Danny Boy ダニー・ボーイ

3月12日(日) 

「Danny Boy(ダニー・ボーイ)」という歌をご存知でしょうか?

オーケストラ(弦楽器)でも演奏される、静かな祈りも秘めたような美しい旋律の曲です。
もとは、アイルランド民謡「ロンドンデリーの歌」で、歌詞はありませんでした。

アイルランドの古い旋律として19世紀の盲目のヴァイオリニスト、ジミー・マッカリー(1830-1910)がストリートで弾いていたものを、ジェーン・ロス(1810-1879)という女性の民謡収集家が聴き取って楽譜にしたそうです。二人ともアイルランド人です。

のちに英国の弁護士(法律家)でもあるフレデリック・エドワード・ウェザリー(1848-1929)という人が、この旋律に、遠く離れた息子の無事を祈り、帰りを待ちわびる母の思いを歌詞にして付けたのが「ダニーボーイ」です。

戦争に行ってしまった息子が元気に過ごしているか、無事に帰ってきてくれることを待ちわびながら、季節はめぐり、「もしお前が帰ってきてくれた時、私がお墓に入ってしまっていたら、老いた母はずっとお前の帰りを待っていたと、お墓を踏みしめて思い出しておくれ」…と。

<英語の詞・対訳>
英語歌詞&訳詞(八木倫明)20170312_0001

日本語に訳されたケーナ奏者の八木倫明さんによれば、「母の悲しみ、平和の願い」であると。
世界中、時代を超えて、息子を思う母親の気持ちは同じなんですね。
しかしこんな素晴らしい歌が誕生した翌1914年に、第一次世界大戦が起こります。


英語の詞を直訳したものではメロディに合わせて歌うのは難しいので、作詞家のなかにし礼さんが、曲に合うように作詞をしたものをご紹介させていただきます。
ケーナ奏者の八木さんもこの曲をコンサートでも歌とともに演奏され、近々私がボランティアで訪れているデイホームにもお呼びできたらと思うので、日本語の歌詞を打ち込み、まずはシンプルなinC(=ハ長調)でコード譜を起こしておきました。

ただ、終わりの方で最高音=ミ まで出てくるので、デイホームで歌うにはレッドゾーンにかかってますね。
C→B♭、あるいは→A に読み替えて(2~3度下げて)弾けるようにしておきましょう。


ダニーボーイ (日本語版)       なかにし礼:詞

1.おおダニーボーイ いとしきわが子よ
  いずこに今日は眠る
  戦(いくさ)に疲れた体を 休めるすべはあるか
  お前に心を痛めて 眠れぬ夜を過ごす
  老いたるこの母の胸に
  おおダニーボーイ おおダニーボーイ 帰れよ

2.おおダニーボーイ いとしきわが子よ
  便りもすでに途絶え
  はるかなその地の果てにも 花咲く春は来るか
  祖国に命をあずけた お前の無事を祈る
  老いたるこの母の胸に
  おおダニーボーイ おおダニーボーイ 帰れよ



ダニーボーイ ペイントコード名入り(A4フルサイズ)

★讃美歌にも

冒頭、「静かな祈りも秘めたような美しい旋律」と書いたように、讃美歌になっていても不思議はないような気がして探したのですが見つからず…
先ほどFBつながりのある方から、2編の157番にあるとの情報が。2編を開いてみたら、確かにありました!

讃美歌2編15720170312_0001

「燃える秋」武満徹

10月9日(日)

今の季節に聴きたい一曲。
「燃える秋」…同じ題名の映画(1979年)のために武満徹さんが作曲された曲です。


https://youtu.be/Ge0RhutCNqg

1曲目の「出会いと亜紀のテーマ」がメインテーマ。
劇中の音楽には、いかにも現代音楽の巨匠・武満徹さんらしい曲もありますが、メインテーマは哀愁を帯びたなじみやすく美しい旋律です。

ハイファイセットの歌でとくに有名になりました。
私がまだ学生の頃ですから、今からもう35年ほど前、懐かしいですね。

ハイファイセット「燃える秋」

https://youtu.be/a-y9K3f5AOA

武満徹さんのオリジナルと、ハイファイセットの歌う「燃える秋」では、メロディラインに若干の違いはありますが…

燃える秋20161011
♪ハイファイセットの歌バージョンで記譜(耳コピ)し、コードと歌詞を書き込みました。



◆映画「燃える秋」 制作の経緯と三越事件

映画「燃える秋」は、当時の三越の岡田茂社長の企画によって、三越から10億円の資金を出して制作されました。
当時の映画界にとっても巨額の制作費に、原作:五木寛之、監督:小林正樹ら一流の人たちが集められました。音楽を担当した武満徹さんもその一人です。

