてこのマークを覚えておいてください。これはJRですが、このマークのすぐ近くの柱に緊急停止ボタンはあります。


非常停止ボタン1

非常停止ボタン2 

プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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