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夢千代日記 テーマ音楽

2018.1.9

「夢千代日記」は、NHKで昭和56年(1981年)に放送された5回シリーズのドラマ。
たった5回の放送ながら、後世に名を残している優れたドラマといえるでしょう。

放送された昭和56年という年、私は大学3年。ゼミやオーケストラに明け暮れていて、もっともテレビ離れしていた時期かもしれません。
でも、再放送も何度かあったようで、家でテレビがかかっていたのを脇目に、吉永小百合さんが主演のドラマであることと、もの悲しいテーマ音楽は記憶に残っています。


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<ドラマの概要>

夢千代(吉永小百合)は、兵庫県の日本海側の小さな町で芸者のおきやをやっている。ガンを患っていて半年に一度遠くの病院へ放射線治療を受けに通っており、日々つけている日記は、健康状態をチェックする意味で医者に預けている。

おきやには、さまざまな事情のある(いわゆる「訳あり」の)芸者たちが集まっている。
かつて芸者をしていたというスーザこと市駒(片桐夕子)を殺人事件の容疑者として追っているのが兵庫県警の山根刑事(林隆三)。

そのほか主な出演者は、芸者・金魚(秋吉久美子)、菊奴(樹木希林)、千代春(楠トシエ)、雀(大信田礼子)、町の医者・木原(ケーシー高峰)…など。

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深夜に再放送されたもの(第2話と第3話)を予約録画。

オープニングテーマには、懐かしい余部(あまるべ)鉄橋を渡るディーゼルカー(キハ58系)の姿が! 
この橋を渡って日本海側へと向かう列車に郷愁を覚えます。
余部鉄橋は、山陰本線の鎧駅 - 餘部駅間にある鋼鉄製の単線鉄道橋ですが、今は新しいコンクリート橋となり、この風景はもう見られません。

しかし、そんなテツな理由でこの記事をアップしたのではなく…(笑)

この古いドラマをわざわさ取り上げたのには、2つ理由がありました。


吉永小百合さんは、このドラマ出演がきっかけで、広島・原爆の詩を朗読してほしいという要請を広島の被爆者団体から受けられ、その活動が今日まで続いているそうです。
世界に平和を訴えるライフワークが、役者としての仕事をきっかけに生まれた…素敵なお話です!

そしてもうひとつ…

◆いかにも武満徹さんらしいサウンド!
https://youtu.be/qv3TKd3dcMk


例によって私の耳コピ・手描き譜を添付します。

夢千代日記 耳コピ譜面120180111 夢千代日記 耳コピ譜面220180111
★クリックすると大きな画像でご覧になれます


譜割り・拍子は、これで合っているのか分かりません。
とくにイントロ部分(「A」までの9小節)は何拍子なのかよく分からず、はじめは2分の2拍子で記してましたが、主題に入ってから6拍子らしいと気づき、8分の6拍子に揃えて記しました。

まず「響き」としてコードで捕まえ、シンプルに、でもなるべくオリジナルのイメージに近い響きになるように左手を書いてみました。
実際に音を出してみてください(有料のコンサートでの使用は、原著作権にご注意ください)。



以前、このカテゴリーで取り上げた映画「燃える秋」のテーマも武満徹さんの作品。いかにも武満さんだな~と思うサウンドです。

前の記事に武満徹さんの音楽について詳しく書き、「燃える秋」の音源をリンクで貼ってますので、Youtubeが再生できるうちに…

→ 燃える秋
ハイファイセットが歌って有名になった歌の入るバージョンではなく、映画のオリジナルで使われた弦楽器の和声が…



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「パリは燃えているか」

12月15日(金)

NHKスペシャル「映像の世紀」のテーマ音楽、加古隆さん作曲の「パリは燃えているか」

作曲されたのは今から10年以上前ですが、その後「新・映像の世紀」にも引き継がれています。

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例によって耳コピで、簡単なピアノ譜におこしてみました。

★改 パリは燃えているか ピアノ譜120171216 ★改 パリは燃えているか ピアノ譜220171216
★クリックすると大きな画像でご覧になれます
  注) 個人として楽しむためにご参照ください




「パリは燃えているか」というタイトルは、1966年にアメリカ・フランス合作でつくられた映画で、1944年のレジスタンス蜂起からパリの開放までを実録映像でつづったドキュメント映画。そのタイトルに由来します。

20世紀は、世界中で起きている出来事がすべて映像によって全世界に伝えられるようになった世紀。

素晴らしい英知を備え、数々の科学文明を創り出してきた人類。
しかし同時に、愚かな戦争の歴史を繰り返してきた人類。人類って何だろう…?