しかし、岡田社長は三越の専属配送業者だった大和運輸(現ヤマトホールディングス)に映画の前売券の購入を強要したことから、大和運輸は三越と絶縁。
ほかにも岡田社長の公私混同・会社の私物化が問題となり、社長解任に発展します(=三越事件)。

この事件を機に、この映画も公開直後に「三越の恥」としてお蔵入りし、その後ソフト化もされていないため、幻の映画となってしまいました。


大ヒットした音楽「燃える秋」

映画公開の前年1978年に「熱帯夜/燃える秋 Gloing Autumn」としてシングルレコードが発売されました。ハイファイセットの女性ボーカル(山本潤子さん)の澄んだ声がとてもこの歌に合っていたと思います。

武満夫人によると生前の武満作品の中でもっともレコードの売り上げが伸びて印税収入が多かったそうです。
この作品によって第2回日本アカデミー賞・最優秀音楽賞を受賞することになりますが、武満氏としては色々と思うところがあったらしく、授賞式でその思いの丈をぶちまけようとするのを司会の宝田明さんに止められたというエピソードもあるそうです。

おそらく、私の想像ですが…

「ノヴェンバー・ステップス」(=1967年に作曲された武満徹の代表作のひとつで、琵琶や尺八など日本の楽器とオーケストラをコラボさせた作品として世界でも高く評価された)など、本来の作曲家としての自身の作品と比べ、これはあくまで映画のための「ビジネス」として書いたもの。

原作の五木寛之さんから「歌詞には英語を入れた方が売れる」と言われるなど、本来の自分の作品としてというより商業ベースの色が濃いものだったのでしょう。
それが大ヒットして受賞…これを後世まで「武満の代表作」のように言われることに、なんとも複雑な思いがあったのかもしれません。

武満氏の作品として、やはり映画音楽として書かれた「怪談」「黒髪」「雪女」の3部作があります。
なんともおどろおどろしくて、これこそ「武満徹の世界!」という感じの曲。なので、「燃える秋」が武満徹さんの作品だと知ったとき(←わりと最近です)、正直ちょっと驚きました。


その時代に愛される音楽

音楽や映画に求められる優れた芸術性と、「売れる」ためのビジネスとのギャップ。

そして「企業メセナ」という言葉で言われますが、企業が文化・芸術に「出資」するとはどういうことなのか…?

このエピソードから、いろいろなことを考えさせられます。

過去の大作曲家たちも、自分の作品が必ずしもその時代の人々に理解され愛されたとは限りません。生活のために大衆受けする曲を書いた作曲家もいました。
その時代の大衆に受け入れられる作品と、本来自分が書きたい作品、何百年も後になってその高い芸術性が評価されることも…

ただ私は、必ずしも何百年のちになってから評価されるものだけが本当に優れた作品で、その時代の大衆に愛されるものが低俗だとは思いません。

その時代の人々の共感を呼び、愛され、親しまれてこそ優れた音楽なのではないでしょうか?
とすると、「高い芸術性」ってなんなんでしょうか…?


喩えですが、ケーキづくりの職人が、自身の腕を磨いてこだわりの作品を作ったら、一般のお店では売れないような高い値段がついてしまうでしょう。それじゃ売れませんね。
生活のため、仕事のためには、1個4~500円のケーキを毎日ある程度の数作らなくてはいけない。

でも、はじめから「売るためのもの」をただ機械的に作ってもだめでしょう。
「あそこのケーキはおいしい」と口コミで人が人を呼ぶには、その職人なりのこだわりと技術が必要です。

「高い芸術性」って、必ずしも何百年も後にならないと評価されないものではなく、その時代に愛されるためにも、それなりに求められるものではないか、と。


続きを読む

「我が窮状」 沢田研二さんからのメッセージ

8月26日(金)

あの沢田研二さんが、こんなメッセージを歌に託されてたんですね!
NHKでも「SONGS」をはじめ、これまでに何回も放送で紹介された歌です。

冒頭から目を閉じて歌を聴いていただければ、「窮状」とは何かすぐにお分かりになるはずです。

放送のためにわざわざ「窮状」と書き換えた…?
あえてそうしてでも、この歌を世に出したことに、かえって強いメッセージ性を感じます。


「我が窮状」
(2008年)

    作詞:沢田 研二,作曲:大野 克夫 

1.麗しの国 日本に生まれ 誇りも感じているが 
  忌まわしい時代に 遡るのは 賢明じゃない
  英霊の涙に変えて 授かった宝だ
  この窮状 救うために 声なき声よ集え
  我が窮状 守りきれたら 残す未来輝くよ

     (短い間奏)

2.麗しの国 日本の核が 歯車を狂わせたんだ
  老いたるは無力を気骨に変えて 礎石となろうぜ
  諦めは取り返せない 過ちを招くだけ
  この窮状 救いたいよ 声に集め歌おう
  我が窮状 守れないなら 真の平和ありえない

      (間奏)

(リフレイン)
  この窮状 救えるのは静かに通る言葉
  我が窮状 守りきりたい 許し合い 信じよう


「我が窮状」楽譜

動画はYoutubeの有効な間のみ

https://youtu.be/7qnCuckLIbA

パガニーニの主題による…

3月22日(火)


風邪で2~3日寝込んで、治りかけの時に、なぜかふと浮かぶ曲があるものです。今回はこの曲でした!

わずか2分40秒ほどの短い曲ながら、ピアノとオーケストラによる優雅で洗練された旋律は印象的で、これまで多くのCMでも用いられてきましたので、聴けばたいていお分かりになるのではないでしょうか?


パガニーニ & ラフマニノフ

ラフマニノフ作曲 『パガニーニの主題による狂詩曲』 から「第18変奏曲」




E8AD9CE4BE8B67-7bf3a.jpg
  (48秒あたり~、オーケストラに再現するメロディライン)

この曲のベースとなったのは、ヴァイオリンの巨匠パガニーニによる『24の奇想曲』の「主題と変奏」です。

<♪ 音源>
パガニーニ『24の奇想曲』 ~主題と変奏~


E8AD9CE4BE8B66.jpg

このパガニーニの主題をもとに、ピアノとオーケストラの曲にしたのがラフマニノフです。

ロシアの作曲家でありピアニストでもあったラフマニノフは、ロシア革命の混乱の最中に母国を離れ、アメリカ合衆国でピアニストとしての生活を送るようになります。彼はピアニストとしての名声を得ますが、演奏活動に多くの時間が割かれることとなりました。加えてロシアを離れたことで母国を喪失した思いも強くなり、想像力の枯渇を感じるなど作曲にはなかなか取り組めなかった…そんな中、1931年に夏の休暇を過ごすためにスイスのルツェルン湖畔に建てた別荘で1934年6月3日に作曲を開始し、同年8月18日に完成されたのが、この『パガニーニの主題による狂詩曲』でした。

<♪ 音源>
ラフマニノフ『パガニーニの主題による狂詩曲』


同じ主題をモチーフに色々と変化していきますが、もとのパガニーニの主題にも、ラフマニノフ作曲の「狂詩曲」でも、冒頭にご紹介した第18変奏奏になる(=16分あたり)まであの壮大なメロディラインはどこにも見当たりません。

<主題>
主題冒頭

これがなぜ?
あの第18変奏の、ゆったりとした美しいメロディはどこから…??

<第18変奏>
18変奏部分

冒頭の速いパッセージを、天地をひっくり返すように対称形にしてみると…
20070427114838.jpg

ん?、よく分りませんか?
では実際の高さとはちょっと変えて、冒頭の速い部分を「レファミレラ」と見ると、それをひっくり返したのが「ラファソラレ」
反転

こんな音の並べ替えからあの美しい旋律が生まれ、いかにもラフマニノフらしいアレンジによって完成したのが「18変奏」だったのですね。

パガニーニのメロディに絡めて、もうひとつおまけ…


パガニーニ & リスト 「ラ・カンパネラ」

クラシック音楽は、バロック以降300年ほどの間に急速に発展しました。とくにヴァイオリンやピアノなどの楽器が今日のような完成された姿に近づくと、超絶技巧を競うような優れた演奏家が現れ、そのための曲も多く作曲されていきます。ヴァイオリンのサラサーテやパガニーニ、ピアノのリストやラフマニノフなどもその代表と言えるでしょう。