加古隆さんの想いが、この曲に詰まっているように思います。



◆BSプレミアムで明日12月16日(土)19時半~21時、第7章「極限への挑戦者たち」

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オリンピックで世界記録を出した選手、人類初宇宙から地球を見たガガーリン、人類初月に降りたったアポロ11号のアームストロ ング船長などが特集されます。



新日本紀行テーマ ~ノスタルジー~

7月25日(火)

子どものころに観たテレビ番組のテーマ音楽は懐かしいものです。
「ジャングル大帝」「トムとジェリー」「ウルトラマン」などももちろん懐かしいですが、ちょっと真面目な「新日本紀行」という番組も。

NHK総合で毎週月曜日の夜7時半~8時に放送。1963年(昭和38年)10月~1982年3月まで。私が小学校に上がる前の年から大学時代まで、じつにロングランの番組でした。
名古屋で過ごした小学校高学年のころ、社会科の勉強にもなるのでなるべく観るようにと小学校の先生に言われたことがあります。

冒頭のホルンのテーマでは、山間いを空撮する風景が、主題に入ると「レファソラドレ」という尺八の音階と同じ「追分節」の旋律で、いかにも日本の原風景が浮かびます。
なんとも日本的な郷愁をさそうこのテーマ音楽を聴くと、亡き両親と、また中学3年で東京の祖母の家に居候していたころは祖母と囲んだ夕食の食卓が懐かしく思い出されます。

懐かしい音楽はこちら…
中間部もあったんですね。



https://youtu.be/bcY1Q3nVzcA


作曲はご存知、冨田勲さんです。

楽譜はどこにも見当たらなかったので、私の耳コピでピアノ譜に起こしてみました。
もともと何拍子で書かれていたかは判りませんが、ゆったりとした3拍子に聞こえるので、2分の3拍子で記譜してみました。

新日本紀行20170725_0001
★クリックすると大きな画面でご覧になれます

(お金を取って聴かせるコンサートでの使用はご注意ください。あくまで個人的な楽しみとして…)


楽譜の冒頭にも書いておきましたが、このテーマ音楽に変わったのは1969年4月から。

前のテーマも覚えています。「新日本紀行」というタイトル文字が中心からだんだん近づいて大きくズームインされ、半音階の上昇系のイントロに続いて、農村地帯を行くローカル線に揺られて行くような軽快な音楽でした。



ちょうど日本が高度成長期をまたいで、地方から若者がどんどん流出していった時期。
この30分番組では、その土地の地理・気候とともに、伝統的な行事を守るある人物に焦点をあて、終わりの方ではその行事の様子が映し出されていました。

最近の番組に比べると、アナウンサーのナレーションがとてもゆったりしているように感じます。古き良き時代のNHKらしい番組ですね。

ふるさと再生に、この番組はとても貴重な資料になるはずですが、残念ながらアーカイブスに残っているのは一部です。
しかし、最新技術でかつての録画を美しい画像に蘇らせて「新日本紀行 ふたたび」というシリーズも放送されました。


Danny Boy ダニー・ボーイ

3月12日(日) 

「Danny Boy(ダニー・ボーイ)」という歌をご存知でしょうか?