もともとヴァイオリンの曲として書かれた曲が、後にピアノの曲としてリライトされて名曲となるケースもあります。

リスト作曲 「ラ・カンパネラ」 もとても有名な曲のひとつ。遠くで鐘が鳴っているように、右手の小指を飛ばしてメロディラインを外さないように奏でなくてはならず、美しいけど難曲です。



でもこの曲、もとはパガニーニバイオリン協奏曲の第3楽章として書いていた曲なんです。
高さもリスト作曲の「ラ・カンパネラ」とは異なっています。

パガニーニ作曲 ヴァイオリン協奏曲2番 第3楽章

さらに、パガニーニの「ラ・カンパネラ」として(←ヴァイオリン協奏曲の3楽章としてではなく)、単独でピアノ伴奏によるヴァイオリンソロで演奏される機会もあります。

♪パガニーニ「ラ・カンパネラ」

さらに、この曲をビオラで演奏したバージョン(ホ短調)も!
Erika Gray Paganini La Campanella



Close Your Eyes (「男たちの大和」メインテーマ) 長渕 剛

1月6日(水)

映画「男たちの大和」は戦後60年目の2005年に作られた映画。
暮れに映画館で観てからちょうど10年。この正月休み、家族がディズニーシーに出かけている時にDVDであらためて観ました。

男たちの大和

劇中の音楽は久石譲さん、場面ごとに素晴らしい効果を出しています。
そしてラストテーマがこちら長渕剛の「Close your Eyes」。

本人によるライヴ画像をいくつか組み合わせたオリジナル。YouTube元が削除されないうちに…


https://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=_TwcXUi6O5s


私にはちょっとキイが高いので下げないと厳しいですが、原曲の「in C」でコードを書き取ってみました。

<前奏> 

C△7 Em Am Em Am Em Dm G7
C△7 Em Am Em Am Em Dm G7


それでも この国を 
C△7   Em
   
たまらなく愛しているから
 Am          Em

もういちど 生まれ変わったら 
  Am        Em    

私の名を 呼んでください
      Dm         G7

寒さに ふるえる夜も 
   C△7  Em   

流れる涙 つむぐ夜も
  Am      Em

もう一度生まれ変わったら 
 Am      Em     

あなたを決して 離しはしない
 Dm     G7

私の胸の中へ帰っておいで 
 F    G         C

気高いあなたの勇気を抱きしめたい
 F    G      Am 

ひそやかな海に咲いた白い花たちが
 F      G         E7 Am

いま私の 体に 折り重なる
  Dm      G7  

close your eyes 瞳を閉じれば 
    C△7           Am       

あなたが私に 微笑みかけるよ
              F            G7

close your eyes 瞳を閉じれば 
 C△7                 Am       

希望へ駆け上る 
              F     

あなたが永遠(とわに)生きている
  G7         C

*間奏~2番はこれと同じです。


C、Dm、Em、F、G、Am、白鍵のみによる6つのコードでできていて、♯ が付くのは「Em」が明るい「E7」に変わっている1か所だけ(赤文字)。

★なぜE7が出てくるのか?…ちょっと理論的に。
ハ長調とイ短調とを行き来している曲の流れの中て、Emの真ん中の「ソ」に♯がついた「ミソ♯シ」、その上に7が乗ったE7は、イ短調のドミナントでAmへ。「ソ♯」は次のAmの「ラ」を導き出す導音(=イ短調の和声的短音階)です!

コード循環としては、1-3-6-3-6-3-2-5-1 という流れ。

1-3-2-5-1、あるいは 1-3-6-2-5-1 というコードの流れ…
尾崎豊の「I Love You」、欧陽菲菲の「Love is over」とよく似たコード進行ですね。



    

秋桜(コスモス)

11月11日(水)


きのう夜の授業&レッスンでも話題に出ましたが、この季節に聴きたく(歌いたく)なる曲のひとつに「秋桜(コスモス)」があります。

さだまさし作のこの曲がリリースされたのは1977年10月。私が大学生の時です。

私はとくに、「花の中3トリオ」の一人として当時もてはやされていた山口百恵さんの大ファンだったわけではないのですが、この歌はなぜか心に沁みて、その後ずっと残りそうな予感がありました。

年代を超えて、また音楽療法にも外せない1曲だと思い、さっそくYoutubeで聴き直して耳コピしてみました。
コードづけの課題の一環なので、メロディラインの他はコードしか記していませんが、前奏・間奏のメロディラインはいちおう書き起こしてみました。

改1 改2
★左右それぞれ、クリックすると大きな画面でご覧になれます


*細かい音の動きを16分音符やタイで表してますが、「ことば」の多い曲で、1番・2番それぞれ歌詞の割り振りも異なるので、必ずしも原曲がこのような記譜だったかどうかは不明です。

*これは山口百恵さんのオリジナル版で「Fm」ですが、3度下の「Dm」で歌っている版もあるようです。
 また、さだまさし氏自身は「Cm」(しかも上!)で歌っています。


<曲について>

山口百恵といえば、宇崎竜童の「これっきりこれっきりこれっきりですか~」(『横須賀ストーリー』)や、「緑の中を走り抜けてく真っ赤なポルシェ」「バカにしないでよ~、Play back」、『イミテーションゴールド』など、男まさりの強い女、悪く言えばツッパリ系の歌が売りでしたが、日本的な女性らしい優しさも秘めていると感じたさだまさし氏がこの歌を贈ったそうです。

しかし、実際に曲が完成するまでには実に2年半!
創作アイディアが具体化するのに時間がかかったとも、作曲するのを忘れていたとも(笑)…諸説あるようですが。

翌日嫁ぐ女性が、母親への感謝の気持ちを込めて…

当時まだ18歳の山口百恵には実感はなかったのではないかと思いますが、見事な想像力と歌唱力で素晴らしいヒット作となりました。

山口百恵が1980年に引退したのち、さだまさし氏自身が歌ったほか、中森明菜、福山雅治、平原綾香などもカバーしています。

もともと山口百恵はこの楽譜に示したキイ「Fm」で歌っていますが、その後の歌謡番組などでは3度下の「Dm」で歌っているバージョンもあるようです。

(私はなぜか、多くの男性歌手の歌は2~3度下げないと歌えないのですが、女性のキイならそのまま(1オクターブ下)でちょうど良いようです。)


<題名について>

さだまさし氏は、当初この曲の題名を「小春日和」にしようと思っていたようですね。
たしかに後半のさびの部分で…

「こんな小春日和の 穏やかな日は」…とあります。
(1番と2番とで出る順序は前後入れ替わってますが)

「コスモス」というタイトルは音楽プロデューサーの意向から。
さだまさし氏はまた、「秋桜(あきざくら)」と文字通り読ませたかったようですが、これで「コスモス」と呼ぶことに。

もともと「秋桜」という漢字に「コスモス」という読みはありませんが、この歌によってその読み方が定着したといえるでしょう。



以上、ウィキペディアほかを参照にまとめてみました。

深まりゆく秋、飲み会のノリのいい曲もいいですが、たまには親への感謝の気持ちを思い起こして、男女・年代を問わず、こういう心に沁みる歌もいかがでしょう?

ドヴォルザーク「新世界より」

10月12日(祝・月)


私が子どものころ、はじめてドヴォルザークの「新世界より」を聴いて、かなり長い交響曲なのに、本当はもっと長~い「新世界」という曲があって、その一部だから「より」なのかと思いました(笑)。

スメタナと並んでチェコを代表する作曲家ドヴォルザークが、アメリカの音楽大学(ニューヨーク・ナショナル音楽院)の院長として迎えられ、新天地アメリカから遠く離れた故郷チェコを想いながら作った最後の交響曲9番。だから「新世界より」なんですね。

あまりにも有名な曲ですから、全曲にわたっての細かい解説はしません。
もしこの記事を読まれて聴きたくなったらYouTubeでお聴き下さい。

私も若いころからアマチュアのオーケストラで何度となく演奏もしたことのある曲ですが、近々あるオーケストラで演奏するにあたり、ノイマン指揮・チェコフィルの演奏と、2008年に小林研一郎先生がドヴォルザークホール(モルダウのほとりに建つ伝統的なホール)でチェコフィルを振ってライブ録音された演奏とを聴き比べながらイメージトレーニングしています。