オーケストラ(弦楽器)でも演奏される、静かな祈りも秘めたような美しい旋律の曲です。
もとは、アイルランド民謡「ロンドンデリーの歌」で、歌詞はありませんでした。

アイルランドの古い旋律として19世紀の盲目のヴァイオリニスト、ジミー・マッカリー(1830-1910)がストリートで弾いていたものを、ジェーン・ロス(1810-1879)という女性の民謡収集家が聴き取って楽譜にしたそうです。二人ともアイルランド人です。

のちに英国の弁護士(法律家)でもあるフレデリック・エドワード・ウェザリー(1848-1929)という人が、この旋律に、遠く離れた息子の無事を祈り、帰りを待ちわびる母の思いを歌詞にして付けたのが「ダニーボーイ」です。

戦争に行ってしまった息子が元気に過ごしているか、無事に帰ってきてくれることを待ちわびながら、季節はめぐり、「もしお前が帰ってきてくれた時、私がお墓に入ってしまっていたら、老いた母はずっとお前の帰りを待っていたと、お墓を踏みしめて思い出しておくれ」…と。

<英語の詞・対訳>
英語歌詞&訳詞(八木倫明)20170312_0001

日本語に訳されたケーナ奏者の八木倫明さんによれば、「母の悲しみ、平和の願い」であると。
世界中、時代を超えて、息子を思う母親の気持ちは同じなんですね。
しかしこんな素晴らしい歌が誕生した翌1914年に、第一次世界大戦が起こります。


英語の詞を直訳したものではメロディに合わせて歌うのは難しいので、作詞家のなかにし礼さんが、曲に合うように作詞をしたものをご紹介させていただきます。
ケーナ奏者の八木さんもこの曲をコンサートでも歌とともに演奏され、近々私がボランティアで訪れているデイホームにもお呼びできたらと思うので、日本語の歌詞を打ち込み、まずはシンプルなinC(=ハ長調)でコード譜を起こしておきました。

ただ、終わりの方で最高音=ミ まで出てくるので、デイホームで歌うにはレッドゾーンにかかってますね。
C→B♭、あるいは→A に読み替えて(2~3度下げて)弾けるようにしておきましょう。


ダニーボーイ (日本語版)       なかにし礼:詞

1.おおダニーボーイ いとしきわが子よ
  いずこに今日は眠る
  戦(いくさ)に疲れた体を 休めるすべはあるか
  お前に心を痛めて 眠れぬ夜を過ごす
  老いたるこの母の胸に
  おおダニーボーイ おおダニーボーイ 帰れよ

2.おおダニーボーイ いとしきわが子よ
  便りもすでに途絶え
  はるかなその地の果てにも 花咲く春は来るか
  祖国に命をあずけた お前の無事を祈る
  老いたるこの母の胸に
  おおダニーボーイ おおダニーボーイ 帰れよ



ダニーボーイ ペイントコード名入り(A4フルサイズ)

★讃美歌にも

冒頭、「静かな祈りも秘めたような美しい旋律」と書いたように、讃美歌になっていても不思議はないような気がして探したのですが見つからず…
先ほどFBつながりのある方から、2編の157番にあるとの情報が。2編を開いてみたら、確かにありました!

讃美歌2編15720170312_0001

「燃える秋」武満徹

10月9日(日)

今の季節に聴きたい一曲。
「燃える秋」…同じ題名の映画(1979年)のために武満徹さんが作曲された曲です。


https://youtu.be/Ge0RhutCNqg

1曲目の「出会いと亜紀のテーマ」がメインテーマ。
劇中の音楽には、いかにも現代音楽の巨匠・武満徹さんらしい曲もありますが、メインテーマは哀愁を帯びたなじみやすく美しい旋律です。

ハイファイセットの歌でとくに有名になりました。
私がまだ学生の頃ですから、今からもう35年ほど前、懐かしいですね。

ハイファイセット「燃える秋」

https://youtu.be/a-y9K3f5AOA

武満徹さんのオリジナルと、ハイファイセットの歌う「燃える秋」では、メロディラインに若干の違いはありますが…

燃える秋20161011
♪ハイファイセットの歌バージョンで記譜(耳コピ)し、コードと歌詞を書き込みました。



◆映画「燃える秋」 制作の経緯と三越事件

映画「燃える秋」は、当時の三越の岡田茂社長の企画によって、三越から10億円の資金を出して制作されました。
当時の映画界にとっても巨額の制作費に、原作:五木寛之、監督:小林正樹ら一流の人たちが集められました。音楽を担当した武満徹さんもその一人です。