1_20151018143943bf3.jpg 2_201510181436037ef.jpg

この交響曲の特徴のひとつは、1楽章~4楽章のそれぞれ代表的なテーマが、楽章を超えて至るところで登場すること。交響曲の中で、楽章を超えて同じモチーフが用いられることを「循環形式」と言いますが、それをとても効果的に使っている曲だと思います。

そして、コード進行の面白さ。いわゆる古典派と言われるクラシックではなかったような(現代のジャズにも通じるような)コード進行が用いられています。

打楽器(ティンパニ)には、とくにメロディやコード進行は関係ないように思われるかもしれませんが、ただ休みの小節を数えて出るだけでなく、コード(響き)の移り変わりで曲全体の流れをつかむことはとても大切だと私は思っています。

自宅にティンパニなんか置けないので、もっぱらスコアパート譜、そしてCDを聴きながらイメージトレーニングするのが常ですが、できればピアノ譜も使ってコード進行で曲の流れをつかんでおくと、休みを数えなくても曲全体が頭に入ってきます。

似たようなモチーフであっても、コード(響き)がどう変わって何回目で出るのか、というとらえ方。
また、この曲ではティンパニはE(ミ)とH(シ)の音が基本(途中で音変えもある)ですが、自分の出している音が全体ではどういう響き(コード)の中でどういう役割の音なのか…、そんなことをちょっと考えてみたいのです。

ほんの一部ながら…

第3楽章の最後(コーダ)の部分

<楽譜1> 
「新世界より」3楽章コーダ 2b
★クリックすると大きな画面でご覧になれます(以下同じ)

中間にトリオを挟んでの3部形式。Em(ホ短調)の響きでいったん終結してから、コーダに入ると突然C7の響きが弦楽器に鳴り響きます(C7の7番目の音B♭がベース)。
そこに1楽章のテーマと3楽章のテーマがコラボになって現れます。

そしてベース音が一つ下がってA♭、その上にD♭(変ニ長調)の響き。
続いてF♯m(嬰へ短調)へ、そしてF7・-5の響き(=ティンパニのH音は、F7の「ー5」の音)を経て、E(ホ長調)に落ち着きます。

ここで1楽章の第2テーマがトランペットに現れます(合いの手は3楽章のテーマ)。

そしてE(ホ長調)の明るい響きからEm(ホ短調)の響きに変わって終結。
そのまま第4楽章へと突入します(楽譜2)。

<楽譜2>
4楽章冒頭

●第4楽章の最後の部分

<楽譜3>
4楽章ラスト1文字

とっても有名な第4楽章、いくつかのモチーフによって展開されていって、最後の終結を告げるかのようにティンパニがE(ミ)とB(シ)とを連打するあたりから。

全体の響きの色変わり(オレンジ色の囲み)は2楽章の冒頭部分を再現しています。

そしてEm(ホ短調)の響きで頂点を迎え、いったん静まったところで、第2楽章のテーマと第3楽章のテーマが掛け合います(楽譜2-最下段)。


<楽譜4>
4楽章ラスト2文字

そしてティンパニの静かな刻みに乗って、第4楽章のテーマがホルンに現れます。
ふたたび湧き上がって頂点に達したところで、木管と弦楽器によって第4楽章のテーマがユニゾンで再現されます(楽譜3-3段目)。

次に、第一楽章のテーマと第4楽章のテーマが少し変形した形ではありますがコラボになって現れます。
トロンボーンとホルンによって第一楽章のテーマが下から支えるように、それに乗ってトランペットが第4楽章のテーマを明るいホ長調の響きで高らかに2回歌いあげ(楽譜3の3段目~4段目)、テンポアップして壮大な終結を迎えます。


<補 足>

このように、楽章を超えて同じ主題(モチーフ)が現れるのを「循環形式」と冒頭で紹介しました。
チャイコフスキーの交響曲4番などでも循環形式が用いられていますが、ドヴォルザークの「新世界より」を聴いていてまず思い浮かぶのは、同じくチェコを代表する作曲家・スメタナの連作交響詩「わが祖国」でしょう。

6曲から成る連作交響詩の中で、2曲目の「モルダウ」の最後に1曲目の「高い城」のテーマが登場します(小さな流れが大きくなってモルダウ川がプラハの街を流れてエルベ河へと注ぐとき、目の前にプラハ城が風景としての「高い城」として現れます)。

また6曲目(終曲)の「ブラニーク」は、5曲目の「ターボル」のモチーフをそのまま受け継いで展開し、最後の終結部分では1曲目の「高い城」のテーマと「ターボル」のテーマが重なり合って壮大なフィナーレへと進んでいきます。

ちなみに、ドヴォルザークはスメタナより10年ほど後に活躍したチェコを代表する作曲家で、スメタナとともに「国民楽派」と呼ばれています。

→ スメタナ連作交響詩「わが祖国」 参照


   
 ↓ ご覧になったら、ワンクリックを!

スクリュアビン 左手のためのプレリュード

8月16日(日)

べつになんということもないピアノの楽譜だが、これをすべて左手で弾きなさい、というもの!
スクリュアビン(Scriabin Alexander 1872~1915)という作曲家が書いた「プレリュード(前奏曲)」。
1
2


「Andante」と指定されているが、もう少しゆっくり弾いても良いと思う。

左手の親指で、高音のメロディ音をしっかりテヌートで響かせ、合いの手に入る低音と中間の刻みの和音を同時につかむ。
左手の腱がつっぱり、ヒマでやることのない右手に思わず力が入ってしまうが(笑)、じっくり音を捕まえてみるとなかなか美しい響きの曲だと思う。

この「プレリュード(前奏曲)」につづく「ノクターン(夜想曲)」の方が有名で、そのタイトルからも分かるように、ショパンのような詩的な印象を好んだ作曲家のようだ。



左手だけのために書かれたピアノ曲は他にもいろいろある。

戦争で右腕を失ったピアニスト(パウル・リトゲンシュタイン)のために書かれた曲や、リストのピアノ曲集の中にはバッハの「シャコンヌ」(ヴァイオリンの曲)をピアノの左手だけで弾くように指示して書かれたものなど、研究・訓練のために書かれた曲もある。

だが、スクリュアビンのこの2曲はそのような目的で書かれたわけではなさそうだ。

手の大きかったラフマニノフに対して、スクリュアビンは小柄で手も小さく、片手でオクターブをつかむのもやっとだったという。
その小さな手で、モスクワ音楽院時代に同級生の友人とピアノの超絶技巧を競い合っているうちに右手首を痛めてしまい、その時に作られた曲といわれている。


スクリュアビンは、ラフマニノフとほぼ同じ時期(1年後)に生まれているが、43歳でその生涯を閉じたピアニスト・作曲家。オーケストラの曲も書いている。

モスクワ音楽院でピアノ教師を務め、その誠実な人柄から生徒からの評判もよく、ウィーンからも招きの声がかかるなど優れた指導者として、また演奏家として活躍。

病弱だったスクリュアビンは、健康にはかなり気を遣う、今でいう「健康おたく」のようなところがあったらしいが、皮肉なことに唇を虫に刺されれて化膿をおこしたのが悪化して、43歳という若さでこの世を去った。



余談

さて、真面目な話はこれぐらいにして…
「ラフマニノフは手が大きい」というのジョークにしたこんな演奏、前にもご紹介しましたが、あらためて…



「ラフマニノフ 手が大きい。でもワタシ手が小さい。でも小さいのは手だけ…」
携帯からの方はこちらを… http://www.youtube.com/watch?v=CkNBWeWzha4&feature=player_embedded


プロフィール

高木 章

Author:高木 章
アマチュアの打楽器奏者です。

某放送局関連に勤務しながら長年趣味で続けてきた音楽活動。あるご縁から、障がいのある方たちとも音楽を通じてのバリアフリーを、また東日本大震災以降は「がんばろう日本」…そんな活動を続けています。

単に自分が音楽が好きだから演奏したいだけでなく、「音楽の力」で「せめて自分にできることを」!

50代半ばにして勤め帰りに学校に通い「音楽療法」を学びました。

音楽寄りの話題、社会・時事に関する日常的なあれこれを徒然なるままに…
このすぐ下の「カテゴリ」から興味のあるテーマごとにクリックして覗いてみてください。
一部パスワードをご存じのメンバーの方のみ閲覧できるページを含みます。

カテゴリ
カウント開始 2011.1.14~
リンク
最新記事
最新コメント
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

月別アーカイブ
検索フォーム
QRコード
QR