しかし、岡田社長は三越の専属配送業者だった大和運輸(現ヤマトホールディングス)に映画の前売券の購入を強要したことから、大和運輸は三越と絶縁。
ほかにも岡田社長の公私混同・会社の私物化が問題となり、社長解任に発展します(=三越事件)。

この事件を機に、この映画も公開直後に「三越の恥」としてお蔵入りし、その後ソフト化もされていないため、幻の映画となってしまいました。


大ヒットした音楽「燃える秋」

映画公開の前年1978年に「熱帯夜/燃える秋 Gloing Autumn」としてシングルレコードが発売されました。ハイファイセットの女性ボーカル(山本潤子さん)の澄んだ声がとてもこの歌に合っていたと思います。

武満夫人によると生前の武満作品の中でもっともレコードの売り上げが伸びて印税収入が多かったそうです。
この作品によって第2回日本アカデミー賞・最優秀音楽賞を受賞することになりますが、武満氏としては色々と思うところがあったらしく、授賞式でその思いの丈をぶちまけようとするのを司会の宝田明さんに止められたというエピソードもあるそうです。

おそらく、私の想像ですが…

「ノヴェンバー・ステップス」(=1967年に作曲された武満徹の代表作のひとつで、琵琶や尺八など日本の楽器とオーケストラをコラボさせた作品として世界でも高く評価された)など、本来の作曲家としての自身の作品と比べ、これはあくまで映画のための「ビジネス」として書いたもの。

原作の五木寛之さんから「歌詞には英語を入れた方が売れる」と言われるなど、本来の自分の作品としてというより商業ベースの色が濃いものだったのでしょう。
それが大ヒットして受賞…これを後世まで「武満の代表作」のように言われることに、なんとも複雑な思いがあったのかもしれません。

武満氏の作品として、やはり映画音楽として書かれた「怪談」「黒髪」「雪女」の3部作があります。
なんともおどろおどろしくて、これこそ「武満徹の世界!」という感じの曲。なので、「燃える秋」が武満徹さんの作品だと知ったとき(←わりと最近です)、正直ちょっと驚きました。


その時代に愛される音楽

音楽や映画に求められる優れた芸術性と、「売れる」ためのビジネスとのギャップ。

そして「企業メセナ」という言葉で言われますが、企業が文化・芸術に「出資」するとはどういうことなのか…?

このエピソードから、いろいろなことを考えさせられます。

過去の大作曲家たちも、自分の作品が必ずしもその時代の人々に理解され愛されたとは限りません。生活のために大衆受けする曲を書いた作曲家もいました。
その時代の大衆に受け入れられる作品と、本来自分が書きたい作品、何百年も後になってその高い芸術性が評価されることも…

ただ私は、必ずしも何百年のちになってから評価されるものだけが本当に優れた作品で、その時代の大衆に愛されるものが低俗だとは思いません。

その時代の人々の共感を呼び、愛され、親しまれてこそ優れた音楽なのではないでしょうか?
とすると、「高い芸術性」ってなんなんでしょうか…?


喩えですが、ケーキづくりの職人が、自身の腕を磨いてこだわりの作品を作ったら、一般のお店では売れないような高い値段がついてしまうでしょう。それじゃ売れませんね。
生活のため、仕事のためには、1個4~500円のケーキを毎日ある程度の数作らなくてはいけない。

でも、はじめから「売るためのもの」をただ機械的に作ってもだめでしょう。
「あそこのケーキはおいしい」と口コミで人が人を呼ぶには、その職人なりのこだわりと技術が必要です。

「高い芸術性」って、必ずしも何百年も後にならないと評価されないものではなく、その時代に愛されるためにも、それなりに求められるものではないか、と。


続きを読む

「我が窮状」 沢田研二さんからのメッセージ

8月26日(金)

あの沢田研二さんが、こんなメッセージを歌に託されてたんですね!
NHKでも「SONGS」をはじめ、これまでに何回も放送で紹介された歌です。

冒頭から目を閉じて歌を聴いていただければ、「窮状」とは何かすぐにお分かりになるはずです。

放送のためにわざわざ「窮状」と書き換えた…?
あえてそうしてでも、この歌を世に出したことに、かえって強いメッセージ性を感じます。


「我が窮状」
(2008年)

    作詞:沢田 研二,作曲:大野 克夫 

1.麗しの国 日本に生まれ 誇りも感じているが 
  忌まわしい時代に 遡るのは 賢明じゃない
  英霊の涙に変えて 授かった宝だ
  この窮状 救うために 声なき声よ集え
  我が窮状 守りきれたら 残す未来輝くよ

     (短い間奏)

2.麗しの国 日本の核が 歯車を狂わせたんだ
  老いたるは無力を気骨に変えて 礎石となろうぜ
  諦めは取り返せない 過ちを招くだけ
  この窮状 救いたいよ 声に集め歌おう
  我が窮状 守れないなら 真の平和ありえない

      (間奏)

(リフレイン)
  この窮状 救えるのは静かに通る言葉
  我が窮状 守りきりたい 許し合い 信じよう


「我が窮状」楽譜

動画はYoutubeの有効な間のみ

https://youtu.be/7qnCuckLIbA

パガニーニの主題による…

3月22日(火)


風邪で2~3日寝込んで、治りかけの時に、なぜかふと浮かぶ曲があるものです。今回はこの曲でした!

わずか2分40秒ほどの短い曲ながら、ピアノとオーケストラによる優雅で洗練された旋律は印象的で、これまで多くのCMでも用いられてきましたので、聴けばたいていお分かりになるのではないでしょうか?


パガニーニ & ラフマニノフ

ラフマニノフ作曲 『パガニーニの主題による狂詩曲』 から「第18変奏曲」




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  (48秒あたり~、オーケストラに再現するメロディライン)

この曲のベースとなったのは、ヴァイオリンの巨匠パガニーニによる『24の奇想曲』の「主題と変奏」です。

<♪ 音源>
パガニーニ『24の奇想曲』 ~主題と変奏~


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このパガニーニの主題をもとに、ピアノとオーケストラの曲にしたのがラフマニノフです。

ロシアの作曲家でありピアニストでもあったラフマニノフは、ロシア革命の混乱の最中に母国を離れ、アメリカ合衆国でピアニストとしての生活を送るようになります。彼はピアニストとしての名声を得ますが、演奏活動に多くの時間が割かれることとなりました。加えてロシアを離れたことで母国を喪失した思いも強くなり、想像力の枯渇を感じるなど作曲にはなかなか取り組めなかった…そんな中、1931年に夏の休暇を過ごすためにスイスのルツェルン湖畔に建てた別荘で1934年6月3日に作曲を開始し、同年8月18日に完成されたのが、この『パガニーニの主題による狂詩曲』でした。

<♪ 音源>
ラフマニノフ『パガニーニの主題による狂詩曲』


同じ主題をモチーフに色々と変化していきますが、もとのパガニーニの主題にも、ラフマニノフ作曲の「狂詩曲」でも、冒頭にご紹介した第18変奏奏になる(=16分あたり)まであの壮大なメロディラインはどこにも見当たりません。

<主題>
主題冒頭

これがなぜ?
あの第18変奏の、ゆったりとした美しいメロディはどこから…??

<第18変奏>
18変奏部分

冒頭の速いパッセージを、天地をひっくり返すように対称形にしてみると…
20070427114838.jpg

ん?、よく分りませんか?
では実際の高さとはちょっと変えて、冒頭の速い部分を「レファミレラ」と見ると、それをひっくり返したのが「ラファソラレ」
反転

こんな音の並べ替えからあの美しい旋律が生まれ、いかにもラフマニノフらしいアレンジによって完成したのが「18変奏」だったのですね。

パガニーニのメロディに絡めて、もうひとつおまけ…


パガニーニ & リスト 「ラ・カンパネラ」

クラシック音楽は、バロック以降300年ほどの間に急速に発展しました。とくにヴァイオリンやピアノなどの楽器が今日のような完成された姿に近づくと、超絶技巧を競うような優れた演奏家が現れ、そのための曲も多く作曲されていきます。ヴァイオリンのサラサーテやパガニーニ、ピアノのリストやラフマニノフなどもその代表と言えるでしょう。

もともとヴァイオリンの曲として書かれた曲が、後にピアノの曲としてリライトされて名曲となるケースもあります。

リスト作曲 「ラ・カンパネラ」 もとても有名な曲のひとつ。遠くで鐘が鳴っているように、右手の小指を飛ばしてメロディラインを外さないように奏でなくてはならず、美しいけど難曲です。



でもこの曲、もとはパガニーニバイオリン協奏曲の第3楽章として書いていた曲なんです。
高さもリスト作曲の「ラ・カンパネラ」とは異なっています。

パガニーニ作曲 ヴァイオリン協奏曲2番 第3楽章

さらに、パガニーニの「ラ・カンパネラ」として(←ヴァイオリン協奏曲の3楽章としてではなく)、単独でピアノ伴奏によるヴァイオリンソロで演奏される機会もあります。

♪パガニーニ「ラ・カンパネラ」

さらに、この曲をビオラで演奏したバージョン(ホ短調)も!
Erika Gray Paganini La Campanella



Close Your Eyes (「男たちの大和」メインテーマ) 長渕 剛

1月6日(水)

映画「男たちの大和」は戦後60年目の2005年に作られた映画。
暮れに映画館で観てからちょうど10年。この正月休み、家族がディズニーシーに出かけている時にDVDであらためて観ました。

男たちの大和

劇中の音楽は久石譲さん、場面ごとに素晴らしい効果を出しています。
そしてラストテーマがこちら長渕剛の「Close your Eyes」。

本人によるライヴ画像をいくつか組み合わせたオリジナル。YouTube元が削除されないうちに…


https://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=_TwcXUi6O5s


私にはちょっとキイが高いので下げないと厳しいですが、原曲の「in C」でコードを書き取ってみました。

<前奏> 

C△7 Em Am Em Am Em Dm G7
C△7 Em Am Em Am Em Dm G7


それでも この国を 
C△7   Em
   
たまらなく愛しているから
 Am          Em

もういちど 生まれ変わったら 
  Am        Em    

私の名を 呼んでください
      Dm         G7

寒さに ふるえる夜も 
   C△7  Em   

流れる涙 つむぐ夜も
  Am      Em

もう一度生まれ変わったら 
 Am      Em     

あなたを決して 離しはしない
 Dm     G7

私の胸の中へ帰っておいで 
 F    G         C

気高いあなたの勇気を抱きしめたい
 F    G      Am 

ひそやかな海に咲いた白い花たちが
 F      G         E7 Am

いま私の 体に 折り重なる
  Dm      G7  

close your eyes 瞳を閉じれば 
    C△7           Am       

あなたが私に 微笑みかけるよ
              F            G7

close your eyes 瞳を閉じれば 
 C△7                 Am       

希望へ駆け上る 
              F     

あなたが永遠(とわに)生きている
  G7         C

*間奏~2番はこれと同じです。


C、Dm、Em、F、G、Am、白鍵のみによる6つのコードでできていて、♯ が付くのは「Em」が明るい「E7」に変わっている1か所だけ(赤文字)。

★なぜE7が出てくるのか?…ちょっと理論的に。
ハ長調とイ短調とを行き来している曲の流れの中て、Emの真ん中の「ソ」に♯がついた「ミソ♯シ」、その上に7が乗ったE7は、イ短調のドミナントでAmへ。「ソ♯」は次のAmの「ラ」を導き出す導音(=イ短調の和声的短音階)です!

コード循環としては、1-3-6-3-6-3-2-5-1 という流れ。

1-3-2-5-1、あるいは 1-3-6-2-5-1 というコードの流れ…
尾崎豊の「I Love You」、欧陽菲菲の「Love is over」とよく似たコード進行ですね。



    

プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
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